このページの要点

ドイツの公立大学は留学生も原則授業料無料ですが、学期納付金と生活費の資金証明は必ずかかります。

  • 無料なのは授業料だけ。学期納付金(Semesterbeitrag)は国籍を問わず全員が払い、2026/27冬学期の実額はケルン大学355.65ユーロ、HTWベルリン375.30ユーロ、LMUミュンヘン97ユーロ(いずれも1学期)
  • ビザ(滞在許可)には1年で11,904ユーロ(約214万円)の資金証明が必要。多くは封鎖口座に入国前に預ける。授業料が無料の州でも、学期納付金を足すと年約227万円が目安になる
  • 無料でない例外がある。バーデン=ヴュルテンベルク州はEU外の学生に1学期1,500ユーロ、ミュンヘン工科大学(TUM)は2027/28冬学期以降の新入生(いまの高3以下の大半)で学士1学期2,300〜3,400ユーロ

「ドイツの大学は学費が無料」と聞いて調べ始めたご家庭は多いと思います。結論からいうと、公立大学の授業料が留学生も含めて原則無料なのは本当です。ただ、無料なのは授業料だけです。学期ごとの納付金はすべての学生が払いますし、ビザのためには1年分の生活費を入国前に用意しなければなりません。そのうえ州や大学によっては日本からの留学生に授業料がかかります。この記事では、在日ドイツ大使館・DAAD(ドイツ学術交流会)・州の省・大学の公式資料をもとに、何が無料で何がかかるのかを、円の年額と卒業までの総額、日本の高校からの入学条件まで含めて整理します。

結論:無料なのは「授業料」だけ。学期納付金と資金証明は全員にかかる

POINT

「ドイツの大学は無料」は授業料についての話です。大学に納めるお金がゼロになるわけではなく、ビザのための資金証明も含めると、授業料が無料の州でも1年に約227万円が必要になります。

DAADは、州立の大学では学士課程と多くの修士課程に原則として授業料はかからない、と説明しています。ドイツの公立大学はおもに州の予算で運営されており、授業料を取らない州が大半だからです。この「原則無料」はドイツ国籍やEU国籍の学生だけでなく、日本からの留学生にも基本的に当てはまります。

ただし、ご家庭の予算にかかわる費用は授業料だけではありません。費目ごとに分けると、無料なのは授業料だけで、それ以外は国籍を問わずかかることが分かります。予算を立てるときは「授業料0円」から始めるのではなく、資金証明の年11,904ユーロから始めるのが確実です。

ドイツの大学の費用 早見表(2026年10月28日時点の公式資料より・1ユーロ=180円で円換算)

費目無料か金額と単位確認先(公式)
授業料(公立大学)原則無料0ユーロ。例外はBW州(EU外に1学期1,500ユーロ)・TUM(EU外の学士で1学期2,300〜3,400ユーロ。2027/28冬学期以降の新入生)などDAAD/州の省/大学
学期納付金(Semesterbeitrag)全員が払う1学期70〜430ユーロ(DAAD)。2026/27冬学期の実額はケルン大学355.65ユーロ、LMUミュンヘン97ユーロ志望大学の学生課
資金証明(封鎖口座など)全員が用意する月992ユーロ・1年11,904ユーロ(約214万円)。自分の生活費として毎月引き出して使う在日ドイツ大使館
健康保険全員が加入する公的保険の学生料金で月約140〜150ユーロ(2026年)。生活費の中から払う各公的保険の料金表
ビザ・滞在許可有料学生ビザ75ユーロ(日本で申請する場合)、滞在許可100ユーロ在日ドイツ大使館/滞在法施行令
出願手数料(uni-assist経由)有料1件目75ユーロ、同じ学期の2件目以降は各30ユーロ志望大学の出願ページ

円換算と出典について: この記事は余裕を持たせて1ユーロ=180円で円換算しています。欧州中央銀行(ECB)の参照レートは2026年10月27日時点で1ユーロ=175.97円なので、実勢よりやや多めに出ます。金額・制度はいずれも2026年10月28日に各公式サイトで確認したもので、改定されます。出願校を絞る段階で、必ず大学・在日ドイツ大使館の公式ページでご確認ください。

学期納付金(Semesterbeitrag)は授業料ではないが、全員が毎学期払う

POINT

授業料が無料の大学でも、学期ごとの納付金は国籍を問わず全員が払います。額は大学と都市で4倍近く違い、近年は交通チケットの値上げで上がっています。

学期納付金(Semesterbeitrag)は、授業の対価ではなく、学生生活を支える団体への負担金をまとめて大学が集めるお金です。中身は大学ごとに違いますが、おもに①学生食堂や学生寮を運営する学生支援機関(Studierendenwerk)への負担金、②学生自治会(AStA)の会費、③多くの大学では地域の公共交通に乗れる学期チケット、④大学によっては事務手数料です。DAADは額を1学期70〜430ユーロとしています。

上位の解説記事では「1学期100〜300ユーロ」「200〜400ユーロ」のように幅で書かれることが多いのですが、実額は大学の公式ページに内訳つきで出ています。2026/27冬学期の額を4校で確認すると、次のとおりです。

大学公式の学期納付金(2026/27冬学期・1学期あたり・1ユーロ=180円で円換算)

大学1学期の額円換算の目安おもな内訳
ケルン大学355.65ユーロ約6.4万円ドイツ学期チケット226.80/学生支援機関110.00/学生自治会13.25ほか
TH Köln(ケルン工科大学)352.70ユーロ約6.3万円ドイツチケット226.80/学生支援機関110.00ほか
HTWベルリン(ベルリン技術経済大学)375.30ユーロ約6.8万円学期チケット226.80/学生支援機関85.00/事務手数料50.00/学生団体12.50/社会基金1.00
LMUミュンヘン(ミュンヘン大学)97.00ユーロ約1.7万円基本額のみ。学期チケットの契約が2026/27冬学期から当面停止しているため

表から分かるのは、額の大半が交通チケットだということです。ケルン大学の学期納付金は2025年夏学期の304.75ユーロから、2025/26冬学期に335.65ユーロ、2026/27冬学期に355.65ユーロと、1年半で約17%上がりました。逆にLMUミュンヘンは学期チケットの契約が止まっているため97ユーロと安くなっていますが、そのぶん通学の交通費は自分で別に払うことになります。学期納付金の安さだけで大学を比べず、交通費と合わせて見るのが正確です。

年額にすると、2学期分で1年におよそ700ユーロ(約13万円)が目安です。この記事の試算では、学期チケットを含む大学の水準(1学期約350ユーロ)を使っています。

「無料ではない」ケース早見表:BW州・TUM・私立・2つ目の学位

POINT

「ドイツは授業料無料」には、日本からの留学生に直接かかわる例外があります。州・大学・何回目の学位か・公立か私立かで決まり、授業が英語かドイツ語かでは決まりません。

ドイツで授業料がかかる主なケース(日本国籍の学生の場合・2026年10月28日確認)

ケース授業料円換算の目安(1ユーロ=180円)出典
バーデン=ヴュルテンベルク州の大学(ハイデルベルク・フライブルク・シュトゥットガルトなど)・EU外から留学する学生1学期1,500ユーロ1年約54万円BW州科学省FAQ
バーデン=ヴュルテンベルク州の大学・留学生向け授業料を免除される人(ドイツで大学入学資格を取った人など)が2つ目の学位を取る場合1学期650ユーロ(留学生向けの1,500ユーロを払う人には追加されない)1年約23万円BW州科学省FAQ
ミュンヘン工科大学(TUM)・EU外の学士(2024/25〜2026/27年度の入学者。2027年夏学期まで)1学期2,000または3,000ユーロ(課程で異なる)1年約72〜108万円TUM公式
ミュンヘン工科大学(TUM)・EU外の学士(2027/28冬学期以降の新入生)1学期2,300または3,400ユーロ1年約83〜122万円TUM公式
ミュンヘン工科大学(TUM)・EU外の修士1学期4,000または6,000ユーロ(2027/28冬学期以降の新入生は4,600または6,800ユーロ)1年約144〜216万円(同 約166〜245万円)TUM公式
私立大学大学ごとに設定(高額の場合がある)—(大学公式で確認)DAAD

この表のどれにも当たらなくても、学期納付金は別にかかります(BW州・TUMとも授業料とは別に徴収)。BW州は2017/18冬学期から、TUMは2024/25冬学期から授業料を導入しました。DAADはバイエルン州についてEU/EEA外の留学生に授業料がかかる場合があり、1学期数千ユーロになりうるとも書いているため、TUM以外のバイエルン州の大学も志望校の公式ページで確認してください。

バーデン=ヴュルテンベルク州:EU外の留学生は1学期1,500ユーロ

バーデン=ヴュルテンベルク州(BW州)の科学省は、2017/18冬学期からEU/EEA外から学業のために入国する学生に1学期1,500ユーロの授業料を課しています。日本の高校を卒業してドイツへ渡る場合は、この対象です。学士3年(6学期)なら9,000ユーロ(約162万円)、4年(8学期)なら12,000ユーロ(約216万円)が、学期納付金と生活費に上乗せされます。

一方で、州のFAQは免除の対象も挙げています。ドイツで大学入学資格を取った人(ドイツの学校を卒業した人)、交換留学(Erasmusや大学間協定)で来る学生、学業に大きく影響する障害がある人、成績が優秀な学生(社会的な事情も考慮し、大学ごとに人数の枠あり)、博士課程などです。免除は自動ではなく申請制なので、該当しそうなら出願と同時に大学の担当窓口に確認してください。なお州には、2つ目の学位(Zweitstudium)に1学期650ユーロを課す別の制度もあります。1つ目の学位(学士と修士を合わせたもの)はこの「第二学位料」の対象外です。また州のFAQは、留学生向けの授業料を払う人は、第二学位料を追加で払う必要はないとしています。つまり日本の大学を卒業してからBW州で学士を学び直す場合も、払うのは留学生向けの1学期1,500ユーロで、650ユーロが上乗せされるわけではありません。650ユーロが問題になるのは、留学生向けの授業料を免除される人(ドイツで大学入学資格を取った人など)が2つ目の学位を取る場合です。

ミュンヘン工科大学(TUM):2027/28冬学期の新入生から学士1学期2,300〜3,400ユーロ

ミュンヘン工科大学(TUM)は、2024/25冬学期から、新しく入学するEU外の学生に授業料を課しています。学士は課程により1学期2,000ユーロまたは3,000ユーロ、修士は4,000ユーロまたは6,000ユーロです。さらにTUMは、2027/28冬学期からの新入生について、学士2,300/3,400ユーロ、修士4,600/6,800ユーロに引き上げると公表しています。

注意したいのは2点です。1つ目は、すでに在籍している学生には、入学した時点の額が卒業まで適用されることです。冬学期の出願締切は多くの大学で7月15日なので、いまの高校3年生が卒業後すぐに出願しても入学は早くて2027/28冬学期です。いまの高校生が日本の高校から進学するなら、ほぼ全員が新しい額(学士2,300/3,400ユーロ)の対象と考えて計算してください。2つ目は、ドイツ国外で取ったIB(国際バカロレア)などの資格で入学する人も対象に含まれることです。上位の解説記事のなかには、TUMについて「授業料が一切かからない」と紹介しているものがありますが、2024年以降の新入生には当てはまりません。

入国前に約214万円:資金証明(封鎖口座)・保険・ビザの実費

POINT

保護者にとって最も大きなハードルは授業料ではなく、ビザのための資金証明です。1年分の生活費11,904ユーロ(約214万円)を、原則として入国前にまとめて用意します。

在日ドイツ大使館は、学生ビザの要件として「1年間で11,904.00ユーロ以上、1か月あたり992.00ユーロ以上」の資金を証明するよう求めています(992ユーロは2024年9月1日以降の額)。証明の方法は、①奨学金の支給証明、②ドイツ国内の封鎖口座(大使館の表記では閉鎖口座。Blocked Account/Sperrkonto)の開設証明、③本人名義の残高証明の3つですが、大使館は③について外国人局の多くは受理しないと注意しています。実際には、奨学金がなければ封鎖口座に1年分を預けるのが基本です。

封鎖口座は、預けたお金が消えるわけではありません。入国後、毎月決まった額(992ユーロ)までを本人が引き出して、家賃や食費に使う仕組みです。つまり資金証明は「生活費の前払い」で、ドイツで暮らすなら最低でも月992ユーロ使える状態にしておきなさい、という国の基準でもあります。生活費を月700〜900ユーロ程度とする解説もありますが、その額で計画すると資金証明そのものを満たせません。生活費の計画は、月992ユーロを下限にして立ててください。

渡航・入学時の主な費用(1ユーロ=180円で円換算・2026年10月28日確認)

費目金額円換算の目安いつ・どう払うか
資金証明(封鎖口座)11,904ユーロ(1年分)約214万円入国前に一括で預ける。入国後は月992ユーロずつ引き出して生活費に使う
健康保険(公的保険の学生料金)月約140〜150ユーロ1年約30〜32万円入学手続きの前に加入。月々の保険料は上の生活費から払う
学生ビザ(日本で申請する場合)75ユーロ約1.4万円申請時に円で払う
滞在許可(入国後)100ユーロ約1.8万円滞在先の外国人局で払う。延長は93ユーロ
uni-assist の出願手数料1件目75ユーロ、2件目以降30ユーロ約1.4万円+1件あたり約0.5万円出願時(uni-assistを使う大学のみ)

出典と確認ポイント: 資金証明・ビザ手数料は在日ドイツ大使館「学生ビザ」、滞在許可の手数料は滞在法施行令(AufenthV)第45条、uni-assistの手数料はTH ケルンなど大学公式の出願案内、保険料は公的保険(TK・DAK・hkk)の2026年学生料金で確認しました。健康保険は、23歳以上で子どもがいない場合に介護保険料が少し高くなるため、月約140〜150ユーロと幅を持たせています。なお日本国籍の人は、ビザなしで入国してからドイツ国内で滞在許可を申請することもできると大使館は案内しています。その場合も資金証明・保険・入学許可などは滞在許可の審査で確認されるため、必要書類は滞在先の外国人局で確認してください。資金証明の額は改定されることがあるので、手続きの直前に大使館で最新額を確かめてください。

円で見る年額と卒業までの総額:授業料が無料の州でも年約227万円から

POINT

授業料が無料でも、資金証明と学期納付金だけで年約227万円になります。BW州やTUMを選ぶと、ここに授業料が上乗せされます。

ここまでの数字を1年分・円に直して積み上げます。生活費は、ビザの資金証明(月992ユーロ)を下限、DAADが目安として示す月900〜1,200ユーロの上限(月1,200ユーロ)を上限にとりました。DAADの生活費の内訳には家賃の平均(月410ユーロ、光熱費込み)と健康保険が含まれており、保険料は生活費の中から払う前提です。

ドイツの大学の1年あたりの費用と卒業までの総額(学士・当サイトの試算・1ユーロ=180円)

ケース1年あたり在学3年と仮定在学4年と仮定
授業料が無料の州・生活費月992ユーロ(資金証明の下限)12,604ユーロ(約227万円)約681万円約907万円
授業料が無料の州・生活費月1,200ユーロ(DAADの目安の上限)15,100ユーロ(約272万円)約815万円約1,087万円
BW州(1学期1,500ユーロ)・生活費月992ユーロ15,604ユーロ(約281万円)約843万円約1,123万円
TUM学士(2027/28冬学期以降の新入生・1学期2,300〜3,400ユーロ)・生活費月992ユーロ17,204〜19,404ユーロ(約310〜349万円)約929〜1,048万円約1,239〜1,397万円

この表は当サイトの試算です。 1年あたり=生活費(月額×12)+学期納付金700ユーロ(1学期約350ユーロ×2)+授業料(該当する場合)。在学年数は課程によって違うため、3年・4年の2通りの仮定で出しています(実際の標準修業年限は志望課程の公式ページで確認してください)。航空券、渡航前の語学学習、出願・ビザの手数料、入学前のドイツ語コースや予備課程の期間は含みません。為替が1ユーロ=160円なら1年12,604ユーロは約202万円、200円なら約252万円と、為替だけで年50万円動きます。生活費はJASSOの海外留学情報(2024年調査)では月約800〜1,800ユーロと幅が広く、ミュンヘンなど家賃の高い都市では上限側になります。

この数字をどう読むかです。日本の私立大学の文科系学部の平均授業料は、文部科学省の令和7年度入学者の調査で年850,392円です。ドイツの授業料が無料の州なら、大学に納めるお金は年約13万円(学期納付金)で、授業料だけを比べれば日本の私立大学よりずっと安くなります。一方で、生活費まで含めた総額は1年約227万円からで、「タダで大学に行ける国」ではなく「授業料の代わりに生活費を払う国」と考えるほうが実態に近いでしょう。総額を抑えたいなら、効くのは住む都市と住まいの選び方です。JASSOが挙げる家賃の例でも、ミュンヘン720ユーロ、ベルリン640ユーロ、ケルン550ユーロと都市で差があります。学生支援機関(Studierendenwerk)が運営する寮も選択肢になるので、入学許可が出たら早めに募集状況を確認しておきましょう。

国ごとの総額を同じ物差しで比べたい場合は海外大学の学費を総額で比べる記事を、学費と生活費の両方が安い国を探すなら海外大学の費用が安い国を、給付型の奨学金で自己負担を下げる方法は海外大学の返済不要の奨学金をご覧ください。

日本の高校からドイツの大学に入る2つのルート(予備課程は例外的)

POINT

授業料が無料でも、日本の高校の卒業証書だけではドイツの大学に直接入れません。共通テストの成績か、日本の大学での1年で入学資格を補うのが基本です。ドイツの予備課程(Studienkolleg)は、日本の高校卒業者にはごく例外的な道です。

ドイツの大学入学資格は、ドイツの各州文部大臣会議の外国教育制度中央機関(ZAB)が運営するデータベース「anabin」で国ごとに決められています。日本については2022年6月30日の決定で基準が改められ、2023/24冬学期の募集から、日本の高校卒業証書は大学入学共通テストと組み合わせて評価されることになりました。条件を満たすと、受験した科目と隣接する分野に限って、すべての大学へ直接出願できます。

日本の高校からドイツの大学に入るルート(①はanabin、②③はDAADの2017年の資料より)

ルート条件入れる分野注意点
① 高校卒業+大学入学共通テスト共通テストで5科目・合計420点以上、かつ志望分野に関係する2科目でそれぞれ62%以上(上級レベルの科目で)共通テストで証明した科目とその隣接分野高3の1月に共通テストを受けておく必要がある。どの科目が62%の条件に当たるかは、uni-assistや大学の判定で確認
② 日本の大学で1年間学ぶ大学(短大ではない)で1年間の学修を修了日本の大学で学んだ分野とその隣接分野日本の大学の授業料が1年分かかる。DAADの2017年の資料による説明で、単位数などの細かな条件は出願先で確認
③(例外的)ドイツの予備課程(Studienkolleg)+修了試験Studienkollegに入学し、通常2学期学んで修了試験(Feststellungsprüfung)に合格受講したコースに対応する分野anabinの日本の基準には、高校卒業者が予備課程を経由する定めがない(予備課程経由が定められているのは高専の準学士)。DAADは日本の卒業生を受け入れる学校はごく限られ、多くの場合は後から資格を補う方法がないと指摘。公立なら学期納付金以外は無料

実際に動きやすいのは①です。日本の高校3年生の1月に共通テストを受け、5科目で合計420点以上、志望分野に関係する2科目でそれぞれ62%以上を取れば、日本の卒業証書と合わせて出願できます。逆にいえば、共通テストを受けないまま高校を卒業すると、①の道は閉じます。ドイツの大学を少しでも考えているなら、国内の大学に進まない予定でも共通テストは受けておくのが安全です。

③のStudienkolleg(大学入学のための予備課程)は、一般には入学資格が足りない留学生が通い、修了試験に受かればそのコースに対応する分野で全国の大学へ出願できる仕組みで、公立なら学期納付金以外の費用はかかりません。ただ日本の高校卒業者については、anabinの基準に予備課程を経由する定めがなく、DAADの日本についての分析(2017年)も、日本の卒業生を受け入れるStudienkollegはごく限られた数しかなく、多くの場合は資格を後から補う方法がないと指摘しています。修了試験は英語では受けられないとも書かれています。③は「あてにできるルート」ではなく、①か②を基本に計画してください。費用の計算でも、③を選ぶとStudienkollegの1年分の生活費(約227万円)が大学の在学年数に上乗せされる点に注意してください。

授業はドイツ語か英語か:語学の条件は「どの課程か」で決まる

POINT

授業料が無料かどうかと、授業の言語は関係ありません。ドイツ語の課程ならドイツ語の証明、英語の課程なら英語の証明が必要で、学士はドイツ語の課程が中心です。

JASSOの海外留学情報は、ドイツでは「多くの課程(とりわけ学士課程)でドイツ語で授業が行われる」としています。ドイツ語の課程に出願するには、大学で学べるだけのドイツ語力の証明が必要です。代表的なのがTestDaFで、4技能すべてでTDN 4以上を取れば、すべての課程への入学・登録に必要なドイツ語力の証明として扱われます(大学入学のためのドイツ語試験の枠組み規程)。大学が独自に行うドイツ語試験(DSH)など、ほかの証明が認められる場合もあるので、志望校の募集要項で確認してください。

一方で、DAADは英語で行う国際課程について、ドイツ語力は前提ではないとしています。英語の課程では、IELTSやTOEFLなど英語力の証明を求められるのが一般的で、必要なスコアは課程ごとに決まっています(英語試験の仕組みはIELTSとはで解説しています)。ただし学士で英語だけで学べる課程は、ドイツ語の課程に比べて選択肢が少なくなります。DAADの国際課程の検索で「学士(Bachelor)」「英語(English)」に絞り、志望分野の課程がいくつあるかを最初に確かめてください。

なお、英語の課程でも授業料の扱いは変わりません。BW州の大学なら英語の課程でもEU外の学生には1学期1,500ユーロがかかり、ベルリンやケルンの大学なら英語の課程でも授業料はかかりません。英語で授業をする大学は無料ではない、という趣旨の見出しを立てている解説もありますが、有料かどうかは州・大学・国籍・何回目の学位かで決まります。

よくある判断ミスと、卒業後・在学中の働き方

POINT

「無料」という言葉に引っぱられると、予算と準備の順番を間違えやすくなります。よくある5つの判断ミスと、在学中のアルバイト・卒業後の滞在の制度を押さえておきましょう。

避けたい

「ドイツは学費無料」と聞いて、家庭の予算を生活費の仕送りだけで考える。

こうすればOK

入国前に資金証明として1年分11,904ユーロ(約214万円)を一括で用意する前提で予算を組む。学期納付金(年約13万円)も別に積む。

避けたい

生活費を「月700〜900ユーロ」で見積もる。

こうすればOK

ビザの資金証明が月992ユーロなので、それを下限にする。ミュンヘンなど家賃の高い都市は上振れを見込む。

避けたい

ミュンヘンの工科大学(TUM)も、ほかの州立大学と同じく無料だと思い込む。

こうすればOK

TUMはEU外の新入生に学士で授業料がかかる。2027/28冬学期以降の新入生は1学期2,300〜3,400ユーロ(それ以前の入学者は2,000〜3,000ユーロ)。BW州の大学も1学期1,500ユーロ。志望校ごとに公式ページで確認する。

避けたい

国内の大学に進まないので、共通テストは受けずに卒業する。

こうすればOK

日本の高校から直接出願するには、共通テストの5科目420点以上と関係2科目62%以上が必要。ドイツを候補に残すなら受けておく。

避けたい

「英語の課程なら有料、ドイツ語の課程なら無料」と覚える。

こうすればOK

有料かどうかは州・大学・国籍・何回目の学位かで決まる。授業の言語では決まらない。

在学中のアルバイトについては、学生の滞在許可で働けるのは1年に140労働日までと滞在法(AufenthG第16b条第3項)で決まっています。1日4時間以下の勤務は半日として数えるなどの計算方法があり、大学の中での学生アルバイトはこの上限に数えません。アルバイトで生活費の一部を補う学生は多いものの、資金証明はアルバイト収入の見込みで代えることはできないので、入国前の準備額は変わりません。

卒業後は、ドイツの大学を修了した人に、仕事を探すための滞在許可が最長18か月認められています(同法第20条。生計を維持できることが前提)。授業料が無料で、卒業後にドイツで就職を探せる期間があることは、ドイツを選ぶ大きな理由の一つです。ただし就職にはドイツ語力が求められる場面も多く、英語の課程で学ぶ場合でも、在学中にドイツ語を伸ばしておくと選択肢が広がります。

高校生のうちに逆算しておく準備の順番

POINT

ドイツの冬学期の出願締切は、日本の高校を卒業した4か月後の7月15日が多く、そこから入学までの3か月でお金と書類をそろえます。準備は高1〜高2から逆算してください。

  1. 1高1〜高2:課程と言語を決める。 DAADの課程検索で、学びたい分野の学士課程がドイツ語か英語かを確認し、ドイツ語の課程ならTestDaFのTDN 4を目標に学習を始める。BW州・バイエルン州の大学が候補なら、授業料の有無もこの段階で確認する。
  2. 2高2〜高3:入学資格の道筋を決める。 共通テストで5科目420点以上・関係2科目62%以上を目指すのか(ルート①)、日本の大学で1年学ぶのか(ルート②)を決める。どちらにするかで、ドイツへ渡る時期が1年変わる。
  3. 3高3の1月:共通テストを受ける。 ドイツ一本でも、ルート①を使うなら受験は必須。
  4. 4高3の3月〜7月:出願する。 冬学期の出願締切は多くの大学で7月15日(夏学期は1月15日。大学・課程で異なる)。uni-assist経由の大学は書類の審査に時間がかかるので早めに出す。
  5. 5入学許可が出たら:お金と住まいを用意する。 封鎖口座に11,904ユーロを預け、公的保険に加入し、学生寮に申し込む。日本で学生ビザを申請するか、ビザなしで入国して滞在許可を申請するかを決める。
  6. 6入国後:滞在許可を取り、学期納付金を払って学籍登録する。 冬学期は多くの大学で10月に始まる。

海外大学の出願全般の流れは海外大学の出願スケジュールで、海外大学進学そのものの全体像は海外大学進学ガイドで整理しています。ドイツを候補に入れる場合は、上の6つの順番を重ねて見てください。

最後にチェック

ドイツの大学を「学費無料だから」と候補に入れる前に、次の6点を確認できているかご覧ください。

チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。

Q.ドイツの大学は、日本人の留学生でも本当に授業料が無料ですか。

州立の大学の学士課程は、原則として無料です。 DAADは州立の大学について、学士課程と多くの修士課程に原則として授業料はかからないとしており、日本からの留学生も基本的に対象です。ただし例外があります。バーデン=ヴュルテンベルク州の大学はEU外から留学する学生に1学期1,500ユーロ、ミュンヘン工科大学(TUM)はEU外の新入生に学士で授業料を課しており、2027/28冬学期以降の新入生は1学期2,300〜3,400ユーロです(それ以前の入学者は2,000〜3,000ユーロ)。私立大学は有料です。また授業料とは別に、学期納付金(1学期70〜430ユーロ)は全員が払います。

Q.授業料が無料でも、1年にいくら用意すればよいですか。

授業料が無料の州でも、年約227万円(12,604ユーロ・1ユーロ=180円)が目安です。 内訳は、ビザの資金証明として求められる生活費1年分11,904ユーロと、学期納付金2学期分の約700ユーロです(学期納付金が安い大学なら少し下がります)。生活費をDAADの目安の上限(月1,200ユーロ)で見ると年約272万円になります。これに航空券や出願・ビザの手数料が加わり、BW州やTUMを選ぶと授業料が上乗せされます。

Q.封鎖口座のお金は、ドイツに着いたら自由に使えるのですか。

毎月決まった額まで引き出して、生活費として使えます。 封鎖口座(Sperrkonto)は、入国前に1年分(2026年10月時点で11,904ユーロ)を預け、入国後に月992ユーロまでを本人が引き出す仕組みです。預けたお金がなくなるわけではなく、生活費を前もって用意しておく制度です。ただし一度にまとめて引き出すことはできないため、入学時の家具代や敷金など最初の出費は、別に用意しておくと安心です。

Q.日本の高校を卒業しただけで、ドイツの大学に入れますか。

卒業証書だけでは直接入れません。 ドイツの入学資格のデータベース(anabin)では、2023/24冬学期の募集から、日本の高校卒業証書は大学入学共通テストと組み合わせて評価されます。共通テストで5科目・合計420点以上、かつ志望分野に関係する2科目でそれぞれ62%以上を取れば、その分野と隣接分野で直接出願できます。満たせない場合の基本は、日本の大学で1年学んでから出願する方法です。ドイツの予備課程(Studienkolleg)は、日本の卒業生を受け入れる学校がごく限られ、DAADは多くの場合は資格を後から補う方法がないと指摘しているため、あてにしないほうが安全です。

Q.英語だけでドイツの大学を卒業できますか。

英語で行う課程を選べば可能ですが、学士では選択肢が限られます。 DAADは英語の国際課程ではドイツ語力は前提ではないとしていますが、JASSOは多くの課程、とくに学士課程はドイツ語で授業が行われるとしています。DAADの課程検索で「学士」「英語」に絞り、志望分野の課程があるかを先に確認してください。なお英語の課程でも、BW州の大学ならEU外の学生に授業料がかかります。

Q.ドイツの大学で学びながらアルバイトはできますか。

1年に140労働日までなら働けます。 学生の滞在許可で認められる就労は、滞在法で年140労働日までと決まっており、1日4時間以下の勤務は半日として数えるなどの計算方法があります。大学の中での学生アルバイトはこの上限に数えません。ただし、ビザの資金証明をアルバイト収入の見込みで代えることはできないので、入国前に用意する額は変わりません。卒業後は、仕事を探すための滞在許可が最長18か月認められています。