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中古車の「支払総額」とローンで払う総額は別物

2026年10月30日更新

中古車の値札にある「支払総額」は、車両価格に諸費用を足した現金ベースの金額です。分割で最後まで払う総額は、手数料を含む割賦販売価格など、別の金額になります。このページでは、その違いと、月々の額だけで比べない理由を整理します。

値札の「支払総額」は現金で買うときの総額

中古車の値札や広告にある「支払総額」は、車両価格に諸費用を加えた金額です。公取協(自動車公正取引協議会)の規約は、2023年10月1日施行の改正で、中古車の販売価格をこの「支払総額」の名称で表示する形に変えました。

広告、店頭の展示車、注文書など、すべての販売価格が対象です。内訳として「車両価格」と「諸費用の額」も示します。

この支払総額は、販売店の管轄の運輸支局などで登録し、店頭で納車する場合の価格です。県外での登録、店頭以外への納車、希望して付けるオプションは別に費用がかかります。

つまり値札の支払総額は、現金で買うときの総額の目安です。ローンで分割したときに最後までに払う金額を表すものではありません。

含まれる費用と、含まれない費用

公取協の説明では、支払総額に入る諸費用は「保険料」「税金」「登録等に伴う費用(登録等の手続代行費用)」です。これらを含まない支払総額は表示できません。

一方、購入者によって要るかどうかが違う費用は入りません。見積書で、次の表のどちらに当たる項目かを確かめられます。

区分主な項目(公取協の説明)
含まれる自賠責保険料(月割)、自動車重量税、自動車税(月割)、車庫証明・検査登録の証紙/印紙代、登録等の手続代行費用(書類作成費用を除く)、リサイクル預託金相当額(車両価格に含めない場合)
含まれない任意保険料、希望ナンバー申請費用、下取車の諸手続代行費用・査定料、管轄外の登録費用、納車費用

諸費用として別に請求できないもの

公取協は、名称を問わず、納車前の車内清掃・洗車・クリーニング・ワックスがけなどの納車準備費用を、諸費用として請求できないとしています。これらは車両価格に含めて表示します。

納車点検費用や納車整備費用(納車前の点検、オイルやバッテリーの交換などの軽整備)も同じです。「土日祝納車費用」「販売手数料」「オークション陸送費」「広告掲載料」なども、本来は車両価格に含まれるべきものとされています。

必ず付けて販売する保証や定期点検整備の費用も、諸費用としては請求できません。メンテナンスパックなどのオプションについて、公取協の規約の支払総額の表示についての決まりでは、買うかどうかは購入者が選べるものとされ、販売の条件にはできないとされています。

諸費用を含まない「支払総額」を出すと、表示の価格で買えない「不当な価格表示」(規約違反)に当たります。見積書にこうした名目が並んでいたら、内訳を店に確かめてください。

分割にすると「支払総額」は別の意味にもなる

この記事では、値札の支払総額を「現金の支払総額」、分割で最後まで払う額を「分割の総額」と呼び分けます。分割払いの話になると、同じ「支払総額」でも意味が変わるためです。

このページでは、販売店と購入者の2者で結ぶ分割払いを自社ローンと呼びます。 自社ローンの仕組み:オートローン・銀行ローンと何が違うのか →

販売店との分割払いが割賦販売法の割賦販売にあたる場合は、次のような書面の決まりがあります。

この割賦販売では、販売業者は現金販売価格、割賦販売価格、支払の期間と回数、手数料の料率を購入者に示さなければなりません。法律の「割賦販売価格」は、分割払いで売る場合の価格です。

信販会社が代金を立て替える形(個別信用購入あっせん)では、法律上の「支払総額」は、販売の価格と手数料の合計額です。公取協の「支払総額」(車両価格+諸費用)とは別の定義です。

公取協の表示例では、分割分の総額は「割賦支払総額」という別の項目で、現金ベースの「支払総額」と並べて書かれます。

分割払いにかかる手数料は、金利だけではありません。信用調査費、集金費、事務管理費、貸倒補てん費など、名義を問わず購入者に支払わせる手数料の総額が割賦手数料です。料率は年利建てで示す決まりで、公取協の表示例は「実質年率」と書いています。

月々の額だけでは総額が分からない

公取協は、支払総額(現金販売価格)を表示せず、割賦販売価格や割賦支払例だけを表示することはできないとしています。「支払総額」を表示せず月々の支払額を強調する表示は、問題となる例として挙げられています。

公取協の表示例でも、「月々のお支払い」のほかに、初回のお支払いやボーナス月の加算が別に書かれます。月々の額に回数を掛けただけでは、総額になりません。

同じ元金・同じ年利でも、回数や払い方が違えば総額は変わります。次の節は、1つの例として編集部が計算した試算です。実際の契約ではありません。

試算: 元金84万円を60回で払うと

仮定は、元金840,000円、実質年率3.9%、60回(5年)、毎月同額、ボーナス払いなし、月利=年利÷12の元利均等です。元金と年率は、公取協のパンフレットの表示例にある値に合わせました。実際の契約の手数料額や払い方とは別の、単純な計算です。

この計算は編集部算出です。公取協や法令が定めた数字ではありません。回数を変える、ボーナス月に加算する、初回を多くするといった払い方に変えれば、同じ元金と年率でも総額は変わります。月々の額だけで比べず、契約書面の総額で比べてください。

契約を結んだら、販売業者は遅滞なく、割賦販売価格、賦払金(各回の支払分)の額、支払の時期と方法などを書いた書面を購入者に渡します。信販会社を通す形でも、契約書面には支払総額、各回の支払分の額、支払の時期と方法が記載されます。

項目金額
元金(仮定。公取協の表示例と同じ値)840,000円
実質年率(仮定。公取協の表示例と同じ値)3.9%
毎月の額(編集部の算出。式: 840,000×r÷(1−(1+r)^−60)、r=0.039÷12、円未満四捨五入)15,432円
60回の合計(編集部の算出。式: 15,432×60)925,920円
合計から元金を引いた額(編集部の算出。式: 925,920−840,000。この仮定での手数料相当額)85,920円

契約の前に見積書と契約書面で確かめること

見る順は次のとおりです。まず値札の支払総額と、車両価格・諸費用の内訳。次に、分割の総額と手数料の料率、回数、支払の時期。最後に、月々の額以外の払い(初回、ボーナス月の加算)です。

契約書面で確かめることは、チェックリストにまとめています。 自社ローンの注意点:中古車の契約前に書面で確かめる項目 →

  • 現金の支払総額の内訳に、納車準備費や納車整備費の名目が別に載っていないか。
  • 管轄外の登録、納車先の指定、オプションなど、支払総額の外の費用が別にないか。
  • 分割の総額(割賦販売価格または支払総額)が、書面に金額で書かれているか。
  • 手数料の料率が年利建てで示されているか。信用調査費や事務管理費などが別名目で足されていないか。
  • 月々の額のほかに、初回や、ボーナス月の加算がないか。

規約の範囲と、制度の古い記述に注意

公取協の規約は、業界が自主的に設定したルールで、景品表示法に基づき消費者庁・公正取引委員会が認定したものです。公取協は会員事業者に支払総額表示への対応を求めています。編集部の調べでは、法律ですべての販売店に義務づけたものとは確認できていません。規約の適用を受ける事業者かどうかは、店に確かめてください。

環境性能割は2026年3月末で廃止されました。公取協も、資料中の環境性能割の記載を削除するよう会員に通知しています。公取協の2023年10月版パンフレットの諸費用の表には環境性能割が載っていますが、現在は含まれません。

大阪府で中古車ローンを扱う店の条件は、大阪府の店舗の比較ページで並べて確認できます。 大阪府で自社ローンを扱う中古車販売店 →

よくある質問

値札の「支払総額」に、ローンの手数料は入っていますか。

入っていません。公取協の支払総額は、車両価格に保険料・税金・登録等の費用を加えた、店頭納車の現金ベースの価格です。分割の手数料は、割賦販売価格などの別の金額に出ます。

「義務化」は、すべての中古車販売店に法律で義務づけられたのですか。

公取協の規約は業界の自主ルール(景品表示法に基づき認定)で、公取協は会員事業者に対応を求めています。編集部の調べでは、法律ですべての販売店に義務づけたものとは確認できていません。

環境性能割は、いまの支払総額に入りますか。

入りません。環境性能割は2026年3月末で廃止され、公取協も資料の記載を削除するよう会員に通知しています。

出典と確認日