中古住宅の売りやすさ(再販しやすさ)は何で決まる?買う前に知る築年数と建物評価の仕組み
この記事は、家を売る人向けの手順ではありません。これから買う家が、のちに売れるかどうかを決める条件の見方を整理します。数値は首都圏(東日本レインズ)の中古戸建の統計に限り、全国や地方には広げません。売却期間・売り出す時期・価格設定・不動産会社の選び方・買取と仲介の価格差は、この記事では扱いません。
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1売りやすさは価格・成約率・建物評価・次の買主の条件という別々の物差しで、混ぜると誤解する
- 2法定耐用年数は税の減価償却の年数で建物の寿命ではないが、市場に建物をゼロとみなす慣行があると国土交通省は認識していた
- 3買う前に確かめる項目は接道・建物状況調査・瑕疵保険・融資や税の条件で、詳しい説明は各記事へ送る
一言でいうと:「売りやすさ」は築年数ひとつでは決まらない
「売りやすさ」は、次の4つの別々の物差しが混ざった言葉です。ここでの4分類は編集部の整理で、公的な分類ではありません。
- 価格: 築年帯ごとの平均成約価格。
- 売れやすさ: 新規に登録された件数に対して、どれだけ成約したか(対新規登録成約率)。
- 建物の評価: 築年数を超えて、基礎・躯体の状態やリフォームをどう評価するかという考え方。
- 次の買主が使える条件: 融資・税・保険、そして接道のような敷地の条件。
首都圏の中古戸建では、築0〜5年の成約率は24.1%、築11〜15年は33.2%で、築26〜30年でも30.3%と築0〜5年より高くなっています。築年数が進むほど成約率が下がり続ける、という単純な線にはなっていません(詳しくは「築年帯別の価格と、売れやすさは別の指標」の節)。
出典: 公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」(2026年2月25日公表・確認日 2026-10-18)。中古戸建・首都圏・2025年1〜12月の成約率。
売りやすさを左右する要素の全体像
売りやすさに関わる要素を、確かめる場所とあわせて並べます。立地・間取りの汎用性・価格は、この記事では効き方の大小や順位を書きません。個別の物件ごとに確かめる要素です。
| 要素 | 公的データで確かめられるか | 確かめる場所 |
|---|---|---|
| 立地 | −(この記事では数値を扱わない) | 個別に確かめる |
| 間取りの汎用性 | −(同上) | 個別に確かめる |
| 価格 | −(同上) | 個別に確かめる |
| 築年数 | 首都圏の中古戸建のみ | 東日本レインズの築年帯別統計(「築年帯別の価格と、売れやすさは別の指標」の節) |
| 建物の評価 | 考え方のみ | 国土交通省の指針と査定マニュアル(「法定耐用年数を過ぎたら」「リフォーム・調査・瑕疵保険」の節) |
| 建物の状態 | 個別 | 建物状況調査、既存住宅売買かし保険(「リフォーム・調査・瑕疵保険」の節。建物状況調査で分かること・分からないこと、瑕疵保険に入れる条件) |
| 接道 | 制度の条件のみ | 建築基準法の接道義務と適用除外(「再建築不可・接道」の節) |
| 次の買主の融資・税の条件 | 制度の条件のみ | 国税庁の住宅ローン控除のページ(「買う前に確かめる項目」の節) |
築年帯別の価格と、売れやすさは別の指標
築年数が進むと売れなくなる、あるいは1軒の家が年を取るとこの表のように下がる、と読むのは誤解です。ここには2つの誤解が含まれています。
価格の表は別々の物件の平均です。 築0〜5年の物件と築41年〜の物件は、土地の広さも地域も違う別の物件です。同じ家が年を重ねた値ではありません。
価格と売れやすさは別の指標です。 価格が低い築年帯でも、成約率が低いとは限りません。
| 築年帯 | 平均成約価格 | 平均土地面積 | 平均建物面積 | 対新規登録成約率 |
|---|---|---|---|---|
| 築0〜5年 | 5,147万円 | 117.04㎡ | 96.66㎡ | 24.1% |
| 築6〜10年 | 4,940万円 | − | − | − |
| 築11〜15年 | 4,749万円 | − | − | 33.2% |
| 築16〜20年 | 4,313万円 | − | − | − |
| 築21〜25年 | 4,148万円 | − | − | 32.4% |
| 築26〜30年 | 3,662万円 | − | − | 30.3% |
| 築31〜35年 | 3,148万円 | − | − | 26.3% |
| 築36〜40年 | 2,914万円 | − | − | − |
| 築41年〜 | 2,437万円 | 169.60㎡ | 90.35㎡ | 21.9% |
出典: 公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」(2026年2月25日公表・確認日 2026-10-18)。首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)の中古戸建・東日本レインズ登録物件・2025年1〜12月の成約物件。価格と面積は成約物件の平均、成約率は成約件数/新規登録件数。「−」は今回確認した資料の記載が無い、または本記事で使わなかった欄。
編集部算出では、築41年〜の平均成約価格は築0〜5年の約0.47倍(2,437万円÷5,147万円)です。ただし物件が違う平均同士の比で、1軒の下落率ではありません。帯ごとの差も一定ではなく、築16〜20年から築21〜25年は165万円、築21〜25年から築26〜30年は486万円です(いずれも編集部算出)。
出典: 公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」(2026年2月25日公表・確認日 2026-10-18)。首都圏の中古戸建・2025年1〜12月の成約物件の平均土地面積・平均建物面積。
成約率は、築11〜15年が最も高くなっています。築26〜30年(30.3%)は築0〜5年(24.1%)より高く、築41年〜(21.9%)は築0〜5年より低くなっています。ただし成約率は「新規登録に対する成約の比」であり、売れるまでの日数や値引き幅を表すものではありません。
出典: 公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」(2026年2月25日公表・確認日 2026-10-18)。首都圏の中古戸建・東日本レインズ登録物件・2025年1〜12月、対新規登録成約率=成約件数/新規登録件数。
「法定耐用年数を過ぎたら建物の価値はゼロ」は本当か
結論から言うと、税の年数と市場の慣行は別物です。
法定耐用年数は、税の減価償却の年数です。国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」では、住宅用の木造は22年、鉄筋コンクリート造(鉄骨鉄筋コンクリート造を含む)は47年です。建物の寿命を示す表ではありません。
出典: 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表(建物)」(確認日 2026-10-18)。木造・合成樹脂造の住宅用22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅用47年。
一方、市場の取引に「築後20〜25年で建物の市場価値をゼロとする慣行」があることは、国土交通省が認めていました。同省は、個別の住宅の状態にかかわらず一律にそうされる慣行がある、と平成26年3月31日時点で書いています。「ゼロは嘘」とも「ゼロは本当」とも言えず、慣行があること自体は公的に認識されていた、というのが事実です。現在も同じかどうかは、この資料だけでは分かりません。
出典: 国土交通省「「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の策定について」(平成26年3月31日・確認日 2026-10-18)。
同省の指針は、住宅を基礎・躯体と内外装・設備に分け、基礎・躯体は性能に応じて20年より長い耐用年数で評価する考え方を示しています。例えば長期優良住宅であれば、100年超の耐用年数とすることを許容しています。
出典: 同上(国土交通省・平成26年3月31日・確認日 2026-10-18)。
宅建業者が値付けのために使う「既存住宅価格査定マニュアル」(平成27年7月改訂)では、木造戸建ての基礎・躯体の耐用年数は、次の5段階で示されています。
| 段階 | 条件 | 基礎・躯体の耐用年数 |
|---|---|---|
| 1 | 長期優良住宅相当 | 100年 |
| 2 | 劣化対策等級3相当 | 75年 |
| 3 | 劣化対策等級2相当 | 50年 |
| 4 | 昭和60年以降に旧公庫融資を受けている | 40年 |
| 5 | 上記以外 | 30年 |
出典: 国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課「建物評価ルールの見直し及び市場に定着させるための取組」(平成27年11月・確認日 2026-10-18)。既存住宅価格査定マニュアル(木造戸建て)の基礎・躯体。
リフォーム・調査・瑕疵保険は、建物の状態を評価に載せる材料になる
国土交通省の指針は、基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームを行った場合は住宅の価値が回復・向上するととらえて評価に反映する、としています。
出典: 国土交通省「「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の策定について」(平成26年3月31日・確認日 2026-10-18)。
査定マニュアルでは、リフォーム等が行われている場合に、築年数によらず部位別の評価上の経過年数を短縮して評価します。図の注記では、全面交換されている部位は経過年数がゼロになります。建物検査の結果がある場合は、瑕疵保険の事前検査に合格、または不具合なしなら、基礎・躯体の減価が標準より緩やかになります。不合格や不具合ありの場合は、補修費用を減じる扱いです。
出典: 国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課「建物評価ルールの見直し及び市場に定着させるための取組」(平成27年11月・確認日 2026-10-18)。
住宅の瑕疵保険のうち、既存住宅売買かし保険は、売主が宅建業者の場合と、宅建業者以外(個人間売買)の場合で商品が分かれています。個人間売買タイプの保険期間は5年間または1年間です。
出典: 一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)」(確認日 2026-10-18)。
調査の範囲や保険に入れる条件は、建物状況調査で分かること・分からないこと、瑕疵保険に入れる条件が扱っています。工事費の幅はリフォーム費用の相場と見積事例で見られます。
再建築不可・接道は、次の買主が建て替えられるかを分ける条件
建築基準法の接道義務では、建築物の敷地は原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接していなければなりません(第43条第1項)。満たさない敷地は、原則として建築不可能と国土交通省の資料に図示されています。特定行政庁が同条第2項により認可または許可した場合は、適用除外になります。
出典: 国土交通省 住宅局市街地建築課「接道規制のあり方について」(確認日 2026-10-18)。
買う前に確かめる項目の名前は「接道」です。適用除外が使えるかは個別の判断になるため、この記事では判定の方法に踏み込みません。
買取再販とは
先に言葉を区別します。この記事の見出しの「再販しやすさ」は、買った個人が将来売ることを指します。ここでいう「買取再販」は、宅建業者が行う事業の仕組みで、別の意味です。
国土交通省は、宅地建物取引業者が既存住宅を取得し、一定の質の向上を図るための特定の増改築等を行った後、個人の自己居住用住宅として再販することを買取再販としています。この住宅を個人が取得した場合は、所有権移転登記に対する登録免許税が軽減されます。宅建業者が取得するときの不動産取得税も減額されます。適用期限は令和9年3月31日です(2026-10-18時点の同省ページの記載)。税率や要件はこの記事では扱いません。
出典: 国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」(確認日 2026-10-18)。
買う前に確かめる項目と、詳しい説明の送り先
次の買主が使える条件は、買う前に項目の名前だけでも押さえておけます。この記事は条件を再説明せず、送り先を示します。
| 確かめる項目 | 確かめる場所・送り先 |
|---|---|
| 築年・耐震の条件(住宅ローン控除) | 国税庁 No.1211-3 の記載。住宅ローン控除やフラット35の条件と、購入の手順 |
| 建物の状態の証拠(建物状況調査・瑕疵保険) | 建物状況調査で分かること・分からないこと、瑕疵保険に入れる条件 |
| リフォーム費 | リフォーム費用の相場と見積事例 |
| 接道 | 「再建築不可・接道」の節(建築基準法の接道義務と適用除外) |
住宅ローン控除の中古住宅の要件のうち、築年に関する記載は、昭和57年1月1日以後に建築されたものであることです。昭和57年1月1日より前の建築の場合は、取得の日前2年以内に耐震基準への適合が証明されたもの、という経路が記載されています(別に要耐震改修住宅の経路もあります)。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(令和8年4月1日現在法令等・確認日 2026-10-18)。最新の条件は国税庁などの各機関で確認してください。
この記事で言えないこと(前提と限界)
出典
- 国土交通省「「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の策定について」(平成26年3月31日)
- 国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課「建物評価ルールの見直し及び市場に定着させるための取組」(平成27年11月)
- 公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」(2026年2月25日)
- 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表(建物)」
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
- 国土交通省 住宅局市街地建築課「接道規制のあり方について」
- 国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」
- 一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)」
