このページの要点
カナダの大学の学費は州で2.6倍違い、4年間の総額が1,300万円以上変わります。
- カナダ統計局の2025/26年調査では、留学生の学部授業料は全国平均で年41,746カナダドル(約468万円)。最も高いオンタリオ州の49,802カナダドルと、最も安いニューファンドランド・ラブラドール州の18,867カナダドルで2.6倍の差がある
- 学費のほかに、IRCC(カナダ移民・難民・市民権省)が1年の生活費として示す額を資金証明で用意する。2026年9月1日以降の申請は1人23,448カナダドル(約263万円)で、学費と渡航費はこの額に含まれない
- 学費を抑えるカレッジ編入ルートには出口の落とし穴がある。卒業後就労許可(PGWP)は生涯1回で、学士号なら専攻分野の制限がかからないが、カレッジの資格で先に取ると学士号を取ったあとに申請できない
カナダの大学進学で最初に効く変数は、大学の知名度ではなく「どの州か」です。留学生の授業料は州が大きく左右し、カナダ統計局の公表額では年211万円台から558万円台まで開きます。そこにIRCCが資金証明として求める生活費の額(2026年9月1日以降は1人23,448カナダドル)が毎年乗ります。入学は日本のような一斉入試ではなく高校の成績と英語スコアの審査ですが、「高校を卒業していれば1年次に入れる」という保証はありません。この記事では、州別の公式授業料、4年の総額、3つの進学ルートと出口の違い、入学条件、出願日程の実日付、学生ビザの必要書類を、カナダ統計局・IRCC・大学公式の原典で順に確定します。
結論早見表:3つのルートと1年の目安
POINT
カナダの大学へ進む道は、日本の高校から直接入学するか、カレッジを経由して編入するか、大学付属の英語・準備課程を挟むかの3つです。学費の安さだけで選ぶと、卒業後の就労許可の条件が変わります。
まず全体像を1枚で押さえます。下の表の「1年の目安」は、カナダ統計局が公表する留学生の学部授業料(2025/26年)と、IRCCが資金証明として示す生活費の額(2026年9月1日以降の申請は1人23,448カナダドル)を足したものです。為替はカナダ銀行が公表した2026年10月30日の対円レート112.7396円をもとに、1カナダドル=112円で概算しています。
カナダの大学へ進む3つのルート(2026年10月時点の制度で整理)
| ルート | 入口の条件 | 大学の学位までの年数 | 1年の目安(州によって変動) | 出口(PGWP)の扱い |
|---|---|---|---|---|
| ①日本の高校から直接入学 | 高校の成績+英語スコア(IELTS 6.5など)を満たす | 4年(学位課程のみ) | 州の平均授業料+生活費で年約474〜820万円 | 学士号卒業なら専攻分野の制限なし。語学要件はCLB 7 |
| ②カレッジから大学へ編入 | 大学より低い英語要件で入れる場合がある | カレッジ2年+大学2年前後(移行できる単位による) | 一般にカレッジ期間のほうが低いとされるが公的な平均値がなく、額は各カレッジの公表料金表で確認 | 学士号まで進めば制限なし。カレッジの資格で先にPGWPを取ると使い切る |
| ③大学付属の英語・準備課程(パスウェイ) | 英語スコアが足りない段階でも出願できる場合がある | 準備課程0.5〜1年+学位課程4年 | 準備課程の期間分だけ総額が増える | 準備課程は学位ではない。PGWPの対象になる課程かはIRCCの規定(8か月以上などの条件)で確認が必要 |
授業料は毎年改定され、IRCCの資金証明額も毎年見直されます。カナダ統計局の州別平均は「州内の大学の平均」で、志望校の実額とは一致しません。進学先が決まったら、必ず志望校が公表する留学生向けの料金表と、IRCCの最新ページで額を置き換えてください。
学費は州で2.6倍違う:カナダ統計局の州別公表額
POINT
留学生の学部授業料は全国平均で年41,746カナダドル。ただし州別に見るとオンタリオ州49,802カナダドルとニューファンドランド・ラブラドール州18,867カナダドルで2.6倍の差があります。国単位の平均で予算を立てると大きく外れます。
カナダ統計局(Statistics Canada)は毎年、全国の大学を対象にした Tuition and Living Accommodation Costs Survey(調査番号3123)で授業料を公表しています。2025年9月10日公表の2025/26年分では、留学生の学部授業料は全国平均で年41,746カナダドル、前年比2.5%の上昇です。カナダ人学部生の平均は7,734カナダドル(前年比1.4%)で、統計局は留学生が「カナダ人学生の5.0倍を超える授業料を払うと見込まれる」とし、10年前の3.6倍から差が広がったと説明しています。
州別の学部授業料(2025/26年・カナダドル/出典:カナダ統計局 Tuition and Living Accommodation Costs Survey 3123、2025年9月10日公表。倍率は公表額から当サイトで算出)
| 州 | 留学生(年額) | 円換算の目安 | カナダ人学生(年額) | 留学生/カナダ人 |
|---|---|---|---|---|
| ニューファンドランド・ラブラドール | 18,867 | 約211万円 | 3,746 | 5.0倍 |
| ニューブランズウィック | 19,278 | 約216万円 | 9,938 | 1.9倍 |
| プリンスエドワードアイランド | 21,157 | 約237万円 | 8,191 | 2.6倍 |
| マニトバ | 21,424 | 約240万円 | 5,993 | 3.6倍 |
| ノバスコシア | 29,893 | 約335万円 | 9,988 | 3.0倍 |
| サスカチュワン | 33,064 | 約370万円 | 9,863 | 3.4倍 |
| アルバータ | 34,880 | 約391万円 | 8,067 | 4.3倍 |
| ケベック | 36,279 | 約406万円 | 3,963 | 9.2倍 |
| ブリティッシュコロンビア | 39,851 | 約446万円 | 6,862 | 5.8倍 |
| オンタリオ | 49,802 | 約558万円 | 8,958 | 5.6倍 |
| 全国平均 | 41,746 | 約468万円 | 7,734 | 5.4倍 |
表の読み方で押さえたいのは2点です。第一に、同じ国のなかで授業料が2.6倍違うこと。オンタリオ州とニューファンドランド・ラブラドール州の差は年30,935カナダドル(約346万円)で、授業料だけで4年なら約1,386万円です。第二に、留学生とカナダ人の倍率も州ごとに別物であること。ニューブランズウィック州は1.9倍ですが、ケベック州は9.2倍です。ケベック州はカナダ人学生の授業料を政策的に低く抑えているため倍率が大きく出ますが、留学生の実額は36,279カナダドルで全国平均より低いことに注意してください。倍率は「割高感」の指標で、家計の負担額そのものではありません。
有名大学が集まるオンタリオ州とブリティッシュコロンビア州は、留学生の授業料も上位2州です。志望校のブランドを優先するなら、授業料が高い州を選ぶことになるという構造をあらかじめ家庭で共有しておくと、後から「思っていた額と違う」という衝突が起きません。国をまたいだ比較は海外大学の学費を総額で比べると費用が安い国の検証もあわせて確認してください。
ユーコン準州はカナダ人学生4,470カナダドルの公表がある一方、留学生の額は「データなし」です。ノースウエスト準州とヌナブト準州は表に含まれていません。州・準州の全13地域が同じ精度で比較できるわけではないため、この表は10州の範囲で読んでください。
4年の総額は「学費+IRCCが示す生活費」で積む
POINT
生活費を自分で見積もると根拠が弱くなります。IRCCが資金証明として示している額をそのまま1年の生活費の下限として使うと、公的な根拠のある総額になります。2026年9月1日以降の申請は1人23,448カナダドルです。
カナダの学生ビザ(study permit)では、「1年分の学費」「1年分の生活費」「往復の渡航費」を払えることを示す資金証明が必要です。このうち生活費の額はIRCCが公表しています(ページの最終更新は2026年8月28日)。ケベック州以外へ留学する1人の申請者の場合、2025年1月1日〜2026年8月31日の申請は22,895カナダドル、2026年9月1日以降の申請は23,448カナダドルです。IRCCは「これらの額に学費と交通費は含まれません」と明記しています。つまりこの額は家計が負担する生活費の下限として、政府自身が示している数字です。なお、この額の内訳(寮費やホームステイ費をどこまで含むか)はIRCCが公表していません。志望校が公表する寮費・滞在費と並べてみて、この額で足りるかを家庭で確かめてください。
学費+IRCCの生活費額で積んだ目安(留学生の州平均授業料+23,448カナダドル/1カナダドル=112円)
| 州 | 1年(カナダドル) | 1年の円換算 | 4年(カナダドル) | 4年の円換算 |
|---|---|---|---|---|
| ニューファンドランド・ラブラドール | 42,315 | 約474万円 | 169,260 | 約1,896万円 |
| ニューブランズウィック | 42,726 | 約479万円 | 170,904 | 約1,914万円 |
| プリンスエドワードアイランド | 44,605 | 約500万円 | 178,420 | 約1,998万円 |
| マニトバ | 44,872 | 約503万円 | 179,488 | 約2,010万円 |
| ノバスコシア | 53,341 | 約597万円 | 213,364 | 約2,390万円 |
| サスカチュワン | 56,512 | 約633万円 | 226,048 | 約2,532万円 |
| アルバータ | 58,328 | 約653万円 | 233,312 | 約2,613万円 |
| ケベック | 59,727 | 約669万円 | 238,908 | 約2,676万円 |
| ブリティッシュコロンビア | 63,299 | 約709万円 | 253,196 | 約2,836万円 |
| オンタリオ | 73,250 | 約820万円 | 293,000 | 約3,282万円 |
| 全国平均 | 65,194 | 約730万円 | 260,776 | 約2,921万円 |
この4年の額は下限の目安です。理由は3つあります。1つ目は、授業料と生活費の基準額がどちらも毎年上がっていること(2025/26年の留学生授業料は前年比2.5%、生活費の基準額は1人あたり22,895から23,448カナダドルへ553カナダドル=約6万円上がりました)。2つ目は、この表に渡航費と学費以外の学校諸費が入っていないこと。往復の航空券、教材費、学生組合費や医療保険などの必須納付金は志望校の公表額で足す必要があります。3つ目は為替です。オンタリオ州の4年分293,000カナダドルで言えば、1円の円安で約29万円動きます。
逆に言えば、州の選択は4年で1,000万円以上動く意思決定です。ニューファンドランド・ラブラドール州の約1,896万円とオンタリオ州の約3,282万円の差は約1,386万円で、生活費を同額で積んでいるため授業料だけの差と一致します。この額は「もう1人分の学費」に近い規模です。志望校を絞る前に、同じ学問分野を扱う大学が授業料の安い州にないかを必ず確認してください。費用の全体像をシミュレータで試算したい場合は、下のツールが使えます。
3つの進学ルートと、カレッジ編入で変わる「出口」
POINT
カレッジ編入は学費を抑える定番ルートですが、卒業後の就労許可(PGWP)は生涯1回しか取れません。カレッジの資格で先に取ると、そのあと学士号を取っても申請できません。入口の安さではなく出口の条件で比べてください。
カナダの大学進学で保護者が最も情報を得にくいのは、「卒業後にカナダで働けるのか」という出口の条件です。IRCCの卒業後就労許可(Post-Graduation Work Permit、以下PGWP)のページ(最終更新2026年6月24日)を読むと、ルートによって条件が明確に違います。
専攻分野の制限は、学位かどうかで変わる
IRCCは「学士号・修士号・博士号の卒業者には専攻分野の要件はありません」と明記しています。一方、カレッジやポリテクニック、大学の学位以外の課程の卒業者は、2024年11月1日以降にstudy permitを申請した場合、対象となる専攻分野で卒業していることが条件になります。2024年11月1日より前に申請していればこの要件はかかりません。つまり同じ「カナダで学んで働く」でも、学士号まで進めば分野を問われず、カレッジの資格で止まると分野リストに縛られます。
PGWPは生涯1回。取る順番を間違えると使い切る
さらに重要なのが期間と回数です。IRCCは課程の長さが8か月以上2年未満なら「課程と同じ長さまで」、2年以上なら「3年間有効なPGWPを出す場合がある」としており、3年が上限です。そして「以前の課程を修了してすでにPGWPを持っていた場合、PGWPは取得できません」とも明記しています。2年制のカレッジを修了すれば3年のPGWPを取れる可能性はありますが、それを使ってしまうと、その後に大学へ編入して学士号を取っても新たなPGWPは申請できません。「カレッジ修了後にPGWPで働いて学費を貯めてから大学へ」という計画は、この一文を読まずに立てると破綻します。
PGWPの専攻分野要件と語学要件(出典:IRCC「Post-graduation work permit: Who can apply」最終更新2026年6月24日)
| 修了した課程 | 専攻分野の要件 | 語学要件(4技能すべて) |
|---|---|---|
| 学士号・修士号・博士号 | なし | CLB/NCLC 7 |
| 大学の学位以外の課程 | 2024年11月1日以降のstudy permit申請なら対象分野が必要 | CLB/NCLC 7 |
| カレッジ・ポリテクニック・非大学の課程 | 2024年11月1日以降のstudy permit申請なら対象分野が必要 | CLB/NCLC 5 |
PGWPの期間・回数・申請料(出典:IRCC「About the PGWP」最終更新2026年3月9日)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課程が8か月以上2年未満 | 課程と同じ長さまでの許可が出る場合がある |
| 課程が2年以上 | 3年間有効な許可が出る場合がある(上限3年)。カレッジの2年制課程もこの区分に入る |
| 修士号の特例 | 2024年2月15日以降、課程が2年未満でも3年の申請ができる(8か月以上などの条件あり) |
| 回数 | 生涯1回のみ。以前の課程を修了してすでにPGWPを持っていた場合は取得できない |
| 申請料 | 255カナダドル |
期間を決めるのは課程の長さで、学士号かカレッジの資格かでは変わりません(修士号にだけ上の特例があります)。2年制のカレッジ課程も「2年以上」に当たるため、3年の許可が出る可能性があります。つまりカレッジ修了段階でも長い就労許可は取れてしまうので、「短い許可しか出ないから使っても大丈夫」という判断はできません。効いてくるのは生涯1回という制約のほうです。
単位の移行は「入学できたあと」の話
カレッジ編入ルートの仕組みそのものは、州の公的な制度として整備されています。ブリティッシュコロンビア州では BC Transfer Guide が「BC Transfer System の加盟機関のあいだで編入協定が結ばれている科目と課程を掲載する」もので、公式サイトには43の高等教育機関が並びます。移行の判定は科目の中身の一致で決まり(「Transfer is based on course equivalency」)、証明書・ディプロマ・准学士(associate degree)といったまとまりごと認定される仕組みを block transfer と呼びます。
ただし同じガイドは「入学できなければ編入もできません(You can't transfer if you are not admitted!)」と注意しています。単位が移行できることと、編入先の学部に合格することは別です。「カレッジに入れば大学に行ける」ではなく「カレッジで成績を取り、編入先の入学審査を通って初めて単位が生きる」という順番を、出願前に本人と確認しておいてください。アメリカのコミュニティカレッジ編入でも同じ論点があり、編入が保証されるかを条件と単位の上限から検証した記事で詳しく扱っています。
PGWPは「卒業後」の就労許可で、在学中のアルバイトはstudy permit側の別のルールで決まります。就労できる条件と1週間の上限時間は改定が続いており、本記事では原典を取得していないため時間数を示していません。在学中に本人が学費の一部を補えるかを資金計画に織り込む場合は、IRCCのstudy permitのページで最新の就労条件を必ず確認してください。
カレッジの授業料額はこの記事では示していません。カナダ統計局の調査(3123)は大学の学位課程を対象としておりカレッジを含まないため、公的な平均値が存在しません。「カレッジは年約85万円」のような数字を根拠なく引き写さず、志望するカレッジが公表する留学生向け料金表で確認してください。編入協定の有無も、カレッジ側ではなく編入先の大学の公表情報で確かめるのが確実です。
入学条件:高校卒業は「必ずしも十分ではない」
POINT
カナダの大学には日本のような一斉入試がなく、高校の成績と英語スコアで審査されます。ただし大学規程を読むと、高校の卒業そのものが1年次入学の資格を保証するとは書かれていません。
日本語の記事では「カナダの大学には入試がないので、高校の成績と英語スコアを出すだけで出願できる」と説明されることが多く、必要な書類という意味ではその通りです。しかし大学側の規程はもう少し慎重です。ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の Calendar は、カナダ以外のカリキュラムで学んだ出願者について「12年の初等・中等教育で構成される教育制度、またはそれと同等の制度のなかで、承認された大学進学準備課程を修了していること」を求め、続けてこう書いています。
「世界の教育制度には違いがあるため、中等教育を滞りなく修了したことが、必ずしも1年次入学の受入根拠になるわけではありません。本大学は、学生が入学資格を有するかどうかを判断する権利を保持します。」
この一文の意味は、保護者にとって実務的です。第一に、合否の基準が公表された数値だけで決まらないこと。日本語の記事が挙げる「GPA2.0以上」「GPA2.5〜3.0が目安」といった数字は記事間で食い違っており、大学の規程に書かれた一律の基準ではありません。第二に、学部ごとに必要な履修科目があること。理系の学部は数学・理科の特定科目の履修を求めるのが一般的で、高校2年の科目選択の時点で出願できる学部が決まってしまう場合があります。
したがって、やるべきことは「評定をいくつ取るか」より先に、志望校・志望学部の公式ページで必要科目と出願書類を特定することです。学部が決まっていない段階でも、理系の可能性を残すなら数学と理科を切らない、という判断はできます。出願書類の種類と国ごとの違いは海外大学の出願方法を整理した記事にまとめています。
UBCの「日本」専用の要件ページは今回取得できなかったため、日本の高校に対する必須科目や最低平均点はこの記事では示していません。志望校ごとに国別の要件ページを持っている大学もあるので、「大学名+国名+admission requirements」で公式ページを探し、そこに書かれた要件を正として扱ってください。
英語要件:英検は使えるか、カナダの高校3年で免除になるか
POINT
UBCが受け入れる英語試験の一覧に英検は入っていません。また「英語で4年以上」の免除規定があるため、カナダの高校に3年通っても英語試験が免除されないことがあります。
英語要件は、保護者が最も見落としやすく、しかも準備に最も時間がかかる部分です。UBCの English Language Competency のページでは、受け入れる試験と最低点が明示されています。
UBCが受け入れる英語試験と最低点(出典:UBC「English language competency」)
| 試験 | 必要な最低点 |
|---|---|
| IELTS(Academic) | 総合6.5、各セクション6.0以上 |
| TOEFL iBT | 総合90(Reading 22/Listening 22/Writing 21/Speaking 21) |
| Duolingo English Test | 総合125(Reading 115/Listening 115/Writing 120/Speaking 120) |
| PTE Academic | 総合65(Reading 60/Listening 60/Writing 60/Speaking 60) |
| CAEL/CAEL Online | 総合70 |
| Cambridge English(B2 First/C1 Advanced/C2 Proficiency) | 180 |
| UBC CEL(UBC Certificate in English Language) | Level 600 |
この一覧に英検(実用英語技能検定)は含まれていません。日本の家庭は英検を持っていることが多いため、「英検準1級があるから大丈夫」と考えてしまいがちですが、少なくともUBCについてはそのままでは出願要件を満たしません。ほかの大学で英検を受け入れている場合もあり得るため、志望校の受け入れ試験一覧を必ず自分の目で確認してください。日本から受けやすい試験の実務はIELTSとはとTOEFL iBTとはで扱っています。
「英語で4年以上」の免除規定がカナダ高校留学と噛み合わない
UBCは英語試験の免除も9通り認めています。内容は次のとおりです。
- カナダ国内で、英語による正規のフルタイム教育を4年以上連続で修了している
- 英語が主要言語である国(カナダ以外)で、英語による教育を4年以上連続で修了している
- 州の試験で70%以上を取得(Alberta English Language Arts 30-1、BC English 12 など)
- AP English Language & Composition または AP Literature & Composition で4以上
- 英語が主要な教授言語である認定大学の学位課程を卒業している
- 大学1年次の英語6単位相当(編入可能な科目)を修了している
- 英語による対象の国際中等学校に4年以上在籍している
- UBC CEL の Level 600 と Level 650 を修了している
- 承認された英語試験で基準点を満たす(上の表)
注目すべきは最初の2つが「4年以上」である点です。日本の高校から1年間の交換留学、あるいは高校の3年間をカナダで過ごしたという場合でも、4年に届かなければ免除にはなりません。つまり「カナダの高校を卒業したのだから英語試験は不要」とは限らず、現地校の成績に加えて英語試験のスコアを別途用意する必要が出てきます。カナダの高校に進むルートを検討している場合は、カナダ高校留学の完全ガイドを読むときに、卒業後の大学出願で英語スコアが必要かどうかを同時に確認してください。
避けたい
「カナダは入試がないから、高3になってから準備すれば間に合う」と考える
こうすればOK
英語スコアは出願締切より前に必要。UBCの日程では高3の1月15日が出願締切、2月15日が英語基準の書類提出締切なので、逆算すると高2のうちに受験計画を立てる
避けたい
英検の級を英語要件の代わりに使えると考える
こうすればOK
志望校の受け入れ試験一覧を先に確認する。UBCの一覧に英検はないため、IELTSやTOEFL iBTなど受け入れのある試験に切り替える
避けたい
学費が安いカレッジから入り、カレッジ修了後にPGWPで働いて学費を貯めてから大学へ編入する計画を立てる
こうすればOK
PGWPが生涯1回であることを先に確認する。学士号まで進む予定なら、カレッジ修了段階でPGWPを取らない前提で資金計画を立てる(在学中のアルバイトはPGWPとは別のルール)
出願は高3の1月15日締切から逆算する
POINT
カナダの大学の出願は、入学の前年の秋に開き、年明けに締切ります。UBCの公表日程では2027年9月入学の出願締切は2027年1月15日。英語スコアと書類の締切はさらにその後に分かれて設定されています。
日本語の記事では出願時期が「入学の1年〜9か月前」「前年11月〜3月」と幅で書かれていて、家庭が何月に何をすればよいか分かりません。UBCは公式に実日付を公表しているので、それを骨にして逆算します。以下は2027年9月入学(Winter Session 2027/2028)の日程です。
UBCの出願日程(2027年9月入学/出典:UBC「Dates and deadlines」)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年10月初旬 | オンライン出願が開く |
| 2026年11月15日 23:59(太平洋時間) | 留学生がInternational Scholars Programの奨学金に応募する締切。UBCへの出願も同じ日まで |
| 2027年1月15日 23:59(太平洋時間) | 出願締切(本体) |
| 2027年1月31日 | International Scholarsの応募者は、直接入学の英語基準(ELAS)を満たしていること |
| 2027年2月15日 | 英語基準(ELAS)を満たすことを示す書類の提出締切 |
| 2027年3月15日 | カナダ国外の高校からの出願者が必要書類を提出する締切 |
| 2027年5月31日 | アメリカ以外のカナダ国外の大学からの編入出願者が書類を提出する締切 |
この日程から家庭側の段取りが決まります。順に並べると次のようになります。
- 1高2の春〜夏:志望校・志望学部の候補を3〜5校決め、各校の公式ページで必要科目と受け入れ英語試験を書き出す。理系の可能性を残すなら数学・理科を切らない
- 2高2の秋〜高3の春:英語試験を受け始める。1回で基準に届かない前提で、複数回受ける時間を確保する
- 3高3の10月:出願が開く。奨学金に応募するなら締切が11月15日に前倒しになるので、この時点で書類が揃っている状態をつくる
- 4高3の11月15日:奨学金応募+出願(奨学金を狙う場合)
- 5高3の1月15日:出願締切(本体)。この日までに出願そのものを完了させる
- 6高3の1月31日:奨学金(International Scholars)に応募した場合は、この日までに直接入学の英語基準を満たしていること
- 7高3の2月15日:英語基準を満たす書類を提出。スコアがまだ足りない場合はここが実質の最終期限
- 8高3の3月15日:高校の成績証明など必要書類を提出。日本の高校は3月卒業なので、卒業見込証明と最終成績の扱いを学校側に早めに相談する
ここで効くのは、英語スコアの締切が出願締切より後ろにあるという構造です。1月15日までに出願を終えても、2月15日までに英語基準を示せなければ直接入学の道は閉じます。逆に言えば、出願してから1か月は英語スコアを積み増す余地があるということでもあります。日本の大学と併願する場合は日程とお金が二重に走るので、海外大学と日本の大学の併願で衝突の避け方を確認してください。
この日程はUBCが公表しているものです。大学ごとに締切は異なり、同じ大学でも学部や年度で変わります。志望校の「Dates and deadlines」や「Application deadlines」のページで、該当する入学年度の日付に置き換えてください。奨学金は締切が本体の出願より早いことが多いので、最初に確認するのは奨学金の締切です。返済不要の奨学金は海外大学の返済不要奨学金まとめで扱っています。
学生ビザ(study permit):PAL/TALと資金証明
POINT
カナダの学生ビザには、州が発行するPAL/TAL(受入証明書)が原則として必要です。学士課程は免除対象ではありません。PAL/TALを得るには、合格を受諾して授業料の一部または全額を払う必要があります。
合格したあとの手続きが、いま最も情報が古くなりやすい部分です。IRCCの必要書類ページ(最終更新2026年10月6日)が挙げる study permit の書類は次のとおりです。
- 入学許可書(letter of acceptance):常に必要
- 州・準州の受入証明書(PAL/TAL)またはケベック州受入証明書(CAQ):多くの場合に必要
- 身分証明:有効なパスポートまたは旅行証明書と、パスポート写真2枚(常に必要)
- 資金証明:常に必要
- 説明の手紙(letter of explanation):推奨
- 健康診断・無犯罪証明・未成年の子の養育証明・ビザオフィス指定の国別書類:該当する場合
PAL/TALは学士課程では免除されない
PAL/TALはIRCCの説明では「留学を予定する州・準州が、受け入れの枠があることを確認する書状」です。IRCCは「多くの場合、PAL/TALを得るには合格を受諾し、授業料の一部または全額を支払う必要があります」としています。つまり、ビザの前に入学金・授業料の支払いが走る順番になります。資金の準備時期を読み違えないよう、この前後関係は押さえてください。
免除の対象(最終更新2026年9月2日)には、就学前・初等・中等教育(12年生まで)、連邦指定の軍の大学、ケベック州の一部職業課程、授業料を払わない交換留学生、Global Affairs Canadaの奨学生、同じ教育機関で同じ学修レベルを継続して延長する場合などが並びます。2026年1月1日開始分からは公立の指定教育機関(DLI)の修士・博士の学位課程も免除になりました。注意したいのは、この修士・博士の免除が学士課程には及ばないことです。大学の学部に進む場合は、PAL/TALを用意する前提で計画してください。また、カナダの高校(12年生まで)はPAL/TALが不要ですが、そこから大学へ進むときは教育機関も学修レベルも変わるため、新たにPAL/TALが必要になります。
資金証明の額は毎年上がる
資金証明の額(最終更新2026年8月28日)は、ケベック州以外の州・準州で次のとおりです。IRCCは「これらの額に学費と交通費は含まれません」と明記しています。
資金証明に必要な生活費の額(ケベック州以外/出典:IRCC「Proof of financial support」最終更新2026年8月28日)
| 同行する人数 | 2025年1月1日〜2026年8月31日の申請 | 2026年9月1日以降の申請 | 2026年9月以降の円換算 |
|---|---|---|---|
| 1人(本人のみ) | 22,895カナダドル | 23,448カナダドル | 約263万円 |
| 2人 | 28,502カナダドル | 29,192カナダドル | 約327万円 |
| 3人 | 35,040カナダドル | 35,888カナダドル | 約402万円 |
| 4人 | 42,543カナダドル | 43,572カナダドル | 約488万円 |
| 5人 | 48,252カナダドル | 49,419カナダドル | 約553万円 |
| 6人 | 54,420カナダドル | 55,736カナダドル | 約624万円 |
| 7人 | 60,589カナダドル | 62,054カナダドル | 約695万円 |
| 7人を超える場合の追加1人あたり | 6,170カナダドル | 6,318カナダドル | 約71万円 |
証明に使える書類としてIRCCは、学費の支払い証明、学生ローンの承認、奨学金、給与明細、支援者からの手紙、6か月分の銀行取引明細、GIC(Guaranteed Investment Certificate)、カナダの銀行口座、年金や賃料収入などを挙げています。高校生の留学では本人名義の資産がないため、保護者が支援者として関係と収入を示す形が中心になります。6か月分の取引明細を求められる点から、出願の半年前には口座の動きを整えておくという段取りが生まれます。
ケベック州へ留学する場合は、PAL/TALではなくCAQ(Certificat d'acceptation du Québec)が必要で、資金の要件もケベック州の移民・フランス語化・統合省(MIFI)が定める額に従います。この記事ではMIFIの原典を取得していないため、ケベック州の金額は示していません。ケベック州を検討する場合は、必ずMIFIの公式ページで額と手続きを確認してください。study permitの申請料も本記事では取得できていないため記載していません(PGWPの申請料255カナダドルのみ公式に確認しています)。
カナダの大学進学が向いている家庭・向かない家庭
POINT
州を選べる家庭、英語試験に2年かけられる家庭、卒業後の就労まで見通して学士号を目指す家庭には向きます。志望校のブランドを先に固定する家庭や、1年で結果を出したい家庭には噛み合いません。
ここまでの事実から、向き不向きははっきり分かれます。中立に両側を書きます。
カナダの大学進学の向き不向き
| 観点 | 向いている | 向かない |
|---|---|---|
| 学校選びの自由度 | 学問分野で選び、州は費用で選べる | 大学名を先に決めていて、州を動かせない |
| 準備にかけられる年数 | 高2から英語試験に取りかかれる | 高3の夏から始めて翌春に出したい |
| 資金計画 | 4年で約1,900〜3,300万円の幅を前提に置ける | 年300万円前後の見積もりで固めている |
| 卒業後の見通し | 学士号まで進み、PGWPを卒業後に1回使う計画 | カレッジ修了段階でPGWPを使って働きながら進路を決めたい |
| 英語の現在地 | IELTS 6.5/TOEFL iBT 90に届く見込みがある | 英検の級だけで要件を満たしたい |
「向かない」に当てはまっても、進路が閉じるわけではありません。準備年数が足りないならパスウェイで1年足す、費用を抑えたいなら授業料の安い州や他国を比べる、という組み替えができます。他国と並べて考えるならアメリカの大学進学の3ルートとオーストラリア大学進学、国内の選択肢と比べるなら海外大学と国内大学どっちが対応します。全体像から見直す場合は海外大学進学とはに戻ってください。
保護者の確認順序:この5つを上から順に
POINT
調べる順番を間違えると、後から前提が崩れます。州と費用の幅を先に決め、次に英語の到達目標、次に締切、最後にビザ要件という順に固めてください。
- 1州を費用の幅で絞る:カナダ統計局の州別平均で、4年の総額が家計の範囲に入る州を2〜3つに絞る。この段階では大学名を決めない
- 2その州で学問分野が成立する大学を探す:子どもが学びたい分野の学部があるかを大学公式で確認する。成立しなければ州を1つ広げる
- 3英語の到達目標と期限を確定する:志望校の受け入れ試験一覧(英検が入っているかを含む)と最低点を書き出し、英語基準の書類提出締切から逆算して受験計画を立てる
- 4締切を家庭のカレンダーに入れる:出願開始、奨学金の締切、出願締切、英語書類の締切、成績書類の締切を、志望校ごとに日付で入れる
- 5ビザと資金の順番を確認する:合格受諾と授業料の一部支払い→PAL/TAL→study permit申請という順番と、資金証明の額(1人23,448カナダドル+学費+渡航費)を家計の時間軸に落とす
出願の前に確認できたか
下の項目に「はい」と答えられれば、情報の土台はそろっています。
チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。
カナダの大学進学は、入試の難しさよりも「どの州を選び、いつ何を出すか」で結果が変わる進路です。州別の公式授業料、IRCCの資金証明額、PAL/TALの要否、PGWPの回数制限——この4つは公的機関が数字と条文で公表しているので、家庭でも確かめられます。エージェントや予備校の説明を受けるときも、この4点の原典を自分で押さえていれば、話が古いのか現在の制度なのかを判断できます。
この記事の金額は、カナダ銀行が公表した2026年10月30日の対円レート112.7396円をもとに1カナダドル=112円で概算しています。授業料・生活費の基準額・ビザの要件はいずれも改定されます。渡航前には、カナダ統計局、IRCC、志望校の公式ページで最新の数字と条件を必ず確認してください。
Q.カナダの大学には入試がないと聞きました。高校の成績だけで入れますか?
一斉の入学試験はなく、高校の成績と英語スコアなどの書類で審査されます。ただし「高校を卒業していれば1年次に入れる」という保証はありません。UBCのCalendarは、カナダ以外のカリキュラムの出願者について「中等教育を滞りなく修了したことが、必ずしも1年次入学の受入根拠になるわけではない」「大学が入学資格を判断する権利を保持する」と明記しています。志望学部が求める履修科目(理系の数学・理科など)も含めて、志望校の公式ページで要件を確認してください。
Q.英検は使えますか?
UBCが受け入れる英語試験の一覧(IELTS Academic、TOEFL iBT、Duolingo English Test、PTE Academic、CAEL、Cambridge English、UBC CEL)に英検は含まれていません。日本で英検を持っている生徒は多いので要注意です。ほかの大学で受け入れている可能性はあるため、志望校の受け入れ試験一覧を必ず自分で確認してください。UBCの基準はIELTS総合6.5(各6.0以上)、TOEFL iBT総合90(Reading 22/Listening 22/Writing 21/Speaking 21)です。
Q.カナダの高校を卒業していれば、英語試験は免除されますか?
必ずしも免除されません。UBCの免除規定は「カナダ国内で英語による正規のフルタイム教育を4年以上連続して修了」など「4年以上」を条件にしています。高校3年間をカナダで過ごしても4年に届かないため、現地校の成績とは別に英語試験のスコアが必要になる場合があります。カナダの高校に進むルートを検討する段階で、卒業後の大学出願に英語スコアが必要かどうかを志望校の規程で確認しておくと安全です。
Q.カレッジから編入すれば、学費は本当に安くなりますか?
カレッジ期間の授業料は一般に大学より低いとされ、総額を下げる余地はあります。ただし注意点が2つあります。1つは単位の移行で、ブリティッシュコロンビア州のBC Transfer Guideは「入学できなければ編入もできない」と明記しており、編入先の入学審査に通らなければ単位は生きません。もう1つは出口で、卒業後就労許可(PGWP)は生涯1回です。カレッジ修了段階でPGWPを取ると、その後に学士号を取っても新たに申請できません。なお、カレッジの授業料はカナダ統計局の大学調査の対象外なので、各カレッジの公表料金表で確認してください。
Q.州はどこを選べばいいですか?
費用の観点では、カナダ統計局の2025/26年の州別平均で、留学生の学部授業料が安いのはニューファンドランド・ラブラドール州(18,867カナダドル)、ニューブランズウィック州(19,278カナダドル)、プリンスエドワードアイランド州(21,157カナダドル)、マニトバ州(21,424カナダドル)です。高いのはオンタリオ州(49,802カナダドル)とブリティッシュコロンビア州(39,851カナダドル)で、有名大学が多い州と重なります。学びたい分野の学部が成立するかを先に確認し、成立する範囲で授業料の安い州を選ぶ順番が現実的です。
Q.学生ビザ(study permit)はいつ申請しますか。PAL/TALとは何ですか?
PAL/TALは、留学先の州・準州が受け入れの枠を確認する書状で、study permitの必要書類です。IRCCは「多くの場合、PAL/TALを得るには合格を受諾し、授業料の一部または全額を支払う必要がある」としているため、合格受諾と授業料の支払い→PAL/TAL→study permit申請という順番になります。2026年1月1日開始分から公立の指定教育機関の修士・博士課程は免除になりましたが、学士課程は免除対象ではありません。カナダの高校(12年生まで)は不要ですが、大学へ進むときは新たに必要です。
Q.卒業後にカナダで働けますか?
卒業後就労許可(PGWP)の制度があります。IRCCは「学士号・修士号・博士号の卒業者には専攻分野の要件はない」としています。許可の期間は課程の長さで決まり、学士号かカレッジの資格かでは変わりません(8か月以上2年未満は課程と同じ長さまで、2年以上なら最長3年。修士号にだけ別の特例があります)。語学要件は学位課程でCLB/NCLC 7(4技能すべて)、カレッジなどの非学位課程でCLB/NCLC 5です。非学位課程は、2024年11月1日以降にstudy permitを申請した場合、対象となる専攻分野で卒業していることが条件になります。また「以前の課程を修了してすでにPGWPを持っていた場合は取得できない」ため、生涯1回の制度である点に注意してください。申請料は255カナダドルです。なお、これは卒業後の制度で、在学中のアルバイトはstudy permit側の別のルールです。







