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お金・資産|家計

保険の見直しの判断基準|家計の面から見て「削る・残す・替える」を保障の種類ごとに分ける

保険料が重い。でも、削ってよいのかが分からない。そう感じたとき、「保険」をひとかたまりで考えると、判断が動きません。

医療、死亡、働けない間。保障の種類によって、公的保障がどこまで埋めてくれるかも、失ったときに困る度合いも違います。このページは、保障の種類ごとに「自分の公的保障で埋まる分」と「失うと困る分」を分け、削る・残す・替える・保留のどれにするかを自分で決めるための考え方をまとめたものです。特定の保険商品や保険会社、相談サービスは取り上げません。

最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部

この記事で分かること

  1. 1保険は保障の種類(医療・死亡・働けない間)ごとに、公的保障で埋まる分と失うと困る分を分けて判断する
  2. 2公的保障は職業で違い、高額療養費は2026年8月に改定された
  3. 3削る前に、解約以外の選択肢と入り直せるかを確かめ、解約は最後にする

保険の見直しは「保険」ではなく「保障の種類」ごとに決める

結論は、重いから削る、ではなく、保障の種類ごとに分けて決めること。そして、解約は最後にすることです。判断の流れは次のとおりです。

  1. 入っている契約を並べ、保障の種類ごとの年額にそろえる
  2. 自分の公的保障を知る(職業で変わる)
  3. 種類ごとに、削る・残す・替える・保留のどれかを決める
  4. 解約の前に、解約以外の選択肢と入り直せるかを確かめる

出口は4つです。

  • 削る: 公的保障や貯蓄で埋まる、または重なっている部分を減らす(減額・特約の解約を含む)
  • 残す: 足りていて、今のままでよい
  • 替える: 水準を下げたい、または形を変えたい(払済・延長・転換・乗換え)
  • 保留: 入り直せない恐れがあるなど、今は決めない

保険以外の固定費も含めて、どこから手を付けるかを決めたいときは、保険以外の固定費も含めて、見直す順番を決めるを先に見てください。保険は固定費の1項目にすぎません。なお、このページの内容は考え方であり、個別の助言ではありません。数字は読者それぞれの職業・家族・年収区分で変わります。

見直しを考えるきっかけと、先にそろえる契約の一覧

見直しを考える時期は、次のようなきっかけが来たときです。きっかけが無ければ、家計を点検するときでかまいません。

  • 結婚・出産・住宅の購入・子の独立
  • 収入が変わったとき
  • 保険の更新の案内が来たとき、払込みが満了するとき
  • 保険料が重いと感じたとき

最初にすることは、今の契約を一覧にすることです。

  • 保障の種類(医療・死亡・働けない間・貯蓄性のもの)
  • 保障の期間
  • 保険料(払込みの回数に応じて、年額に直す)
  • 付いている特約
  • 更新や払込満了の時期

年額の出し方は、1回の保険料に年の払込み回数をかけるだけです(月払いなら12をかける)。貯蓄性のある保険は、保障とは別の目的として分けて並べます。

先に決める条件: 自分の公的保障は職業で違う

同じ「働けない間」でも、会社員等(被用者保険)と自営業等(国民健康保険・国民年金)では、公的保障が違います。

保障会社員等(被用者保険)自営業等(国民健康保険・国民年金)
病気やケガで働けない間傷病手当金(協会けんぽの場合、支給開始日から通算1年6か月)国保の傷病手当金は、保険者が条例・規約で定めれば行える給付。実施の有無・要件・額は保険者ごと
亡くなったとき遺族基礎年金に加え、遺族厚生年金遺族基礎年金(対象は子のある配偶者または子)
障害を負ったとき障害基礎年金に加え、障害厚生年金障害基礎年金

数字を確かめます。

  • 傷病手当金(協会けんぽ): 待期は連続して3日間で、4日目以降が支給対象です。1日の額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30で割り、3分の2をかけます。被保険者期間が12か月未満の場合は計算方法が異なります(支給開始日が令和7年4月1日以降は、全被保険者の平均額32万円との低い方など)。勤め先の健康保険が協会けんぽ以外のときは、加入先で確かめてください
  • 国保の傷病手当金: 「一般に対象外」と決めつけず、自分の市町村や国保組合に実施の有無を確かめます
  • 遺族基礎年金(令和8年度): 年額847,300円に、子の加算が付きます(昭和31年4月1日以前生まれは844,900円)。対象は子のある配偶者または子です。子の加算は1人目・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です。子のある配偶者が受け取る額は、子1人で年1,091,100円、子2人で年1,334,900円になります(編集部算出。公表値ではありません)
  • 遺族厚生年金: 亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4です。加入期間が300月未満でも、在職中の死亡などの要件では300月とみなして計算します。夫の死亡時に妻が40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子がいない場合などには、中高齢寡婦加算(令和8年度、年額635,500円)が付きます
  • 障害基礎年金(令和8年度・70歳以下): 1級が年1,059,125円、2級が年847,300円です。会社員・公務員は障害厚生年金も加わります

出典: 全国健康保険協会「傷病手当金」、厚生労働省「国民健康保険制度の概要(令和6年度末時点)」、日本年金機構「遺族年金ガイド 令和8年度版」、生命保険文化センター「働けなくなったときなどの公的保障(傷病手当金、障害年金)について」(いずれも2026年10月26日取得)

医療: 高額療養費の後に残る自己負担で判断する

医療保障を判断するときは、医療費の総額ではなく、高額療養費のあとに残る自己負担で見ます。月の上限は、令和8年(2026年)8月診療分から変わりました。次の表は、70歳未満・令和8年8月〜令和9年7月診療分の上限です。

年収区分(目安)月の上限(世帯)多数回該当(4か月目以降)年間上限(8月〜翌7月)
約1,160万円〜270,300円+(医療費−901,000円)×1%140,100円1,680,000円
約770〜約1,160万円179,100円+(医療費−597,000円)×1%93,000円1,110,000円
約370〜約770万円85,800円+(医療費−286,000円)×1%44,400円530,000円
〜約370万円61,500円44,400円530,000円
住民税非課税36,900円24,600円290,000円

見方は次のとおりです。

  • 年間上限は、令和8年8月以降に新設されました。改定前は年間上限がありません
  • 多数回該当は、直近12か月に3回以上該当したあとの4か月目以降の額です
  • 自分の区分は、健康保険なら標準報酬月額が目安になります。国保など加入先によって異なるので、加入先で確かめてください

制度の改定は続きます。令和9年(2027年)8月から、所得区分が細分化されます(例: 年収約370〜約510万円は85,800円+(医療費−286,000円)×1%、約260〜約370万円は69,600円、約200〜約260万円は65,400円)。上の表は令和9年7月診療分までの値です。

古い例に注意してください。 金融庁(監修: 厚生労働省)のリーフレット「民間保険加入のご検討にあたって」(作成2022年3月)は、改定前の例を載せています。年収約370〜約770万円の区分の改定前の式は「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」(令和8年7月診療分まで)です。同じ医療費100万円・3割負担・年収約370〜約770万円の区分で、令和8年8月前後の上限の差は5,510円です(編集部算出。令和9年7月診療分までの条件)。式の定額部分と控除額が違うので、医療費が変わると差も変わります。

世帯合算は、70歳未満の場合、1つの医療機関あたりの自己負担が21,000円以上のものだけが対象です。また、保険外併用療養費の差額部分・入院時食事療養費・入院時生活療養費の自己負担額は、高額療養費の対象になりません。勤務先の健康保険組合は、規約で定めれば法定の給付に加えてその他の給付(付加給付)を行えます。実施の有無も額も組合ごとなので、勤務先の健保組合の規約で確認してください。協会けんぽの案内には付加給付の記載がありません。

判断の問いは1つです。入院で残る自己負担を、貯蓄で払えるか。 払えるなら、医療保障は削る候補です。払えないなら、残す側で考えます。

出典: 厚生労働省「高額療養費制度の概要」(PDF)、同「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)、全国健康保険協会「高額療養費」、金融庁「民間保険加入のご検討にあたって」(PDF)、厚生労働省(法令データ)「健康保険法」第53条、生命保険文化センター「入院費用(自己負担額)はどれくらい?」(いずれも2026年10月26日取得)

死亡と働けない間: 公的保障を引いた不足で判断する

死亡保障は、必要保障額で考えます。式は「必要保障額=支出見込額−収入見込額」で、公的保障(遺族年金など)は収入見込みに含めます。家族構成と職業で大きく変わります。遺族基礎年金の対象(子のある配偶者・子)かどうかで、収入見込みも支出見込みも変わるので、まず前の節の表で自分の公的保障を確かめてください。

ほかの保障も確かめます。住宅ローンの団体信用生命保険(団信)は、例えばフラット35の新機構団信では、死亡・所定の身体障害状態などで以後の返済が不要になる生命保険です。自分のローンの団信の内容は、借入先で確かめてください。勤務先の福利厚生など、ほかに加入している保障が無いかも見ておきます。

働けない間の保障は、前の節の表を使います。傷病手当金の期間と式、国保の場合は市町村などへの確認、障害年金の範囲を見て、公的保障だけでは足りない分があるかを考えます。

保障公的保障が効く程度失う条件判断の問い
医療高額療養費で月・年の上限がある保険外の費用は対象外のものがある残る自己負担を貯蓄で払えるか
死亡遺族年金(職業・子の有無で変わる)家族の生活費が収入見込みで足りない支出見込額−収入見込額はいくらか
働けない間傷病手当金(会社員等)・障害年金国保は保険者ごと。期間に限りがある収入が止まったとき、公的保障と貯蓄でどの水準まで持つか

「どの水準まで持つか」は、月数の目安を決めずに、自分の支出と貯蓄で数えます。

出典: 生命保険文化センター「万一の際に必要な保障額の算出方法と具体例」、住宅金融支援機構【フラット35】「新機構団体信用生命保険制度」(いずれも2026年10月26日取得)

「入りすぎ」を家計で見る: 重さは保障の種類ごとの年額で

保険料の重さは、収入の何%という目安では測れません。収入に対する割合の目安は、出所を確認できるものが見つからなかったため、このページには載せません。代わりに、契約の保険料を保障の種類ごとに年額で並べ、その保障が埋める自己負担と比べます。

状況出口
公的保障や貯蓄で埋まる削る(減額・特約の解約を含む)
別の契約や特約と保障が重なっている削る(重なる部分を減額・特約の解約で外す)
年齢・健康状態から入り直せない恐れがある保留(解約を急がない)
保障の水準を下げたい、形を変えたい替える(払済・延長・転換・乗換え。詳しくは次の節)
足りていて、今のままでよい残す

出典: 生命保険文化センター「生命保険の保険料は年間どれくらい払っている?」(2026年10月26日取得)

削る前に確かめること: 解約は最後、入り直せない可能性、乗換えの不利益

解約は、もとに戻せません。解約より先に、解約以外の選択肢を出口の4つと照らして確かめます。ここに書くのは生命保険一般の説明です。医療保険や損害保険の特約の扱いは約款ごとに違うので、どれも契約先の約款で確かめてください。

削る

  • 減額: 主契約や特約の保障額を減らす方法で、保険料が安くなります。減額した部分は解約扱いです(解約返戻金が出る場合があります)。保険会社が定めた最低金額を下回る減額はできない場合があります
  • 特約の解約: 付けている特約だけを解約する方法です。複数の特約があるときは、会社や特約の種類によって、ほかの特約も同時に解約が必要な場合があります

替える

  • 延長(定期)保険: 払込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、死亡保障のみの定期保険に変えます。特約は消えます。保険期間が短くなることがあり、解約返戻金が少ないときや保険の種類によっては変更できません
  • 払済保険: 払込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間はそのままで保障額の少ない保険に変えます。特約は消えます。個人年金保険料税制適格特約付きの個人年金保険は、契約後10年間は払済年金保険に変更できません
  • 転換: 同じ生命保険会社でのみ利用できます。告知(または診査)が必要で、保険料は転換時の年齢で決まります。保険種類によっては、予定利率が下がると保険料が上がる場合があります。貯蓄性のある保険から保障性の保険に転換すると、積立部分が減ることがあります
  • 乗換え: 契約年齢が上がって保険料が割高になる場合や、健康状態によっては新たに契約できない場合があります。旧契約と新契約で予定利率や予定死亡率が違うこともあります

保留

入り直せない可能性があるものは、家計が苦しくても保留にして、解約を急ぎません。新契約や転換契約にも、一般の契約と同様に告知義務があり、告知が必要な傷病歴などがあれば引受ができない場合があります。告知は、過去の傷病歴・現在の健康状態・身体の障がい状態・職業などを、ありのままに正確にもれなく知らせることです。故意または重大な過失による不告知・不実告知は、責任開始日から2年以内であれば、契約や特約を解除されることがあります。これは生命保険協会のガイドライン(平成26年4月1日改正)の記載例文に基づく説明で、実際の扱いは各社の約款が正本です。

乗換えの順番は、新しい契約の成立後に、解約の手続きをします。理由は、解約した保険をもとに戻せないためです。

乗換えと転換は、保険会社が「顧客に不利益になる可能性があること」を説明することが、金融庁の監督指針で確認項目になっています。読者は、その説明を受ける立場です。

  • この保障は、公的保障と貯蓄で埋まるか
  • 解約ではなく、減額・特約の解約・払済・延長で足りないか
  • 見直したあと、同じ条件で入り直せるか(年齢・健康状態・告知)
  • 乗換え・転換のとき、不利益になる点の説明を受けたか
  • 新しい契約の成立を確かめてから、解約の手続きをするか

出典: 生命保険文化センター「生命保険の契約にあたっての手引 その3」「保険料の負担軽減・払込の中止と契約の継続」「保険金の減額」「転換制度」、生命保険協会「正しい告知を受けるための対応に関するガイドライン」(PDF・平成26年4月1日)、金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針 II-4 業務の適切性」(いずれも2026年10月26日取得)

判断のあとに進むところ

決めたあとは、契約を変えたことで保険料が実際に下がったか、明細で確かめます。家計全体の次の見直し項目を選ぶときも、保険の判断が終わったところから進められます。

次にやること

  1. STEP 1見直したあと、保険料が本当に下がったかを明細で確かめる前後比較と3段階のチェックの手順
  2. STEP 2家計全体の中で次に見直す項目を選ぶ固定費・変動費の整理から見直しの順番を決める

出典

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