このページの要点

カナダの公立高校留学は、学校ではなく教育委員会(学区)に出願し、学力試験ではなく成績と空席で決まります。

  • 出願先は教育委員会(学区)。学力試験はないが、バンクーバー学区の公式は入学を招待制とし、成績・在籍状況と、プログラムおよび希望校の空席にもとづくと説明している
  • 6か月を超える就学には就学許可(study permit)が必要。17歳以下で保護者が同行しないなら、公証済みの後見人宣誓書(IMM 5646)も必須
  • 入学より重いのは卒業の条件。BC州は、12年次の初めに入学した留学生は卒業資格(Dogwood)の要件をすべて満たすのが難しい場合があると公式に注意している

カナダの公立高校は、州ごとの教育委員会(学区)が留学生を受け入れます。日本のような学力試験はありませんが、直近年と過去2年の成績証明書、在籍状況、そして希望校の空席で決まります。そこに、カナダ政府(IRCC)の就学許可と未成年の後見人、州ごとの卒業要件、日本の在籍校での単位認定という4つの手続きが重なります。この記事では、出願先・必要書類・締切・就学許可と後見人・卒業の条件を、IRCCと州教育省、学区の公式情報で確認しながら、保護者が動ける順番に並べます。費用の総額はカナダ高校留学の費用で扱います。

結論:入学方法の全体像と、先に決める4つのこと

POINT

決めるのは、①どの州・学区に出すか ②何年次で入るか(卒業資格を狙うか) ③就学許可と後見人をどう用意するか ④日本の在籍校の単位をどう扱うか。この順で固めると手戻りが出ません。

カナダの公立高校留学でつまずくのは、たいてい「出願そのもの」ではありません。学年の選び方を間違えて卒業資格が取れない、締切に間に合わない、後見人の書類が整わずに渡航できない——順番を決めないまま個別の手続きを追うと、こうした行き止まりに当たります。まず全体像を見てください。

カナダ公立高校留学の入学方法 早見表(2026年10月時点)

項目実際にどうなっているか確認先
出願先高校ではなく教育委員会(学区)の国際教育プログラム。学区が受け入れを決め、学校を割り当てる各学区の公式サイト
選抜学力試験はない。成績・在籍状況・空席で決まる(バンクーバー学区は「招待制」と明記)学区のAdmissionsページ
主な書類願書、申請料、直近年+過去2年の英文成績証明、予防接種記録の英訳など学区の必要書類一覧
入学時期9月(新学年)と2月(後期)の2回が中心学区の入学時期・締切
締切学区ごとに違う。トロント学区は2027年2月入学の締切を2026年11月30日に延長した学区の公式告知
就学許可6か月を超える就学は必要。カナダの小中高はすべて自動的に指定校なのでDLI番号を探す必要はないIRCC(カナダ移民・難民・市民権省)
後見人17歳以下で保護者が同行しないなら、公証済みの後見人宣誓書(IMM 5646)が必須IRCC
卒業BC州は80単位、オンタリオ州はOSSD30単位。1年の在籍だけでは取れない州教育省
日本側校長の判断で36単位まで認定できる(学校教育法施行規則第93条第2項)在籍校

この記事の制度・金額は、2026年10月27日に各公式サイトで確認した内容です。学区の料金と締切は年度ごとに改定され、ビザ制度も変わります。出願・申請の直前に、必ず各学区とIRCCの公式ページでご確認ください。

出願するのは高校ではなく「教育委員会(学区)」

POINT

日本のように高校ごとに願書を出すのではなく、地域の教育委員会(school district/school board)の国際教育プログラムに出願します。学校は学区が割り当てます。

カナダの公立高校は、州の教育省の制度のもとで各地域の教育委員会(学区)が運営しています。留学生の受け入れ窓口も学区で、「International Education Program」「International Student Program」といった部署が出願から入学後のサポートまでを担います。希望する学校を書くことはできますが、最終的にどの学校になるかは学区が決めます。日本の「第1志望の高校に出願する」という感覚のままでいると、ここで食い違いが起きます。

もう一つ誤解されやすいのが「入試がない」という表現です。これは学力試験がないという意味で、審査がないという意味ではありません。バンクーバー学区(BC州)の出願ページは、入学の決まり方をこう書いています。

原文:“Admission to the International Education Program is by invitation and based on the applicant’s academic achievement, educational background, current academic standing, and the availability of space in the program and at the requested school.”(国際教育プログラムへの入学は招待制で、出願者の学業成績、教育歴、現在の在籍状況、そしてプログラムおよび希望校の空席状況にもとづく)。出典:バンクーバー学区 International Education「Admissions」(2026年10月27日確認)。

つまり、合否を左右するのは学力試験の点数ではなく、成績と在籍状況、そして空席です。人気の都市・人気の学校は定員が先に埋まります。だからこそ「どの学区に、いつ出すか」が実質的な合否の分かれ目になり、締切の確認が最優先になります。公立と私立のどちらを選ぶかという一段前の判断は、カナダ高校留学の完全ガイドで整理しています。

確認ポイント:留学の解説記事では「日本の主要科目の成績が5段階中3以上なら入れる」といった基準が紹介されることがあります。今回、学区の公式要件としてこの数値を確認できませんでした。成績の目安は学区・学年・年度で変わるため、候補学区の国際教育担当に直接確認してください。

必要書類と、学区が見ている3つのこと

POINT

書類の中心は「直近年+過去2年の英文成績証明」。見られているのは、学力の推移、英語で授業に入れるか、そして受け入れる余地があるかの3点です。

バンクーバー学区が中等(高校)の出願に求めている書類は、次のとおりです。学区によって細部は違いますが、構成はおおむね共通しています。

  • オンライン願書(記入漏れがあるとそこで止まります)
  • 直近年と過去2年の、英文の成績証明書または在籍記録
  • 予防接種記録(英訳を添付)
  • 選択科目の希望票(Elective Course Requests)
  • 参加同意書(Participation agreement)
  • 申請料 CDN$400(非返金)。中等の出願にはさらに審査料 CDN$100(非返金)
  • 提出はPDFで、1ファイル15MB未満

成績証明書が「直近年+過去2年」なのは、1回の試験ではなく学力の推移で判断しているからです。1年分だけ良くても、落ち込んだ年があれば説明を求められることがあります。英文の証明書は在籍校に発行を依頼するのが基本ですが、学校が英文様式を持っていないこともあります。その場合の扱い(翻訳を誰が行い、どう証明するか)は学区ごとに違うため、早めに両方へ確認してください。

英語力については、学区によって要求が変わります。バンクーバー学区は中等の出願要件に英語試験のスコアを挙げていません。一方でBC州のサレー学区は、11年次・12年次で入る生徒についてはこれまでの履修が同等性の観点から評価され、英語力の証明を求められることがあると説明しています。入る学年が上がるほど、英語の証明を求められやすくなると考えておくのが安全です。英語力の目安そのものは高校留学の英語力で扱っています。

この記事で英語の公式情報を引用するときは、当サイトが訳したうえで、判断を左右する箇所については原文も出典の注記に示します。サレー学区の原文は “those entering in Grade 11 or 12 will have their previous studies assessed for equivalency and may need to provide proof of English proficiency.”。出典:サレー学区(Surrey Schools)International Education(2026年10月27日確認)。

なお、出願時にスコアを求められない場合でも、入学後にレベル判定があります。トロント学区は、9〜12年次の数学とESLのアセスメント、および統合サマースクール・オリエンテーションの費用は授業料に含むと明記しています。つまり入学後に英語と数学のレベルを測り、必要ならESL(英語を母語としない生徒向けの授業)に配置されるのが前提です。これは落とされるための試験ではなく、どのクラスから始めるかを決める手続きです。

締切と費用は、候補学区の公式ページで実値を取る

POINT

「学区によって違う」で終わらせず、2つの大規模学区の公式値を並べると、確認すべき項目と金額の水準が見えます。

留学の解説では学区名の一覧が並ぶことが多いのですが、保護者が必要なのは一覧ではなく、自分の候補学区の実際の金額と締切です。やり方を見てもらうために、バンクーバー学区(BC州)とトロント学区(オンタリオ州)の公式値を同じ物差しで並べます。

学区の公式値の例(2026年10月27日に各公式サイトで確認)

項目バンクーバー学区(BC州・2027-2028年度)トロント学区(オンタリオ州・2026-2027/2027-2028年度)
申請料C$400(非返金)CDN$400(非返金・オンラインポータルでカード払い)
出願時の審査料C$100(非返金・中等のみ)公式の料金表に記載なし
授業料C$17,000(1年)CDN$17,000(1年)/CDN$8,500(1セメスター)
医療保険C$1,400(1年・全員加入。歯科は対象外)CDN$500(1年)/CDN$250(1セメスター以下)・全員必須
授業料に含むもの教科書・実習費は含む(教科書デポジット、ロッカー、年鑑などは別)入学後の数学・ESLのレベル判定、9〜12年次の統合サマースクール・オリエンテーション
入学時期9月入学・2月入学の出願を受付9月〜6月/2月〜1月の通年、または各セメスター
直近の変更—2026年10月1日から新規出願はTrue North経由、支払いはFlywire経由(銀行小切手・電信送金は不可)。2027年2月入学の締切は2026年11月30日に延長

2つの大都市の学区は、いずれも授業料が年C$17,000でした。これは当サイトが公立で示している授業料レンジ(年CAD9,500〜17,000)の上限側に当たります。レンジの下側がどの学区に当たるかは今回調べていませんが、同じ「カナダの公立」でも授業料に差があることは、この2例と当サイトのレンジから読み取れます。費用を抑えたいなら、候補を大都市の学区だけに絞らず、複数の学区の公式ページで実額を比べてください。授業料・滞在費・保険を合わせた総額の組み立てはカナダ高校留学の費用を見てください。

候補を3つくらいに絞ったら、それぞれの公式ページで次の6項目を書き出してください。この表が埋まれば、学区選びはほぼ終わります。

  1. 1申請料・審査料の金額と、返金されない範囲
  2. 2授業料が「年」か「セメスター」か。教科書・実習費・保険が含まれるか
  3. 3医療保険の加入義務と、歯科・既往症の扱い
  4. 4出願締切と入学時期(9月/2月)、延長や追加募集の告知の有無
  5. 5受け入れ学年の範囲と、希望校を選べるのか学区が割り当てるのか
  6. 6学費の支払い方法(送金手段の指定が年度途中で変わることがあります)

就学許可と後見人:渡航できるかどうかの関門

POINT

6か月を超える就学には就学許可が必要です。17歳以下で保護者が同行しないなら、公証済みの後見人宣誓書(IMM 5646)が必須になります。

学区の合格が出ても、カナダ政府の手続きが別にあります。ここが整わないと渡航できません。順に確認します。

就学許可が必要になるのは「6か月を超える就学」

①就学許可(study permit)が必要かどうか。 IRCCの申請ガイドは、6か月以下の課程またはプログラムを受ける場合は就学許可が不要だとしています。1年間の留学や卒業を目指す留学は当然必要です。一方で同ガイドは、プログラムが6か月以下であっても、その後に別のプログラムで学業を続けるつもりなら渡航前に就学許可を申請しておくべきだとも述べています。現地で延長を考える可能性があるなら、短期でも取っておくのが安全です。6か月以下の形そのものはターム留学で扱っています。

②学校が指定教育機関(DLI)かどうかを調べる必要はありません。 同ガイドは、カナダのすべての初等・中等教育機関は自動的に指定されており、DLIリストには掲載されないと明記しています。大学・カレッジの留学生が探すDLI番号や、州の推薦状(PAL/TAL)は高等教育の申請に関わる書類で、小中高の留学では求められていません。「学区がDLIリストに見つからない」と心配する必要はない、ということです。

後見人になれる人と、公証が必要な書類

③後見人(カストディアン)。 ここが最も曖昧に書かれがちな部分です。IRCCの申請ガイドは、要否と条件をはっきり書いています。

  • 17歳以下で、親または法的保護者が同行せずにカナダで学ぶ子どもは、カナダ国内の責任ある成人の保護下にある必要がある。この人物が後見人(custodian)
  • 17歳から、学ぶ州・準州の成年年齢(18歳または19歳)までの未成年は、審査官の裁量で後見人が必要になることがある
  • 親の一方または権限のある保護者が同行する未成年には、後見人は必須ではない
  • 後見人はカナダに居住するカナダ市民または永住者で、19歳以上でなければならない
  • 日本側の親(または法的保護者)とカナダ側の後見人の双方が、公証済みの後見人宣誓書(Custodianship Declaration/IMM 5646)を作成する。申請時に提出するのはフォームの1ページ目と2ページ目

出典:IRCC「Guide 5269 – Applying for a Study Permit outside Canada」(2026年10月27日確認)。原文は “Children 17 years of age or less coming to Canada to study without an accompanying parent or legal guardian must still be in the care of a responsible adult in Canada. This person is the custodian.”、後見人の条件は “must reside in Canada and be Canadian citizen or permanent resident 19 years of age or older.”、公証は “The parents or legal guardians in the country or territory of origin and the custodian in Canada must complete a notarized Custodianship Declaration (IMM 5646).” と “Pages 1 and 2 of the form are required when submitting the application.”。就学許可の6か月の線は “taking a course or a program of study which is six months or less”、指定校の扱いは “All primary and secondary institutions in Canada are automatically designated and do not appear on the DLI List.”。ビザ・在留の制度は改定されることがあるため、申請の直前にIRCCの公式ページで必ず確認してください。

実務で気をつけたいのは、後見人は「現地で誰かに頼めばよい」ものではないということです。カナダ市民または永住者で19歳以上という条件があり、さらに双方の公証が必要です。多くの学区やホームステイ手配の事業者が後見人サービスを用意していますが、文部科学省・日本学生支援機構の「トビタテ!留学JAPAN 高校生の留学準備ガイド」は「後見人は、個人で手配しなければならない場合が多いので、早目に希望する留学先のルールを調べて、必要な準備を始めましょう」と述べています。誰が務めるのか、トラブル時にどこまで対応するのかを書面で確認してください。事業者を使わない場合の壁はエージェントなしの高校留学で整理しています。

滞在先は、公立校の留学生ではホームステイが一般的です。単独で渡航する未成年は、後見人の連絡先(該当する場合)、通学する学校の情報、親の許可書、そして該当する場合は公証済みの後見人宣誓書を示せるようにしておきます。これらは入国時に確認されることがあるため、原本の携行を前提に準備してください。

入学より重いのは卒業の条件:BC州とオンタリオ州

POINT

公立校の入学は書類審査ですが、卒業資格は州の要件を満たさないと出ません。BC州は、12年次の初めに入学した留学生は卒業が難しい場合があると公式に注意しています。

「カナダの高校は入るのは簡単、出るのが難しい」と言われます。これは感想ではなく、州の制度としてそうなっています。主要2州の要件を並べます。

卒業要件の比較(BC州 Dogwood Diploma/オンタリオ州 OSSD)

項目BC州オンタリオ州
必要単位最低80単位(10〜12年次)。うち必修52単位、選択28単位以上30単位
必修の内訳Language Arts 10・11・12で計12単位、数学10+11or12、理科10+11or12、社会10+11or12、体育10、Career Life Education、Career Life Connections、芸術または応用デザイン・技術、先住民関連4単位9年次開始が2023年度以前は必修18+選択12。2024年度以降は必修17+選択13(技術科1単位、STEM系1単位を含む)
最終学年の条件12年次レベルで16単位以上(Language Arts 12とCareer Life Connectionsを含む)—
州の評価・試験10年次のNumeracy評価、10年次と12年次のLiteracy評価OSSLT(識字テスト)の合格または代替手段
その他—ボランティア40時間。2020-2021年度以降に9年次を始めた生徒はオンライン学修2単位。2024年度以降に9年次を始めた生徒は10年次Career Studiesの金融リテラシー課題で70%以上

出典:BC州教育省「Graduation」、オンタリオ州「High school graduation requirements」(いずれも2026年10月27日確認)。BC州の必修科目の内訳は、サレー学区(Surrey Schools)International Educationが留学生向けに整理したもの(同日確認)とあわせて確認しています。州の要件は改定されるため、出願前に各州教育省の最新情報を確認してください。

表を見ると、BC州の80単位が10〜12年次の3年間の積み上げであることがわかります。しかも12年次レベルで16単位以上、Language Artsは10・11・12の3学年分が必修です。ここからBC州教育省は、留学生についてこう注意しています。

原文:“international students who enter a British Columbia school at the beginning of Grade 12 may find it difficult to meet all of the requirements for earning a Dogwood Diploma, unless they have had considerable instruction in one of Canada’s two official languages prior to coming to British Columbia.”(12年次の初めにBC州の学校に入学した留学生は、BC州に来る前にカナダの2つの公用語のいずれかで相当な教育を受けていた場合を除き、Dogwood Diplomaの要件をすべて満たすのが難しい場合がある)。出典:BC州教育省「International Student Graduation Credit」(2026年10月27日確認)。

「高3の1年間でカナダの高校を卒業する」は、制度上かなり無理があるということです。同じ政策文書は、渡加前に英語または仏語で2年以上の教育を受けていない留学生について、一部の科目は同等性の審査やチャレンジ(既習内容を評価して単位を認める手続き)ではなく、BC州の認定教員の授業として履修する必要があると定めています。対象科目の範囲は政策文書の本文で確認が必要ですが、日本の学校から来た生徒は、現地で実際に授業を受けないと埋められない部分があるという点が重要です。入学後にESL/ELLのクラスから始まると、必修のLanguage Arts 10・11・12を積み上げるのに必要な学年数も、その分だけ後ろにずれます。卒業を狙うなら、英語の伸びしろではなく残りの在籍年数で必修を積めるかで学年を決めてください。

とはいえ「3年すべてやり直し」でもありません。サレー学区は、11年次・12年次で入る生徒はこれまでの履修が同等性の観点から評価される、海外で修了した科目は同等性単位の対象になりうる、母語など英語以外の言語科目(External Language)10・11・12については百分率による同等性が付与されることがある、と説明しています。日本での履修が単位として認められる余地はあるので、卒業を狙うなら、出願の段階で「自分の成績証明書で何単位が認められ、残り何単位を何年で取る計画になるのか」を学区に確認してください。これが卒業留学の成否を決めます。卒業資格を取る形そのものは高校の卒業留学で扱っています。

原文:“Courses completed abroad may qualify for equivalency credits”、“Percentage equivalencies may be provided for an External Language 10, 11, and 12.”。出典:サレー学区(Surrey Schools)International Education(2026年10月27日確認)。認められる単位数は生徒の成績証明書の内容によって変わるため、必ず出願先の学区に個別に確認してください。

1年で帰るか、卒業するか:日本の在籍校との接続

POINT

1年留学なら、日本の在籍校の単位認定が進級の鍵になります。認定の上限は36単位で、認定するかどうかは校長の判断です。

カナダ側の手続きと並行して、日本の在籍校との調整が必要です。学校教育法施行規則第93条第2項は、校長は留学を許可された生徒について、外国の高等学校における履修を高等学校における履修とみなし、36単位を超えない範囲で単位の修得を認定することができると定めています。条文が「認定することができる」と書いているとおり、認定するかどうかは校長の裁量です。カナダの学区も留学事業者も、ここを保証できません。

そのため、出願を始める前に在籍校と次の3点を詰めてください。詰めずに出願すると、帰国後に留年が決まってから気づくことになります。

  1. 1在籍の形:第93条の「留学」として許可されるのか、休学として扱われるのか
  2. 2単位の扱い:何単位を認定してもらえるのか。必履修科目で埋まらないものをどう補うのか(帰国後の補習・追加履修の有無)
  3. 3帰国後の学年:同学年に戻れるのか、下の学年になるのか。卒業見込みの時期はどうなるのか

認定の実務と条文の読み方は留学の単位認定で詳しく扱っています。一方、カナダで卒業資格まで取る道を選ぶ場合は、日本の高校を続けながら両立する形ではなくなることがあります。在籍の扱い(退学・転学を含む)は学校ごとに違うので、同じタイミングで確認してください。

もう一つ、保護者に見ておいてほしい前提があります。カナダの公立高校を卒業すれば、カナダや他国の大学へ進む道が現実的な選択肢になります。高校留学を「3年間の進路」として単独で考えるのではなく、その先の進学まで含めて費用と時間を見積もると、1年留学か卒業留学かの判断がつきやすくなります。進学先の選び方は海外大学進学とはで整理しています。

よくある落とし穴と、その避け方

POINT

つまずくのは制度の難しさではなく、前提の思い込みです。5つの典型と、そのまま使える対処を並べます。

避けたい

「入試がないのだから、出願すれば希望の学校に入れる」と考えて1校だけに賭ける。

こうすればOK

合否は空席で決まる。第1希望に入れない前提で、学区の受け入れ学年と学校の割り当て方法を先に確認し、候補学区を2〜3つ並行で見る。

避けたい

学年を気にせず「高3の1年間」でカナダの卒業資格まで取ろうとする。

こうすればOK

BC州は12年次入学での卒業が難しい場合があると公式に注意している。卒業を狙うなら10〜11年次からの入学で逆算し、同等性で認められる単位数を出願時に学区へ確認する。

避けたい

後見人は現地で知り合いに頼めばよい、または事業者に任せれば必ず用意されると考える。

こうすればOK

後見人はカナダ市民または永住者で19歳以上という条件があり、双方の公証も必要。誰が務め、何に対応するのかを書面で確認し、公証の段取りを出願と同時に始める。

避けたい

6か月以下の短期なので就学許可は不要と決め、現地で延長を考える。

こうすればOK

IRCCは、6か月以下でも学業を続ける意図があるなら渡航前に申請すべきだとしている。延長の可能性があるなら最初から申請しておく。

避けたい

前年度の情報で学費の送金や締切の準備をする。

こうすればOK

料金・締切・支払い手段は年度途中でも変わる。トロント学区は2026年10月から出願と支払いの経路を変更した。入金期限と締切は、その都度公式ページで確認する。

保護者の段取り:締切から逆算する順番

POINT

動き始めるのは渡航の1年〜1年半前。締切は学区ごとに違うので、まず候補学区の締切を確定し、そこから各工程を逆算します。日本の在籍校との相談は、出願より前に置きます。

  1. 11年〜1年半前:州と学区の候補を3つに絞る。前述の6項目(料金・締切・受け入れ学年など)を公式ページから書き出して比べる。この段階で各学区の締切を確認し、以降の予定をそこから逆算する
  2. 2出願の2〜3か月前まで:在籍校に相談する。留学の許可の形、単位認定の見込み、帰国後の学年を確認する。出願してから相談するのでは順番が逆になる
  3. 3出願の1〜2か月前まで:英文の成績証明書の発行依頼と、予防接種記録の英訳を手配する(学校の発行に時間がかかります)
  4. 4出願(時期は学区の告知が正):受付期間は学区ごとに大きく違い、入学の1年前に始まるところも、入学の2か月前まで受け付けるところもある。実例として、トロント学区は2027年2月入学の締切を2026年11月30日(入学の約2か月前)としており、バンクーバー学区は2026年10月27日時点で2027年2月入学と2027年9月入学の出願を受け付けていた。候補学区の告知を見て、ここに自分の締切を書き込む
  5. 5合格後すぐ:入学許可書を受け取り、学費と保険を納付する。並行して後見人を確定し、IMM 5646の公証を日本側・カナダ側の双方で済ませる
  6. 6入学許可書が出たらすぐ:就学許可を申請する(バイオメトリクスの予約を含む)。処理期間は申請先と時期で変わり、9月入学に向けた時期は混み合うため、IRCCの処理期間ページで申請時点の目安を確認し、ほかの準備より先に進める
  7. 7渡航前:ホームステイの確定、保険の加入、単独渡航の書類(親の許可書・公証済みの後見人宣誓書・学校の情報)を携行できる状態にする

就学許可の処理期間は国・時期によって変動します。9月入学に向けた申請は混み合うため、学区の締切に間に合っても、ビザが間に合わないことがあります。入学許可書が出たら、ほかの準備より先に就学許可の申請を進めてください。

まとめ:出願先・学年・後見人の3つを最初に固める

POINT

出願先は学区、合否は空席、卒業は州の要件。この3つを押さえれば、カナダの公立高校留学の手続きは順番どおりに進みます。

カナダの公立高校留学の入学方法は、「高校ではなく教育委員会(学区)に出願し、学力試験ではなく成績と空席で決まる」という一点を理解すると、全体が整理できます。そのうえで、入学する学年を卒業資格の要件から逆算し、就学許可と後見人の書類を出願と並行して準備する。日本の在籍校の単位認定は、出願より前に相談しておく。この順番を守れば、行き止まりはほとんど避けられます。

最後に、制度と金額は毎年変わります。この記事で示した学区の料金・締切は2026年10月27日時点で各公式サイトから取ったものです。実際に出願するときは、同じ項目を候補学区の最新ページで取り直してください。公立と私立の比較や州選びはカナダ高校留学の完全ガイド、費用の総額はカナダ高校留学の費用で続きを読めます。

出願前に最後にチェック

候補学区を決めたら、この7項目が埋まっているか確認してください。

チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。

Q.公立と私立、どちらに出願すればよいのでしょうか。

費用を抑えて現地の生徒と同じ環境で学ばせたいなら公立、少人数やボーディング(寮)を重視するなら私立という分かれ方になります。公立は出願先が教育委員会(学区)で、学力試験はなく成績と空席で決まります。学校の選択は学区が決めることが多く、滞在はホームステイが一般的です。選び方の比較はカナダ高校留学の完全ガイド、費用差はカナダ高校留学の費用を参照してください。

Q.英語力が足りないと出願できませんか。

学区によって違います。バンクーバー学区は中等の出願要件に英語試験のスコアを挙げていません。一方でBC州のサレー学区は、11年次・12年次で入る生徒は英語力の証明を求められることがあると説明しています。入る学年が上がるほど証明を求められやすいと考えてください。出願時にスコアを求められない場合でも、入学後に英語と数学のレベル判定があり、必要に応じてESLのクラスから始まります。

Q.希望の学校を選べますか。

希望は出せますが確約されません。バンクーバー学区は入学を「プログラムおよび希望校の空席状況にもとづく招待制」と説明しており、空席がなければ別の学校になります。通学時間やホームステイ先の地域も関わるため、第1希望に入れない前提で、学区全体の環境(規模・都市か郊外か・提供プログラム)で選ぶほうが失敗が少ないです。

Q.後見人(カストディアン)は日本から親戚に頼めますか。

カナダに住んでいなければ務められません。IRCCの申請ガイドは、後見人はカナダに居住するカナダ市民または永住者で19歳以上でなければならないとしています。17歳以下で保護者が同行しない場合は必須で、日本側の親(または法的保護者)とカナダ側の後見人の双方が公証済みの後見人宣誓書(IMM 5646)を作成し、申請時に1・2ページ目を提出します。カナダに頼れる親族がいない場合は、学区やホームステイ手配の事業者の後見人サービスを使うことになります。

Q.6か月以下の短期留学でも就学許可は必要ですか。

6か月以下の課程なら就学許可は不要とされています。ただしIRCCの申請ガイドは、6か月以下であってもその後に別のプログラムで学業を続けるつもりなら、渡航前に申請しておくべきだと述べています。現地で延長を考える可能性があるなら、最初から申請するほうが安全です。6か月以下の形の選び方はターム留学で扱っています。

Q.カナダで高校を卒業したら、日本の大学は受けられますか。

受けられます。多くの大学が海外の高校を卒業した生徒向けの入試(帰国生入試など)や総合型選抜の枠を設けています。ただし出願資格の条件(在外期間・最終学年の在籍など)は大学ごとに違い、カナダの卒業資格が出る時期と日本の出願時期の関係も確認が必要です。日本側の制度は帰国子女枠と高校留学、海外の大学へ進む場合は海外大学進学とはを参照してください。