この記事の要点
- 保険を使うと得かどうかは「見積額−免責=受取額」が「翌年以降の保険料の増加見込み」を上回るかで決まります(編集部の整理)
- 免責5万円の契約で修理費が保険金額内なら、受取額は社外ガラス(アクアH25式・福岡の店舗例)で4,313円、ADAS付き純正(アルファード40系・岡山の店舗例)で140,000円です(編集部算出)
- 飛び石は、補償タイプまで公表を確認できた東京海上日動・アクサ・SBI損保では、一般型・エコノミー(車対車+A)型のどちらでも補償対象です。ほかの会社は補償タイプを確認できていません。使うと各社の公表では1等級ダウン事故などの扱いになります
- 翌年以降の保険料の増加額は契約ごとに違います。請求前に保険会社へ概算保険料を聞いて比べます
- リペア(13,200円・9,900円〜)や社外ガラスで免責に近い見積もり、契約期間中2回目の請求は(チューリッヒの公表では免責10万円。他社は契約先に確認)、自費のほうが合理的になりやすい条件です
見積額から免責を引いた受取額が、翌年以降の保険料の増加見込みを上回れば保険を使う方が得
飛び石のフロントガラス交換で保険を使うと得かどうかは、見積額から免責を引いた受取額が、翌年以降の保険料の増加見込みを上回るかで決まります。式にすると、見積額をR、免責額をD、翌年以降の保険料増加見込みをΔPとして「R−D>ΔP」なら金額面では保険を使うほうが有利です。代車など付随費用は含めない比較です。
集める3つの数字
- 見積書の合計額(R)
- 保険証券の車両保険の免責額(D)
- 保険会社に聞いた、請求した場合の翌年以降の概算保険料(ΔPを出す材料)
保険金の考え方は、東京海上ダイレクト「&e」の公表では「修理費から免責金額を差し引いた額が支払われる」です(修理費が保険金額を下回る場合。2026年10月14日時点)。つまり受取額は見積額そのままではなく、免責を引いた残りです。
事故修理全般の等級と免責の損益分岐は、事故修理 保険 損益分岐で扱っています。この記事は飛び石のフロントガラスに絞ります。
飛び石は一般型でもエコノミー(車対車+A)型でも補償される会社があり、使うと1等級ダウン事故などの扱いになる
飛び石による窓ガラスの損害は、補償タイプまで確認できた東京海上日動・アクサ・SBI損保の3社では、車両保険の一般型でもエコノミー(車対車+A)型でも補償対象です。ほかの会社は補償タイプを確認できていないので、契約先に確認してください。使った場合の等級の扱いは、各社のFAQでは1等級ダウン事故などで同じ方向でした。ただし以下は各社の商品・契約条件の公表値で、業界一般の決まりではありません(2026年10月14日時点)。
| 保険会社 | 補償されるタイプ | 使った場合の等級の扱い |
|---|---|---|
| 損保ジャパン「THE クルマの保険」 | (補償タイプの記載は今回確認した範囲に無し) | 1等級ダウン事故(事故有係数適用期間を含む)。10等級なら次契約は9等級 |
| 東京海上日動 | 一般条件・エコノミー(自動車・乗用具等+A)の両方 | 1等級ダウン(総付保台数9台以下のノンフリート・保険期間1年・他に事故なしの場合。2026年10月1日改定反映) |
| アクサ損保 | 一般・車対車+Aの両方 | 1事故につき等級が1つ下がる(翌年度の継続時) |
| SBI損保 | 一般車両・車対車+限定Aの両方 | 次年度は1等級ダウン |
| あいおいニッセイ同和損保 | (補償タイプの記載は今回確認した範囲に無し) | 1等級ダウン+事故有係数適用期間1年(保険期間1年・窓ガラス破損の場合) |
| チューリッヒ「スーパー自動車保険」 | (補償タイプの記載は今回確認した範囲に無し) | 1等級ダウン事故。翌年の等級が1等級下がる |
| 東京海上ダイレクト「&e」 | (補償タイプの記載は今回確認した範囲に無し) | 事故有係数適用期間に1年加算 |
あいおいニッセイ同和損保は、飛来・落下物以外との衝突・接触、転覆・墜落を3等級ダウン事故としています。同じ「ガラスの破損」でも、原因によって扱いが変わる会社があります。
ガラス専用特約や等級据え置き特約を付けている場合の現行条件は、今回の調査では確認できていません。特約があるからといって等級が下がらないとは言えないので、証券で特約名を確認し、契約先に等級の扱いを聞いてください。
交換見積額は車種・ADASの有無・純正か社外かで約5万円台から約19万円まで開く
ここで示す店舗の掲載例では、交換の総額は社外ガラスのアクア(H25式・ブレーキサポートなし)の54,313円から、純正ADAS付きのアルファードの190,000円まで開きます。いずれも個別店舗の掲載例で、全国の相場ではなく、確定見積でもありません。
| 車種・条件 | 純正 | 社外・OEM | 出典の店舗(地域) |
|---|---|---|---|
| トヨタ アクア H25式(ブレーキサポートなし) | 84,755円(税込) | 54,313円(税込・UVカット付き社外品) | カーグラスリバティ(福岡)※メーカー定価2021年12月1日時点 |
| ダイハツ タント LA600S H30式(スマートアシスト3付き・エーミング12,000円含む) | 107,250円(税込) | 83,556円(税込) | カーグラスリバティ(福岡) |
| ホンダ フリード GB6(Honda SENSINGカメラ付き・エーミング15,000円含む) | 146,020円(税込) | 103,110円(税込) | カーグラスリバティ(福岡) |
| ホンダ N-BOX JF3/JF4(H29/09〜R7/03・ADAS) | 155,000円 | 104,000円(OEMガラス) | nexus(岡山) |
| ホンダ N-BOX JF5/JF6(R7/04〜・ADAS) | 180,000円 | − | nexus(岡山) |
| トヨタ アルファード30系後期(H30/1〜R5/6・ADAS) | 190,000円 | − | nexus(岡山) |
| トヨタ アルファード40系(R5/6〜・ADAS RS DTV) | 190,000円 | − | nexus(岡山) |
| 日産 デイズ B40W(H31/03〜・ADASなし) | 110,000円 | − | nexus(岡山) |
| 日産 デイズ B40W(H31/03〜・ADASあり) | 110,000円 | − | nexus(岡山) |
nexusの金額は施工総額で税込表記がなく、2024年のガラス定価に基づく掲載例です(2026年10月13日取得)。カーグラスリバティの総額は2026年10月14日取得で、タントとフリードは公表された総額です。掲載されている内訳を足して総額を説明することはできないため、実際の見積書で確認してください。
見積書の「ガラス交換工賃」だけを見たい場合は、カーグラスリバティの通常価格が軽自動車26,400円・普通車M 27,500円・普通車L 30,800円・ミニバン/1BOX 35,200円です(税表記なし)。ADAS付き車ではこれに加えてエーミング代がかかります。同店の掲載は8,000〜30,000円(メーカーやカメラにより異なる)、nexusのN-BOXとデイズ、ノートの例はいずれも13,200円です。
ADAS付きかどうか分からないときは、見積書に「エーミング」の項目があるかを店に聞いてください。項目があればADAS付きの行を、項目が無ければADASなしの行を見て比べます。
国土交通省は、衝突被害軽減ブレーキなどに使うカメラ等が取り付けられた窓ガラスの脱着を、特定整備(電子制御装置整備)の対象としています。対象の車では、ガラスを脱着したあとにカメラの調整が必要です。制度は令和2年(2020年)4月1日施行で、経過措置は令和6年(2024年)3月31日に終わっています。先進安全装置と車検の関係はOBD車検 対象車も参考になります。
免責5万円の契約なら、社外ガラスの受取は約4千円・ADAS付き純正は約10万〜14万円で、損得ラインは車種で動く
チューリッヒの免責5万円(契約期間中1回目)を例に、前項の店舗例から受取額を計算すると、社外ガラスで約4千円、ADAS付き純正で約10万〜14万円です。以下は編集部算出で、修理費が保険金額内であることが前提です。翌年以降の保険料増加分は含みません。
| 例(店舗例の見積額) | 見積額 | 免責5万円の受取額(編集部算出) |
|---|---|---|
| アクアH25式・社外品(カーグラスリバティ) | 54,313円 | 4,313円 |
| アクアH25式・純正(カーグラスリバティ) | 84,755円 | 34,755円 |
| フリードGB6・純正(カーグラスリバティ) | 146,020円 | 96,020円 |
| N-BOX JF3/JF4・ADAS純正(nexus) | 155,000円 | 105,000円 |
| アルファード40系・ADAS純正(nexus) | 190,000円 | 140,000円 |
自分の免責が5万円でないときは、受取額=見積額−自分の免責で読み替えてください。チューリッヒの公表では、契約期間中1回目の免責は、車両事故免責金額ゼロ特約付帯で0万円、免ゼロ特約なしで5万円または7万円です。契約期間中2回目以降の請求は免責10万円になります(2026年10月14日時点。ほかの会社の免責は契約先に確認してください)。
この受取額が、次項で聞く翌年以降の保険料の増加見込みを上回れば、保険を使う側に傾きます。なお、修理費が保険金額(時価額)を超える場合の考え方は事故 修理費 上限 超えたらを見てください。
翌年以降の保険料増加額は会社・契約で変わるため、請求前に概算保険料を保険会社に聞いて比べる
1等級ダウンと事故有係数の適用期間(あいおいニッセイ同和損保は1年、東京海上ダイレクトは翌年契約に1年加算)は仕組みの説明で、実際に保険料が何円上がるかは契約ごとに違います。この記事では増額の固定額を示しません。請求する前に、契約先に次の点を聞いてください。
- 請求した場合の、翌年以降の概算保険料
- 請求しない場合の、翌年以降の概算保険料
- 等級が何等級下がるか、事故有係数が何年適用されるか
東京海上ダイレクト「&e」は、修理費が高くなかった場合に保険金請求をしないことも可能と案内し、請求した場合の翌年以降の概算保険料も案内するとしています(2026年10月14日時点)。ほかの会社が同じ案内をするかは確認できていないので、契約先に同じことを聞いてください。
| 記入欄 | あなたの数字 |
|---|---|
| ① 見積額(R) | 円 |
| ② 免責額(D) | 円 |
| ③ 受取額(R−D) | 円 |
| ④ 請求した場合と、しない場合の翌年以降の概算保険料の差(ΔP) | 円 |
| 判定: ③が④を上回れば保険を使う、下回れば自費 |
その場で概算保険料が聞けないときは、次の2点で見当がつきます。受取額R−Dがゼロ付近(リペア、社外ガラスで免責に近い見積もり)なら、ΔPを聞かなくても自費で決まります。R−Dが大きいときは、契約先の数字で確定してください。事故修理全般の目安は事故修理 保険 損益分岐で確認できます。
リペアで済む傷・社外で免責に近い見積もり・2回目の請求(チューリッヒは免責10万円)なら、自費にする方が合理的になりやすい
受取額がほぼゼロになる条件では、保険を使っても手元に残る額が増えず、等級だけが下がるおそれがあります。次の対比で、取り違えやすい判断を確認してください。
避けたい判断
- リペア代(nexus 13,200円・1か所、ジャパンオートガラス 9,900円〜)に免責5万円の保険を使う。免責に届かず受取は0円になる
- 社外ガラスの54,313円(免責5万円で受取4,313円)を、等級を下げて請求する
- 2回目の請求を、1回目と同じ免責5万円の前提で見積もる。チューリッヒの公表では契約期間中2回目以降は免責10万円
- 石を飛ばした車に請求できる前提で自費にする。東京海上ダイレクトは、相手への賠償請求は難しいケースが多いとしています
こうすればOK
- 見積額が免責に近いときは、ΔPを聞く前に自費を基本に考える
- リペアで済むかは、損傷の大きさと位置で決まる。nexusは100円玉程度まで、ジャパンオートガラスは2.5cm未満が目安で、ガラス端部の破損は交換になる
- 受取額が大きいADAS付き純正は、契約先の概算保険料で確かめてから決める
リペアの条件は店ごとに違います。ジャパンオートガラスは、上部4cm・左右4cm・下部8cm内の破損と直径2.5cm超は交換としています。リペアが可能かは、店で現物を見てもらって確認してください。
ひびを放置すると、保安基準が求める「損傷しても視野を確保できる」状態を保てないおそれがある
道路運送車両の保安基準第29条第2項は、前面ガラスについて、損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであり、かつ容易に貫通されないものであることを求めています(最高速度40km/h未満の自動車を除く。令和8年(2026年)6月4日施行の現行版)。ひびを放置すると、この状態を保てないおそれがあります。
保険を使うかの判断を先送りにしても、損傷そのものは残ります。車検に通るかどうかは損傷の程度と位置で変わるため、この記事では断定しません。見積もりを取った店か車検を受ける整備工場に、現物を見てもらってください。
よくある質問
Q1. 見積もりだけ取って保険を請求しないこともできますか?
できます。東京海上ダイレクト「&e」は、修理費が高くなかった場合に保険金請求をしないことも可能で、請求した場合の翌年以降の概算保険料も案内するとしています(2026年10月14日時点)。ほかの会社は、契約先に同じ対応が可能か聞いてください。等級の扱いも契約先で確認します。
Q2. 飛び石のリペア代にも車両保険は使えますか?
使える会社でも、免責で受取がなくなりやすい金額です。リペアはnexusで1か所13,200円(税込)、ジャパンオートガラスで9,900円(税込)からで、免責5万円の契約なら受取は0円です。その場合は自費にして、等級への影響を避けるのが合理的です。
Q3. 免責ゼロ特約があれば、飛び石でも免責0円ですか?
チューリッヒの公表では、契約期間中1回目で「車両事故免責金額ゼロ特約」付帯なら免責0万円です。ただし「車対車事故のみ」のタイプを付けた場合、飛び石の免責は5万円または7万円とされています(2026年10月14日時点)。ほかの会社は特約の条件が異なるため、契約先に確認してください。
Q4. ガラス特約があれば等級は下がりませんか?
この記事では、ガラス専用特約や等級据え置き特約の現行条件を確認できていないため、下がらないとは言えません。証券で特約名を確認し、契約先に「飛び石で請求した場合の等級の扱い」を聞いてください。
Q5. 石を飛ばした車に修理代を請求できますか?
東京海上ダイレクト「&e」は、石を飛ばした相手方に修理費を賠償してもらうのは難しいケースが多いとしています。車の特定と相手方の過失の立証が必要になるためです。
Q6. ADASが付いているか分からないとき、見積もりで何を確認しますか?
見積書に「エーミング」の項目があるかを店に聞いてください。カーグラスリバティの掲載ではエーミング代は8,000〜30,000円(メーカーやカメラにより異なる)です。分からないときは、ADAS付きの行(前掲の交換見積額の表)を基準に比べます。