作り置きの日持ちは何日まで安全?日数より先に確かめる、冷まし方・再加熱・捨てる判断
作り置きは何日まで食べてよいか。この記事では、日数の早見表は出しません。厚生労働省の食中毒予防のページに日数の記載がなく、そこに書かれているのは、温度・小分け・再加熱・捨てる判断だからです。冷蔵と冷凍でできること、作った直後の冷まし方、再加熱の限界、迷ったときの捨て方を、公的資料の記載の範囲で整理します。
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1厚労省のページは日数でなく、温度・小分け・再加熱・捨てる判断を示している
- 2冷蔵・冷凍は菌を死なせず増えにくくするだけで、危ないのは作った直後の冷め方と、再加熱では防げない毒素・芽胞
- 3温度の数字は出所と対象で違い、迷ったら食べずに捨てる
作り置きの「何日まで」は、厚労省の食中毒予防のページには書かれていない
厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」は、残った食品の保存について「時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう」と書いています。確認した範囲では、このページに具体的な日数の記載はありません(取得 2026-10-21)。
ここで言えるのは「このページに日数がない」ところまでです。ほかの公的機関の資料に日数があるかどうかまでは、この記事では確認していません。
日数が決まらない理由は、厚労省の説明ではなく、次の節以降で示す公的資料の事実からの編集部の整理です。細菌の多くは、冷蔵(10℃)では増殖がゆっくりになり、冷凍(-15℃)では増殖が停止しますが、死ぬわけではありません。加熱した料理も、冷める間に菌が増えることがあり、冷蔵庫の温度でも増える菌がいます。こうした事実から、編集部は、一律の日数を示すのは難しいと考えています。
(出典:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、取得 2026-10-21)
冷蔵庫と冷凍庫でできること・できないこと
厚労省のページは、家庭の冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持するのが目安だとしています。細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりになり、-15℃では増殖が停止しています。ただし、細菌が死ぬわけではないので、早めに使いきるよう書かれています。
| 維持の目安(家庭向け) | 菌への効果 | |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 10℃以下 | 細菌の多くは増殖がゆっくりになる |
| 冷凍庫 | -15℃以下 | 細菌の多くは増殖が停止する。死ぬわけではない |
(出典:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、取得 2026-10-21。上の数字は家庭向けの維持の目安)
詰め込み過ぎにも注意が要ります。同じページは、冷蔵庫・冷凍庫に入れる量の目安を7割程度としています。
もう一つ、よくある誤解があります。農林水産省の食品安全セミナー資料(平成28年)は、食中毒菌の中には冷蔵庫の温度でも増えたり、毒素を作ったりするものがいると書き、冷蔵庫を過信しないことが大切だとしています。「冷蔵庫に入れたから安全」とは言えません。
(出典:農林水産省「家庭でできる食品安全 -食べ物の購入から後片付けまで-」平成28年度食品安全セミナー資料、取得 2026-10-21)
作った直後、鍋のまま冷める時間に菌が増える
カレー・シチュー・煮物のような大鍋の煮込み料理は、加熱した後に常温で放置することが非常に危険だと、農林水産省は書いています。冷める間に、加熱で生き残った芽胞が発芽して急速に増えるためです。
(出典:農林水産省 aff 2022年12月号「家庭で実践! 食中毒予防策 食事編」、取得 2026-10-21)
煮込み料理で問題になるウェルシュ菌について、農林水産省は次のように説明しています。
- 増えることのできる温度帯は約12〜50℃
- 芽胞は熱に強く、100℃の加熱でも生き残る
- 食後6〜18時間(平均10時間)で腹痛、下痢などをおこす
(出典:農林水産省「煮込み料理を楽しむために~ウェルシュ菌による食中毒にご注意を!!~」更新日 令和6年7月16日、取得 2026-10-21)
そのうえで、底の浅い平たい容器や保存用の袋に小分けにすると温度が早く下がりやすくなる、とされています。厚労省も、残った食品は早く冷えるよう浅い容器に小分けして保存するよう書いています。手順にすると次のようになります。
- 加熱した鍋を、そのまま常温で置いておかない
- 底の浅い容器や保存用の袋に、一度に食べられる量ずつ小分けする
- 速やかに冷蔵庫(10℃以下)か冷凍庫で保存する
(出典:農林水産省 aff 2022年12月号、同「煮込み料理を楽しむために」、厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、取得 2026-10-21)
「しっかり再加熱すれば大丈夫」ではない
公的資料は再加熱を勧めています。ただし、再加熱の目安は出典と対象によって2つあります。
- 厚労省(残った食品の温め直し・一般): 目安は75℃以上。味噌汁やスープ等は沸騰するまで加熱する
- 農林水産省 aff(保存した煮込み料理のウェルシュ菌対策): 鍋でかき混ぜながら中心部まで十分に再加熱する。60度以上で10分以上
(出典:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、農林水産省 aff 2022年12月号、取得 2026-10-21)
(出典:農林水産省「煮込み料理を楽しむために」、食品安全委員会「セレウス菌食中毒 ファクトシート」令和3年3月30日最終更新、取得 2026-10-21)
セレウス菌の増殖温度域は10〜50℃とされています(食品安全委員会、同)。
料理の種類で、気をつける菌が違う
公的資料で確認できた範囲では、料理の種類によって気をつける菌が違います。酢・塩・汁気・生野菜による日持ちの差は、公的出典を確認できていないため書きません。
| 料理の種類 | 気をつける菌 | 公的資料に書かれていること |
|---|---|---|
| 煮込み料理(カレー・シチュー・煮物) | ウェルシュ菌 | 加熱後の常温放置は非常に危険。小分けして冷蔵庫か冷凍庫で保存(農林水産省) |
| 焼飯・米飯・麺類 | セレウス菌 | 日本のセレウス菌食中毒の原因食品は、穀類及びその加工品(焼飯類、米飯類、麺類等)が最も多い。大量調理せず必要量を調理し、保存するなら速やかに8℃以下、保存期間は可能な限り短く(食品安全委員会) |
| 加熱せずそのまま食べる料理(和え物・サラダなど) | リステリア | 4℃以下の低温でも増殖でき、冷蔵庫に長期間置くのは注意。加熱で死滅する(農林水産省) |
3行目の「加熱せずそのまま食べる料理」について、農林水産省の記載は、加熱せずにそのまま食べる食品一般についてです。和え物やサラダはその例として編集部が挙げたもので、資料が料理名を挙げているわけではありません。
リステリアは、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できるとされています。リステリアについての事実で、塩分では防げないという一般化はできません。
(出典:農林水産省「煮込み料理を楽しむために」・同 aff 2022年12月号、食品安全委員会「セレウス菌食中毒 ファクトシート」、農林水産省「リステリア・モノサイトゲネス(細菌)」更新日 令和8年9月28日、取得 2026-10-21。8℃以下はセレウス菌食中毒の予防としての記載で、家庭の冷蔵庫の維持目安(10℃以下)とは出所が違う)
食べる人によって注意が変わる
リステリアは、妊婦と胎児、乳幼児、高齢者、免疫機能が低下している方でリスクが高いので注意が必要とされています。
農林水産省のページは、妊婦が避ける例として、加熱殺菌していない乳のナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン等を挙げています。これらは市販食品の例示で、作り置きの惣菜の話ではありません。
具体的に何をどう食べてよいかは、この記事では判断できません。心配があるときは、医師や自治体の窓口に相談してください。
(出典:農林水産省「リステリア・モノサイトゲネス(細菌)」、取得 2026-10-21)
冷蔵で食べ切れない分は冷凍に回すか
細菌の多くは、冷凍(-15℃)では増殖が停止しますが、死ぬわけではありません(厚労省)。冷凍した分も、早めに使いきるものとして扱います。リステリアについても、農林水産省は冷蔵庫を過信せず冷凍庫を活用するよう書いています。
冷凍庫は-15℃以下を維持し、詰め込み過ぎない(7割程度が目安)こと、煮込み料理は小分けして冷蔵庫か冷凍庫で保存することは、前の節で見たとおりです。
冷凍の保存期間(何週間)は、公的出典を確認できていないため書きません。解凍の方法も、この記事では扱いません。
(出典:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、農林水産省「リステリア・モノサイトゲネス(細菌)」、同 aff 2022年12月号、取得 2026-10-21)
迷ったら食べない:見た目・においでは分からない
農林水産省の食品安全セミナー資料は、においや色、味では、食中毒菌が増えていることが分からない食品もあるとしています。例として、カレーは分かりにくいと書かれています。ある程度時間が経ったら、もったいなくても捨てる、という扱いです。
厚労省のページも、残った食品について、ちょっとでも怪しいと思ったら食べずに捨てるよう書いています。
(出典:農林水産省「家庭でできる食品安全 -食べ物の購入から後片付けまで-」、厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、取得 2026-10-21)
この記事で言えないことと、次に読むもの
この記事で言えないことは次のとおりです。
- 料理ごとの冷蔵日数や冷凍の期間は、公的出典を確認できず、表にしていません。民間サイトの日数の目安も引用していません
- 酢・塩・汁気など、料理の味付けや水分による日持ちの差は、公的出典を確認できず扱っていません
- 食中毒が疑われるときの対応や受診の判断は扱っていません
温度の数字は、出所と対象が違います。1つの基準にはまとめられません。読み返し用に並べます。
| 数字 | 何の温度か | 出所と対象 |
|---|---|---|
| 10℃以下 / -15℃以下 | 冷蔵庫 / 冷凍庫の維持の目安 | 厚労省・家庭向け |
| 8℃以下 | 調理後に保存するときの温度 | 食品安全委員会・セレウス菌食中毒の予防 |
| 75℃以上 | 残った食品の温め直しの目安(味噌汁・スープ等は沸騰まで) | 厚労省・一般 |
| 60℃以上で10分以上 | 保存した煮込み料理の再加熱(中心部まで) | 農林水産省 aff・ウェルシュ菌対策 |
| 約12〜50℃ | ウェルシュ菌が増える温度帯 | 農林水産省・ウェルシュ菌 |
| 10〜50℃ | セレウス菌の増殖温度域 | 食品安全委員会・セレウス菌 |
(出典:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」、農林水産省「煮込み料理を楽しむために」・同 aff 2022年12月号、食品安全委員会「セレウス菌食中毒 ファクトシート」、取得 2026-10-21。8℃以下の記載にある55℃以上は事業者の温蔵庫・保温庫の場合で、ここでは扱わない)

