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中古住宅のインスペクションとは?建物状況調査との違いと調べる範囲

インスペクション(住宅診断)は、専門家が住宅の状態を調べること全般を指します。そのうち、国の講習を修了した建築士が国の基準で行う調査が、宅建業法上の「建物状況調査」です。どちらも、買主・売主が必ず実施しなければならないものではありません。

この記事では、何を調べ、何は調べられないのか、費用と時間の目安、結果の使い道、築年数との関係を整理します。受けるかどうかの判断は、読んだあとにご自身で考えられるようにまとめています。

最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部

この記事で分かること

  1. 1インスペクションは専門家による住宅の状態調査で、国の制度上の建物状況調査はその一種。実施は任意
  2. 2調べる範囲と調べられない範囲、費用・時間の目安、瑕疵保険との関係を整理
  3. 3築年数は耐震基準や保険の区切りの目安で、劣化は築年数ではなく部位ごとの劣化事象として調査で見る

中古住宅のインスペクションとは(一言でいうと)

インスペクションは、建築の専門家が住宅の状態を調べること。 「ホームインスペクション」「住宅診断」などの名前で提供されていて、内容は提供者ごとに異なります。建物状況調査と同じとは限りません。

建物状況調査は、その中で宅建業法に位置づけられた調査です。 国の登録講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が行うものを指します。講習を修了していない建築士や検査事業者が行う調査は、宅建業法上の建物状況調査には当たりません。

既存住宅の売買で、建物状況調査は「必ず建物状況調査を実施しなければならないものではありません」。

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

建物状況調査では何をどこまで調べるのか

調査の対象は、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分です。目視・計測・非破壊検査で調べます。

出典:国土交通省「既存(中古)住宅の安心取引のために 建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)

調べるもの調べないもの・限界
構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の劣化事象の有無(目視・計測・非破壊検査)給排水管路・給排水設備は調査対象外(オプション調査として依頼できる場合がある)
調査対象部位ごとの結果が報告書にまとまる敷地内の地中の調査は含まれない
点検口がない、家具で動かせないなど、見られなかった箇所は「調査できなかった」と記載される全ての瑕疵がないことを約束するものではない

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」、国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)

マンションの場合は、共用部分も対象になるため、あらかじめ管理組合の了承を得る必要があります。マンションの修繕積立金や長期修繕計画など、建物の調査とは別に書類で確かめる項目は、中古マンションの修繕積立金の確認で整理しています。

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

費用と所要時間の目安

国の手引きでは、調査費用は物件の規模や調査実施者で異なり、6万円程度〜が目安とされています(令和6年4月時点)。費用の基準は設けられておらず、各調査実施者によって異なります。所要時間は物件規模にもよりますが、1〜3時間程度が見込まれます。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)、国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

上の数字は標準的な建物状況調査の目安です。給排水などのオプション調査や、提供者ごとに内容が異なるインスペクションの費用は、依頼先に確認が必要です。

いつ、どう頼むのか

買主が購入希望の住宅で建物状況調査を実施する場合は、売主の承諾(同意)が必要です。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)、国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

宅建業者が既存住宅の媒介契約を結ぶときは、媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」を記載する必要があります。あっせんが「無」の場合は、その理由を記入することとされています(理由欄は令和6年4月施行)。あっせんの有無が書かれることと、調査を受けることは別の話で、調査の実施は任意です。

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

重要事項説明の対象になるのは、実施から次の期間内の建物状況調査です。

建物実施からの期間
木造戸建て住宅1年以内
鉄筋コンクリート造等のマンション2年以内(令和6年4月1日〜。従前は1年)

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

どの段階で調査を頼むかは、購入の手順の中で決まります。中古住宅の購入の流れと各段階の確認事項で確認してください。

結果は何に使われるのか:説明と瑕疵保険

重要事項説明: 宅建業法上の建物状況調査が実施されている場合は、調査対象部位ごとの劣化事象等の有無等が、重要事項として宅建士から説明されます。

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

既存住宅売買瑕疵保険: 検査と保証がセットになった保険で、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵が見つかった場合の補修費用等をカバーします(一定の免責事由があります)。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)

項目内容
対象住宅原則として1981年6月1日以降に建築確認を受けた住宅(新耐震基準に適合した住宅)。確認できない場合でも、耐震基準適合証明書等と現場検査に適合すれば引受可能な場合がある
保険期間(個人間売買タイプ)5年または1年(申込時に事業者が選択。引渡日から)
保険期間(宅建業者販売タイプ)5年または2年(申込時に事業者が選択。引渡日から)
加入に使う検査の有効期限木造戸建て1年、マンション2年等
加入できない場合調査結果に「調査できなかった」「劣化事象有り」の記載があるままでは加入できない(再調査・修補して再検査が必要)

出典:住宅瑕疵担保責任保険協会「【上級編】既存住宅売買かし保険(個人)について」「同(宅建)について」、国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

出典:住宅瑕疵担保責任保険協会「【上級編】既存住宅売買かし保険(個人)について」

受けた人の受け止め: 国土交通省の令和4年度「既存住宅取引におけるインスペクションに関する実態調査」では、建物状況調査を実施した人のうち、「とても満足」「満足」の計が78.5%(全体n=205。売主118・買主87)でした。買主(n=87)では、「とても満足」20.7%+「満足」56.3%で、計77.0%です(編集部算出)。この数字は、国の手引きが引用している調査結果で、一次の調査報告書は確認していません。満足度は結果の保証ではなく、調査の限界(前の節)もあわせて見てください。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月。令和4年度調査を引用)

築年数だけで劣化は分かるのか

建物状況調査が見るのは、築年数そのものではなく、部位ごとの劣化事象の有無です。

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)、国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」

ここから先は編集部の整理です。調査が築年数ではなく部位ごとの状態を見る以上、築年数だけで劣化の度合いを言い切ることはできない、と考えられます。築年数は、調べるときの目安にとどまります。

築年数に関わる区切りは、目的ごとに意味が違います。

区切り意味出典
1981年6月1日以降に建築確認を受けた住宅既存住宅売買瑕疵保険の原則的な対象(新耐震基準に適合した住宅)住宅瑕疵担保責任保険協会
1981年6月1日〜2000年5月31日に建築された木造住宅(在来軸組構法・基礎コンクリート造・平屋または2階建て)「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」の対象。2000年に明確化された仕様等に適合しないものがあることに留意が必要とされる日本建築防災協会(国土交通省掲載)

出典:住宅瑕疵担保責任保険協会「【上級編】既存住宅売買かし保険(個人)について」、日本建築防災協会「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」(平成29年5月)

つまり、1981年6月以降の住宅でも、2000年5月までの木造は、2000年に明確化された仕様等に適合しないものがあることに留意が必要とされています。この区切りは耐震の話で、屋根や外壁の傷み具合を示すものではありません。

よくある誤解(義務化・同じもの・保証)

よくある誤解実際
「インスペクションが義務化された」義務になったのは宅建業者側の、媒介契約書へのあっせんの有無の記載や、調査が実施されている場合の重要事項説明です。買主・売主に調査を受ける義務はありません
「ホームインスペクションと建物状況調査は同じ」建物状況調査は、国の登録講習を修了した建築士が国の基準で行う調査。「ホームインスペクション」「住宅診断」は提供者ごとに内容が異なります
「調べれば安心」全ての瑕疵がないことを約束するものではありません。見えない箇所は「調査できなかった」と記載されます

出典:国土交通省「改正宅地建物取引業法に関するQ&A(令和6年4月1日改訂版)」、国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」(令和6年4月)

次に確認すること

次にやること

  1. STEP 1中古住宅の総予算を試算する調査費用や、劣化が見つかった場合の改修費も含めて、全体の予算を見る
  2. STEP 2中古マンションの修繕積立金の確認マンションなら、建物の調査とは別に、修繕積立金と管理の状態を書類で確かめる

出典

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