この記事の要点
- 27Ahのバッテリー・暗電流30mAなら、安全側で最短22日が目安(電池工業会の計算式による編集部試算。同会の計算例は26日)
- 自分の車の日数は「容量(Ah)×0.6÷(暗電流mA×24÷1000)」(編集部換算)で出せる。暗電流が分からなければ30mAで計算する
- 1〜2週間で上がる場合はバッテリー劣化か大きな暗電流が疑われます
- 上がった後はサルフェーションが進む。できるだけ早く充電またはジャンプスタートを
車に乗らなくても、バッテリーは毎日少しずつ電気を消費しています(暗電流)。電池工業会によれば、その量は一般的に10〜30mA(1日あたり0.24〜0.72Ah)。同会の計算式で試算すると、27Ahのバッテリー・暗電流30mAで最短22日です(容量の6割を消費した時点で始動できなくなるとみる安全側の編集部試算)。容量が大きいほど、暗電流が小さいほど日数は長くなります。ただし劣化したバッテリーは計算より早くかからなくなることがあるため、日数だけでは判断できません。
何日で上がるのか:電池工業会の計算式で試算する
27Ah・暗電流30mAなら最短22日(安全側の編集部試算)。自分の車はバッテリーの容量(Ah)を当てはめて計算します。
エンジンを止めていても、時計・セキュリティ・車載コンピュータの待機電力などで電気は流れ続けます。これを暗電流といいます。
電池工業会は、暗電流について「一般的には10〜30mA(0.24Ah〜0.72Ah/日)消費している」としたうえで、始動できなくなる条件を次のように説明しています。
バッテリー容量の60%~70%程度の放電で始動できなくなる恐れがあります
同会はその計算例として「27Ah×0.7=18.9Ah…18.9Ah÷0.72Ah/日≒26日」を示しています。
つまり「空になるまでの日数」ではなく、容量の6〜7割を消費した時点(残量3〜4割)で始動できなくなる恐れがあります。同会の計算例は7割消費で26日です。6割消費で止まるとみる安全側で計算し直すと、同じ27Ah・30mAで22日(16.2Ah÷0.72Ah/日=22.5日を切り捨て)になります。この記事の「最短」は安全側(6割)の値です。
バッテリー容量別・上がるまでの日数(試算)
同会の計算例と同じ27Ahのバッテリーで、暗電流別に試算すると次のとおりです。
| 条件 | 暗電流10mA(編集部試算) | 暗電流20mA(編集部試算) | 暗電流30mA |
|---|---|---|---|
| 27Ah・安全側(容量の6割で始動不能) | 67日 | 33日 | 22日 |
| 27Ah・容量の7割で始動不能 | 78日 | 39日 | 26日 |
※30mA・7割の26日は電池工業会の計算例、それ以外は同会の計算式(容量×0.6〜0.7÷1日あたりの消費Ah)による編集部試算です。日数は安全側に切り捨てています。実際は気温・電装品・劣化度により変わります。
自分の車の日数を出す方法
- バッテリー本体のラベル(または取扱説明書)で容量(Ah)を確認する
- 次の式に当てはめる: 容量(Ah)×0.6÷(暗電流mA×24÷1000)=安全側の日数(小数点以下は切り捨て。「暗電流mA×24÷1000」は1日あたりの消費Ahへの編集部換算)
- 自分の車の暗電流が分からなければ、電池工業会が示す範囲の上限の30mAで計算する(いちばん短い日数=安全側)
例えば27Ah・30mAなら、27×0.6÷(30×24÷1000)=16.2÷0.72=22.5で、最短22日です。
この試算のとおり、健全なバッテリーが1週間や2週間で上がることは通常ありません。1〜2週間で上がるなら、次に説明する別の要因を疑ってください。
計算より早く上がる4つの要因
上の試算はあくまで「健全なバッテリー × 暗電流だけ」の条件です。実際にはこれより早く上がることがあり、その主な要因は次の4つです。
- バッテリーが劣化している:これが最大の要因です。劣化すると容量そのものが減るうえ、内部抵抗が増えてセルを回す力(始動電流)が落ちます。暗電流の計算とは別のメカニズムで、計算より早く始動できなくなることがあります
- 気温が低い:JAFは「バッテリーも低温により電圧が下がる傾向にある」としています。冬場は同じ放置日数でも上がりやすくなります。さらに過放電状態で放置するとバッテリー液が凍りやすくなり、凍結時の体積膨張で電槽が破損するおそれもあります(電池工業会)
- 短距離走行が多い:エンジン始動で使った電力を回復しきる前に停止すると、充電不足が蓄積します
- 後付け電装品がある:駐車監視機能付きドライブレコーダーなどは暗電流を増やします。消費電流は機種によって異なるため、長期間乗らないときは駐車監視をオフにしてください
なお、浸水・冠水した車は放置日数とは別の問題です。バッテリー以前に感電・車両火災のおそれがあるため、始動を試みず「冠水した車のエンジンをかけてはいけない理由」の手順に従ってください。
バッテリーの寿命は、JAFによれば一般的なガソリン車で2〜5年が目安です。電池工業会は自動車用鉛バッテリーの推奨交換時期を2〜3年としています。推奨交換時期を過ぎているなら、日数にかかわらず点検を受けるのが安全です(編集部の目安)。
上がったまま放置するとどうなる
バッテリー上がりを放置すると、「サルフェーション」という現象が進みます。放電時に生じる硫酸鉛が結晶化して充電反応ができなくなり、電気を取り出しにくくなる劣化です(ジーエス・ユアサ バッテリーの説明による)。電池工業会は、サルフェーションを起こしたバッテリーについて「充電を十分に行えば一応は使用できるが、長時間の使用に耐えることは期待できない」としています。
つまり、充電すれば一時的に使えても元の性能には戻りません。上がってから時間が経つほど状態は悪くなるため、気づいたらできるだけ早く対処するのが鉄則です。なお電圧が10V以下まで低下した過放電バッテリーは、充電初期に極端に電圧を上げないと電流が流れにくいことも同会が指摘しています。
復活するか、交換かの判断
上がってすぐで新しいバッテリーなら復活の見込みがありますが、推奨交換時期(電池工業会:2〜3年)を過ぎて上がったなら交換が現実的です。
次の表は編集部の目安です(「数日以内」「数週間〜数か月」は出典のある数値ではありません)。
| 状況 | 見込み(編集部の目安) |
|---|---|
| 上がってすぐ(数日以内)、バッテリーが新しい | 充電・ジャンプスタートで復活する可能性が高い |
| ジャンプスタートでかかるが、翌日また上がる | 充電を保持できていない。交換時期 |
| 推奨交換時期(2〜3年)を過ぎている+上がった経験あり | 交換を推奨 |
| 数週間〜数か月上がったまま放置 | 復活は期待しにくい。交換が現実的 |
ジャンプスタート(救援車やジャンプスターターでの始動)でエンジンがかかっても、それは応急処置です。JAFは始動後について「30分程度走行して充電を回復させたうえで、早めに点検を受けること」を推奨しています。
今まさにエンジンがかからず、救援車もジャンプスターターもない場合はロードサービスを呼びます。到着までの時間と料金は「JAF バッテリー 交換 時間」、JAFと任意保険付帯のどちらを使うかは「ロードサービス 費用 JAF・保険 比較」で確認できます。
充電を回復させるには、アイドリングに頼らず、JAFが推奨するとおり30分程度走行することを目安にしてください。
なお、スタータ(セル)は回るのにエンジンがかからない場合は、バッテリー以外の原因も考えられます。整備工場で点検を受けてください。
長期間乗らないときの対策
最も確実なのは週1回30分走行か維持充電器の接続です。
- 週1回程度、30分ほど走行する。JAFも「週1回は30分程度走行して充電を補うことが望ましい」としています
- 維持充電器(トリクル充電器)をつなぐ。長期保管なら最も確実です
- バッテリーのターミナルを外す。JAFによれば、ターミナルを外すとシート位置やラジオ選局などの記憶データが消えることがありますが、「クルマ本体の調子に悪影響を与えることはありません」
- ドライブレコーダーの駐車監視をオフにする。長期間動かさないときは電源を切っておきます
よくある質問
Q1. 1週間乗らないだけで上がりますか?
健全なバッテリーなら通常は上がりません(27Ah・暗電流30mAの安全側の試算でも最短22日)。1週間で上がる場合は、バッテリーの劣化か、暗電流が大きい電装品の存在が疑われます。
Q2. バッテリーが上がった後、しばらく待てば復活しますか?
わずかに電圧が回復してセルが回ることはありますが、根本的な解決ではありません。充電するか、ジャンプスタート後に30分程度走行して充電してください。
Q3. ハイブリッド車で他の車を救援できますか?
できません。JAFは「ハイブリッド車は車の構造上、他の車のバッテリー上がりを救援することはできません」としています。トヨタ(アクア)の取扱説明書も、救援用端子を使って他の車を救援することはできないとしています。また、24Vのトラックは電圧が違うため救援車には使えません(JAF)。
逆に、ハイブリッド車の補機バッテリーが上がった場合は、12Vのバッテリー付き救援車とブースターケーブルでハイブリッドシステムを始動できます(トヨタ・アクア取扱説明書。接続先は車種ごとに異なるので自車の取扱説明書で確認)。EV(BEV)も、補機バッテリーが上がった場合はジャンピング作業などで応急復旧が可能です(JAF。バッテリーの状態によっては復旧できない場合あり)。
Q4. セルは元気に回るのにエンジンがかかりません。
バッテリー以外の原因も考えられるので、整備工場で点検を受けてください。なお、長期間動かしていない車を車検に出す場合は、車検が切れていないかも確認してください(切れている場合は「車検切れに気づかなかった…罰則はいくら?」を参照)。
Q5. 上がったバッテリーで無理にセルを回し続けても大丈夫?
避けてください。セルモーターに負担がかかるうえ、バッテリーの劣化も進みます。
Q6. 交換の目安は?
JAFによれば一般的なガソリン車で2〜5年が目安です。電池工業会は自動車用鉛バッテリーの推奨交換時期を2〜3年としています。推奨交換時期を過ぎたら、症状がなくても点検を受けるのが安全です(編集部の目安)。
Q7. アイドリングで充電できますか?
アイドリングだけに頼らず、走行して充電してください。JAFは、ジャンプスタート後は30分程度走行して充電を回復させること、普段も週1回は30分程度走行して充電を補うことを勧めています。
※日数の試算は、電池工業会が示す計算式(容量×0.6〜0.7÷1日あたりの消費Ah)に電池工業会の計算例と同じ27Ahを当てはめた編集部によるものです。実際の状態は車種・使用環境・劣化度により異なります。