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自社ローンの注意点:中古車の契約前に書面で確かめる項目

2026年10月30日更新

「自社ローン」は通称で、割賦販売法・同施行令・同施行規則の本文には出てきません。このページは、サインの前に契約書面で何を確かめるかを、法令・公的機関・業界団体の資料に沿って並べたチェックリストです。

まず前提:自社ローンは法令上どう扱われるか

このページでは、販売店と購入者の2者で結ぶ分割払いを自社ローンと呼びます。

割賦販売法は、代金を2か月以上の期間にわたり、かつ3回以上に分割して受領することを条件に指定商品を販売することを「割賦販売」と定めています(2条1項1号)。自動車は、施行令の別表第一37号に「自動車及び自動二輪車」として掲げられ、所有権留保の推定(7条)の対象に含まれます。

信販会社が代金を立て替えるオートローンは別の規定で扱われ、どちらの契約かで当てはまる条文が変わります。違いは別のガイドにまとめています。 自社ローンの仕組み:オートローン・銀行ローンと何が違うのか →

営業のために・営業として結ぶ契約には、割賦販売法の割賦販売の章が適用されません(8条1号)。事業用に買う場合は、当てはまるかを別に確かめてください。このページは個人が自分用に買う場合を前提にしています。

自動車の購入にクーリング・オフは原則ない

特定商取引法は、自動車(二輪のものを除く)の訪問販売・電話勧誘販売については、クーリング・オフの規定(9条・24条)を適用しないとしています。販売条件の交渉が相当の期間にわたって行われるのが通常の商品、という趣旨です。

信販会社の契約でも同様で、自動車(二輪を除く)の訪問販売・電話勧誘販売に係る個別信用購入あっせんには、申込みの撤回等(35条の3の10)の規定が適用されません。

消費者庁のパンフレットも、「店舗での買い物」と「自動車販売の契約」を、クーリング・オフできない取引・契約として示しています。店舗で申込みをする通常の購入は、訪問販売のクーリング・オフの対象にもなりません。

JU中販連は、注文書にサインをしたら原則として解約はできないと考えて慎重に行動するよう呼びかけています。契約の成立時期は特約で定められていることもあるため、特約事項で確かめてください。

解約に関する件の比率は、中古車販売のトラブルの中で高いとも説明されています(比率の数値は示されていません)。

契約書面で確かめる項目

自社ローン(割賦販売にあたるもの。以下、自社割賦)では、法令が契約書面に載せる事項を定めています。見積書や注文書を前に、次の項目が書かれているかを一つずつ見てください。書かれていなければ、サインの前に店に聞きます。

支払い方法(現金・立替払い・ローン提携)も、契約書に明記してもらうよう、JU中販連(日本中古自動車販売協会連合会)は案内しています。

信販会社が立て替える契約では、読む書面が変わります。販売業者が契約後に交付する書面には、購入者の支払総額・各回の支払分の額・支払の時期と方法を記載することとされています。「月々いくら」だけでなく、支払総額の欄を必ず見てください。

総額の見方は、別のガイドで整理しています。 中古車の「支払総額」とローンで払う総額は別物 →

クレジット販売では、信販会社の承諾を得る前に、登録・修理・架装などを依頼するかどうかを取り決めておくよう、JU中販連は案内しています。

  • 契約書の当事者欄: 販売店だけか、保証会社・信販会社も入っているか
  • 頭金または初回金の額(カード等を使う方式は記載を省略できます)
  • 賦払金(分割して払う各回の金額)の支払回数
  • 割賦販売価格(契約書面に記載する項目の一つです)
  • 賦払金の支払の時期と方法
  • 商品(車)の引渡時期
  • 契約の解除に関する事項
  • 所有権の移転に関する定めがあるときは、その内容
  • 支払いが遅れた場合の損害賠償額の予定・違約金の定めがあるときは、その内容
  • 車が契約の内容に合わない場合の責任についての定めがあるときは、その内容
  • 契約について問合せ・相談ができる機関の名称と、住所または電話番号
  • 特約事項:契約の成立の時期や、申込金・手付金の性格が定められていることがあるので、よく読む
  • 保証人を付けるなら、保証契約は書面でなければ効力がありません(電磁的記録による場合は書面とみなされます)。誰が保証人になれるかは、確認できた公的資料には一般則が見当たらないため、店・会社に確かめます。
  • 契約の条件として付けるもの(GPS機器・保証・車検など)があるか、その費用はいくらで、車両価格に含まれるのか別なのか
  • 返品・キャンセルの扱い(キャンセル料の有無と額)
  • 信用情報機関への照会・登録の有無を、書面で

所有権と、完済までの売却

車検証では所有者欄と使用者欄が分かれます。信販会社や販売店が所有権を持つ形は「所有権留保」と呼ばれます(国土交通省の手続きマニュアルの区分)。

所有権の定めがある契約書面について、施行規則は、所有権の移転の時期が明示されていること、移転前は購入者が車を担保に入れたり、譲渡・転売したりできない旨が定められていることを基準にしています。契約書面で、所有権がいつ移るか、移る前は売れない旨の定めがあるかを確かめます。

クレジット契約(立替払付販売)の場合、所有権留保中は、クレジット会社の同意なしに売却できないとJU中販連は説明しています。

完済後の名義変更は、信販会社の例(オリコ)では、支払い完了後に所有者名義を顧客へ移転登録する手続きができると案内されています。自社ローンの販売店での扱いは、確認できた公的資料に定めがなく、契約前に店へ確かめます。

保証・整備・車両の状態は書面と店頭表示を突き合わせる

ここで述べる展示車の表示は、公取協(自動車公正取引協議会)の規約の適用を受ける事業者の表示です。保証の費用が車両価格に含まれる場合は「保証付き」、それ以外は「保証なし」と表示され、「保証付き」なら保証内容と、保証期間または保証走行距離も表示されます。全店の義務とは書かれていません。

定期点検整備は、納車時までに実施して販売する場合は「定期点検整備付き」、実施しない場合は「定期点検整備なし」と表示されます。修復歴は、車体の骨格にあたる部位の修正・交換歴があると判断された場合に「有」と表示され、走行距離計が改ざんされている場合はその旨が表示されます。

保証や定期点検整備の実施が条件になっている場合、その費用は諸費用として別請求にできず、車両価格に含めて表示することとされています(規約の適用を受ける事業者)。

JU中販連は、保証の有無や定期点検整備の実施の有無を、価格表示板の表示と同じ内容で契約書面に明示してもらうよう案内しています。

支払いが遅れたときの法律上の扱い

自社割賦では、賦払金の支払いが滞っても、20日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、その期間内に払われないときでなければ、遅れを理由に契約の解除や、期限が来ていない分の請求はできません。これに反する特約は無効です。

信販会社のオートローン(個別信用購入あっせん)にも、20日以上の相当な期間を定めた書面での催告の規定があり、これに反する特約は無効です。

車の引き揚げやエンジンの停止、GPSの装着を自社ローンの実態として直接定めた資料は、消費者庁・国民生活センター・国土交通省・公取協の公式資料の範囲では、編集部の調べで確認できていません。上の催告のルールは法律に書かれた手続きの話で、実際の運用を保証するものではありません。

遅れた場合の連絡の方法、猶予、車の扱いは、契約書面と店の説明で個別に確かめる項目として扱います。

契約を解除したり遅れが続いたりした場合でも、違約金の定めがあるからといって、いくらでも請求できるわけではありません。次の上限は、販売店が自分で受け取る割賦販売(自社割賦)に当てはまる規定です。信販会社の契約の上限は別の規定で、このページでは扱いません。

  • 契約を解除して車が返還された場合:車の通常の使用料相当額に、法定利率の遅延損害金を加えた額まで。割賦販売価格から返還時の価額を引いた額が使用料を超えるときは、その額が基準になります。
  • 契約を解除せず支払いが滞った場合:割賦販売価格から支払済みの賦払金を引いた額に、法定利率の遅延損害金を加えた額まで
  • 契約を解除して車が返還されない場合:割賦販売価格に相当する額まで

国民生活センターの相談の傾向と、困ったときの相談先

国民生活センターのPIO-NET(全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース)に登録された「中古自動車」の相談件数は、2023年度が9,034件、2024年度が7,059件、2025年度が8,642件でした(2026年5月31日現在の登録分。消費生活センター等からの経由相談は含まない)。

この件数は購入と売却の両方を含み、ローンや自社ローンの相談に限りません。2026年度は4〜5月の年度途中の861件(前年同期は897件)で、年間の件数とは比べられません。

傾向としては、購入の際のキャンセルトラブルと、購入した車の品質に関するトラブルがみられるとされています。自社ローン・分割払いに絞った事例や注意喚起は、編集部の調べでは同ページに見当たりませんでした。

同ページの事例には、納車が遅れて解約したら契約書記載のキャンセル料が高額だったというものがあります。キャンセル料の定めは、契約書面の確認項目に入れておく価値があります(事例であり、件数や割合ではありません)。

消費者庁は、事前に契約書を確認すること、トラブルになったときは消費生活センター等や業界団体の相談窓口に相談することを呼びかけています。消費者ホットライン「188」は、最寄りの消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号です。

商品が届かない場合の申し出先は、2者間契約なら販売店(民法の同時履行の抗弁権で「納品まで払わない」と主張)、3者間契約ならクレジット会社(支払停止の抗弁)です(日本クレジット協会のQ&Aの例)。個別方式で支払総額が政令で定める金額未満の場合は、支払停止の抗弁は適用されません。

確かめる項目が分かったら、次は大阪府の店舗の条件を同じ物差しで比べる段階です。 大阪府で自社ローンを扱う中古車販売店 →

よくある質問

自社ローンで契約した車に、クーリング・オフは使えますか。

自動車(二輪を除く)の訪問販売・電話勧誘販売については、特定商取引法のクーリング・オフの規定が適用されないとされ、消費者庁のパンフレットも「自動車販売の契約」をクーリング・オフできない契約として示しています。契約前の書面の確認が大切です。

支払いが遅れたら、すぐ契約を解除されますか。

自社割賦では、20日以上の相当な期間を定めた書面での催告をして、その期間内に払われないときでなければ、遅れを理由とした解除や期限未到来分の請求はできないと割賦販売法に定められています。信販会社の契約にも同様の催告の規定があります。

出典と確認日