このページの要点
ロータリー交換留学には全国一律の募集要項がなく、年齢・自己負担・選考はすべて地区ごとに決まります
- 宿泊と食事代、学費はロータリー側が負担。家庭が払うのは航空券・保険・ビザ・衣料などの実費
- 自己負担の示し方も額も地区で違う。本記事が確認した4地区では2年間で概ね60万〜80万円、総額80万〜120万円など
- 「海外で受講した科目が帰国後に単位として認められるケースはごく稀」とロータリー発行の手引きが明記している
ロータリー青少年交換は、国際ロータリーの奉仕活動として、ロータリークラブが高校生を相互に交換する制度です。留学会社に参加費を払う留学とは費用の構造が違い、宿泊と食事代、学費は受け入れ側のロータリークラブが負担します。ただし応募の窓口は全国組織ではなく「地区」で、募集要項は地区ごとに別物です。本記事は第2690・2750・2770・2780地区の最新募集要項と、ロータリー発行の『交換学生の手引き』の逐語を並べ、自己負担の実額、派遣先を選べないという拘束、帰国後の単位と留年の扱いまで、出典のある記述だけで確定します。
この記事の出典と前提。本文の事実はすべて2026年11月2日に原典を取得して確認しました。引用元は、ロータリー発行『交換学生の手引き』(文書番号752-JA)、国際ロータリー日本青少年交換多地区合同機構(RIJYEM)掲載のロータリー青少年交換の日本語本文、および第2690・2750・2770・2780地区の最新募集要項と第2740地区の手引き書です。あわせて第2800地区の2023〜2024年度募集要項(構造の説明にのみ使い、額は使っていません)と、学校教育法施行規則第93条を引用しています。募集要項は毎年度改定され、地区ごとに別物です。本記事の数字は4地区の例であり、全国の相場ではありません。応募にあたっては必ずお住まいの地区の最新の募集要項をご確認ください。
結論:ロータリー交換留学の全体像
POINT
1年間のホームステイ+現地校通学で、宿泊・食事・学費はロータリー側の負担。家庭の負担は航空券と保険を中心とした実費です。ただし応募資格・自己負担額・選考はすべて地区ごとに決まり、全国一律の要項はありません。
まず全体像です。下の表は、ロータリー発行の『交換学生の手引き』とRIJYEM掲載のロータリー青少年交換の日本語本文に書かれている制度の骨格と、本記事が確認した4地区の要項の幅をまとめたものです。「安く留学できる制度」ではなく「1年を進路から外して親善大使を務める制度」だと理解すると、判断を間違えません。各項目は後半で1つずつ分解します。
ロータリー交換留学(長期交換)の骨格と、本記事が確認した4地区の幅(2026年11月2日時点)
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 長期交換は15〜19歳。参加者の多くは16〜18歳。年齢制限は地区によって異なる | ロータリー『交換学生の手引き』 |
| 期間 | 通常10〜12カ月。複数のホストファミリー宅に滞在しながら現地校に通学。派遣期間をもう1年延ばすことはできない | 期間はロータリー『交換学生の手引き』/延長の可否は第2750・2780地区 |
| ロータリー側の負担 | 宿泊と食事代、学費、毎月の小額の小遣い | RIJYEM掲載のロータリー青少年交換ページ |
| 家庭の負担 | 往復航空券、旅行保険、旅券とビザの費用、小遣い、追加の旅行・ツアー費用など | 同ページ |
| 自己負担の額(4地区の例) | 2年間で概ね60万〜80万円(2750)/総額80万〜120万円・うち30万円は合格後に振込(2770)/費目別の概算(2690・2780) | 各地区の募集要項 |
| 応募の窓口 | 全国一律の窓口はない。最寄りのロータリークラブに連絡し、クラブの推薦を得て地区の委員会へ | RIJYEM掲載ページ/各地区要項 |
| 派遣先 | 本人は選べない。地区の委員会が決定する。行きたくない国だからと辞退することもできない | 第2750地区/第2780地区 |
| 帰国後の単位 | 「海外で受講した科目が帰国後に単位として認められるケースはごく稀」。地区は保証しない | ロータリー『交換学生の手引き』 |
「ロータリー交換留学」という正式名称はありません。制度の正式な呼び名は「ロータリー青少年交換(Rotary Youth Exchange)」で、地区では「青少年交換プログラム」「YEP」と呼ばれます。検索では「ロータリー 交換留学」と入力する方が多いため本記事もその語を使いますが、資料を探すときは「青少年交換」で検索すると地区の募集要項に行き当たります。
1年間の長期交換だけではありません。ロータリー発行の『交換学生の手引き』は、青少年交換に3種類あるとしています。長期交換(15〜19歳・通常10〜12カ月・現地校に通学)、短期交換(15〜19歳・通常数日間から数週間。学校の休業中に行われることが多く「通常、学校への通学はありません」)、新世代交換(18歳から25歳までの若者を対象に3週間から3カ月)の3つです。ただし同手引きは「各地区が、どの種類の交換を実施するかを決定します」とも書いており、お住まいの地区で実施されるとは限りません。実際、本記事が確認した第2750地区は「国際ロータリー第2750地区青少年交換委員会では長期交換のみのプログラムを実施しています」と明記しています。本記事はこれ以降、1年間の長期交換を前提に書きます。
誰が運営しているのか——「地区」が単位であるという構造
POINT
運営主体はロータリークラブのボランティアです。クラブを束ねた「地区」が独立してプログラムを運営するため、募集要項は地区ごとに別物になります。ここを理解しないと、他の地区の情報を自分の条件だと勘違いします。
ロータリー発行の『交換学生の手引き』は、「地区」を「管理上の目的でロータリー・クラブを一群にまとめた単位」と定義し、「地区は、RIから独立して青少年交換プログラムを運営しますが、学生の安全と福利のために、決められた方針を守らなければなりません」と書いています。さらに交換の種類について「各地区が、どの種類の交換を実施するかを決定します。青少年交換プログラムは、地区ごとに独自に運営されているため、年齢制限は地区によって異なります」と明記しています。
費用についても、RIJYEM掲載のロータリー青少年交換ページは「宿泊と食事代、学費はロータリーが負担します。そのほかの費用は地区やクラブによって異なりますが、通常、以下の費用を学生が負担します」として、往復航空券・旅行保険・旅券とビザにかかる費用・小遣いを挙げています。つまり「地区によって違う」はネット記事の推測ではなく、ロータリー自身が書いていることです。交換留学の派遣団体の比べ方でも触れたとおり、ロータリーは全国一律の募集要項を公表していません。本記事はその先に進んで、実際の地区の要項を取り寄せて並べます。
最初に覚えておきたい4つの言葉
地区の資料は専門用語で書かれています。第2740地区の手引き書の定義に沿って整理すると、読む速度が上がります。
ロータリー青少年交換で使われる用語(第2740地区 手引き書の説明と、各地区の募集要項)
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| スポンサークラブ | 交換留学生として推薦してくれるロータリークラブ。お住まいの近くのクラブがこれになる |
| ホストクラブ | 留学生を受け入れてお世話をするロータリークラブ。派遣先で生活を見てくれる |
| OBS/IBS | スポンサークラブから推薦され派遣される学生がOBS(アウトバウンド)、受け入れる来日学生がIBS(インバウンド) |
| ROTEX(ロテックス) | 留学を終えた学生の集まり(第2740地区の手引き書)。帰国後に後輩の支援などへ協力することを応募資格や要項に掲げる地区がある(第2690・2750・2770地区) |
もう1つ、RIJYEM(一般社団法人国際ロータリー日本青少年交換多地区合同機構)は、第2740地区の手引き書の説明によれば「日本における青少年交換をまとめる組織」です。保険の指定などを担っていますが、応募の窓口はRIJYEMではなく、お住まいの地区です。
4地区の募集要項を並べる——年齢・人数・派遣先・締切・選考
POINT
同じロータリー青少年交換でも、応募できる年齢と学年、募集人数、派遣先、締切、選考の中身は地区で違います。4地区の最新要項を同じ物差しで並べると、「ロータリーの条件」を一般化できないことがはっきりします。
下の表は、第2690・2750・2770・2780地区の最新募集要項から、保護者が最初に確認する項目だけを抜き出したものです。4地区のすべてで中身が違います。とくに年齢の条件は、「15歳から18歳未満」「19歳に達しない者」「15歳以上17歳以下」「出発時に18歳未満の高校生」と4通りの書き方で、対象になる学年もずれています。
ロータリー青少年交換の募集要項(4地区・各地区の最新版。2026年11月2日に原典確認)
| 項目 | 第2690地区 | 第2750地区 | 第2770地区 | 第2780地区 |
|---|---|---|---|---|
| 対象地域 | 地区内の学校に在学中または地区内在住 | 地区内に在学または在住 | 地区内の公私立高校に在学中または地区内在住 | 自宅または学校が地区内(横浜市・川崎市を除く神奈川全域) |
| 年齢・学年 | 2027年8月末時点で15歳から18歳未満(応募時:中学3年生〜高校2年生) | 中学3年から高校2年まで。2026年8月31日時点で19歳に達しない者(中学生は中高一貫校の高等部進学者に限る) | 応募時の年齢15歳以上17歳以下の高校1年生・2年生(中高一貫校で高校の承認を得た中学3年生は応募可能) | 2026年8月の出発時に18歳未満の高校生 |
| 国籍要件 | 要項に記載なし | 国籍の明示はないが「派遣期間をカバーする有効な日本国のパスポートを取得できる者」が応募資格 | 日本国籍を有する者 | 日本国籍者であること |
| 募集人数 | 3名程度 | 要項に人数の記載なし(派遣国は原則1カ国1名) | 10名以下 | 最大10名 |
| 派遣先(予定・実績) | アメリカ・カナダ・オーストラリア | U.S.A.、ハンガリー、フィンランド、ブラジル、フランス、イタリア、ドイツ、タイ(過去3年間実績) | アメリカ、イタリア、フランス、スイス、ドイツ、ベルギー、オーストリア、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、メキシコ、ブラジル、台湾、韓国など | カナダ、ブラジル、メキシコ、イタリア、ドイツ、フランス、台湾、デンマーク、スウェーデン等 |
| 応募締切 | 2026年8月31日(ロータリークラブ必着) | 2026年6月26日(必着) | 2025年7月21日〜8月25日 | 2025年9月3日〜10月3日 |
| 選考の中身 | 書類選考、作文、英語の筆記試験、面接試験(英会話を含む)。試験日2026年10月31日 | 一次=一般教養・国際社会・ロータリーの知識・英語・学生面接(2026年7月12日)/二次=学生面談・保護者面接(7月26日) | 一次=筆記試験(英語、英検3級程度)・グループディスカッション(日本語)/二次=日本語面接(保護者同伴)・英会話面接(本人のみ) | 筆記・面接試験を2日間で実施(2025年11月8日・9日) |
| 提出物の特徴 | 学校長の推薦、保護者の同意、地元ロータリークラブの推薦 | 学校長の推薦と主治医の健康証明。合格後に国際ロータリー所定の健康診断書と、輸血や緊急手術等に対応するための保護者の事前承認文書 | 作文800字程度を原稿用紙に手書き(AIでの作成は禁止)。学業成績報告書(在学学年に応じた成績表。中学3年生は中学2年間+中3の1学期、高校1年生は中学3年間+高1の1学期、高校2年生は中学3年間+高2の1学期) | 学校長の推薦と、1年間の派遣先での修学許可 |
締切の時期も地区で大きく違います。第2750地区は6月下旬締切で7月に選考、第2770地区は8月下旬締切で9〜10月に選考、第2690地区は8月末締切で10月末に選考、第2780地区は10月初旬締切で11月に選考です。「そろそろ調べ始めよう」と思った時点で、お住まいの地区の締切が過ぎていることがあります。ロータリーの手引きも「参加者の選考は競争が激しく、出発の1年以上前に申請手続きが開始されることもあります」と書いています。
第2750地区は2年がかりのプログラムです。同地区のページは「派遣候補生としての1年間の研修期間と、派遣生としての1年間の派遣期間の計2年間で構成されています」と書いています。研修期間にはキャンプ・式典・ロータリー行事への出席が義務づけられ、「クラブ活動などと重なった場合でも当プログラムを優先できる者(誓約書を提出して頂きます)」が応募資格に入っています。なお同ページには募集年度と派遣年度の表記が一致しない箇所が残っているため、派遣がどの年度になるかは委員会に直接確認してください(本記事は締切と試験の実日付だけを使っています)。
自己負担はいくらか——4地区の公表額を費目で並べる
POINT
ロータリー側が宿泊・食事・学費を負担するため、留学会社の参加費と比べると家庭の負担は大きく下がります。ただし「ほぼ無料」ではありません。4地区の要項では、総額の示し方そのものが違います。
ロータリーの手引きは、自己負担について「交換学生とその家族は、往復の交通費、衣類、健康保険、旅行保険、小遣いを自己負担する必要があります」と書いています。これを地区がどう具体化しているかを並べると、下の表になります。
自己負担の示し方と額(4地区・各地区の最新募集要項)
| 地区 | 示し方 | 額と内訳 |
|---|---|---|
| 第2690地区 | 費目別の概算を列挙 | 往復の航空運賃 約35〜45万円(留学先によって異なる)/渡航手続き費用(パスポート、健康診断、ビザ取得費用等)約20〜30万円/生命および傷害保険加入費用 約12万円(派遣地区の保険への加入が義務)/留学保険(任意)約15〜25万円/緊急所持金 約500米ドル/通常の衣服費/現地のロータリー主催の行事参加費 |
| 第2750地区 | 総額(2年分) | 「2年間で、概ね、60万円〜80万円程度とお考えください」。内訳は航空運賃(往復1年オープン)、ビザ・パスポート取得費用、生命・傷害保険加入費用、予防接種費用、衣料費(制服代含む)、旅行出発前研修(キャンプ)費用 |
| 第2770地区 | 総額+前払い | 「出発までの研修費用、往復航空運賃、渡航手続き費用、保険料、派遣先で開催される旅行の費用、若干の所持金等、帰国までの費用総額80万〜120万円(派遣国により異なる)は自己負担」。このうち「研修費用等の実費分として30万円のお振込みをお願いします」とあり、合格後にはモバイルパソコンも必要になる |
| 第2780地区 | 費目別の実額 | 往復航空券代金・査証取得費用(実費)/ブレザー(実費)/研修旅行費用 約10万円/ロータリーエンブレム 2,000円/ロータリーピンバッジ100個 1万5000円/名刺 7,000円/保険 約10万円/予防接種(実費)。派遣先では研修旅行費 約10万円と緊急時対応費 3〜5万円(使わなかった場合は帰国時に返却) |
この4地区を見比べると、同じ制度でも「何が自己負担に含まれるか」の線引きが違うことがわかります。第2750地区の「2年間で60万〜80万円」は研修期間の1年分を含んだ総額で、第2770地区の「80万〜120万円」は出発までの研修費用と派遣先の旅行費用まで含んだ総額で、合格後に振り込む「研修費用等の実費分として30万円」はその内側の前払いと読めます(総額に含まれるのか上乗せなのかは要項に明記がないため、委員会に確認してください)。第2690地区と第2780地区は費目別なので、合計すると地区の提示額に近づきますが、航空券が実費なので派遣先が決まるまで総額は確定しません。他の地区の数字を自分の予算に使わないでください。
第2780地区のピンバッジ100個1万5000円、名刺7,000円、ブレザーといった項目は、一見すると不思議に見えるかもしれません。これらは親善大使としての活動に使う道具です。第2740地区の手引き書も、交換学生が「派遣国の文化や習慣を勉強するほかに、自分の国のそれらを伝える義務も持っています」と書いており、ロータリークラブの例会や講演の場で配るものと考えると筋が通ります。交換留学の費用の全体像で扱う留学団体の参加費とは、そもそも性質の違う支出です。
避けたい
「ロータリーはほぼ無料で留学できる」とネット記事で読んだので、貯金ゼロで応募する
こうすればOK
航空券・保険・ビザ・衣料は家庭の負担。4地区の要項は60万〜120万円規模を示している。航空券が実費の地区では派遣先が決まるまで総額が確定しないことも前提にする
避けたい
他県の地区のブログで見た「約70万円」を自分の家の予算表に書き写す
こうすればOK
お住まいの地区の最新募集要項を取り寄せ、その地区の費目と額で予算を組む。地区によって前払い(第2770地区の30万円)が必要なこともある
奨学金が併用できる地区もあります。第2770地区の要項には「『埼玉発世界行き』給付型奨学金の活用ができれば、上限50万円の支給を得て渡航費用等の軽減が図れます(奨学金未定)」という注記があります。自治体の高校生留学支援は地域ごとに制度が違うので、自治体の高校生留学支援と高校生の留学で使える民間の奨学金も併せてご確認ください。なお、ロータリー財団の奨学金(地区補助金)は青少年交換とは別の制度です。
ロータリーが負担するもの・しないもの(公式の逐語)
POINT
受け入れ側のロータリークラブが宿泊・食事・学費と毎月の小遣いを負担します。小遣いは「若干額」で、月1万円程度と書いている地区があります。制服や修学旅行の扱いは地区で分かれます。
ロータリーの手引きは「長期交換の場合、留学先のロータリー・クラブが必要な学費と小額の小遣い(毎月)を提供します。宿泊先と食事は、ロータリー・クラブが選んだホストファミリーから提供されます」と書いています。地区の要項はこれをもう少し具体に落としています。
負担の区分(ロータリー発行の手引き+第2740・2780地区の要項・手引き書)
| 費目 | 誰が負担するか | 出典上の表現 |
|---|---|---|
| 滞在先・食事 | 受け入れロータリークラブ(ホストファミリー) | 「食事と滞在先は、受入れロータリークラブにより提供されます」(第2780地区) |
| 学校に要する費用 | 原則、受け入れロータリークラブ | 「学校に要する費用(授業料、教科書、交通費他)は原則、受け入れロータリークラブが負担することになっております」(第2780地区) |
| 制服 | 地区によって分かれる | 「又、制服は本人が負担する場合もあります」(第2780地区)/受け入れ側については「制服代、体操着、修学旅行の費用等はホストロータリークラブが支払います」(第2740地区) |
| 毎月の小遣い | 受け入れロータリークラブ | 「小遣いとして受入れロータリークラブより毎月本人に若干額(1万円程度)が支給されます」(第2780地区)/「毎月小遣いが支給されます(1ヶ月1万円程度)」(第2740地区) |
| 往復航空券・ビザ・保険 | 家庭 | 「現地までの往復旅費、傷害/健康保険料及び青少年交換学生のための旅行(ツアー)参加費は自己負担です」(第2780地区) |
| 派遣先での研修旅行 | 家庭 | 第2780地区は派遣先での研修旅行費を約10万円と概算。第2690地区も「現地のロータリー主催の行事参加費(キャンプ・バスツアー等)」を自己負担に挙げる |
保険は「入りたいものに入る」のではありません。ロータリーの手引きは「学生は、出発前に、受入地区の定めた補償内容に見合う旅行中の健康保険に加入しなければなければなりません」と書いており、第2690地区は保険加入費用約12万円に「但し、派遣地区の保険に加入を義務付けられる」と注記しています。家庭で加入先を選べない場合があるので、高校生の留学保険の一般的な選び方をそのまま当てはめず、地区の指定を先に確認してください。
いちばん誤解されるところ——単位・留年・大学受験の扱い
POINT
ここが保護者にとって最大の論点です。ロータリー発行の手引きは「海外で受講した科目が帰国後に単位として認められるケースはごく稀」で「ロータリー地区はいかなる保証もできない」と明記しています。留年するかどうかは在籍校との相談で決まります。
ロータリーの『交換学生の手引き』は、保護者向けの章でこう書いています。「交換留学への出発前に、青少年交換プログラムが母国での学業にどのように影響するかを地元の学校関係者に尋ね、単位互換の可能性や必須科目についても確認しておきましょう。子供がまだ高校を卒業していない場合は、こうしたことが重要です。海外で受講した科目が帰国後に単位として認められるケースはごく稀であり、ロータリー地区はいかなる保証もできないことにあらかじめご留意ください。」
地区の説明も同じ方向です。第2750地区のよくある質問は「派遣国での単位の取得は可能ですか」という問いに対し、「この青少年交換は留学ではありませんので単位の取得はできません。が、現地の高校と交渉の上通学証明は発行して貰えることがあります。帰国後日本の高校で留年か進級となるかは学校とご自身でよく相談して下さい」と答えています。第2740地区の手引き書は、帰国時の処置として「OBS生が帰国した際は留年を基本とし、渡航時の時点に戻り(1学年下)その学年と共に進級します」と書いています(この記述はオーストラリア派遣の日程を説明する段落に置かれています)。
日本側の制度としては、認定の道が閉じているわけではありません。学校教育法施行規則第93条は、第1項で「校長は、教育上有益と認めるときは、生徒が外国の高等学校に留学することを許可することができる」、第2項で「外国の高等学校における履修を高等学校における履修とみなし、三十六単位を超えない範囲で単位の修得を認定することができる」と定めています。条文が「認定することができる」と書いているとおり、認定するかどうかは在籍校の校長の裁量です。詳しくは留学の単位認定と高校の扱いと高校留学で留年するかどうかで解説しています。
つまり制度としては認定できるが、認定するのは在籍校であり、ロータリー側は保証しない——これが正確な整理です。第2780地区は応募資格に「学校長の推薦と、1年間の派遣先での修学許可が得られる学生であること」を掲げており、第2770地区も「在学高校の校長推薦が得られる者(来日学生受入協議ができること)」としています。応募の前に在籍校と話す順番は、ロータリー側の要項にも組み込まれているのです。
大学受験で有利になるのか——地区の説明が食い違っている
ここは注意が必要です。第2750地区のよくある質問は「帰国後の大学受験に有利になりますか」に対して「有利になることはありません、一般高校生と同様に大学受験をしております」と答えています。一方、第2740地区の手引き書は「留学後は帰国子女と認められ、ロータリークラブが発行するディプロマは、大学受験の際に多いに活用することが可能です」と書いています。同じ制度について、地区の説明が逆向きです。
判断の軸は、ロータリー側の説明ではなく受験する大学の要件です。いわゆる帰国生入試(帰国子女枠)の出願資格は大学が定めており、海外の学校に在籍した年数や卒業要件が条件になります。1年間の留学が対象になるかは大学ごとに違うので、帰国子女枠は1年留学でも対象になるかと高校留学後の大学受験で、志望校の要件から逆算してください。総合型選抜で留学経験をどう扱うかも大学次第です。
「帰国後どうなるか」についての各出典の記述(2026年11月2日時点)
| 論点 | 出典 | 書かれていること |
|---|---|---|
| 単位 | ロータリー『交換学生の手引き』 | 「海外で受講した科目が帰国後に単位として認められるケースはごく稀であり、ロータリー地区はいかなる保証もできない」 |
| 単位 | 第2750地区 よくある質問 | 「この青少年交換は留学ではありませんので単位の取得はできません」「通学証明は発行して貰えることがあります」 |
| 学年 | 第2740地区 手引き書 | 「OBS生が帰国した際は留年を基本とし、渡航時の時点に戻り(1学年下)その学年と共に進級します」(この記述はオーストラリア派遣の日程を説明する段落に置かれている) |
| 単位の法的な枠 | 学校教育法施行規則第93条 | 校長は留学を許可でき、36単位を超えない範囲で単位の修得を「認定することができる」=在籍校の裁量 |
| 大学受験 | 第2750地区 よくある質問 | 「有利になることはありません、一般高校生と同様に大学受験をしております」 |
| 大学受験 | 第2740地区 手引き書 | 「留学後は帰国子女と認められ、ロータリークラブが発行するディプロマは、大学受験の際に多いに活用することが可能です」 |
避けたい
「交換留学だから単位は認定されるはず」と考え、在籍校に相談せず応募する
こうすればOK
応募前に在籍校へ、①第93条の「留学」として許可されるのか休学扱いになるのか ②認定され得る単位数 ③必履修科目の扱い ④帰国後の学年——の4点を確認する。要項が求める校長推薦の面談がその機会になる
避けたい
地区のパンフレットの「帰国子女と認められる」を根拠に、帰国生入試を前提に進路を組む
こうすればOK
志望校の帰国生入試の出願資格(在籍年数・卒業要件)を大学の公式募集要項で確認する。1年間の留学が対象外の大学もある
派遣先は選べない、辞退できない、延長もできない
POINT
この制度は「行きたい国に行く留学」ではありません。派遣先は委員会が決め、本人の希望は考慮されない地区もあります。合格後に「その国なら行かない」という選択は想定されていません。
ロータリーの手引きは「交換に選ばれた学生は、ロータリー・クラブが受け入れを承諾した地域に派遣されます。特定の地域で受入れられる留学生の数は限られているため、申請者は留学先を指定するのではなく、留学地域の希望を伝えるのみとなります」と書いています。地区の表現はさらに踏み込んでいます。
- 第2750地区の応募資格:「派遣国は原則1カ国1名とし、青少年交換委員会が決定して通知します。(派遣される国について、本人の希望は考慮されません。それを承諾できる方のみご応募ください。)」
- 第2750地区のよくある質問:「いいえ、派遣先は青少年交換委員会が決定します。そして自分が行きたくない国だからといって辞退することはできません。」
- 第2780地区の要項:「*派遣国の希望は出せますが、最終的な決定はロータリーがします。」
- 第2750地区のよくある質問:「派遣期間は概ね一年間です。そして延長はできません。」
- 第2780地区の要項:「1年以上滞在することはできません。個人の都合で早く帰国することも、原則許されません。」
「延長できない」の意味を取り違えないでください。ここでいう延長できないとは、派遣期間をもう1年延ばすことです。ロータリー発行の『交換学生の手引き』は、長期交換について「学年度の直前と直後の休暇期間の一部またはすべてを含めて、滞在期間を延長することができます」と書いており、学年度の前後の休暇分だけ滞在が延びること自体はありえます。ただし地区が上限を明記していることがあり、第2780地区は派遣期間を「11ヶ月以上1年未満」とし「1年以上滞在することはできません」と書いています。滞在が延びるとしても、地区の定める派遣期間の範囲内です。実際の滞在日数は派遣先の学年暦で決まるため、帰国日を前提に日本側の予定(受験の出願や新学期)を組むときは、確定した日程を地区に確認してください。
派遣先が英語圏に限らないことも、意外に知られていません。第2750地区は「英語圏以外の派遣国の方が多いとお考えください」と書き、過去3年間の実績としてU.S.A.・ハンガリー・フィンランド・ブラジル・フランス・イタリア・ドイツ・タイを挙げています。第2770地区の予定派遣先にも欧州各国・メキシコ・ブラジル・台湾・韓国が並びます。英語力を伸ばすことが第一目的なら、そもそも制度の目的が違います。第2750地区は「ロータリー青少年交換プログラムは、国際理解と平和の推進を目的とした交換派遣プログラムであり、語学留学プログラムではありません」と明言し、第2740地区の手引き書も「語学習得を主とした留学では決してありません」と書いています。英語力を主目的にするなら、高校留学に必要な英語力を踏まえて別の形を検討したほうが、ご家庭の満足度は高くなります。
4Dルールと「留学の停止」——どんなときに留学が止まるのか
POINT
交換学生には世界共通の禁止事項があり、違反すれば早期帰国になります。さらに病気・強いホームシック・登校拒否でも中止の判断がありえます。決定に学生は従わなければならないと書かれています。
ロータリー発行の手引きは、国際ロータリーが定める参加規定として「交換先の法律や慣習に従うこと」「受入地区とクラブの規則に従うこと」「門限や家事手伝いなど、ホストファミリーの決まりを守ること」「いかなる種類の車両も運転しないこと」の4点を挙げ、「決められた規則に従わなかった場合、またはどうしても解決できない問題が生じた際は、学生にとっての最善の措置として、受入地区が学生の早期帰国を決定する場合があります」と書いています。
よく「4Dルール」と呼ばれる禁止事項は、地区の手引き書に逐語で載っています。第2740地区の手引き書は「全ての交換学生には、世界共通のロータリーの国際ルール(4D[フォーディー]ルール)として、次のことが禁止されています」として、下の4つを挙げています。
4Dルール(第2740地区 2025-2026年度 手引き書の逐語)
| 禁止事項 | 原文の表現 |
|---|---|
| No Driving | 自動車、オートバイ、船舶、飛行機等の運転及び、グライダー等危険なスポーツの禁止 |
| No Drinking | アルコール飲料及び喫煙の禁止 |
| No Dating | シングルデートの禁止 |
| No Drug | 麻薬、覚醒剤の禁止 |
止まる理由は規則違反だけではありません。第2740地区の手引き書は「留学の停止」の項で、「留学途中であっても、ルールや法律に違反した場合は強制的に早期帰国勧告を致します。また、重大な病気や怪我・ノイローゼ・強度なホームシック・登校拒否等の理由で、留学を中止する場合があります。その最終決定は、派遣元委員会と当地区委員会が十分に協議した結果決定されます。学生は決定に従わなければなりません。」と書いています。第2750地区のよくある質問も「派遣先でトラブルを起こした場合は強制帰国となり、その場合はこのプログラムから離脱することになります」としています。
この拘束は、むしろ安心材料でもあります。保護者として怖いのは「現地で何かあったときに誰も動かない」状況です。ロータリーの制度は、問題が起きたら受け入れ地区が判断し帰国させる仕組みを先に決めています。ただし「我が子の判断で帰る/残る」は選べません。留学先から帰りたいと言われたときに家庭でどう構えるかは、応募前に親子で話しておく価値があります。
安全体制はどうなっているのか
POINT
カウンセラーの配置、ロータリアン以外の相談先、24時間の連絡体制、深刻な事態の72時間報告まで、仕組みが文書化されています。送客を目的としないメディアとして、ここは正直に評価できる部分です。
ロータリーの手引きは、青少年交換の安全確保の支援体制として次の内容を挙げています。保護者が確認すべきは「誰に、いつ、どうやって連絡できるか」です。
- 「各学生にはロータリアンのカウンセラーが付き、学生と定期的に連絡を取って、学生、クラブ、ホストファミリー、保護者、地域社会との連絡役となります。カウンセラーは、交換中に起こりうる問題に対応できるよう事前に研修を受けています。」
- 「地区は、虐待とハラスメント防止に関して、青少年交換プログラムの関係者に研修を行ない、受入国の法律に従って参加者の犯罪歴や身元照会の手続きを取ります。」
- 「学生には、問題が発生した際に、ロータリアン以外に連絡できる男性1名と女性1名が指定されます。」
- 「地区は、学生が地区の代表者に24時間いつでも連絡できるよう体制を整え、交換中に起こりうる問題や事態の報告に関するガイドラインを設けています。」
- 「性的虐待やハラスメントが発生した場合は、直ちに地区がすべての事態を適切な法執行機関(警察)に通報し、続いて事態解決のためにクラブと地区の指導者へ連絡するよう義務づけられています。いかなる場合も、学生の法的保護者には直ちに連絡が取られます。」
地区側の運用も文書化されています。第2740地区の手引き書は「青少年交換学生が関わるすべての深刻な事態(虐待やハラスメントの申し立て、事故、犯罪、早期帰国、死亡)について、72時間以内にRI青少年交換担当に報告する必要があります(72時間ルール)」と書き、「重大な病気や怪我、虐待やハラスメントの申し立ては直ちに地区委員会に報告してください」「深夜でも構いません」「誰が連絡をしても構いません」と連絡のハードルを下げています(この部分は、同地区が来日学生を受け入れる高校やホストファミリーに向けて示している案内です)。
もう1つ、プログラムを実施できる地区そのものが限定されています。第2750地区のよくある質問は「国際ロータリーが安全性を確認し、参加認定を受けた地区(地域)のみがロータリー青少年交換プログラムを実施することができます」と書いており、RIJYEMの資料欄にも「RIから認定を受けていない地区リスト」が置かれています。送り先が無審査で広がる仕組みではない、ということです。
一方で、保護者の関わり方には制約があります。手引きは「ただし、子供への連絡は必要最小限にとどめてください。交換学生がホームシックの段階をできるだけ早く乗り越えるには、現地の生活に親しみ、慣れることが重要だからです」と書き、訪問についても「学生の受入クラブからの承諾があれば、訪問することもできます。ただし、訪問は留学年度の後半に行うようにしてください」としています。毎日連絡を取りたいご家庭には、ここは事前に飲み込んでおくべき条件です。
家庭側に生じるもう一つの負担——「交換」の受け入れ
POINT
この制度は相互交換が原則です。派遣する側のクラブ・高校・家庭に、来日学生を受け入れる役割が回ってきます。要項に書かれているこの構造を見落とすと、合格後に戸惑います。
第2780地区の要項は、注意事項に「交換プログラムですので、要請があった場合は、来日学生の受け入れ(ホストファミリー)をしていただけると幸いです。生徒を派遣した高校には、受入れもご検討頂ければと存じます。」と書いています。第2770地区は応募資格そのものに「在学高校の校長推薦が得られる者(来日学生受入協議ができること)」を掲げています。つまり在籍校の推薦は「行ってよい」の許可であると同時に、受け入れの相談窓口になるという意味を含みます。
受け入れ側に何が求められるかも文書になっています。第2740地区の手引き書は、来日学生を受け入れる高校へのお願いとして「入学金及び授業料は、免除くださいますようお願いいたします。又、通学バスなどある場合は減免措置を検討ください」と書いています。第2800地区の2023〜2024年度の要項も、応募資格の欄で「このプログラムは交換が原則ですので、留学生を派遣する高等学校は、海外からの留学生を受け入れていただく事と、入学金や授業料を免除していただく事をお願いしています」と明記しています(年度の古い要項ですが、構造の説明として引用します)。
そして、ホストファミリー探しは実際に重い仕事です。第2740地区の手引き書は、制度の見直しの背景としてこう書いています。「これまでロータリーでは、留学生保護者が主体となって友達や学校に呼びかけ募っていました。留学生の家族含め4組のホストファミリーを準備し、3〜4ヶ月毎に交代してお世話をしてきました。この仕組みでは自ずと同級生(通学している高校1年生)が主となり非常に集まりにくく、ホストファミリーを集める事が出来ずに留学を断念する学生もいたのです。」同地区は2024年からプレ・ホストファミリー制度を新設し、募る範囲を近隣の中学や大学へ広げています。
確認ポイント。受け入れの負担がどこまで家庭に及ぶかは地区とクラブの運用で変わります。第2740地区のように委員会が中心に担う地区もあります。お住まいの地区に「来日学生の受け入れで、家庭と在籍校に何をお願いすることになりますか」と文章で確認してください。本記事は4地区の要項と1地区の手引き書を確認した範囲で書いており、全国の運用を一般化していません。
他の交換留学団体と何が違うか——向いている家庭・向かない家庭
POINT
参加費を払って運営団体のサポートを買う型と、ボランティアの奉仕活動に参加する型という違いです。費用の軽さと、拘束や不確実性は裏表になっています。
高校の交換留学には複数の型があります。ロータリーの位置づけを他と比べると、下の表のようになります。費用の構造が違うだけでなく、「何を買っているのか」が違います。
ロータリー青少年交換と、参加費型の交換留学の違い
| 観点 | ロータリー青少年交換 | 参加費型の派遣団体 |
|---|---|---|
| 費用の構造 | 宿泊・食事・学費はロータリー側の負担。家庭は航空券・保険・ビザ・衣料などの実費 | 参加費を支払い、その中にプログラム費・手配費・サポートが含まれる |
| 運営 | ロータリークラブ会員のボランティア。地区が独立して運営 | 公益法人・企業などの事業として全国一律の要項で運営 |
| 募集要項 | 地区ごとに別物。年齢・学年・費用・締切・選考が違う | 全国一律で公表されることが多い |
| 応募の入口 | 最寄りのロータリークラブの推薦が必須 | 団体へ直接応募 |
| 派遣先 | 委員会が決定。本人の希望は考慮されない地区もある | 団体により希望の出し方が異なる(第1志望制など) |
| 帰国後の役割 | ROTEXとして後輩の支援に協力することが要項に入る(第2750地区は「少なくとも3年間」) | 同窓会活動は任意のことが多い |
個々の団体の実像は交換留学の派遣団体の比べ方、AFSの交換留学の評判、YFUの交換留学の評判で、公表された要項と実額をもとに整理しています。なお「交換留学」と「認定留学」は制度が別物です。言葉の違いは交換留学と認定留学の違いをご覧ください。
向いている家庭・向かない家庭
- 向いている:費用を抑えたいが、国や時期の選択肢は譲れる。お子さん本人が「海外で日本を紹介する役」に関心を持っている。地区の行事やオリエンテーションに保護者も同伴できる。帰国後に留年する可能性を家庭として受け入れられる。
- 向いている:学年のやり直しを前提に、高校生活を1年延ばしても納得できる進路設計がある(たとえば海外大学進学を視野に入れていて、現地校での1年を出願の土台にしたい場合)。
- 向かない:英語力の伸びを第一目的にしている。派遣先が英語圏でない可能性を受け入れられない。
- 向かない:部活を優先したい。第2750地区は「クラブ活動などと重なった場合でも当プログラムを優先できる者(誓約書を提出して頂きます)」を応募資格に掲げ、よくある質問でも「体調不良や学校の公式行事等の理由を除き、基本的に欠席することはできません。部活等と重なった場合は研修や式典を優先していただきます」としています(学校の公式行事は例外として扱う地区があります)。
- 向かない:現役で大学受験に向かうスケジュールを崩せない。学年が1つ下がる前提で志望校の入試日程が成立しないなら、ここで止まったほうが安全です。
応募の段取り——地区の特定から選考まで
POINT
順番を間違えると、要項を取り寄せる前に締切が来ます。やることは「地区を特定する」「クラブに連絡する」「在籍校と話す」の3つを並行で始めることです。
ロータリーの手引きは「申請の時期や方法は地区によって異なりますが、学生は、できるだけ早い時期に申請を行うことをお勧めします」と書き、RIJYEM掲載ページも「交換留学の機会があるかどうか、どのように申請できるかは、地元のロータリークラブに直接ご連絡ください」としています。実務の順番は次のとおりです。
- 1お住まいの地区を特定する。地区は都道府県と一致しません。第2780地区は「横浜市・川崎市を除く神奈川全域」、第2740地区は「長崎県(全域)・佐賀県(鳥栖市除く)」、第2770地区は埼玉県の一部を路線名で区切っています。「青少年交換 + お住まいの都道府県名」で検索し、地区のサイトで対象地域の記載を確認してください。
- 2その地区の最新募集要項を取り寄せる。地区のサイトに掲載されている場合はダウンロードし、ない場合は地区のガバナー事務所か青少年交換委員会にメールで依頼します。確認するのは、年齢・学年の条件、締切、選考日、自己負担の費目と額、派遣先、提出物です。
- 3最寄りのロータリークラブに連絡する。第2750地区のよくある質問は「ロータリークラブに知人がおらず」という問いに対し「ご自宅や通学先から近いロータリークラブに推薦依頼の申し込みをしてください」と答えています。クラブが分からない場合は地区事務所に照会すると紹介してもらえます(第2780地区は「折り返し担当者よりロータリークラブをご紹介いたします」と明記)。
- 4在籍校の担任・進路担当と話す。校長推薦は、本記事が確認した4地区すべてで必須です。あわせて、第93条の留学許可として扱うのか休学になるのか、帰国後の学年、必履修科目の扱いを確認します。来日学生の受け入れについて相談があり得ることも伝えておきます。
- 5クラブの推薦と面接を受ける。第2780地区は「提出後クラブからの推薦を受けるために保護者とともに面接を受けてください」、第2750地区は「スポンサークラブにて面接・資格審査を行う」としています。この段階から保護者が同席します。
- 6地区の選考試験を受ける。筆記(英語・一般教養・作文)と面接が中心で、保護者面接がある地区もあります。第2770地区は作文を原稿用紙に手書きで提出させ、AIでの作成を禁止し「AI使用による作文を発覚した場合は、直ちに合格を取り消します」と明記しています。
- 7合格後の義務を確認する。オリエンテーションやキャンプへの出席は義務です。第2800地区の要項は「オリエンテーション欠席者は、派遣が取り消されます」と書いています。健康診断書、保護者の事前承認文書(輸血や緊急手術等)などの提出も合格後に発生します。
倍率は公表されていません。本記事が確認した4地区は、いずれも応募者数・合格者数を公表していません。第2690地区は「選考試験の内容、結果等についてのお問い合わせには、お答えできませんので、ご了承ください」と明記しています。ネット上には「都市部は倍率が高い」「コネが必要」といった説明がありますが、数字の出典はありません。参考になるのは募集人数で、第2690地区は3名程度、第2770地区は10名以下、第2780地区は最大10名です。なお「コネ」について、ロータリーの手引きは「申請者は、参加を申請する前に、ロータリーと関係している必要はありません。ロータリアンの子供も参加することができますが、優先して選ばれることはありません。」と書いています。なお第2780地区の要項は「この青少年交換プログラムはロータリアンの家族も応募できる唯一のプログラムです」、第2800地区の2023〜2024年度の要項は「ロータリアンの子弟も参加できます」としており、いずれも会員の家族を排除していません。公表されている記述はここまでで、有利・不利を断定できる材料はありません。
まとめ:ご家庭で確認する順番
POINT
費用の安さから入らず、「1年をどう使うか」から入ってください。確認の順番は、地区の要項→在籍校→帰国後の学年と進路→受け入れの負担、です。
ロータリー交換留学は、費用の面では他に代えがたい制度です。宿泊・食事・学費が受け入れ側の負担で、家庭が払うのは実費が中心です。一方で、派遣先は選べず、辞退も延長も早期帰国も原則できず、帰国後の単位は「ごく稀」としか書かれていません。この制度の本質は「安い留学」ではなく「1年を進路から外して親善大使を務める奉仕活動」です。そこに納得できるご家庭にとっては、他にない選択肢になります。
判断の材料は、ネット上のまとめではなく、お住まいの地区の最新募集要項と在籍校の回答です。本記事の4地区の数字は、何をどこまで確認すべきかの地図として使ってください。費用の総額をご家庭の条件で試算したい場合は、留学費用シミュレーターでおおよその規模をつかんでから、地区の要項の実額で置き換えると見通しが立ちます。
応募を決める前に確認したこと
4つとも「はい」になってから、クラブへの連絡に進むと迷いが減ります。
チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。
Q.ロータリー交換留学の費用は、結局いくらかかりますか。
地区によって違います。本記事が確認した4地区では、第2750地区が「2年間で、概ね、60万円〜80万円程度」、第2770地区が「帰国までの費用総額80万〜120万円(派遣国により異なる)」で、うち「研修費用等の実費分として30万円」を合格後に振り込む形、第2690地区と第2780地区は費目別の概算(航空運賃約35〜45万円、保険約10〜12万円など)です。ロータリー側が宿泊と食事代、学費、毎月の小遣いを負担するため、留学会社の参加費と比べると家庭の負担は大きく下がりますが、無料ではありません。航空券が実費の地区では派遣先が決まるまで総額が確定しません。必ずお住まいの地区の最新募集要項でご確認ください。
Q.応募はどこにすればよいのでしょうか。全国の窓口はありますか。
全国一律の窓口はありません。ロータリー青少年交換の公式な案内も「交換留学の機会があるかどうか、どのように申請できるかは、地元のロータリークラブに直接ご連絡ください」としています。まずお住まいの地区(都道府県と一致しません)を特定し、その地区の募集要項を取り寄せ、最寄りのロータリークラブに推薦の依頼をします。クラブが分からない場合は地区のガバナー事務所に照会すると紹介してもらえる地区があります。
Q.帰国したら留年するのでしょうか。単位は認定されますか。
認定されない前提で考えてください。ロータリー発行の『交換学生の手引き』は「海外で受講した科目が帰国後に単位として認められるケースはごく稀であり、ロータリー地区はいかなる保証もできない」と明記しています。第2750地区は「この青少年交換は留学ではありませんので単位の取得はできません」「帰国後日本の高校で留年か進級となるかは学校とご自身でよく相談して下さい」、第2740地区の手引き書は、オーストラリア派遣の日程を説明する段落で「留年を基本とし」と書いています。一方、日本側の制度では学校教育法施行規則第93条第2項が36単位を超えない範囲で認定「することができる」と定めており、認定するかどうかは在籍校の校長の裁量です。応募前に在籍校へ確認するのが唯一の確実な方法です。
Q.行きたい国を選べますか。合格した後に辞退できますか。
選べません。第2750地区は「派遣される国について、本人の希望は考慮されません。それを承諾できる方のみご応募ください」「自分が行きたくない国だからといって辞退することはできません」と明記しています。第2780地区も「派遣国の希望は出せますが、最終的な決定はロータリーがします」としています。また派遣先は英語圏に限りません。第2750地区は「英語圏以外の派遣国の方が多いとお考えください」と書いています。
Q.選考はどのようなもので、倍率はどのくらいですか。
書類・作文・筆記(英語)・面接が基本で、地区によって中身が違います。第2770地区は一次が英検3級程度の英語筆記とグループディスカッション、二次が保護者同伴の日本語面接と本人のみの英会話面接です。第2750地区は一次で一般教養・国際社会・ロータリーの知識・英語・学生面接、二次で学生面談と保護者面接を行います。倍率はどの地区も公表していません。第2690地区は「選考試験の内容、結果等についてのお問い合わせには、お答えできません」と明記しています。要項に書かれた募集人数は「3名程度」(第2690地区)、「10名以下」(第2770地区)、「最大10名」(第2780地区)です。
Q.ロータリーの会員に知り合いがいないと受からないと聞きました。本当ですか。
ロータリー発行の『交換学生の手引き』は「申請者は、参加を申請する前に、ロータリーと関係している必要はありません。ロータリアンの子供も参加することができますが、優先して選ばれることはありません」と書いています。第2750地区も、知人がいない場合は「ご自宅や通学先から近いロータリークラブに推薦依頼の申し込みをしてください」と案内しています。なお第2780地区の要項は「この青少年交換プログラムはロータリアンの家族も応募できる唯一のプログラムです」としており、会員の家族を排除する制度ではありません。公表されている記述はここまでで、有利・不利を数字で示した資料はありません。
Q.親として、留学中にどこまで関われますか。
連絡は控えるよう求められます。ロータリーの手引きは「子供への連絡は必要最小限にとどめてください」とし、訪問についても「学生の受入クラブからの承諾があれば、訪問することもできます。ただし、訪問は留学年度の後半に行うようにしてください」と書いています。一方で安全の仕組みは文書化されており、学生にはロータリアンのカウンセラーが付き、ロータリアン以外に連絡できる男性1名と女性1名が指定され、地区は24時間の連絡体制を整えること、虐待やハラスメントが発生した場合は直ちに警察に通報し保護者に連絡することが定められています。出発前の段階では、オリエンテーションに保護者が同伴する地区が複数あります。
Q.交換留学なので、我が家でも留学生を受け入れることになりますか。
地区の運用によりますが、受け入れの要請はあり得ます。第2780地区の要項は「交換プログラムですので、要請があった場合は、来日学生の受け入れ(ホストファミリー)をしていただけると幸いです。生徒を派遣した高校には、受入れもご検討頂ければと存じます」と書いています。第2770地区は応募資格に「来日学生受入協議ができること」を含めています。第2740地区の手引き書は、かつて「留学生保護者が主体となって友達や学校に呼びかけ」ホストファミリー4組を集めていたため「ホストファミリーを集める事が出来ずに留学を断念する学生もいた」と記し、2024年から募集範囲を広げる制度を新設したと説明しています。応募前に、お住まいの地区に受け入れの実務をどこまで家庭が担うのか確認してください。







