このページの要点

マレーシアの大学の費用は、学部別の課程総額に6%の税とビザ実費を足して出します。

  • 公式の学費表は年額ではなく課程全体の総額で出ていることがある。マラヤ大学公式(2025/2026年度)の国際学生の学士は、文系RM60,900から医学RM673,200まで11.05倍の開き
  • 2025年7月1日から国際学生の学費に6%のサービス税が乗る。一方で寮費とPersonal Bondは非課税(大学公式のFAQが課税・非課税の費目を列挙している)
  • Student Passの実費はEMGS公式の料金表から確定できる。新規申請の一式で約RM2,835、Personal Bondを含めて約RM3,835。日本国籍はMultiple Entry Visa Feeが加算されず、Personal Bondも RM1,000(USA・Canadaは RM2,000)

「マレーシアの大学は年間100万円台で、欧米の3分の1」。費用を調べ始めると、この説明にたくさん出会います。ただ、その年額がどこから来た数字なのかを示しているページは、ほとんどありません。実際にマレーシアの大学の公式な学費表を開くと、年額ではなく課程全体の総額で書かれていることがあり、しかも同じ1つの大学の中で学部によって一桁違います。この記事では、大学の公式学費表・サービス税についての大学公式FAQ・EMGSの料金表・マレーシア中央銀行の為替という公式資料だけを使って、ご家庭が実際に払う額をどう積み上げるかを順に整理します。

結論:「年額の帯」で決めず、学部別の課程総額から積む

POINT

マレーシアの費用を調べるとき、最初に捨てたほうがよいのが「公立は年◯◯万円、私立は年◯◯万円」という大学タイプごとの帯です。帯は学部差を平均してしまうため、志望学部の予算には使えません。

マレーシアの大学の費用は、次の4つを足したものです。①学費(志望する学部・プログラムの額)②6%のサービス税(国際学生の学費に乗る)③Student Pass(学生ビザ)の実費④生活費×在学年数(これに、航空券など円で出ていく費用が加わります)。このうち①と②と③は、公式資料に当たればほぼ確定した数字として出せます。ぶれるのは④の生活費と、円換算に使う為替だけです。だからこそ、①〜③を帯で済ませると、確定できるはずの部分まで曖昧になってしまいます。

マレーシアの大学の費用 早見表(2026年10月28日時点の公式資料より)

費目どこまで確定できるか確認先(公式)
学費学部・プログラム単位で確定できる。マラヤ大学公式(2025/2026年度・国際学生の学士)は文系RM60,900〜医学RM673,200。年額ではなく課程全体の総額で記載志望大学の Fee Structure
サービス税(SST)6%。2025年7月1日から国際学生の高等教育サービスが課税対象。学費・登録料・実験費などに乗り、寮費には乗らない大学公式のSST案内/Royal Malaysian Customs Department
Student Pass(新規)一式で約RM2,835(申請RM1,728+健診RM340+パスRM60+eVAL RM159+保険RM498+i-Kad RM50)EMGS Calculate Application Fees
Personal Bond日本はRM1,000(USA・Canada RM2,000、その他の国RM1,500、Singapore RM200)。身元保証金で、SSTは非課税EMGS Personal Bond Requirements
Student Pass(更新)1回あたり約RM1,037(更新RM270+パスRM60+eVAL RM159+保険RM498+i-Kad RM50)。在学年数に応じて回数分かかる同上
生活費確定しない。EMGS公式は学内寮を月USD50〜150、学外を月USD100〜300、光熱・通信を月USD40〜65と示すEMGS Cost of Living
為替確定しない。2026年10月27日のマレーシア中央銀行の中値は100円=2.5913リンギット(1RM=38.59円)Bank Negara Malaysia

この記事の円換算は、余裕を持たせて1RM=40円で計算しています。実勢(2026年10月27日のマレーシア中央銀行の中値)は1RM=38.59円なので、40円で見積もると実勢よりやや多めに出ます。学費はリンギット建てで請求されるため、円での負担額は支払いの時点のレートで決まります。あえて実勢より円安寄りのレートで積んでおくのが、ご家庭の予算としては安全側です。金額・税率・手数料はいずれも2026年10月28日に各公式サイトで確認した値で、改定されます。出願校を絞る段階で必ず大学公式とEMGSでご確認ください。

公式の学費表は「課程全体の総額」:同じ大学で学部により11倍違う

POINT

マレーシアの大学の学費を調べるうえで最も大きな落とし穴は、単位の取り違えです。公式表が課程全体の総額なのに年額だと思って読むと、予算が数倍ずれます。

国立のマラヤ大学(Universiti Malaya)は、国際学生の学士課程の学費表を公式サイトで公開しています。表題は「FEE STRUCTURE / BACHELOR PROGRAMME / Academic session 2025/2026 / TUITION FEE (RM) (INTERNATIONAL)」で、2025年10月更新版です。そしてこの表には重要な注記が付いています。学費の構成は、最短または標準的な修業年限を基準としているというものです。つまり表に並んでいる金額は年額ではなく、卒業までの学費の総額です。

マラヤ大学公式の学部別の学費(国際学生・課程全体の総額)

マラヤ大学 国際学生の学士課程 学費(2025/2026年度・課程全体の総額・主な学部の抜粋・1RM=40円で円換算)

学部・プログラム学費(RM)円換算の目安6%の税を加えた額(試算)
人文・社会科学系(社会学・東南アジア研究・社会行政・東アジア研究など)60,900約244万円約258万円
イスラム学(シャリーア・ウスルッディーンなど)60,900約244万円約258万円
芸術(演劇・舞踊・舞台芸術・音楽)62,100〜64,500約248〜258万円約263〜273万円
語学(スペイン語・ドイツ語・フランス語など)65,000約260万円約276万円
日本語学70,000約280万円約297万円
教育(カウンセリング・幼児教育)69,600約278万円約295万円
理学(生物工学・統計・物理など)70,600約282万円約299万円
経済・経営77,100約308万円約327万円
情報科学(AI・ソフトウェア工学など)89,200約357万円約378万円
会計99,100約396万円約420万円
建築103,900約416万円約441万円
工学(土木・電気・機械・化学・生物医工学)132,100約528万円約560万円
看護学・生物医科学149,200約597万円約633万円
薬学280,100約1,120万円約1,188万円
歯学655,000約2,620万円約2,777万円
医学(MBBS)673,200約2,693万円約2,854万円

この表を見ると、同じ1つの大学の中で、最も安い学部(RM60,900)と最も高い学部(RM673,200)が11.05倍違うことが分かります。「マレーシアの公立大学は安い」という説明は、人文・社会科学系であれば当たっています。しかし医学部や歯学部を志すなら、公式の学費だけで2,600万円を超えます。大学タイプの帯で予算を立てると、この差がまるごと消えてしまうのです。

そして、課程全体の総額で示されていることには、ご家庭にとって大きな利点があります。在学年数を知らなくても、学費の総額は確定できるのです。年額で示された数字を使うと「3年制なのか4年制なのか」「ファウンデーションの1年を含むのか」を自分で補わなければならず、ここで誤差が生まれます。公式の総額表はその補正を不要にします。

確認ポイント:この表は「学費だけ」です。 マラヤ大学公式の注記は、①学費は変更される可能性があり大学は予告なく改定できる ②2025/2026年度以降の入学者に適用される ③学費の構成は最短または標準的な修業年限を基準とする ④学費は各学期の登録に応じて課される ⑤宿舎費は含まれない、と述べています。また、この表は国立大学1校の例で、主な学部の抜粋です(上に挙げていない学部も多数あります)。私立大学・海外分校は体系が異なるので、必ず志望校の公式表をご確認ください。「6%の税を加えた額」の列は当サイトの試算です。 国際学生の高等教育サービスが課税対象であるという制度(2025年7月1日施行。公立の国際イスラム大学マレーシアでも適用されています)に基づいて計算していますが、マラヤ大学の学費表そのものにサービス税の記載はないため、上乗せの有無と適用開始時期は同大学にご確認ください。出典:Universiti Malaya「Fee Structure, UG, International」(2025年10月更新・2026年10月28日確認)。

なお、国別に費用を比べる局面では日本学生支援機構(JASSO)の調査がよく参照され、当サイトの海外大学の費用が安い国でもマレーシアの公立大学を「学部4年間で10,000〜20,000米ドル程度」として整理しています。この帯は、上の表の人文・社会科学系や理学系の水準とよく合います。一方で工学・薬学・医学系はこの帯を大きく超えます。国別の帯は候補国を絞る段階までの道具で、予算を決める段階では志望学部の実額に切り替える、という使い分けが安全です。

私立と海外分校は「毎年上がるか・固定か」で総額の読み方が変わる

POINT

私立大学と海外大学の分校は年額で学費を示すことが多く、そこでは「その年額が毎年上がるのか、入学年の額で固定されるのか」が総額を大きく左右します。これは大学ごとに違います。

マレーシアの大学は、国立(公立)・私立・海外大学の分校の3タイプに分かれます。仕組みそのもの(ツイニング、3+0、分校での学位取得)はマレーシア大学留学ガイドで詳しく扱っているので、ここでは費用の読み方に絞ります。JASSOは、マレーシアにある海外大学分校の学費を「3万〜4万米ドル程度で、本校の半額以下」としています。これが「欧米の学位を半額で取る」と紹介される根拠です。ただし、この水準が全期間に当てはまるのは、分校や3+0のようにマレーシアで全課程を学ぶ場合です。 ツイニング(2+1など)で途中から本校に移る方式では、移った先の国の学費と生活費がその期間に適用されるため、同じ「欧米の学位」でも総額は方式によって大きく変わります。方式の違いはマレーシア大学留学ガイドで整理しているので、費用を積む前にご自身の志望プログラムがどの方式かを確認してください。

ただ、分校・私立の年額には、公式表の総額には無い不確実性があります。費用を扱う日本語記事の多くは「マレーシアの学費は毎年値上がりする」と書いています。確かに改定はありますが、それを前提にしない大学もあります。ノッティンガム大学マレーシア校は公式サイトで学費固定制(Fixed Fee)を掲げ、学費は入学した年の額で固定され、その課程の全期間を通じて同じ額のままだと述べています。さらに、登録料・実験室の使用・図書館の利用・IT資源といった必須のものには追加料金をかけないとし、スメニッヒ校舎では駐車場・主要モールとMRT駅へのシャトルバス・スポーツ施設とジムの利用も学費に含まれるとしています。

年額で示される学費を読むときの3つの確認点

確認することなぜ総額が変わるかどこで確かめるか
入学年で固定されるか、毎年改定されるか4年課程で年3%の改定が続けば、最終年の学費は初年度より約9%高くなる。固定制なら初年度の額×年数で確定する大学公式の学費ページ/Fixed Fee の記載
年額に何が含まれるか登録料・実験費・図書・IT資源が別建ての大学と、学費に含む大学がある。別建ての費目は6%のサービス税の対象にもなる同上/費目の内訳表
ファウンデーション(大学準備課程)が必要か日本の高校卒業から学士へ直接入れない場合、通常1〜1.5年のファウンデーションの学費と生活費が上に乗る志望校の国際課に個別確認
支払いの時期と分割の仕方学期ごとの分割か一括かで、各時点に必要な現金が変わる。円換算のレートも支払日ごとに決まる大学公式の支払いページ

支払いの時期は見落とされがちですが、ご家庭の資金計画には直接響きます。ノッティンガム大学マレーシア校の公式ページは、学部課程の支払いを、第1学期の開始時に50%・第2学期の開始時に50%と定めています(ファウンデーションは一括または50%+50%)。同大学がFAQで例として挙げている、2025年入学の3年制学部課程で年RM42,000という額で考えると、年額は約168万円、学期ごとに約84万円を用意するという形になります。年額の総額だけを見ていると、この入学直前のまとまった支払いが視野から抜けます。

確認ポイント:上のRM42,000は、大学がFAQで挙げた「例示」です。 全プログラム共通の学費ではありません。ノッティンガム大学マレーシア校は固定制の説明として、3年制の学部課程を2025年に年RM42,000で始めた場合という形でこの数字を出しています(原文は “if you start a 3-year Undergraduate programme in 2025 at RM42,000 per year”)。志望プログラムの実額は必ず同大学の該当プログラムのページでご確認ください。また本記事では、サンウェイ大学・テイラーズ大学・APU・モナッシュ大学マレーシア校の個別の年額は扱いません。これらの大学の公式な学費ページを編集部ではアクセス制限により取得できなかったため、集計サイトの数字を転記しないという方針によるものです。出典:University of Nottingham Malaysia「Start Smart with Fixed Tuition Fees」「Paying your fees: International Students」(2026年10月28日確認)。

6%のサービス税は学費に乗り、寮費には乗らない

POINT

2025年7月1日から、マレーシアの高等教育サービスは国際学生について課税対象になりました。税率は6%。どの費目に乗るかは大学公式のFAQが列挙しており、学費は課税、寮費は非課税です。

これは比較的新しい制度で、費用を扱う日本語の記事はまだほとんど反映していません。マレーシア・ウェールズ大学(Universiti Malaya-Wales)の公式FAQは、2025年度予算で課税対象サービスが拡大され、従前は免税だった高等教育サービスが2025年7月1日から課税対象になったと説明しています(原文は “higher education services — previously exempt — are now subject to service tax effective 1 July 2025”)。税率は6%で、国際学生に請求される特定の費目に適用されます。そして、その費目を具体的に列挙しています。

6%のサービス税がかかる費目・かからない費目(大学公式FAQの列挙より)

区分費目
課税される学費・履修料/EMGSの処理手数料/出願料・登録料/資料費・図書館費・実験室費/研究費/在学期間の延長費/再試験料/再履修料/卒業式・証明書の発行費/科目の追加・取消の遅延手数料/各種の処理手数料
課税されないPersonal Bond(身元保証金)/モビリティ費/学内の寮費/支払い延滞の違約金

家計への効き方を具体的に見てみます。先のマラヤ大学の学費表で、工学系の課程全体の学費はRM132,100でした。この6%はRM7,926で、1RM=40円なら約31.7万円。医学(MBBS)のRM673,200なら6%はRM40,392=約161.6万円です。見積りから落ちれば、そのまま不足になる規模です。一方で寮に入る場合、その寮費には税がかかりません。同FAQは、学内の宿舎費はサービス税が免除されると明記しています(原文は “On-campus accommodation fees are exempt from service tax.”)。学外のコンドミニアムを借りる場合と学内寮の場合で、税の扱いまで含めると差が少し縮むことになります。

注意したいのは、課税が始まる時期が大学ごとに違うことです。制度の施行日は2025年7月1日ですが、マレーシア・ウェールズ大学は、2025年10月1日から対象費目に6%のサービス税を適用し始めるとしています。公立の国際イスラム大学マレーシア(IIUM)は公式ページで、2025年9月以降としています。さらに課税の基準は支払日ではなく請求書の発行日です。同FAQは、2025年10月1日より前に請求され全額支払われた費用には課税されず、2025年10月1日以降に請求された費用には支払日にかかわらず6%のサービス税が含まれると述べています。入学年度が制度の切替えに重なるご家庭は、志望校がいつから適用するかを確認してください。

出典と範囲: Universiti Malaya-Wales「FAQS ON THE 6% SERVICE TAX (SST)」(2025年10月)、国際イスラム大学マレーシア(IIUM)公式ページ。いずれも2026年10月28日確認。根拠法はSales Tax Act 2018およびService Tax Act 2018で、執行はマレーシア関税局(Royal Malaysian Customs Department)です。上記の費目リストは、同FAQが関税局の現行ガイダンスに基づくもので示した項目に限られないと注記しているため、網羅的な一覧ではありません。また同FAQは、マレーシア国民は引き続き免除されるとし、サービス税の導入がビザ・Student Pass・在留資格に影響することはないとしています。なおこの6%は私立大学だけの話ではありません。IIUMは公立大学ですが、公式に適用を告知しています。当サイトのマレーシア大学留学ガイドの記述も、公立を含む扱いに揃えています。

Student Passの実費はEMGS公式で確定でき、日本国籍は安い側にある

POINT

学生ビザの費用は「2〜3万円」と丸められがちですが、マレーシアはEMGSという公的機関が料金表を公開しているため、1リンギット単位まで確定できます。そして国籍によって額が変わり、日本は安い側です。

マレーシアの留学生の在留手続きは、高等教育省の下にあるEMGS(Education Malaysia Global Services)が窓口になります。EMGSは申請手数料の計算ページを公開しており、費目ごとの金額を選択式で示しています。そこから、日本から私立高等教育機関(IPTS)に新規で申請する場合の内訳を積むと次のようになります。

EMGS公式の費目と金額(新規申請・1RM=40円で円換算)

Student Pass 申請の費目(EMGS Calculate Application Fees より)

費目金額(RM)円換算の目安備考
新規申請(私立高等教育機関/公立大学)1,728約6.9万円短期コースは864、更新は270。処理手数料には8%のサービス税が含まれる
健康診断250〜350約1.0〜1.4万円標準340、サラワク州350、250の区分もある。公立大学の学内診療所を使う選択肢もある
Student Pass(パスの発給)60約0.24万円—
eVAL(事前査証承認)159約0.64万円—
医療保険498〜644約2.0〜2.6万円6プランから選ぶ。所属校の指定する自前の保険を使う選択肢もある
i-Kad(在留カード)50〜60.60約0.20〜0.24万円EMGSで自分で受け取る場合50、学校へ配送60.60
Multiple Entry Visa Fee日本は加算なし0円USA・Canadaは20、China 30、India 50、Philippines 36
新規申請の一式(例)2,835約11.3万円申請1,728+健診340+パス60+eVAL 159+保険498+i-Kad 50
Personal Bond(身元保証金)1,000約4.0万円日本・韓国・マカオ・香港はRM1,000。USA・Canada 2,000、その他の国1,500、Singapore 200、Thailand 300、Indonesia 500

新規の一式が約RM2,835、Personal Bondを合わせて約RM3,835(約15.3万円)。これが渡航前にかかるビザ関連の実費です。在学中は更新が必要で、更新1回は更新手数料RM270にパス・eVAL・保険・i-Kadを足して約RM1,037(約4.1万円)です(更新の回数と必要な費目は、付与されたパスの有効期間や学校の運用で変わるため目安として扱ってください)。3年課程で更新2回なら初年度と合わせて約RM5,909(約23.6万円)、4年課程で更新3回なら約RM6,946(約27.8万円)となります。

ここで日本の読者に効くのが国籍差です。EMGSのMultiple Entry Visa Feeの一覧には256の国と地域が並んでいますが、日本には金額が表示されていません(=加算されない)。同じく金額の表示がないのはブルネイ・ケニア・マラウイ・モルディブ・モーリシャスで、対照的にアメリカとカナダはRM20、中国はRM30、インドはRM50が加算されます。Personal Bondも日本はRM1,000で、アメリカ・カナダのRM2,000の半分、「その他の国」の一律RM1,500より低い区分です(インド・フィリピン・ネパールなどのRM750、インドネシアのRM500、タイのRM300、シンガポールのRM200といった、日本より低い区分もあります)。マレーシア留学の費用を国籍抜きで語る記事は多いのですが、日本のパスポートは手続き費用の面で負担が軽い側にいます。

出典と注意: EMGS「Calculate Application Fees」(選択肢の実値)および「Personal Bond Requirements v1.2」(PDF)。いずれも2026年10月28日確認。EMGSのページには、2024年3月1日から Education Malaysia の公開サイト経由で提出された全申請の処理手数料に8%のサービス税が課されるという注記があります(原文は “With effect from 1st March 2024, an 8% Service Tax will be imposed on the processing fees”)。表示額のRM1,728は税込の額です(1,600×1.08)。この8%はEMGSの申請処理手数料に課されるもので、大学が請求する費目に乗る6%とは別の課税です。 RM1,728はすでに8%を含んだ額なので、ここにさらに6%を足す必要はありません。なおPersonal Bondは身元保証金で、EMGSの費目のうちサービス税が免除される費目でもあります。金額は申請する機関の種別(私立・公立・語学学校など)や課程の長さ、選ぶ保険プランで変わるため、実額は志望校を通じてEMGSで確認してください。手続きの流れそのものはマレーシア大学留学ガイドにまとめています。

生活費と為替:リンギットで請求され、円の負担は支払日ごとに決まる

POINT

学費・税・ビザ費用を確定させたあと、残る変数は生活費と為替です。この2つは「いくらになるか」を当てるより、「どう動いたら家計が苦しくなるか」を先に把握するほうが役に立ちます。

生活費について、EMGSは公式の情報ページで米ドル建ての目安を示しています。住居は学内寮が月USD50〜150、学外が月USD100〜300。光熱費と通信費は合わせて月USD40〜65(電気約USD20、水道約USD10、インターネット約USD25、携帯約USD8)。食事は屋台やコピティアムで1食USD1〜3、中級のレストランでUSD5〜10。交通はLRT・MRT・モノレールが1回USD0.21〜1.50、路線バスが1回USD0.21〜1.10、配車アプリのGrabがUSD1.50〜10.00です。当サイトのマレーシア大学留学ガイドでは、クアラルンプールでの生活費を月8〜14万円、倹約すれば月6万円台として整理しています。この記事でもこの月8〜14万円を目安に使いますが、これは上のEMGSの住居・光熱費の帯に食費・交通費・日用品を足して保守的に置いた当サイトの試算で、EMGSが公表している合計額ではありません(EMGSのページが挙げる月582米ドルという数字も、EMGS自身の統計ではなく外部サイトの値の引用です)。

このレンジで在学年数分を積むと、3年で約288〜504万円、4年で約384〜672万円。学費より生活費のほうが総額に効く学部があることが分かります。マラヤ大学の人文・社会科学系なら学費は税込で約258万円ですが、3年分の生活費は288〜504万円。つまり学費を下げる努力より、住居の選び方のほうが総額を動かします。逆に医学部のように学費が2,000万円を超える学部では、生活費の差は相対的に小さくなります。どちらの構造なのかで、節約の打ち手は変わります。

為替については、確認しておくべき事実が2つあります。1つ目は、学費はリンギット建てで請求されることです。ノッティンガム大学マレーシア校の公式ページは、学費はすべてマレーシア・リンギット(RM)で請求されるとし、さらに、外貨で支払う場合は為替換算による不足額や超過分および銀行手数料が学生の負担になると明記しています(原文は “All tuition fees are charged in Ringgit Malaysia (RM).” および “any shortfall or excess from currency conversion, along with bank charges, must be borne by the student”)。円でいくら必要かは、入学時ではなく各支払日のレートで決まるということです。

同じ学費でも円の負担はこれだけ動く(工学系・税込RM140,026の場合)

1リンギットあたりの円円換算の学費基準との差
38.59円(2026年10月27日のマレーシア中央銀行の中値)約540万円—
40円(本記事の見積りレート)約560万円約+20万円
45円(さらに円安に振れた場合)約630万円約+90万円

2つ目は、延滞のコストです。同大学は延滞した学費に年5%の遅延損害金を課すとしています。為替が不利なときに支払いを遅らせると、為替差と延滞金の両方を負うことになります。Early Bird Discount(早期支払いの割引)を設けている大学もあるので、「安く支払える時期」と「安いレートの時期」は別の話として整理しておくのが安全です。費用を抑える手段としての給付型奨学金は海外大学の返済不要奨学金にまとめています。

わが家の総額を出す6ステップ

POINT

ここまでの材料を、ご家庭の数字に落とす手順にまとめます。所要時間は、志望校が決まっていれば30分ほどです。

  1. 1志望学部の学費を公式表で引く。 そのとき「年額か、課程全体の総額か」を必ず確認する。注記に、最短または標準的な修業年限を基準とするといった記載があれば総額。年額なら、標準修業年限とファウンデーションの有無を国際課に確認して年数を掛ける。
  2. 2学費に6%を足す。 国際学生の学費は課税対象。出願料・登録料・実験費・資料費・入学デポジットが別建てなら、その本体も総額に足したうえで、課税対象の費目には6%を乗せる。寮費とPersonal Bondには乗らない。
  3. 3Student Passの実費を足す。 新規の一式(約RM2,835)+Personal Bond(日本はRM1,000)+更新1回あたり約RM1,037×(在学年数−1)。
  4. 4生活費を在学年数分だけ積む。 年96〜168万円を目安に、ステップ1で確認した在学年数を掛ける。学内寮か学外かで住居費が変わるので2通り作る。学内寮を選ぶ場合、寮費はサービス税の対象外。
  5. 5日本側で止まらない費用を足す。 往復の航空券(帰国回数分)、日本の健康保険や年金の扱い、日本で加入する保険、渡航前の英語試験の受験料。これらはリンギットではなく円で出ていくので、為替とは別に積む。あわせて、ビザ申請で求められる資金証明(手元に用意しておく残高)の額も志望校に確認しておく。
  6. 6レートを3通りで計算する。 実勢・見積り(本記事は40円)・さらに円安に振れた場合。一番厳しいレートでも支払えるかで判断する。

たとえばマラヤ大学の人文・社会科学系(学費RM60,900)を在学3年と仮定すると、学費税込約258万円+ビザ約24万円+生活費288〜504万円で約570〜786万円+渡航費など。同じ大学の工学系(学費RM132,100)を在学4年と仮定すると、学費税込約560万円+ビザ約28万円+生活費384〜672万円で約972〜1,260万円+渡航費などです。学費は課程総額なので年数に左右されませんが、生活費とビザの更新回数は年数で動きます。 マラヤ大学の学費表には年数の記載がないため、志望プログラムの標準修業年限は必ず大学の国際課でご確認のうえ、ご家庭の年数で積み直してください(生活費は年96〜168万円が目安です)。前者は国内の私立大学と比べられる水準に収まり、後者は国内の私立理系を超える可能性があります。「マレーシアだから安い」ではなく、学部で結論が変わるということです。国内進学と天秤にかける視点は海外大学と国内大学どっちか比較で、国別の比較は海外大学の学費で整理しています。

避けたい

「マレーシアの公立大学は年30〜50万円」という帯を見て、志望学部の予算を立てる。

こうすればOK

志望学部の学費を大学公式の表で引く。マラヤ大学公式では同じ大学の中でも文系RM60,900〜医学RM673,200と11倍違う。

避けたい

学費の年額だけを見て「3年で3倍」と掛け算する。

こうすればOK

公式表が課程全体の総額かを注記で確認する。総額なら掛け算は不要。年額なら、固定制か毎年改定かも併せて確認する。

避けたい

見積りに学費と生活費だけを入れる。

こうすればOK

国際学生の学費には6%のサービス税が乗る。工学系ならRM7,926(約31.7万円)、医学系ならRM40,392(約161.6万円)になる。

避けたい

ビザ費用を「2〜3万円くらい」で丸める。

こうすればOK

EMGS公式の料金表で積む。新規の一式約RM2,835+Personal Bond(日本はRM1,000)で約RM3,835。更新も在学年数分かかる。

避けたい

入学時のレートで円換算した金額を、卒業までの負担額として扱う。

こうすればOK

学費はリンギット建てで請求され、円の負担は各支払日のレートで決まる。厳しめのレートでも払えるかで判断する。

まとめ:確定できる3つを確定させてから、残りを見積もる

POINT

マレーシアの大学の費用は、曖昧なままにしておく必要のない部分が大きいのが特徴です。学費・サービス税・ビザ実費は公式資料で確定でき、残る変数は生活費と為替だけになります。

費用を調べていると「年間◯◯万円」という数字にたくさん出会います。けれどその多くは、大学タイプごとの帯か、どこかの集計です。公式資料に当たると、マレーシアの費用は意外なほど確定できることが分かります。学費は志望学部単位で、課程全体の総額として出ている場合がある。サービス税は6%でどの費目に乗るかが公表されている。ビザ実費はEMGSの料金表に1リンギット単位で載っていて、しかも日本国籍は安い側にある。 ここまでを確定させれば、ご家庭が見積もるべきものは生活費と為替の2つに絞られます。

そのうえで、判断の軸はもうひとつあります。マレーシアには海外大学の分校やツイニングという仕組みがあり、どの大学が学位を出すかで帰国後の評価が変わります。費用の安さと学位の通用性は別の問題です。仕組みと大学選びの注意点はマレーシア大学留学ガイドで、出願の段取りは海外大学の出願方法で扱っています。費用の試算ができたら、次はその学位が進路としてどう効くかを確かめる段階です。

最後にチェック

マレーシアの大学を候補に入れる前に、次の6点を確認できているかご覧ください。

チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。

Q.マレーシアの大学は、結局いくらかかるのでしょうか。

学部によって一桁変わるため、ひとつの額では答えられません。公式資料で積むと、マラヤ大学の人文・社会科学系(学費RM60,900=課程全体の総額)を在学3年と仮定すると、6%の税を加えた学費が約258万円、ビザ関連が約24万円、3年分の生活費が288〜504万円で合計約570〜786万円+渡航費など。同じ大学の工学系(学費RM132,100)を在学4年と仮定すると約972〜1,260万円+渡航費などです(1RM=40円で換算)。学費は課程総額なので年数では動きませんが、生活費とビザの更新回数は動くので、標準修業年限は志望校に確認してご家庭の年数で積み直してください。医学(MBBS)は学費だけでRM673,200=約2,693万円なので、まったく別の規模になります。まず志望学部の学費を大学公式の表で引いてください。

Q.「マレーシアは年間100万円台」という説明は間違いなのでしょうか。

間違いというより、単位と範囲が示されていないことが問題です。人文・社会科学系で学内寮に入り、倹約した生活をするなら、学費と生活費を年あたりに割った額が100万円台に収まることはあります。ただ、この記事の企画時に上位ページを1本ずつ読みましたが、年額の根拠を示しているページはありませんでした。一方でマラヤ大学の公式表は年額ではなく課程全体の総額で、しかも学部で11.05倍の差があります。帯を見て判断するのではなく、志望学部の公式額に6%の税とビザ実費と生活費を足して、ご家庭の数字として出すことをおすすめします。

Q.6%のサービス税は、寮費や保証金にもかかるのですか。

かかりません。 マレーシア・ウェールズ大学の公式FAQは、課税される費目として学費・履修料、EMGSの処理手数料、出願料・登録料、資料費・図書館費・実験室費、研究費、在学期間の延長費、再試験料、再履修料、卒業式・証明書の発行費などを列挙し、課税されない費目としてPersonal Bond(身元保証金)、モビリティ費、学内の寮費、支払い延滞の違約金を挙げています。同FAQは、学内の宿舎費はサービス税が免除されるとも明記しています。ただしこのリストは、関税局の現行ガイダンスに基づくもので示した項目に限られないと注記されているので、網羅的な一覧ではありません。志望校の請求書の内訳でご確認ください。

Q.学生ビザの費用は、日本からだといくらですか。

EMGS公式の料金表から積むと、新規申請の一式が約RM2,835(新規申請RM1,728+健康診断RM340+Student Pass RM60+eVAL RM159+医療保険RM498+i-Kad RM50)、これにPersonal Bond RM1,000を加えて約RM3,835=1RM=40円で約15.3万円です。在学中の更新は1回あたり約RM1,037(約4.1万円)。なお日本国籍はMultiple Entry Visa Feeが加算されず、Personal Bondも日本はRM1,000で、アメリカ・カナダのRM2,000の半分、「その他の国」の一律RM1,500より低い区分です。保険プランや健診の区分、申請する機関の種別で実額は変わるので、志望校を通じてEMGSで確認してください。

Q.学費は毎年上がると聞きました。4年分を多めに見ておくべきでしょうか。

大学によって違うので、志望校の方式を確認してください。 改定を前提にしない大学もあります。ノッティンガム大学マレーシア校は学費固定制(Fixed Fee)を掲げ、公式サイトで、学費は入学した年の額で固定されその課程の全期間を通じて同じ額のままだと述べています(原文は “the tuition fee you pay is locked in based on your enrolment year, and it stays the same for the entire duration”)。さらに登録料・実験室の使用・図書館の利用・IT資源には追加料金をかけないとしています。固定制なら初年度の額×年数で確定できますが、毎年改定される大学なら上振れを織り込む必要があります。いずれの場合も、リンギット建ての学費が固定されていても円建ての負担は為替で動く点は変わりません。

Q.公立大学のほうが安いのだから、公立を狙うべきでしょうか。

費用だけで言えば、人文・社会科学系なら公立は有力です。ただ2点補足があります。1つは学部差で、マラヤ大学公式の表では工学RM132,100、薬学RM280,100、医学RM673,200と、公立でも学部によって大きく変わります。もう1つは入口です。公立大学は国際学生の受け入れ枠や使用言語の条件があり、日本の高校卒業から直接入れるかは大学・学部ごとに違います。また、マレーシアを選ぶ理由が「欧米の学位を現地で取る」ことなら、その仕組みを持つのは海外分校やツイニングを提供する私立です。費用と、入口と、学位を出す大学がどこかの3点を並べて判断してください。仕組みの違いはマレーシア大学留学ガイドで整理しています。