「軽自動車の維持費は安い」という記事は多くありますが、その多くは比較的新しい車を前提にしています。
ダイハツ タント L375Sは2007〜2013年式で、2026年時点で車齢13〜19年です。 13年超の重課税が適用され、整備費は「オイル交換とバッテリー」では済まなくなるタイミングです。
この記事では、L375Sの条件で実際に計算します。筆者が実車を所有しているわけではありません。公開されている税制データ・保険統計・燃費実測値・車検費用相場を横断して試算したものです。
結論: 年間16.4万円〜27.6万円(駐車場代を除く)
先に計算結果を示します。年間8,000km走行、任意保険は軽自動車の平均値、駐車場代は別として、
| 項目 | 13年未満 | 13年超 |
|---|---|---|
| 軽自動車税(種別割) | 7,200 or 10,800円 | 12,900円 |
| 自動車重量税(年換算) | 3,300円 | 4,100円 |
| 自賠責保険(年換算) | 約8,825円 | 約8,825円 |
| 任意保険 | 約51,000円 | 約51,000円 |
| 車検(年換算) | 15,000〜21,000円 | 15,000〜21,000円 |
| ガソリン代 | 約82,000〜102,000円 | 約82,000〜102,000円 |
| メンテナンス費 | 約50,000円 | 50,000円〜(増える) |
| 合計 | 約15.9万〜27.1万円 | 約16.4万〜27.6万円 |
税金の増加分は年間で数千円です。 維持費全体で見ると、支配的なのはガソリン代と任意保険、そしてメンテナンス費です。
以下、内訳を1つずつ確認します。
① 税金: 13年超でいくら増えるか
軽自動車税(種別割) — 毎年
| 区分 | 年額 |
|---|---|
| 2015年3月31日以前に初回新規検査 | 7,200円 |
| 2015年4月1日以降に初回新規検査 | 10,800円 |
| 13年超(経年重課) | 一律 12,900円 |
L375Sは2007〜2013年式なので、初度検査はすべて2015年4月以前です。したがって13年未満は7,200円、13年超で12,900円になります。増加分は+5,700円/年です。
重課が適用されるタイミングは「初度検査から13年を経過した後、最初に迎える4月1日」です。例えば2011年式であれば、2024年4月1日以降が重課対象となります。
自動車重量税 — 車検時に2年分
| 経過年数 | 2年分 | 年換算 |
|---|---|---|
| 13年未満 | 6,600円 | 3,300円 |
| 13年〜18年未満 | 8,200円 | 4,100円 |
| 18年以降 | 8,800円 | 4,400円 |
13年での増加は年800円相当です。
13年超で増える税額の合計
L375S全グレード(元7,200円): 5,700円 + 800円 = 年6,500円
月換算で約542円。 「13年の壁」と呼ばれる割に、維持費全体に占める割合は小さいというのが実際のところです。
② ガソリン代: 実燃費で計算する
維持費で最も大きく、最も自分でコントロールできる項目です。
L375Sの実燃費(オーナー実測)
L375Sの実燃費は、ターボとNAで明確な差があります。
| 仕様 | 平均実燃費の目安 |
|---|---|
| NA(自然吸気) | 17〜19 km/L |
| ターボ(カスタムRS等) | 約13.9 km/L |
| 4WD(NA) | 約13 km/L |
NAのCVT車は市街地・高速混合で17〜19km/L前後の報告が多く、e燃費のターボ車平均は約13.88km/Lです。
ターボはNAの約73〜82%です。
走行環境による差が非常に大きい
| 使い方 | 実燃費の傾向 |
|---|---|
| 郊外・高速混合 | 17〜20 km/L |
| 市街地・ちょい乗り中心 | 11〜13 km/L |
同じ車で2倍近い差が出ます。 短距離の繰り返しが最も燃費を悪化させます。
年間ガソリン代の試算(年8,000km)
ガソリン価格を170円/Lとした場合:
| 燃費 | 年間ガソリン代 |
|---|---|
| 18 km/L(NA平均) | 約76,000円 |
| 14 km/L(ターボ平均) | 約97,000円 |
| 12 km/L(ちょい乗り中心) | 約113,000円 |
なお、L375Sの燃料タンク容量は36リットルです。ターボで14km/Lなら満タン航続は500km前後の計算になります。
③ 任意保険: 約51,000円(平均)
損害保険料率算出機構「2025年度 自動車保険の概況」に基づく平均保険料は、軽自動車が約51,000円です。
ただし、これは平均です。 年齢・等級・補償内容・車両保険の有無で大きく変わります。
L375Sで検討すべき点: 車齢13〜19年で車両価値が下がっているため、車両保険の必要性を見直す価値があります。車両保険は保険料を大きく押し上げる要素ですが、全損時に支払われる額は車の時価が上限です。保険料が「もらえる額」に見合っているかを確認してください。
④ 車検: 年15,000〜21,000円(年換算)
軽自動車の車検は1回あたり3万〜4万円台が目安とされています(車検基本料+法定費用。整備費用は別)。2年に1回なので、年換算で15,000〜21,000円です。
ただしこれは「大きな整備がない場合」です。
2回目以降の総額は6.5万〜15万円と開きがあります。タイヤ交換やバッテリー交換が発生すると、目安に+3万〜10万円が乗ります。
なお、タントはスーパーハイトワゴンのため車体が重く、タイヤへの負担が大きい傾向があります。 車検時にタイヤ交換が重なるケースに注意が必要です。
⑤ メンテナンス費: 年5万円は「若い車」の数字です
一般に、軽自動車のメンテナンス費は年間5万円程度が目安とされます。エンジンオイル、バッテリー、消耗品の交換です。
L375Sでは、これに持病の修理費が上乗せされる可能性を織り込んでください。
| 箇所 | 費用の目安 |
|---|---|
| CVT本体 | 20〜40万円(故障実例多数) |
| エアコン一式(コンプレッサーまで) | 10万円超 |
| スライドドア モーター一式 | 約68,000円 |
| CVTフルード交換(予防) | 数千円〜3万円台 |
これらは「いつか来る」ものであって、「来ないかもしれない」ものではありません。
たとえばCVTに30万円かかった年は、その年の維持費が一気に45万円前後になります。平常時の維持費だけで計画すると、この出費で判断を迫られます。
⑥ 駐車場代: 地域差が最大
| 地域 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 東京23区 | 2〜3万円 | 24〜36万円 |
| 郊外 | 約1万円 | 約12万円 |
| 地方(自宅に駐車スペース) | 0円 | 0円 |
東京23区では、駐車場代だけで車検費用や保険料を超えます。 上の合計表に駐車場代を含めていないのはこのためです。ご自身の条件で加算してください。
車齢別の維持費変化
L375Sのすべては2015年4月以前に初度検査を受けているため、13年超での税額増加パターンは1種類です。
| 車齢 | 軽自動車税 | 重量税(年換算) | 変化のポイント |
|---|---|---|---|
| 〜12年 | 7,200円 | 3,300円 | ベースライン |
| 13〜17年 | 12,900円 | 4,100円 | 重課適用。年+6,500円 |
| 18年以降 | 12,900円 | 4,400円 | 重量税がさらに+300円/年 |
税増加の合計は最大でも年7,000円程度。 維持判断を左右するのは税金ではなく、メンテナンス費の増加です。
維持コスト vs 乗り換えコストの比較
維持費を計算する目的は、たいてい「このまま乗り続けるか、乗り換えるか」の判断です。比較の土俵を揃えます。
現状維持のコスト(年間)
平常時: 約16.4万〜27.6万円(駐車場代別)
+ 持病が来た年: +5万〜40万円
カーリースと比較する場合
軽自動車のカーリースは、新車で月1万円台前半〜2万円台が目安です。
単純比較してはいけません。理由が3つあります。
- リース月額に含まれる範囲を確認する。 税金・自賠責が含まれるのが一般的ですが、車検やメンテナンスが含まれるかはプランによります。 任意保険とガソリン代は基本的に別です
- 「月1万円台前半」は超長期契約が前提のことが多い
- リースは原則として中途解約できません。 解約時は残期間分の一括請求になります
公平な比較の式:
現状維持 = 税金 + 保険 + 車検 + ガソリン + 整備 + 持病リスク
リース = 月額 × 12 + 任意保険 + ガソリン + (プラン外の整備)
この2つを並べてはじめて比較できます。
判断のポイント
現状維持が有利なのは、CVTやエアコンに症状が出ておらず、持病が出ていない場合です。年16.4万円なら月1.4万円で、新車リースより安く収まる可能性があります。
乗り換えが有利になり得るのは、CVTやスライドドアに症状が出ていて、まとまった出費が読める場合です。
維持費を下げる現実的な方法
- 任意保険を見直す。 支出が最も大きく変わる項目です。車齢13〜19年なら車両保険の要否が最大の論点になります
- 13年超の重課は避けられません。 ガソリン車のため電気自動車等の非課税特例は適用されません
- 短距離の繰り返しを減らす。 市街地ちょい乗りと郊外走行では年間3万円以上の差が出ます
- 予防整備をケチらない。 CVTフルード(数千円〜3万円台)を惜しんでCVT本体(20〜40万円)になれば本末転倒です。ただし高走行・無交換の車両は自己判断で交換せず、必ず診断を受けてください
次に読むべき記事
- 修理か売却かを判断する: タント(L375S)を直すか手放すか|軽自動車には「3月31日の壁」があります
- N-BOX年間維持費と比較する: N-BOX(JF1/JF2)の年間維持費を実計算する|13年超えると年間いくらか
この記事について
- 本記事は、筆者の実際の家計記録ではありません。公開されている実燃費データ(オーナー実測の集計値)、保険料の統計、税制度、車検費用の相場を組み合わせて試算したものです
- 試算条件: 年間走行8,000km、ガソリン170円/L、任意保険は軽自動車の平均値、駐車場代は含まず。条件が変われば結果は大きく変わります
- 実燃費(NA 17〜19km/L、ターボ約13.9km/L)はオーナー実測の参考値です。個体差・使用状況で大きく変動します
- 任意保険の平均値(約51,000円)は損害保険料率算出機構「2025年度 自動車保険の概況」に基づく統計値であり、個別の保険料を示すものではありません
- 税額は2026年8月時点の制度に基づきます。 税制改正により変動します
- 車検費用・メンテナンス費は出典により幅が大きいため、レンジで記載しています
- 最終確認日: 2026年8月22日
出典
- SpecTank「タントの税金と保険 [DBA-L375S]」 https://spectank.jp/tax/006102472.html
- navikuru「軽自動車の税金は13年で高くなる!早見表でわかる税額と買い替えタイミング」 https://www.navikuru.jp/articles/knowledges/573/
- tax.salalive.com「タントの維持費は年間18万〜28万円。どんな出費がある?【2024年版の計算結果】」 https://tax.salalive.com/car/post/car-line-maintenance-cost-daihatsu-tanto/
- ピットラボ「【2026年版】軽自動車の車検費用はどれくらい?」 https://carbits.jp/media/kei-shaken-hiyou/
- smile-cars「車検費用の相場はいくら?【2026年最新】」 https://smile-cars.jp/car-media/car-inspection-cost/
- e燃費「ダイハツ タント カスタムRS 2012年登録(660cc L375S CVT FF レギュラー ターボ)の燃費」 https://www.e-nenpi.com/enenpi/cartype/10854
- e燃費「ダイハツ タント 2007年登録(660cc L375S CVT FF レギュラー ターボ)の燃費」 https://e-nenpi.com/enenpi/cartype/8884
- ryokuno.com「タント(L375S)のインプレッション(一般道・高速・ワインディング・燃費)」 https://ryokuno.com/Mira-es_Premacy/tanto/impression/322
- おとなの自動車保険「軽自動車の維持費は普通車より安い?年間費用の内訳」 https://www.sompo-direct.co.jp/otona/oshiete/car/light-car-maintenance-cost.html
- ハイシャル「13年・18年経過の自動車税・重量税はいくら?【2026年版】」 https://haishall.jp/column/other/13year-18year-over-automobile-tax/
