このページの要点
オーストラリアの公立高校は、学校ではなく州の教育省(または州の受入機関)に出願します。
- 出願先は州教育省(または州の受入機関)。西オーストラリア州は希望校を4校出して州が配置を決め、クイーンズランド州は学校を選んで直接申し込む。州で方式が違う。
- 2026年の公式学費は年A$15,880〜18,980(クイーンズランド・南オーストラリア・西オーストラリアの3州・学年別)。1豪ドル=110円で約175〜209万円。
- 18歳未満は保護(welfare)の承認がないとビザが出ない。主に学校が出すCAAWか、21歳以上の親族を指名するForm 157N(交換留学生はAASES)。ただし渡豪前に18歳になる場合は体制の用意が不要とされている。
オーストラリアの公立(州立)高校の留学は、私立のように学校へ直接出願するのではなく、州の教育省(または州の受入機関)に出願する仕組みです。西オーストラリア州は希望校を4校出して州が配置先を決め、南オーストラリア州も学校の割り当てを州が行います。クイーンズランド州は学校を選んで直接申し込めるなど、方式は州で違います。学費は州教育省が学年別に公表しており、2026年はクイーンズランド・南オーストラリア・西オーストラリアの3州で年A$15,880〜18,980。ただし英語準備コースや滞在費が学費に含まれるかは州で違い、単純な金額比較はできません。出願は開始の約3か月前が締切で、18歳未満は滞在と保護の体制が承認されないと学生ビザが下りません。この記事は各州教育省とオーストラリア内務省の公表資料だけを使って、出願先・公式学費・含まれる費目・保護の要件・学年ごとの入学回を順に確認します。
結論早見表:公立高校留学で先に決まる5つのこと
POINT
公立高校は「どの学校に行くか」より先に「どの州に出願するか」が決まります。学費・含まれる費目・英語支援の料金・入学回はすべて州単位で決まるためです。
オーストラリアの学校教育は州・特別地域ごとに所管されています。そのため公立高校の留学生受入れも州単位の制度で、学費も出願先も英語支援の料金も州で違います。まず全体像を早見表で確認してください。
公立高校留学で決まる5項目(出典: 各州教育省の公表資料。2026-10-31確認)
| 決まること | どこで決まるか | 本記事の該当章 |
|---|---|---|
| 出願先と学校の決まり方 | 州教育省(または州の受入機関)。西オーストラリア州・南オーストラリア州は州が配置を決め、クイーンズランド州は学校を選べる | H2「公立は州教育省に出願する」 |
| 授業料の額 | 州教育省が学年別に公表(2026年は年A$15,880〜18,980/3州) | H2「州ごとの公式学費」 |
| 学費に含まれる費目 | 州で違う。英語準備コースを内包する州と、別料金の州がある | H2「同じ学費でも含まれるものが違う」 |
| 出願の締切 | 州教育省が学期ごとに設定。開始の約3か月前が目安 | H2「出願締切は開始の約3か月前」 |
| 18歳未満の滞在・保護の体制 | オーストラリア内務省(ビザの要件)+学校または指名親族 | H2「18歳未満は保護の承認が必要」 |
本記事の州比較は、2026年の学費と費目の内訳を公式サイトで取得できたクイーンズランド州・南オーストラリア州・西オーストラリア州の3州に限定しています。ニューサウスウェールズ州(DE International)とビクトリア州(Study Victoria)は公式サイトの自動取得ができなかったため金額を掲載していません。8州・特別地域すべての代表値ではないため、志望州の公式サイトで必ず確認してください。
公立高校は「学校」ではなく「州教育省」に出願する
POINT
公立高校留学の最初の分かれ目は出願先です。私立は学校へ直接出願しますが、公立は州教育省(または州の受入機関)が窓口になります。州によっては希望校を複数出して州が配置先を決めるため、志望校を1校に絞る前提で準備すると手戻りになります。
西オーストラリア州教育省は、公立学校への留学出願の手順を7段階で公表しています。注目すべきは最初の段階で、出願者は希望する学校を4校選んで申し込みます。学校を1校指定して合否が出る日本の入試とは、仕組みがそもそも違います。
- 1希望校を4校選ぶ。各校が開講科目・専門プログラム・施設を公開しており、学びたい内容と施設から選ぶ。小学校は4〜12歳、中等学校は12〜18歳が対象。
- 2滞在と保護(welfare)の体制を準備する。どこで誰と暮らすかを出願時に申告する。
- 3書類を準備する。直近の成績証明書(英訳)とパスポートの写し。
- 4オンラインで出願する。西オーストラリア州ではTAFE International Western Australia経由で申し込む(所要10〜15分)。
- 5オファーを受諾する。合格すると学校名・入学する学年・開始日・学費が記載されたletter of offerが届く。署名して返送し、期日までに支払う。
- 6学生ビザ(subclass 500)を申請する。オファーを受諾して支払うと、滞在・保護の体制が審査されConfirmation of Enrolment(CoE)が発行される。入学のオファーを受諾しないと学生ビザは申請できません。
- 7ビザ取得後に渡航を手配する。開始の数日前には到着するが、letter of offerに記載された日付より前には入国できない。
この順序は費用計画にも直結します。学費の支払いはビザ申請より前に発生し、ビザが出るかどうかが確定する前にお金が動きます。西オーストラリア州教育省は、オファー受諾と支払いを済ませてから滞在・保護の体制を審査してCoEを出す、と明記しています。公立高校の入学時期や学校選びの全体像はオーストラリア高校留学ガイド、学生ビザの手続き全体はオーストラリアの学生ビザをあわせてご覧ください。
出願先の名称と窓口は州で違います。西オーストラリア州はTAFE International Western Australia、クイーンズランド州はEducation Queensland International(EQI)、南オーストラリア州はDepartment for Education(International Education Services)が窓口です。クイーンズランド州は公式サイトのフォームから直接出願でき、認定エージェントのサービスを使うこともできる(どちらでもよい)とEQIの案内に書かれています。
州ごとの公式学費(2026年)を同じ物差しで並べる
POINT
「公立は年間約150万円」という目安はよく見かけますが、州教育省が公表している2026年の実額は学年別に年A$15,880〜18,980です。1豪ドル=110円で約175〜209万円。学年が上がると各州とも学費が上がります。
3州の公式サイトから、2026年の留学生向け授業料をそのまま並べたものが次の表です。いずれも州教育省が公表している「年額」で、学年によって2段階に分かれています。
公立高校の留学生向け年間授業料(2026年・学生ビザ subclass 500 保持者。出典: 各州教育省。円は1豪ドル=110円の概算)
| 州 | Years 7-10(前期中等) | Years 11-12(後期中等) | 円換算の目安 |
|---|---|---|---|
| 南オーストラリア州(HSGP) | A$15,880 | A$17,440 | 約175万円 / 約192万円 |
| クイーンズランド州(EQI) | A$16,612 | A$18,776 | 約183万円 / 約207万円 |
| 西オーストラリア州 | A$17,286 | A$18,980 | 約190万円 / 約209万円 |
州の差は前期中等で最大A$1,406(約15万円)、後期中等で最大A$1,540(約17万円)です。学費だけを見れば州の差はそれほど大きくありません。むしろ大きいのは同じ州の中で学年が上がると生じる差で、Years 7-10からYears 11-12へ上がると、南オーストラリア州でA$1,560、クイーンズランド州でA$2,164、西オーストラリア州でA$1,694の増額になります。高校2年生・3年生の学年で留学する場合は、後期中等の額で予算を組んでください。
クイーンズランド州は2027年の額も公表済みで、Years 7-10がA$17,176、Years 11-12がA$19,416、国際バカロレア(IB)のYears 11-12がA$21,458(2026年)→A$22,189(2027年)です。西オーストラリア州教育省は「学費は毎年見直され、値上げされた場合は新しい額を支払う必要がある」と明記しています。南オーストラリア州は「すべての料金は予告なく変更される場合がある」、クイーンズランド州も料金などを予告なく変更する場合があるとしており、複数年の留学では値上がりを前提に積んでください。為替はオーストラリア準備銀行(RBA)が公表した2026年10月30日の対円レート110.82円を参照し、本記事では1豪ドル=110円で概算しています。
同じ「学費」でも含まれるものが州で違う
POINT
州をまたいだ学費比較が成立しない最大の理由は、学費に含まれる費目が州で違うことです。特に英語準備コースは、学費に内包される州・年A$3,000加算の州・週単位の別料金の州に分かれます。
英語支援の料金は「校内支援」と「入学前の集中コース」で分けて見る
日本の高校から留学する場合、多くの生徒が何らかの英語支援を受けます。この料金の扱いが州で大きく違います。
英語支援の料金の扱い(2026年。出典: 各州教育省の公表資料)
| 州 | 制度名 | 種類 | 料金の扱い | 追加負担の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 南オーストラリア州 | ISEC(集中中等英語コース) | 入学前の集中コース | 年間授業料に1〜4学期分を含みうる | 追加負担なしの場合がある |
| 南オーストラリア州 | 継続的な英語サポート | 在学中の校内支援 | 料金に含まれる項目として明示 | 追加負担なし |
| クイーンズランド州 | HSP(高校進学準備) | 入学前の集中プログラム | 別建てで週A$507(2026年)・10〜40週 | 40週でA$20,280=約223万円 |
| クイーンズランド州 | EAL/D(追加言語としての英語支援) | 在学中の校内支援 | 授業料に含まれると公式に明記 | 追加負担なし |
| 西オーストラリア州 | IEC(集中英語センター) | 12か月の統合プログラム | 学費に年A$3,000を加算(Years 7-10はA$17,286→A$20,286) | 約33万円 |
| 西オーストラリア州 | EALD(追加言語としての英語支援) | 在学中の校内支援 | 学費に年A$1,500を加算(Years 7-10はA$17,286→A$18,786) | 約17万円 |
分けて見る必要があるのは、在学中の校内支援と入学前の集中プログラムです。在学中の校内支援は、南オーストラリア州とクイーンズランド州では授業料に含まれ、西オーストラリア州だけが年A$1,500の加算になります。差が大きいのは入学前の集中プログラムのほうで、追加負担は0円(南オーストラリア州は年間授業料に含みうる)から、クイーンズランド州のHSPを40週受けた場合の約223万円まで開きます。HSPは10週単位のモジュールで、週20時間以上の授業がある独立したプログラムです。入学前の集中プログラムが必要かどうかで総額が大きく変わるため、学費表の金額だけで州を選ぶのは危険です。英語力の目安づくりは高校留学に必要な英語力も参考にしてください。
滞在費・OSHC・学校諸費は「授業料の外」に置かれる
滞在費とOSHC(留学生向け医療保険)の扱いも州で違います。クイーンズランド州は授業料と非授業料を明確に分け、OSHC・ホームステイ・空港送迎・ホームステイ手配は「非授業料」として別建てです。南オーストラリア州も卒業をめざすHSGPでは、OSHC(12か月A$862)とホームステイ(個室週A$360・相部屋週A$300)を「Other Fees and Charges」として授業料の外に置いています。
クイーンズランド州教育省(EQI)は、学生ビザsubclass 500向けに「授業料に含まれるもの/非授業料/そもそも含まれないもの」の公式内訳を公開しています。含まれないものとして明記されているのは、制服、任意の遠足や卒業イベント、文具、デジタル端末、通学交通費、学校での昼食、楽器、イヤーブック、標準の食事を超える追加の食費、パスポートとビザの申請料、国際線・国内線の渡航費、修学旅行、帰国時や修了時の空港送迎、選択科目によって生じる追加費用です。「学費を払えば学校生活の費用は収まる」という前提で予算を組むと、ここが抜けます。
1年の総額を公式額だけで積むと約390〜440万円になる(ホームステイ滞在)
POINT
授業料は総額の4割前後にすぎません。南オーストラリア州の公式額だけで前期中等1年分を積むと、学校諸費と生活費まで含めて約389〜439万円(相部屋の下限から個室の上限まで)です。授業料の約175万円との差が、見落とされやすい部分です。
南オーストラリア州は公式の料金表に滞在費・管理費・学校諸費・生活費の目安まで載せています。これを使って、Years 7-10で1年間(学期40週)ホームステイに滞在する場合を積み上げます。
南オーストラリア州・HSGP・Years 7-10・1年間の積み上げ(出典: 南オーストラリア州教育省 2026 Fee Schedule。円は1豪ドル=110円の概算)
| 費目 | 金額(AUD) | 円換算の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 授業料(年額) | A$15,880 | 約175万円 | ISEC(英語準備)を含みうる |
| OSHC(12か月・単身) | A$862 | 約9万円 | 2025年9月29日時点の額。学生ビザ保持者は加入が必須 |
| 管理・サポート費(初年度のみ) | A$720 | 約8万円 | 2年目以降は年A$370 |
| 宿泊手配料 | A$200 | 約2万円 | ホームステイ変更時は別途A$200 |
| ホームステイ(個室・週A$360×40週) | A$14,400 | 約158万円 | 相部屋なら週A$300=A$12,000(約132万円) |
| 小計 | A$32,062 | 約353万円 | 相部屋なら A$29,662=約326万円 |
| 学校諸費(文具・制服・遠足・キャンプ) | A$550〜1,150 | 約6〜13万円 | 制服はA$250〜600、キャンプはA$100〜300 |
| 生活費(小遣い・携帯・通学) | A$5,160〜6,720 | 約57〜74万円 | 個人的支出 月A$350〜450、携帯 月A$30〜60、通学 週A$15 |
| 合計(個室) | A$37,772〜39,932 | 約415〜439万円 | 航空券・ビザ申請料・日本側の費用は含まない |
相部屋のホームステイにすると合計は約389〜413万円です。クイーンズランド州で同じ条件(授業料A$16,612+OSHC 12か月A$700=A$175/3か月×4・2026年6月30日以降はA$184/3か月+ホームステイ手配料A$476+ホームステイ週A$382×40週)を積むとA$33,068=約364万円で、学校諸費と生活費は別に乗ります。州が違っても総額の水準は近く、差を生むのは州よりも「個室か相部屋か」「英語支援が必要かどうか」です。
この積み上げには航空券、学生ビザの申請料、日本側で発生する費用(パスポート、予防接種、国内移動など)は含めていません。学生ビザ subclass 500 の申請料と財政能力の要件額は、オーストラリア内務省のビザ案内ページを本記事の作成時点で取得できなかったため金額を記載していません。必ず内務省の公式ページで最新額を確認してください。また、当サイトのオーストラリア高校留学の費用では公立1年の総額を約250〜350万円としていますが、これは学費と滞在費の中心値をゆるく積んだ目安です。2026年の公式額と1豪ドル=110円で積み直すと上の水準になります。差の主因は為替と毎年の学費改定です。
南オーストラリア州には短期の選択肢もあり、High School Study Abroad Program(HSSAP)は4学期でYears 7-10がA$35,302、Years 11-12がA$36,862、地方部のRegional Study Abroad Program(RSAP)は4学期でA$34,322です。卒業をめざすHSGPの授業料(A$15,880)と比べると倍以上ですが、これは一括料金で含まれる範囲が違うためです。プログラム名ごとに何が含まれるかが変わるので、見積もりは必ずプログラム名を指定して取ってください。費用を抑える手段は高校留学の費用と高校生の留学奨学金で整理しています。
出願締切は開始の約3か月前
POINT
「1年以上前から準備」という漠然とした案内が多いですが、州教育省は学期ごとに具体的な締切日を公表しています。南オーストラリア州の2026年は、開始の約3か月前が締切でした。
南オーストラリア州教育省が公表した2026年の出願締切と開始日は次のとおりです。実日付が分かると、準備の逆算ができます。
南オーストラリア州の2026年の学期開始日と出願締切(出典: 南オーストラリア州教育省 2026 Fee Schedule)
| 学期 | 開始日 | 出願の最終日 | 開始までの期間 |
|---|---|---|---|
| Term 1 | 2026年1月27日 | 2025年10月29日 | 約3か月前 |
| Term 2 | 2026年4月27日 | 2026年1月27日 | 約3か月前 |
| Term 3 | 2026年7月20日 | 2026年4月21日 | 約3か月前 |
| Term 4 | 2026年10月12日 | 2026年7月14日 | 約3か月前 |
締切は出願書類の提出期限で、その後に配置・オファー・支払い・CoE発行・ビザ申請が続きます。ビザの審査期間を考えると、締切ぎりぎりの出願では開始日に間に合わないおそれがあります。初回の支払期日はletter of offerに記載される、と同じ資料に書かれています。日本側の手続き(在籍校への相談、休学や単位認定の確認)はこれよりさらに前に始める必要があり、高校留学の準備と留学の単位認定で順番を確認してください。
同じ資料には学期日程も載っており、南オーストラリア州の2027年はTerm 1が1月27日〜4月9日、Term 2が4月26日〜7月2日、Term 3が7月19日〜9月24日、Term 4が10月11日〜12月10日です。オーストラリアの学校年度は1月下旬に始まり12月上旬に終わる4学期制で、日本の4月始まり・3月卒業とはずれます。学期日程と締切は州ごとに違うため、志望州の教育省のサイトで確認してください。
18歳未満は「保護(welfare)」の承認がないとビザが出ない
POINT
高校留学で見落とされやすい法的な関門がこれです。18歳未満の学生ビザ申請者は、滞在と保護の体制が承認されていなければビザが下りません。ホームステイ先を決めただけでは要件を満たしません。
オーストラリア内務省は、18歳未満の学生ビザ申請者に対して2つの提出物を求めています。1つはForm 1229(18歳未満の子へのビザ発給に対する同意書)または両親・法定保護者それぞれの同意を記した法定宣誓書で、両親の同意が揃わない場合は一方が単独監護権を持つ証拠が必要です。もう1つが適切な保護(welfare)の体制があることの証明です。
18歳未満の保護の要件を満たす3つのルート(出典: オーストラリア内務省「Welfare and custody arrangements for students under 18」2026-10-31確認)
| ルート | 誰が承認するか | 主な条件 |
|---|---|---|
| CAAW(適切な宿泊と保護の確認書) | 在籍する教育機関 | 学校が体制を承認してCAAWを発行し、開始日と終了日を内務省に通知する。交換留学生と外務・国防関連の学生を除く一般的なルート |
| AASES(中等交換留学生受入通知書) | 交換留学プログラム | 中等教育の交換留学生はAASESの提出で代える |
| Form 157N(学生保護者の指名) | 内務省 | 親、監護権者、または親などが書面で指名した21歳以上の親族を保護者として指名する。指名された保護者がsubclass 590の学生保護者ビザを申請する場合は同時申請する |
指名できる親族の範囲は限定列挙されている
Form 157Nで指名できる「親族」の範囲は内務省が限定列挙しています。このビザでいう親族は、親・継親、祖父母・継祖父母、兄弟姉妹・継兄弟姉妹、おじ・おば・継おじ・継おばです。指名する場合は、続柄の証明(学生・親・指名保護者の出生証明など)、16歳以降、直近10年間に12か月を超えて居住した全ての国の警察証明書(親・法定監護者以外の場合)、パスポートの写し、すでに実体ビザを保持している場合はオーストラリアでの居住証明を添えます。
期間の決まりと、やってはいけないこと
期間の決まりも具体的です。保護の体制は18歳になるまで有効でなければならず、渡豪後にコース開始前に18歳になる場合も同じです。学校が保護を承認する場合、CAAWの最低期間はCoE(在学確認書)と同じ期間に加えて末尾7日、または18歳になるまでとされています。内務省は、少なくともコース開始の1週間前から学校が保護の責任を持つことを推奨しています。
例外があります。オーストラリアに到着する前に18歳になる場合は、保護(welfare)の体制を用意する必要がないと内務省が明記しています。この場合はForm 157Nの質問1〜8に記入し、親または法定監護者が署名したものを申請に添付します(Form 1229は引き続き必要です)。高校3年生の学年で渡航する家庭は、渡航日と誕生日の前後関係で必要な手続きが変わるため、どちらに当たるかを先に確認してください。
避けたい
ホームステイ先が決まったので保護の体制は整ったと考え、CAAWの日付を確認しない。
こうすればOK
CAAWに書かれた保護の開始日を確認する。開始日より前に入国することはビザの条件違反で、違反するとビザを取り消される可能性があると内務省が明記している。航空券は開始日以降で取る。
避けたい
現地に着いてから、合わなかったのでホームステイ先を自分で変える。
こうすればOK
学校の書面による承認なしに保護の体制を変えることはできない。変更が必要なら学校に相談し、承認を得てから動く。ホームステイが合わないときの進め方はホームステイが合わないときも参考にする。
避けたい
親族が現地にいるので大丈夫と考え、いとこや友人宅を滞在先にする。
こうすればOK
Form 157Nで指名できるのは21歳以上の限定された親族で、いとこや友人は内務省が挙げる範囲に入っていない。該当しない場合は学校のCAAWルートを選ぶ。
指名した保護者がやむを得ずオーストラリアを離れる場合も手続きが必要です。内務省は、出国前に「やむを得ない事情があること」と「戻るまでの代替の保護体制を整えたこと」の証拠提出を求め、代替の体制が適切でなければ学生を残して出国できないとしています。また2つ以上の教育機関に在籍する場合は、機関が指定する保護の期間に空白があってはならないとされています。州教育省側の条件も重ねて確認してください。西オーストラリア州は、18歳未満は現地の保護者と暮らす必要があるとし、ホームステイはYear 8以上・パース都市圏で、州の提携先であるAustralian Homestay Network経由で申し込む、小学生は保護者と同居が必須と公表しています。
英語力は英検・IELTS・TOEFL・AEASで判定され、到着後に再評価される
POINT
公立高校の出願で求められる英語力は「IELTS何点以上」という一律の基準ではありません。州が複数の試験結果と成績表を総合して判断し、到着後に再テストして支援内容を決めます。
西オーストラリア州教育省は、英語力の判定に使う試験を明記しています。Australian Education Assessment Services(AEAS)、Society for Testing English Proficiency(STEP)の英検、IELTS、TOEFL iBTのスコアが、学業成績とあわせて総合評価の一部になる、という書き方です。日本の家庭がすでに持っている英検が、州教育省の判定材料として正式に挙げられている点は押さえておく価値があります。
さらに同州は、到着後に学校が改めて英語力を測り、その結果で出願時の評価が変わる場合があるとしています。つまり英語支援の必要性と費用は、渡航後に確定することがあるということです。前の章で見たとおり、英語支援の料金は州で0円から年A$3,000、週A$507までの幅があるため、予算には英語支援ありの額も見込んでおくのが安全です。
学力面の条件は州によって明文化されています。クイーンズランド州は高校プログラムの入学要件として、数学と英語が合格点であること、直近2年間の他教科で落第が年2科目以内であること、そして英語の運用力(Proficiency in English)を挙げています。「5段階評価で3以上」といった説明を見かけますが、州の公表要件は科目単位の条件として書かれており、志望州の表記で確認するのが確実です。
学年と入学回:Year 11は1月入学のみという制約
POINT
4学期制なので年4回入れると思われがちですが、入学できる学期は学年によって違います。クイーンズランド州ではYear 11の入学はTerm 1(1月)だけです。
クイーンズランド州教育省が公表している高校プログラムの入学回は次のとおりです。学年が上がるほど入学の自由度が下がります。
クイーンズランド州の公立高校プログラムの入学回(出典: Education Queensland International プログラムガイド)
| プログラム・学年 | 入学できる学期 | 期間・年齢 |
|---|---|---|
| High School(Years 7-10) | 各学期の初め(1月・4月・7月・10月) | 2〜6年・11〜18歳 |
| High School(Year 11) | Term 1(1月)のみ | 2〜6年・11〜18歳 |
| Study Abroad(Year 11) | 各学期の初め(1月・4月・7月・10月) | 1〜4学期(3〜12か月) |
| Study Abroad(Year 12) | Term 1または2(1月・4月)開始で、Term 3末までに終了 | 1〜4学期(3〜12か月) |
| HSP(高校進学準備) | Year 11に進む場合はTerm 3(7月)が最終の入学回 | 10〜40週・11〜18歳 |
これが日本の学校年度と組み合わさると、計画の自由度はさらに下がります。日本は4月始まりで3月卒業、オーストラリアは1月下旬始まりで12月上旬終わりです。Year 11から現地で卒業をめざす場合、入学は1月のため、日本の学年末(3月)を待たずに渡航することになります。卒業資格の取得をめざすのか1年だけ在籍して日本に戻るのかで、必要な動き方が変わります。何年生で行くかの考え方は高校留学は何年生で行くか、現地での卒業をめざす形はオーストラリアの大学進学で学位ルートまで確認できます。
卒業をめざさず1年だけ在籍する場合は、日本の在籍校が現地の学修を単位として認定できるかが進級・卒業に直結します。認定の可否は在籍校の判断によるため、出願前に学校へ相談してください。クイーンズランド州のStudy Abroadプログラムについても、EQI自身が「自国での科目の単位認定を確認することを推奨する」と案内しています。なお、州をまたいだ学期日程の実日付は本記事では南オーストラリア州の公式資料のみを引用しています。クイーンズランド州の具体的な学期日付は同州教育省のカレンダーで確認してください。
保護者が確認する順序(5ステップ)
POINT
公立高校留学は、学校を探すところから始めると遠回りになります。州→学年と入学回→英語支援の要否→保護の体制→総額、の順で決めると手戻りが起きません。
- 1州を決める。学費・含まれる費目・英語支援の料金・出願窓口・学期日程はすべて州単位。学校名を調べる前に州を絞る。
- 2学年と入学回を確認する。志望州で、行かせたい学年がどの学期に入学できるかを公式サイトで確認する。Year 11以降は入学回が限られる。
- 3英語支援が必要かを見積もる。手持ちの英検やIELTSのスコアを州の判定材料と照らし、支援ありの費用も予算に入れる。到着後に再評価される前提で考える。
- 4保護(welfare)の体制を決める。学校のCAAWルートか、21歳以上の指名親族(Form 157N)か。CAAWの開始日より前には入国できない。
- 5総額を積む。授業料だけでなくOSHC・滞在費・管理費・学校諸費・生活費・航空券・ビザ申請料まで足す。州の公式料金表に載っていない費目を明示的に拾う。
公立と私立のどちらを選ぶかは、この5ステップの前に決める必要はありません。公立の仕組み(州教育省が窓口で、州によっては配置される)と私立の仕組み(学校に直接出願する)は手順自体が違うため、まず公立の条件で試算し、サポートの手厚さや学校の指定が必要なら私立と比べる、という順序が現実的です。両者の費用差はオーストラリア高校留学の費用で確認できます。カナダの公立高校も州・学区に出願する似た仕組みで、カナダの公立高校留学と比べると「公立=公的機関に出願する」型の共通点が見えます。
最後にチェック
公立高校留学の出願に進む前に、次の項目を自分の言葉で説明できるか確かめてください。
チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。
Q.オーストラリアの公立高校には、学校に直接申し込むのですか?
いいえ。公立(州立)高校は州の教育省または州の受入機関に出願します。西オーストラリア州では希望する学校を4校選んで申し込み、州が配置先を決めてletter of offerで学校名と学年、開始日、学費を通知します。学校を1校指定して合否が出る日本の入試とは仕組みが違うため、志望校を1校に絞る前提で準備しないことが大切です。窓口は州ごとに異なり、西オーストラリア州はTAFE International Western Australia、クイーンズランド州はEducation Queensland International、南オーストラリア州はDepartment for Educationが担当しています。
Q.公立高校の学費は年間いくらですか?
州教育省が学年別に公表しており、2026年は南オーストラリア州がYears 7-10でA$15,880・Years 11-12でA$17,440、クイーンズランド州がA$16,612・A$18,776、西オーストラリア州がA$17,286・A$18,980です。1豪ドル=110円で約175〜209万円にあたります。学年が上がると各州とも上がるため、高校2〜3年生の学年で行く場合は後期中等の額で見てください。なお、ここに挙げたのは公式額を取得できた3州で、8州・特別地域すべての代表値ではありません。
Q.学費を払えば、ほかにかかるお金はありませんか?
いいえ。クイーンズランド州教育省は、料金に含まれないものとして制服、文具、デジタル端末、通学交通費、学校での昼食、修学旅行、任意の遠足や卒業イベント、楽器、パスポートとビザの申請料、国際線・国内線の渡航費などを公式に列挙しています。南オーストラリア州の公式額だけでYears 7-10の1年分を積むと、授業料約175万円に対し、OSHC・滞在費・管理費・学校諸費・生活費まで含めて約415〜439万円(相部屋なら約389〜413万円)になります。航空券とビザ申請料は別途です。
Q.英語力はどのくらい必要ですか。英検は使えますか?
一律の点数基準ではなく、州が試験結果と学業成績を総合して判断します。西オーストラリア州教育省は判定に使う試験としてAEAS、STEPの英検、IELTS、TOEFL iBTを挙げており、英検も正式な判定材料です。ただし到着後に学校が改めて英語力を測り、出願時の評価が変わる場合があるとされています。英語支援の費用は州で違います。在学中の校内支援は南オーストラリア州とクイーンズランド州では授業料に含まれ、西オーストラリア州は年A$1,500の加算です。入学前の集中プログラムは差が大きく、南オーストラリア州のISECは年間授業料に含みうる一方、西オーストラリア州のIECは年A$3,000、クイーンズランド州のHSPは週A$507の別建て(40週でA$20,280)です。支援ありの額も予算に入れてください。
Q.18歳未満の場合、手続きで何が追加になりますか?
学生ビザの申請時に、Form 1229(または両親それぞれの同意を記した法定宣誓書)と、適切な保護(welfare)の体制があることの証明が必要です。ただしオーストラリアに到着する前に18歳になる場合は、Form 157Nの質問1〜8に記入して親または法定監護者が署名すれば、保護の体制は不要とされています(Form 1229は必要)。証明には、学校が発行するCAAW、交換留学生のAASES、21歳以上の親族を指名するForm 157Nの3ルートがあります。保護の体制は18歳になるまで有効でなければならず、CAAWの最低期間はCoEと同じ期間+末尾7日または18歳になるまでです。CAAWに記載された保護の開始日より前に入国することはビザの条件違反で、違反するとビザを取り消される可能性があると内務省が明記しています。
Q.出願はいつまでに出せばよいですか?
州教育省が学期ごとに締切を公表しています。南オーストラリア州の2026年は、Term 1(1月27日開始)の出願最終日が2025年10月29日、Term 2(4月27日開始)が2026年1月27日で、いずれも開始の約3か月前でした。締切後に配置・オファー・支払い・CoE発行・学生ビザ申請が続くため、締切ぎりぎりでは開始日に間に合わないおそれがあります。日本側で必要な在籍校への相談や単位認定の確認は、さらに前に始めてください。締切は州ごとに違うので志望州で確認が必要です。
Q.1年だけ公立高校に通って日本に戻る形も選べますか?
選べます。クイーンズランド州にはStudy Abroadプログラム(1〜4学期=3〜12か月)があり、南オーストラリア州にもHigh School Study Abroad Program(4学期でYears 7-10がA$35,302)があります。ただし卒業をめざすプログラムとは料金の建て方が違い、含まれる範囲も変わるため、見積もりはプログラム名を指定して取ってください。また日本に戻って進級・卒業するには在籍校が現地の学修を単位として認定できるかが鍵で、認定の可否は在籍校の判断です。出願前に学校へ相談してください。
オーストラリアの公立高校留学は、学校ではなく州教育省(または州の受入機関)が窓口になるという、日本の入試とは違う仕組みで動いています。西オーストラリア州のように希望校を出して州が配置を決める方式もあれば、クイーンズランド州のように学校を選んで直接申し込める方式もあります。学費は公表されていて比べられますが、含まれる費目と英語支援の料金は州で違い、18歳未満は保護の承認がビザの前提になります。州を1つに絞り、学年と入学回、英語支援の要否、保護の体制、総額の順に公式資料で確認していけば、見落としは大きく減ります。制度全体はオーストラリア高校留学ガイドから確認してください。













