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健康・ヘルスケア|運動

ウォーキングと筋トレ、どっちを優先する?足りない方から決める判断基準(厚労省ガイド2023)

「ウォーキングと筋トレ、どっちをやればいいのか」と迷っている人に、先に結論を書きます。この問いは、どちらが優れているかの二択ではなく、公的ガイドが示す二つの物差しのうち、今の自分に足りないのはどちらかという話になります。

この記事は、厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の目安に自分の量を照らして、次に足す一つを決めるためのものです。持病があって通院中の人、体力に不安がある人は、先に「始める前に医師へ相談したい場合・やめるサイン」の節を読んでください。

最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部

この記事で分かること

  1. 1ウォーキングと筋トレは優劣ではなく、公的ガイドの物差し二つのうち足りない方を先に足す
  2. 2年齢・目的・持病で変わる点と、順番に公的な決まりが見当たらないことが分かる
  3. 3筋トレは自重でもよく、始める前に主治医へ相談したいケースが分かる

結論: 二択で選ばず、足りない方から足す

厚労省のガイドは、歩行を含む身体活動と、筋力トレーニングを、別々の推奨として示しています。成人の歩行・身体活動は1日60分以上(約8,000歩以上に相当)、筋力トレーニングは週2〜3日です。どちらか一方を捨てる話ではなく、足りない方を先に足す、というのがこの記事の見方です。

ただし、この推奨は「長期間にわたる健康の維持・増進を目的とした場合の目安」で、競技力の向上、ボディビル、体型の改善が目的の場合は別のプログラムが必要だとガイド自身が書いています。ダイエットや筋肥大が目的の人は、この記事の範囲の外にある点に注意してください。

出典:厚生労働省「推奨事項 成人版」、同「参考情報 筋力トレーニングについて」(令和6年1月)。対象:成人の身体活動・運動の推奨と、その目的の範囲。2026年10月26日確認。

ウォーキングと筋トレは、得るものが違う

二つの運動は、得られるものが同じではありません。厚労省 e-ヘルスネットの記述を、そのまま整理すると次のようになります。

ウォーキング(有酸素運動)筋力トレーニング
e-ヘルスネットの記述高血圧の患者が定期的に有酸素運動を行うと、収縮期血圧が3〜5mmHg、拡張期血圧が2〜3mmHg下がることが期待される(高血圧患者に限った記述)筋量を増やし筋力を高めるだけでなく、心機能に好影響をもたらし、心血管系の予防にも寄与するとされる

血圧については、高血圧の患者が定期的に有酸素運動を行うと、収縮期血圧が3〜5mmHg、拡張期血圧が2〜3mmHg下がることが期待される、と書かれています。これは高血圧患者に限った記述で、効果を約束する値ではありません。一方、同じ資料は、筋力トレーニング単独では明らかな降圧効果は期待できないが、有酸素運動と併用することでフレイルやサルコペニアの予防につながる、とも書いています。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「標準的な運動プログラム」(最終更新2023年6月27日)。対象:高血圧患者の有酸素運動と筋力トレーニングの記述。2026年10月26日確認。

判断軸: 自分に足りないのはどちらか

物差しは二つあります。

  • 歩行・身体活動の物差し: 成人は歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(約8,000歩以上に相当)、高齢者は1日40分以上(約6,000歩以上に相当)。60分の歩行が約6,000歩、家事などの3メッツ未満の生活活動が1日約2,000歩に相当し、合わせて約8,000歩になります。
  • 筋トレの物差し: 成人は筋力トレーニングを週2〜3日。高齢者も筋力トレーニングを週2〜3日(多要素な運動に含めてもよい)。

自分の今の量をこの二つに当てると、次のように先に足すものが見えてきます。

今の状態先に足すもの
歩行・身体活動が足りない / 筋トレは週2〜3日している歩く量や日常の動きを増やす
歩行・身体活動は足りている / 筋トレが週0日筋トレを足す(自重でよい)。物差しは週2〜3日(ガイド2023。成人・高齢者とも)
両方足りないどちらから始めても物差しに向かう。続けやすい方から一つ選ぶ(これは編集部の見方で、公的な先後の定めではない)。高齢者は歩行だけにしない
両方足りている量を増やす話ではなく、続けること。やり過ぎの基準はまだ十分には分かっていない

「両方足りない」場合の先後について、今回確認した資料に定めは見つかりませんでした。「歩く方が先」「筋トレが先」と決める根拠は、ここではありません。

歩数の物差しは、平均値とは別物です。年代別の平均歩数は年代別・男女別の平均歩数(令和6年)で確認できますが、目安は平均に合わせたものではありません。歩行側の内訳や、自分の活動量の数え方は運動習慣の始め方 公的な目安と照らすにまとめています。

なお、ガイドが引く資料では、国内で筋トレを実施している人の割合は9〜29%で、年代によって差があります。筋トレが週0日でも、珍しい状態ではありません。

出典:厚生労働省「推奨事項 成人版」「推奨事項 高齢者版」「参考情報 筋力トレーニングについて」(令和6年1月)。筋トレ実施者の割合は笹川スポーツ財団2020年の調査をガイドが引いたもの(年代別に18〜19歳29%〜60代9%など)。2026年10月26日確認。

年齢・目的・始める条件で変わるところ

同じ物差しでも、当てはめ方は人によって変わります。

条件読み方
成人歩行・身体活動1日60分以上、筋トレ週2〜3日の二つを別々に見る
高齢者歩行に加えて、筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上。ガイドは「ウォーキングのような有酸素性身体活動が強調されてきたが、多様で複雑な動きを伴う運動も健康に役立つ」と書く。e-ヘルスネットも、有酸素運動と筋トレにバランス運動を加えたマルチコンポーネント運動を効果的としている
目的がダイエット・体型・競技ガイドの推奨の範囲外。別のプログラムが必要になる
ジムに行けない筋トレはジムの器具だけではない。腕立て伏せやスクワットのような自重トレーニングも筋トレに含まれる

出典:厚生労働省「推奨事項 高齢者版」「参考情報 筋力トレーニングについて」(令和6年1月)、e-ヘルスネット「標準的な運動プログラム」(2023年6月27日更新)。2026年10月26日確認。

「両方」を支える根拠と、その限界

ガイドの参考情報は、筋トレを実施している人は、有酸素性の身体活動量に関わらず、総死亡や心血管疾患・全がん・糖尿病・肺がんの発症リスクが10〜17%低いことが示されている、と書いています。これは筋トレ実施群と非実施群を比べたコホート研究の統合(メタ解析)をガイドが引いたものです。

総死亡リスクを、筋トレと有酸素運動の組み合わせで見た図では、次の値が示されています。

実施の組み合わせ総死亡の相対リスク
どちらも実施なし(基準)1.00
有酸素のみ0.75
筋トレのみ0.82
有酸素と筋トレの両方0.60

ガイドは、両方を組み合わせて実施することで、さらなる健康増進効果が期待できるとしています。ただしこれは観察研究の統合で、運動と結果の関係を示すものであり、因果関係を示すものではありません。対象者数はガイドに記載がなく、図中の値を読み取ったものです。また、有酸素のみ(0.75)と筋トレのみ(0.82)の差は、別々の群の比較であって、どちらを先にすべきかを示す値ではありません。

「医師はウォーキングが無難と言う」という記事を見かけることがあります。この記事は、その見方を否定するものではありません。ガイドの物差しは、歩行側も含めて二つあり、足りない方から足す、という整理です。

出典:厚生労働省「参考情報 筋力トレーニングについて」(令和6年1月)の本文と図3。ガイドが引くコホート研究のメタ解析(Momma ら 2022)は原論文を未確認で、ガイドの記載の範囲で書いています。2026年10月26日確認。

同じ日の順番は、公的な決まりが見当たらない

「ウォーキングと筋トレは、どちらを先にするか」は、記事によって結論が分かれます。今回確認した厚労省ガイド2023の資料(成人版・高齢者版・筋トレの参考情報)と、e-ヘルスネットの運動プログラムには、同じ日に行う順番を定めた記述は見つかりませんでした。確認した資料の範囲の話で、順番に差がないと言い切るものではありません。

健康づくりが目的なら、続けやすい順番を選ぶ、というのが編集部の見方です。これは確かな根拠がある話ではなく、公的な決まりが見つからなかったことからの整理です。体型や筋肥大が目的の場合は、別のプログラムの領域になります。

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨事項(成人版・高齢者版)、参考情報(筋力トレーニングについて)、e-ヘルスネット「標準的な運動プログラム」の記述を確認した結果。2026年10月26日確認。

週の組み立て: 量の目安と、増やし方

成人の目安は、歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日です。「足りない方を足す」前提で並べると、日常の動きが足りない人は身体活動の側を、筋トレが週0日の人は筋トレの側を見ることになります。

筋トレの進め方として、ガイドは、大きな筋群を全身まんべんなく、日常生活レベル以上の負荷で行い、少しずつ負荷を高めていくことが重要だとしています。頻度や自重トレーニングの詳しい説明は、筋力トレーニングも選択肢の一つで扱っています。

「週2〜3日」は休息日を念頭に置いた目安で、毎日行うものではありません。筋トレの時間を増やしすぎると、かえって健康増進効果が得られなくなる可能性がある、とガイドは図で示していますが、ガイド自身が「まだエビデンスが十分にはない」と書いており、どこからがやり過ぎかの基準は分かっていません。「週何分が正解」と読むものではありません。

出典:厚生労働省「推奨事項 成人版」「参考情報 筋力トレーニングについて」(令和6年1月)。対象:成人。2026年10月26日確認。

ジム・スポーツとの関係(この記事の範囲)

ジムは筋トレをする場所の一つ、スポーツは有酸素運動の選択肢の一つです。この記事では、ジムやスポーツの公的な比較値を取っておらず、優劣は書きません。自宅での自重トレーニングも、ガイドでは筋トレに含まれます。

始める前に医師へ相談したい場合・やめるサイン

ガイドが引く研究の中に、60歳以上を対象に筋トレを行った研究121件のうち、43件(36%)で何らかの有害事象が報告された、というまとめがあります。軽微なものを含み、筋トレが原因かどうかも問わない数字で、「怪我のリスクが36%」という意味ではありません。

出典:厚生労働省「参考情報 筋力トレーニングについて」(令和6年1月)。ガイドが引く Liu・Latham(2010)のまとめ。2026年10月26日確認。

次の判断

次にやること

  1. STEP 1自分の状態を一つ決める歩行・身体活動か筋トレか、足りない方に印をつけ、小さく一つだけ足す
  2. STEP 2運動以外も含めて見直す睡眠・食事・運動・休養の全体像から、最初の一つを選び直す

出典

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