車の急な修理に備えるお金は?保険・保証が出るもの・出ないもの
車が突然動かなくなり、見積もりやレッカーの金額を前に「いくら用意すれば足りるのか」と迷う場面があります。先に決めておきたいのは金額そのものより、見積額のうち誰が何を負担するかです。メーカー保証・自動車保険・ロードサービスで出る分を先に確かめ、残りが自己負担になります。
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1突発のトラブルはバッテリー・タイヤの救援が多く、費用は保証・保険・JAFのどれが負担するかで変わる
- 2車両保険は故障の修理代を払わない。例外の特約には限度額と条件がある
- 3耐えられるかは「見積額から保証・保険の分を引いた自己負担額」と手元資金を比べて考える
突発の修理に耐えられるかは「自己負担額」と「回せる額」で決まる
この記事では、次の1行で考えます。
耐えられる ⇔ 自己負担額(見積額 − 保証・保険で出る額) ≦ 手元で回せる額
見積額だけを見て判断すると、保証や保険で出る分を見落とします。そこで「出る額」を確かめる順に、突発のトラブルの中身、誰が何を負担するか、よくある誤解、費用の目安を読んでいきます。年間の維持費の中で予備費をどう見るかは、年間維持費の目安と、将来費用の考え方で整理しています。
突発のトラブルで実際に多いのは何か
JAFの救援は、2025年度(2025年4月〜2026年3月)に全国で2,309,716件でした。出動理由の上位3つは次のとおりで、合わせて全体の約69%を占めます。JAFの救援では、大きな故障よりバッテリーとタイヤの場面が先に来るということです。
| 順位 | 出動理由 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | バッテリー上がり(過放電+破損/劣化) | 997,116件 | 43.17% |
| 2 | タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足 | 482,696件 | 20.90% |
| 3 | 落輪・落込 | 124,979件 | 5.41% |
条件:四輪・二輪の合計、一般道路+高速道路。構成比は全体の件数に対する割合です。出典:JAF「よくあるロードサービス出動理由」(2026年10月6日取得)。
損保ジャパンの自社調査(2022年5月実績・n=2,421)では、事故による故障を除き「過去に車が故障して自走不能になった経験がある」と答えた人が35.4%でした。生涯の経験を聞いたもので、1年間に起きる確率ではありません。出典:損保ジャパン「故障の修理費も補償する自動車保険」。
誰が何を負担するのか:保証・保険・ロードサービス・自分
負担する層は、メーカー・販売店の保証、自動車保険、ロードサービス、そして自分の4つです。保険は損保ジャパンと東京海上日動の公式情報を「例」として載せます。他社・他の商品は契約ごとに条件が違うため、自分の保険証券・保証書で確認してください。
| 層 | 出るもの | 出ないもの・条件 |
|---|---|---|
| メーカー保証(トヨタの例) | 一般保証は新車登録日から3年または6万kmの早い方。特別保証(エンジン機構・ステアリング機構・乗員保護装置・ハイブリッド機構など走行・安全に関わる重要部品)は5年または10万kmの早い方 | タイヤ・チューブ、バッテリー、消耗部品、油脂類は一般保証の対象外。保証内容は車種ごとに異なる場合がある |
| 販売店の延長保証(トヨタ「保証がつくしプラン」新車コースの例) | 新車購入後5年または10万kmの早い方まで。保証修理1回につき新車販売価格が上限 | 保証部位はメーカー保証と一部異なる。保証開始後は解約不可 |
| 自動車保険の車両保険 | 事故などによる車両の損害 | 故障の修理代は対象外(損保ジャパン・東京海上日動) |
| 車両保険の故障特約(例外) | 損保ジャパンの故障運搬時車両損害特約は、走行不能でレッカーけん引された場合に、車両保険金額または30万円のいずれか低い額を限度に修理費用を支払う(2026年1月以降の保険開始日)。東京海上日動の故障補償特約(搬送時・定額払)は、レッカー搬送された場合に交換部品に応じて7・10・20・30万円の定額で、車両保険金額が限度 | 損保ジャパンは2025年12月以前の始期は限度額が異なり、車両保険加入などの条件がある。バッテリー等の消耗品や走行可能な故障は対象外。東京海上日動は初度登録から84か月を超え、車両保険(一般条件)を契約している場合などに自動セット |
| 保険付帯のロードサービス | 損保ジャパンのロードアシスタンスは契約期間中なら何回でも利用可(燃料切れ時の給油・充電は1保険年度1回、JAF会員は2回)。東京海上日動のロードアシストは、レッカー搬送費用と緊急時応急対応費用の合計で1回15万円が限度 | 東京海上日動の例では部品代・消耗品代は除く。損保ジャパンでは利用頻度が著しく高いと更新を断られることがある |
| JAF | 年間利用回数は無制限。保険は「車にかける」、JAFは「人にかかる」 | 非会員の利用は有料で、1万円以上かかることが多い |
出典:トヨタ 一般保証、トヨタ 特別保証、トヨタ 延長保証 保証がつくしプラン、損保ジャパン 車の故障は車両保険で補償できますか?、東京海上日動 車の故障は車両保険で補償できますか?、損保ジャパン 故障運搬時車両損害特約、東京海上日動 その他の特約、損保ジャパン ロードアシスタンス、東京海上日動 ロードアシスト、JAF 自動車保険のロードサービスとの違い(いずれも2026年10月6日取得)。
特約の有無や条件は、契約の始期や商品で変わります。自分の契約に付いているかは、自分の任意保険の補償と特約を確認するの手順で証券から確かめられます。
よくある誤解を整理する
- 「ロードサービスを呼べば直る」:出るのは現場の応急対応とレッカー搬送までです。東京海上日動の例では、応急対応の例はバッテリーのジャンピングやスペアタイヤ交換で、部品代・消耗品代は含みません。修理代や部品代は別に考えます。出典:東京海上日動 ロードアシスト。
- 「メーカー保証なら何でも無料」:一般保証でもタイヤ・バッテリー・消耗部品・油脂類は対象外です。延長保証は保証部位がメーカー保証と一部異なります。出典:トヨタ 一般保証、トヨタ 延長保証。
- 「修理費が高ければ保険が出る」:全損の定義は車両保険の対象になる損害(事故など)についての話です。故障による損害は、全損に当たる額でも車両保険の対象外です(故障運搬時などの特約を除く)。そのうえで、損保ジャパンの車両保険で「全損」とは、修理ができない場合、または修理費が車両保険金額以上となる場合をいいます。支払われるのは新車相当額ではなく車両保険金額で、保険上の定義です。買い替えるべきかどうかの基準ではありません。出典:損保ジャパン 全損の場合の車両保険金、東京海上日動 車の故障は車両保険で補償できますか?。
費用の目安:取れる範囲と読み方
公的・一次の資料で確認できた費用は、性質の違う3種類だけです。同じ「修理費」として並べないでください。
| 項目 | 金額 | 何の費用か | 条件 |
|---|---|---|---|
| バッテリー交換(オートバックス) | 工賃2,200円〜(商品代金4,980円〜は別) | 工賃の目安 | 店舗・車種で異なる。追加工賃が必要な車種あり |
| パンク修理(オートバックス) | 1ヶ所1,650円〜 | 工賃の目安 | 交換タイヤ代は別 |
| ブレーキパッド交換(オートバックス) | 2輪分5,500円〜 | 工賃の目安 | パッド代は別 |
| ショックアブソーバー・スプリング交換(オートバックス) | 22,000円〜 | 工賃の目安 | 部品代は別 |
| 損保ジャパンが示す修理費の例 | 冷却装置等の部品交換 約25万円、発電機等の部品交換 約25万円、ヘッドライト部品交換 約20万円 | 保険会社が例として示した修理費 | 例示。件数・車種は不明で、相場ではない |
| JAF非会員の料金(2024年4月1日改正・税込) | バッテリー上がりの応急始動(昼間・一般道)21,700円、スペアタイヤ交換(夜間・一般道)25,630円、故障車けん引(昼間・一般道)27,700円〜(けん引料は別に1kmごと830円) | 非会員の支払額 | 会員は応急始動が無料、けん引は20kmまで無料。部品代・バッテリー代は別 |
出典:オートバックス ピットサービス・メニュー一覧、オートバックス バッテリー交換、損保ジャパン 故障の修理費も補償する自動車保険、JAF ロードサービス料金表(いずれも2026年10月6日取得)。
JAFの個人会員は、入会費2,000円・年会費4,000円で、初年度に6,000円かかります。非会員がバッテリー上がりの応急始動(昼間・一般道)を頼むと21,700円で、この差は15,700円です(編集部算出:21,700円−6,000円。部品代は別で、会員も無料範囲外の作業は自己負担)。ただし、現場で入会しても、その救援は会員扱いになりません。出典:JAF 自動車保険のロードサービスとの違い、JAF「JAFを呼ぶ」。
東京海上日動の故障補償特約には、部品別の定額払いの表があります(エンジン本体など30万円、ATなど20万円、インジェクター・ラジエーター等10万円、その他の部品7万円)。これは保険金の支払額の定めで、実際の修理費ではありません。修理費の相場として読まないでください。出典:東京海上日動 その他の特約。
ハイブリッドバッテリー・エンジン・ミッションなど大きな修理の実額は、公的・一次の出典が見つかっていないため、この記事では数値を書きません。見積もりが出たら、内訳ごとに前の表のどの層が負担するかを当てはめ、残りが自己負担額です。これを冒頭の式の左辺として、手元で回せる額と比べます。
ネットで検索した業者の高額請求に注意
故障時に最初に困るのは、ロードサービス業者の選び方です。国民生活センターは2026年2月17日の注意喚起で、ネット検索で出てきた業者の相談事例を示しています。いずれも1件ずつの事例で、件数の統計ではありません。
| 事例 | 表示 | 実際の請求・見積 |
|---|---|---|
| 2025年3月受付・20歳代男性(パンク) | 基本料金2,280円〜 | タイヤ交換の見積額は約8万円。サイズ違いのため、後日ガソリンスタンドで交換し約1万円 |
| 2025年11月受付・40歳代女性(バッテリー上がり) | 基本料金2,980円〜 | 見積書は6万6,000円、キャンセル料は3万5,000円と言われた。保険会社に確認すると対象外 |
助言は、まず契約している損害保険会社や保険代理店に問い合わせることです。納得できない請求は、その場での支払いを断り、後日納得した金額で支払う意思を示します。困ったときは消費者ホットライン188に相談できます。出典:国民生活センター「ネットで検索したロードサービスのトラブルにご注意!」(2026年2月17日公表)。
修理費を工面する手段と、費用を抑える方法
ここでは手段の種類だけを挙げます。特定の商品や業者は取り上げません。
- 工面する手段の種類:手元資金、分割払いやローン、家族に頼る、などがあります。分割払いやローンは契約条件が各社で異なるため、申込前に契約条件と総支払額を確認してください。
- 費用を抑えるためにできること:見積もりの段階で、内訳を確認する、複数の工場に見積もりを取る、再生部品や中古部品が使えるか尋ねる、直す前に今の車の査定も取っておく、といった手があります。どれがいくら安くなるかは車と症状で変わるため、効果は断定できません。
自己負担額が大きいとき:直すか手放すかは、比べる材料をそろえてから
「修理費が時価の何割を超えたら買い替え」といった区切りについて、公的な根拠は見つかっていません。確認できたのは、誤解の節で見た保険の「全損」の定義だけで、これは買い替えの基準ではありません。
故障が買い替えのきっかけになる人はいます。日本自動車工業会の2025年度調査(直近2年以内の購入者、n=1,373、複数回答)では、購入のきっかけとして「手放した車の状態変化(事故をした、故障した、エンジン性能の低下など)」が20%でした。出典:日本自動車工業会「2025年度 乗用車市場動向調査」(2026年3月)。
自己負担額が出たあとは、比べる材料をそろえます。修理後に乗る年数、今後の整備費、修理しない状態での売却額、次の車の費用です。比べ方と判断は、修理費が高いとき、買い替えを考える材料で整理しています。直さずに手放すなら、直さずに手放すときの廃車と買取の違いを先に見てください。修理が終わるまでの足は、レンタカーやカーシェアなどの手段で確保する方法があります。
出典
- JAF「よくあるロードサービス出動理由」
- JAF「ロードサービスの料金を調べる(ロードサービス料金表・作業工数表)」
- JAF「JAFを呼ぶ」
- JAF「自動車保険のロードサービスとの違い」
- 国民生活センター「ネットで検索したロードサービスのトラブルにご注意!」(2026-02-17公表)
- トヨタ自動車「アフターサービス 保証 一般保証」
- トヨタ自動車「アフターサービス 保証 特別保証」
- トヨタ自動車「延長保証 保証がつくしプラン 新車コース」
- 損保ジャパン「車の故障は車両保険で補償できますか?」(THE クルマの保険 FAQ)
- 損保ジャパン「故障の修理費も補償する自動車保険(故障運搬時車両損害特約)」
- 損保ジャパン「「故障運搬時車両損害特約」とはどのような特約ですか?」
- 損保ジャパン「契約自動車が全損となった場合、新車相当額が車両保険金として支払われますか?」
- 損保ジャパン「ロードアシスタンスは何回でも使えますか?」
- 東京海上日動「【自動車保険】車の故障は車両保険で補償できますか?」
- 東京海上日動「お車の補償に関するその他の特約(故障補償特約(搬送時・定額払))」
- 東京海上日動「ロードアシスト(トータルアシスト自動車保険)」
- オートバックスセブン「ピットサービス・メニュー一覧」
- オートバックスセブン「バッテリー交換(費用・交換時期・予約)」
- 日本自動車工業会「2025年度 乗用車市場動向調査」(2026年3月)


