MASTER / LOGICAL THINKING
仕事ができる人は、何を考えるべきかを先に決める
「売上が下がった」から、意思決定につながる論点を立てる
約28分実務基礎演習 4問講義をはじめる
※ 本レッスンに登場する「ミドリ生活ストア」と売上などの数値は、学習用の架空の会社・架空のデータです。
この講義でできるようになること
- 現象・問題・課題・論点・仮説の違いを、具体例で区別できる
- 意思決定者の目的に沿って、答えがわかれば次の判断ができる主要論点を立てられる
- 論点を要素に分解し、論点ごとに必要なデータと優先順位を選べる
00:00 / 12:53
1第1章会議で案だけが増える
Space 再生/停止・← → 10秒移動・N / P で章を移動・C で字幕。右の「文字で読む」で、話している内容を文字で追えます。
演習:手を動かして確かめる
講義を見終えたら取り組みましょう。入力した内容はこの画面の中で使うだけで、どこにも送信されません。
依頼A・依頼Bそれぞれについて、主要な論点を1つずつ、問いの形で書いてください。
論点整理シート
- 目的:この分析は、誰が、何の判断に使うか?(いつまでに)
- 観測事実:何が起きているか?比較の基準は何か?(前月・目標・前年 など)
- 主要論点:答えがわかれば次の判断ができる問いは何か?
- 仮説:論点ごとの暫定的な説明は何か?(断定していないか)
- 必要情報:仮説を確かめるために、どのデータを見るか?
- 判断条件:どんな結果が出たら、どの行動を選ぶか?
次に学ぶなら
テキストで読む(文字起こし)
第1章 会議で案だけが増える
ミドリ生活ストアの売り上げが先月1000万円から今月900万円に減りました 会議で出たのは広告を増やそう、値引きをしよう、新商品を出そうという案ばかり ところが最後に部長がこう聞きました で、今日は何を決めればいいんだっけ? 誰も答えられません 考える力がないからではありません 何を考えるべきかを決める前に考え始めたからです 今回の講義で身につけるのは答えを思いつく速さではなく 答えるべき問いを設計する力です 言葉を一つ覚えましょう 論点 論点とは答えがわかれば次の判断や行動ができる問いです なんとなく気になることではなく意思決定を前に進めるための問い これが今日の主役です
第2章 目的が違えば、答える問いが変わる
同じ売上減少でも目的は一つではありません 依頼Aは原因を把握したい 必要なのはどの要素がどれだけ変化したかです 依頼Bは来月までに改善施策を選びたい 必要なのは期限内に実行でき 効果が期待できる施策の比較です 依頼Cは来年度の成長方針を考えたい 短期の変動だけでなく市場や顧客、収益構造を確かめます もしBの依頼に数ヶ月かけて完全な原因分析だけを返したら 分析として丁寧でも仕事の答えにはなっていません 開始時に確認するのは誰が、何の判断に、いつまでに使うのか 思考を広げる前にこの3つを言葉にします 演習です 依頼Aと依頼Bに対して主要論点をそれぞれ1つ疑問文で書いてください 売上をどうするかでは広すぎます 誰のいつの判断に使う問いかを意識します 回答例 Aなら、先月から今月にかけて売上減少への寄与が最も大きかった要素は何か Bなら、来月実行可能な施策のうち、見込まれる増分利益と実行条件から何を優先すべきか どちらも売上の話ですが、答え方は異なります 問いが変われば調べるデータも変わります
第3章 良い論点・悪い論点
ここで混同しやすい言葉を整理します 売上900万円は現象 目標950万円に対して50万円不足は問題 来月までに収益性を保ちつつ不足を改善するは課題 そしてどの打ち手を優先するかが論点です 論点は問題そのものではなく問題に向き合うための問いです 広告が悪いはまだ仮説 仮説からいきなり施策へ飛ぶと確認すべき前提を見失います 良くない問いには2つのパターンがあります 何がダメだったのように広すぎて終点がない問い そして広告費を倍にすべきのように 原因や選択肢を調べる前から 特定の手段を前提にする問いです もちろん広告費の増額を比較する段階なら 後者が必要なこともあります 重要なのは順番 まず意思決定の選択肢を見極め その後に具体策を比較します 良い論点には目的対象範囲期限があり 答えが出た時の次の行動が見えます 依頼Bに最も合う主要論点を選び なぜ残り2つでは不十分なのかを考えてください 中心になるのはBです Aは原因を決めつけ Cは参考調査であって判断そのものではありません もちろんBに答えるために 広告データや競合施策を見ることはあります 主要論点とその下にぶら下がる調査項目は区別しましょう
第4章 論点を分解する
何を優先すべきかは大きな問いです 手を動かすには確かめられる小さな問いに分けます 売上は購入者数と客単価に分解できます 購入者数は訪問数と購入率に分けて考えられます ここでは理解しやすいよう 1訪問に対する購入者数を購入率として扱います 実務では訪問とユーザー 注文と購入者などの定義を統一してください 仮に先月は1万訪問 購入率4% 客単価2万5千円 売上は1000万円です 今月は9000訪問で 他は同じなら900万円 まず訪問数の減少が 数字上の主因だと整理できます ただし訪問数がなぜ減ったのかは別問題です 訪問数を広告、自然検索、SNSなどの経路で 客単価を商品構成や購入点数などで分ければ 必要な調査が見えてきます 分解の狙いは図を複雑にすることではなく どの数字を確かめれば判断が前進するかを 明確にすることです
第5章 仮説を立てて、必要なデータを決める
論点を分解すると仮説が立てられます 広告経由の訪問数が減少しているのではないか 仮説は暫定的な説明であって証拠ではありません 確かめるにはチャンネル別訪問数、広告配信量、購入率を見ます 広告経由の訪問が減っていたとしても広告の運用ミスと断定はできません 予算変更、季節要因、計測方法の変更なども考えられるからです 検証では、支持された、支持されなかった、まだ判断できない、を区別します 外れた仮説からも、次に調べる範囲が絞れます 会議の断定を確かめられる仮説に直してください 合わせて、どの数字を見て、どんな結果なら仮説を見直すかまで考えます 回答例です 広告経由の訪問数の減少が、全体の売上減少に大きく寄与したのではないか 確認データは、経路別訪問数、経路別購入率、広告費、配信量です 広告経由の訪問数が減っていない または減少寄与が小さいなら この仮説を修正します 仮説に反証条件を持たせると 都合の良いデータだけを集めにくくなります
第6章 問いを磨く・まとめ
すべてを同時に調べる時間はありません 優先順位は重要度、不確実性、検証コストで考えます 結論に大きく影響しまだわからず早く確かめられることから着手します 例えば集計済みの経路別訪問数は早く確認できるかもしれません 一方、顧客インタビューは有益でも時間がかかります ただし、安く検証できるだけで重要度の低いことを選ばないようにします 問いを磨く際は目的、範囲、期間を明示します どうしたら売上が上がる? よりも 来月の利益水準を維持しながら減少した売上を補うために 実行可能な施策を何から始めるべきかの方が 次の判断が明確です 最後の演習です 曖昧な問いを上司が答えを受け取って 行動を決められる問いに書き換えてください いつまでにどの範囲で何を判断するために を必ず入れます 例えば次月末までに粗利を大きく損なわず 売上目標との差を縮めるには これは既存顧客への再購入施策と広告改善のどちらを優先すべきか 前提条件によってもっといい問いも作れます 大切なのは正解の文を暗記することではなく 意思決定から逆算して問いを設計することです 仕事ができる人は考える前に何を決めるための仕事かを確かめます 問題を定義し目的を合わせ論点を立て分解し仮説と検証へ進む 順番を守るとアイデアは思いつきではなく選択肢になります 次の講座では今日立てた仮説をどうすれば正しく確かめられるかを深掘りします
