車の相続で名義変更するには?状況別の必要書類と手順【令和8年4月改定後】

最終更新: 2026-10-31 ・ 約14分で読めます ・ クルマ生活 編集部

車の相続の名義変更とは、車検証の所有者が亡くなった人のままの車を、相続する人の名義に移す手続き(普通車は移転登録)のことです。窓口は普通車が管轄の運輸支局、軽自動車が軽自動車検査協会で、自分が揃える書類は「相続人が1人か・複数のうち誰が取得するか・共有か・遺言があるか・100万円以下か」で決まります。2026年10月31日時点の公的案内で確認した内容です。

この記事の要点

  • 最初に車検証の「所有者」欄を見ます。故人以外(ローン会社など)なら、関東運輸局の案内では相続は発生しません。
  • 書類は状況別の表(「必要書類は…」の章)で自分の行を引きます。戸籍の代わりに法務局の法定相続情報証明書も使えます。
  • 普通車の移転登録の手数料は、令和8年(2026年)4月1日以降は700円です(単独相続・関東運輸局の案内・窓口申請)。軽自動車の申請手数料は0円です。
  • 価格100万円以下の車は、査定証などを付けて遺産分割協議成立申立書で協議書を省けます。
  • 「15日以内」は道路運送車両法の条文にありますが、関東・中部運輸局と長野運輸支局の相続案内には日数の記載がありません。早めに動くのが安全です。

車の相続の名義変更は、車検証の所有者欄が故人なら普通車は運輸支局・軽は軽自動車検査協会で手続きする

まず車検証の「所有者の氏名又は名称」を確認します。所有者が故人以外(ローン会社など第三者)の場合、関東運輸局は「相続は発生しません」と案内しています。

所有者欄が故人なら、この記事の手続きの対象です。故人以外なら、所有者(ローン会社など)への確認が先になります。

相続人の範囲は、配偶者は常に相続人で、第1順位が子(死亡している場合は代襲)、第2順位が父母、第3順位が兄弟姉妹です(関東運輸局の案内)。

車の種類手続き窓口申請の手数料
普通車移転登録管轄の運輸支局(登録事務所)700円(令和8年4月1日以降・単独相続・関東運輸局の案内)
軽自動車自動車検査証記録事項の変更軽自動車検査協会0円(ナンバープレート代等は別)

売買・譲渡の名義変更の費用の総額やナンバー代は、名義変更 費用 自分でにまとめています。この記事は、所有者が亡くなっている場合の書類の出し分けに絞ります。相続税の申告や遺産分割協議の進め方は扱いません。必要なときは専門家に相談してください。

手続きに入る前に、車検切れ・未成年の相続人・相続放棄・外国籍の4つは先に片付ける

この4つは書類を揃えても窓口で止まる、または書類が増える条件です。

車検証の有効期間が切れている車は、すぐ使うなら車検を受けてから相続の手続きをします(関東運輸局の案内)。北海道運輸局は、車検切れの車は相続による移転登録の手続きができないと明記しています。

条件必要な対応根拠
車検証の有効期間が切れている(すぐ使う)車検を受けてから相続の手続きをする関東運輸局
車検証の有効期間が切れている(すぐ使わない)一時抹消登録をし、使うときに中古新規登録関東運輸局
未成年の相続人がいる(遺産分割協議書を使う場合)代わって特別代理人の押印が必要。選任は家庭裁判所に確認関東運輸局
相続を放棄した人がいる家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書の原本と写しが必要関東運輸局
故人が外国籍相続方法が故人の本国法に基づくため要注意関東運輸局

車検切れで公道を走ることの罰則は車検切れ 罰則で整理しています。

必要書類は、相続人が1人か・複数のうち誰が取得するか・共有かで変わるので、状況別の表で自分の行を引く

下の表は、普通車の移転登録で関東運輸局が案内している書類を基本に、共有の協議書だけ中部運輸局の案内を併記しています。運輸局ごとに案内が違う項目があるため、最終的には提出先の運輸支局で確認してください。

自分の状況協議書等印鑑証明書申請書様式・追加で要るもの
相続人が1人だけ不要(相続人が1名のみの場合)単独相続人のもの(発行後3か月以内)実印、または実印を押した委任状。改製原戸籍が必要な場合あり
複数のうち1人が取得相続人全員が実印を押した遺産分割協議書(代わりに遺言書・審判書なども可)取得する人のもの(発行後3か月以内)。協議書に押印する他の相続人の分は管轄の案内で確認未成年の相続人がいれば特別代理人の押印
全員で共有関東運輸局の共同相続ページでは確認できず、中部運輸局は「共同相続の場合不要」と案内(管轄で確認)相続人全員のもの(発行後3か月以内・関東運輸局)申請書は第1号様式に加えて第9号様式(関東運輸局)
遺言がある遺言書(公正証書以外は家庭裁判所の検認済みのもの)を協議書の代わりに提出取得する人のもの(発行後3か月以内)遺言書情報証明書も協議書の代わりになる
価格100万円以下で申立書を使う遺産分割協議成立申立書(査定証等の写しを添付)申請する相続人のもの(発行後3か月以内)実印は申請する相続人1名。詳細は「価格100万円以下…」の章

自分の行は、家族構成(相続人が何人で誰が取得するか)と遺言の有無だけで決まります。

どの行にも共通する書類は次のとおりです(関東運輸局の案内)。

  • 戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)または法定相続情報証明書。死亡の事実と相続人全員が確認できるものが必要で、氏名の変更があればそれが分かるものも要ります。法定相続情報証明書なら戸籍謄本等は不要です。
  • 車庫証明書(自動車保管場所証明書)は、車検証の使用の本拠の位置と新しい使用者の住所が同じなら不要です。変わる場合は、取得した証明書の有効期間(提出時)の扱いが運輸局によって違います(関東・中部運輸局は証明日から40日以内、北海道運輸局は証明の日から1か月以内)。提出先の運輸支局で確認してください。取り方は車庫証明 取り方を参照してください。
  • 新しい使用者の住民票(単独相続人と使用者が異なる場合・発行後3か月以内)。

戸籍の取得手数料は別にかかります。法定相続情報証明書は、戸籍・除籍謄本等を法務局に出して申し出ると、認証文を付した一覧図の写しを無料で交付してもらえる制度です。

軽自動車は軽自動車検査協会で、申請手数料は無料・戸籍等で相続人であることを示す

軽自動車の名義変更(自動車検査証記録事項の変更)の申請手数料は無料です。ナンバープレート代等は別にかかります。

項目普通車軽自動車
窓口運輸支局軽自動車検査協会
手数料700円(令和8年4月1日以降)0円
相続人であることの証明戸籍謄本または法定相続情報証明書戸籍謄本等、または法務局が交付する法定相続情報一覧図

使用者の住所を証する書面は、使用者または使用者の住所に変更がある場合に限り必要です。車検証の使用者と所有者が違う場合(販売店・ローン会社など)は、先に所有者の同意を得たうえで手続きします。

遺産分割協議書が要るかどうかは、軽自動車検査協会の名義変更ページで確認できませんでした。窓口に問い合わせて確認してください。

価格100万円以下の車は遺産分割協議成立申立書で協議書を省けるが、査定証を取ると実費は約1万円(普通車の目安)

相続する車の価格が100万円以下なら、遺産分割協議書の代わりに遺産分割協議成立申立書を使えます(関東運輸局の案内)。条件は、100万円以下であることを確認できる査定証、または査定価格を確認できる資料の写し等を添付することです。この場合、相続する人が相続人であることが確認できれば、他の相続人の確認は不要です。

申立書を使う協議書を作る
押印する人申請する相続人1名(実印)相続人全員(実印)
追加で要るもの査定証等の写し全員分の協議と押印(未成年がいれば特別代理人)
向く状況100万円以下と確認でき、他の相続人の押印を集めたくない100万円を超える、または申立書の添付資料がない

査定証以外の「査定価格を確認できる資料」で足りるかどうかは、窓口の判断です。100万円以下かどうかを車種から決めず、中古車買取の査定額や査定証で確認してください。100万円を超えるなら、「必要書類は…」の章の表の協議書の行へ進みます。

編集部算出: 申立書を使い、査定証を取る場合の公的な実費の目安は10,600円です。移転登録の手数料700円(単独相続・関東運輸局の案内)と、日本自動車査定協会(JAAI)の査定証の査定料金9,900円(普通乗用自動車・国産車・税込)の合計です。輸入車・特装車の査定料金は12,100円です。料金はJAAI支所掲載の料金表を2026年10月31日に確認した値で、最終額は支所で確認してください。車庫証明・ナンバー代・戸籍等の取得費は含みません。

JAAIの査定証は、相続・清算整理・債務整理の目的にも使えます。

運輸支局での移転登録は、書類を揃えて申請書を出し、窓口の手数料は令和8年4月から700円になった

手順は次のとおりです(普通車・窓口申請)。

  1. 戸籍謄本等、または法定相続情報証明書を取る
  2. 自分の状況に応じた協議書等(「必要書類は…」の表、「価格100万円以下…」の章)と、印鑑証明書を揃える
  3. 使用の本拠が変わる場合は車庫証明書を取る
  4. 申請書と、検査登録印紙を貼った手数料納付書を作る
  5. 管轄の運輸支局の窓口に出す(管轄が変わる場合は車両の持ち込みが必要)

手数料は、令和8年(2026年)4月1日の改定で、普通車の移転登録の窓口申請が500円から700円になりました。2026年10月31日時点で、運輸局の案内ページには旧額が残るものがあります(中部運輸局の相続案内PDFは手数料納付書に500円の印紙と記載)。窓口へ持っていく額は現行の700円を基準にしてください。

条件(普通車・関東運輸局の案内・窓口申請)検査登録印紙
単独相続(相続人のうち一人が相続)700円
共同相続(相続人全員が相続)700円
相続と第三者への名義変更を同時に申請1,400円
軽自動車(軽自動車検査協会・申請手数料)0円

ナンバー代や車庫証明の取り方、行政書士に頼む場合は名義変更 費用 自分でを参照してください。

「15日以内」は条文にあるが、官公庁の相続案内には日数が無いため、早めに動くのが安全

道路運送車両法第13条第1項は、所有者の変更があったとき、新しい所有者は事由があった日から15日以内に移転登録を申請するよう定めています。第109条は、この申請をしない・虚偽の申請をした者を50万円以下の罰金としています。

ただし、相続の場合に15日がいつから数えられ、どう適用されるかは条文には書かれていません。関東・中部・長野の官公庁の相続案内にも日数の記載は見当たらず、相続に罰金が適用された事例も本記事では調べていません。そのため、断定せず次のように整理します。

見方内容
条文登録自動車の所有者変更は15日以内に申請。申請しなければ50万円以下の罰金の対象(第109条)
官公庁の相続案内相続人を新所有者とする移転登録が必要と案内するが、日数は示していない(長野運輸支局ほか)
民間の解説「期限や罰則はない」と「15日以内」で食い違う
この記事の結論日数を断定せず、書類が揃い次第すぐ申請する

15日を過ぎた場合の扱いは、本記事では官公庁の案内で確認できていません。過ぎている場合も、まず管轄の運輸支局に相談してください。

自動車税は、4月1日現在の車検証の所有者(所有権留保なら使用者)が納税義務者で、年度の途中で移転登録しても前の所有者に1年分が課税されます(東京都主税局の案内)。所有者が亡くなっている場合、名義変更に時間がかかる事情があれば相続人から代表者を定め、名義変更がされるまで代表者に納税通知書が送られます。他の都道府県は各県税事務所の案内で確認してください。廃車したときの還付は自動車税 還付 廃車 計算 方法で計算できます。

名義変更の後は、乗り続けるなら保険、売るなら相続と同時申請、廃車なら一時抹消で、手順が変わる

名義変更が済んだあとに何を足すかは、車を乗り続けるか・売るか・廃車にするかで決まります。

行き先追加の手続き
乗り続ける自動車保険の契約者や名義の変更を保険会社に問い合わせる(本記事では制度や金額を確認していません)
売る相続と第三者への名義変更を同時に申請できる(関東運輸局の案内)。印紙1,400円、申請書(第1号様式)を2枚、譲渡証明書(相続人の実印)。共同相続は相続人全員の実印、または記名と実印押印
廃車にする車検が切れているなら、一時抹消登録をしてから使うときに中古新規登録。廃車の費用と手順は別記事

売却先の選び方は下取り 買取 どっち、廃車の手続きは廃車 費用 自分で 手続きを参照してください。相続人が誰も乗らない場合は、先に査定額を確認すると、「価格100万円以下…」の章の判断にも使えます。

よくある質問

Q1. 相続する車にローンが残っている場合は?

車検証の所有者欄が故人以外(ローン会社など)なら、関東運輸局の案内では相続は発生しません。まず所有者に確認します。軽自動車で使用者と所有者が違う場合は、所有者の同意を得たうえで手続きします。

Q2. 相続人が複数いて、代表の1人の名義にできる?

できます。相続人全員が実印を押した遺産分割協議書を提出します(関東運輸局の案内)。価格100万円以下で査定証などを添付できるなら、遺産分割協議成立申立書で、申請する相続人1名の実印だけで足ります。

Q3. 車検が切れた車でも名義変更はできる?

すぐ使うなら、車検を受けてから相続の手続きをします(関東運輸局の案内)。すぐ使わないなら、一時抹消登録をして、使うときに中古新規登録をします。北海道運輸局は、車検切れの車は相続による移転登録ができないと案内しています。

Q4. すぐ売りたいときも、相続の名義変更は必要?

相続と第三者(買い手)への名義変更を同時に申請できます(関東運輸局の案内)。検査登録印紙は1,400円、申請書は2枚、譲渡証明書には相続人の実印が必要です。

Q5. 戸籍の書類を何度も集めたくないときは?

法定相続情報証明書を取ると、関東運輸局の案内では戸籍謄本等は不要になります。戸籍等の束を法務局に出して申し出ると、認証文を付した写しが無料で交付されます。戸籍の取得手数料は別です。

出典

  1. 国土交通省「自動車の登録・検査の法定手数料変更について(令和8年4月1日)」(PDF) (取得日: 2026-10-31)
  2. 国土交通省 関東運輸局「単独相続(相続人のうち一人が相続する場合)」 (取得日: 2026-10-31)
  3. 国土交通省 関東運輸局「共同相続(相続人全員が相続する場合)」 (取得日: 2026-10-31)
  4. 国土交通省 関東運輸局「第三者への名義変更(相続と第三者への名義変更を同時に手続きする場合)」 (取得日: 2026-10-31)
  5. 国土交通省 関東運輸局「自動車の相続による手続き」 (取得日: 2026-10-31)
  6. 国土交通省 関東運輸局「遺産分割協議成立申立書」(様式PDF) (取得日: 2026-10-31)
  7. 国土交通省 中部運輸局「《相続(所有者の死亡)による登録》」(PDF) (取得日: 2026-10-31)
  8. 国土交通省 北海道運輸局「相続による移転登録」 (取得日: 2026-10-31)
  9. 軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」 (取得日: 2026-10-31)
  10. e-Gov法令検索「道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)」 (取得日: 2026-10-31)
  11. 東京都主税局「自動車税」(よくあるご質問) (取得日: 2026-10-31)
  12. 法務省 法務局「「法定相続情報証明制度」について」 (取得日: 2026-10-31)
  13. 国土交通省 北陸信越運輸局 長野運輸支局「登録関係Q&A」 (取得日: 2026-10-31)
  14. 一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)「査定料金区分と査定料金」(広島支所掲載PDF) (取得日: 2026-10-31)
  15. 一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)「査定の種類及び目的・相当額の選び方 2025.4」(福岡支所掲載PDF) (取得日: 2026-10-31)

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