在職中の転職活動の進め方:どの段階まで辞めずに進められるか、現職の規則・有給・退職日で確かめる
在職中に転職活動をする人は多くいますが、どこまで辞めずに進められるかは、現職の規則・有給・退職日で変わります。この記事は、活動を「見る・整える・応募・面接・内定」の5段階に分け、各段階で確かめることを整理します。制度の記述は2026年10月時点で、公的機関の資料にもとづきます。個別の事情は、会社の人事や労働局の窓口で確認してください。
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1辞めずにできる範囲は、見る・整える・応募・面接・内定の段階で違う。応募より前は現職への影響が小さい(編集判断)
- 2確かめるのは、現職の就業規則と社用設備の使い方、面接に使える有給、最短の退職日の3点
- 3在職中が向かない条件もある。退職後に活動する場合の給付制限は、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月
在職中に転職活動を進めるときに、確かめることは3つ(結論)
期間の定めのない雇用であれば、辞める申入れはいつでもできます。民法第627条第1項は、解約の申入れの日から2週間で雇用が終了すると定めています(期間の定めのある有期契約は別の規定になります)。
出典: e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第627条(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089、2026-10-18確認)
そのため、活動中に問われるのは「辞められるか」よりも、現職の規則と時間の使い方です。確かめることは次の3つです。
- 現職の就業規則と、勤務時間・社用設備の使い方
- 面接に使える休み(有給)
- 最短でいつ辞められるか(退職日の逆算)
在職中のよさは、収入が続くことと、働いていない期間が生まれないことです。つらさは、時間が限られること、面接の日程を合わせにくいこと、疲れが溜まることです。ただし「在職中が有利」は結論ではなく、収入・貯蓄・現職の拘束・心身の状態で変わります(後の節で扱います)。
辞めずにできる範囲は、段階で違う
求人を見るだけの段階と、有給を使って面接に行く段階では、現職に及ぶ影響が違います。次の表は編集部の整理で、法令上の区分ではありません。
| 段階 | 現職への影響(編集判断) | 勤務時間外・私用端末で完結するか | 有給や日程調整が要るか | 効く確認点 |
|---|---|---|---|---|
| 見る(求人・市場を調べる) | 小さい | 完結しやすい | 要らない | 規則・設備の使い方 |
| 整える(書類・棚卸し) | 小さい | 完結しやすい | 要らない | 規則・設備の使い方 |
| 応募 | 中 | 多くは完結するが、連絡が入る時間帯に注意 | 場合による | 規則(競業・秘密保持) |
| 面接 | 大きい | 完結しない場合がある | 要ることが多い | 有給・退職日 |
| 内定・退職 | 大きい | 完結しない | 引き継ぎ・有給の調整が要る | 退職日・有給 |
迷いがまだ大きい段階なら、先に転職するか迷ったときに考えたい7つのことで、不満の分解と残る・異動・転職の比較を見ておくと、「見る」段階を無駄なく進められます。「整える」段階では、書類の前に経験と強みを言葉にしておくと進めやすくなります。やり方はキャリアの棚卸しのやり方にまとめています。
この記事では、全体の所要期間の目安や各段階の詳しい手順、退職の切り出し方の話法は扱いません。段階の名前と「どこまで辞めずにできるか」に絞っています。
確かめる1:現職の就業規則と、勤務時間・社用設備の使い方
最初にやることは、就業規則を読むことです。見る箇所は次のとおりです。
- 副業・兼業、競業に関する定め
- 秘密保持に関する定め
- 退職の申出期限(「退職日の1か月前まで」など)
- 社用端末・社用メール・勤務時間の私的利用に関する定め
勤務中に活動しない、社用の端末やメールを使わない、というのは編集部の判断です。就業規則に定めがなくても、避けておくほうが安全です。応募先を選ぶときは、現職の競業・秘密保持の定めを読んだうえで、気になる点を人事や労働局の窓口で確認してください。この記事では、競業の効力や、違反した場合の結果までは扱いません。
参考として、勤務時間外の副業・兼業を企業が制限できるのは、裁判例上、例えば次のような場合と解されています(例示で、限定列挙ではありません)。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
出典: 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf、2026-10-18確認)
確かめる2:面接の時間を、有給でどこまで作れるか
年次有給休暇は、原則として「労働者の請求する時季」に与えなければならないとされています。労働者が指定した月日が年休の付与日になり、使用者の承認は要りません。
出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件 年次有給休暇」(https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_yukyu.html、2026-10-18確認)
年休は、休養でもレジャーでも、利用目的を問われることなく取得できます。
出典: 厚生労働省 労働基準局 監督課「知っておきたい 働くときのルールについて」(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/rule.pdf、2026-10-18確認)
出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件 年次有給休暇」(https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_yukyu.html、2026-10-18確認)
使える日数があるかは、付与の要件で確かめます。雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に、10労働日が付与されます(通常の労働者の場合)。自分の残日数は、給与明細や勤怠システム、人事で確認してください。
出典: 厚生労働省「確かめよう労働条件 年次有給休暇」(https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_yukyu.html、2026-10-18確認)
面接の時間の作り方は、有給を使うものと使わないものに分けると並べやすくなります。次の表は編集部の整理です。
| 時間の作り方 | 有給が要るか | 向く段階 |
|---|---|---|
| 夜・週末に設定してもらう | 要らない | 応募〜面接 |
| オンライン面接にしてもらう | 場合による(勤務時間内なら休みの調整が要る) | 面接 |
| 同じ日に複数社をまとめる | 要る(1日分) | 面接 |
| 繁忙期を避けて日程を出す | 要る | 面接 |
| 通勤時間や昼休みを使う | 要らない | 応募・日程の連絡 |
どの方法が使えるかは、応募先の対応と現職の状況によります。
確かめる3:最短でいつ辞められるか(退職日の逆算)
法の原則では、期間の定めのない雇用は、申入れから2週間で終了します(民法第627条第1項。出典は冒頭の節と同じ)。
一方、就業規則に「退職の申し出は退職日の1か月前までに」といった定めがある場合は、見解が分かれます。民法を任意規定と解して就業規則が優先するとの見解がある一方、裁判例には民法を強行規定と解するものもあり、これによれば退職届の提出から2週間で、使用者の承諾がなくても退職の効力が生じます。新しい人が見つかるまでいつまでも退職を許可しない、ということはできないとも説明されています。
出典: 茨城労働局(厚生労働省)「退職の申出があった際には」(https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/jigyounushi/jigyounushi_d/qa_jyametai.html、2026-10-18確認)
実務では、活動に入る前に、最短の退職日の見込みを自分で出しておくと役に立ちます。内定後に入社日を調整するときの前提になるからです。次の表を埋めてみてください。
| 見るもの | 確かめること |
|---|---|
| 法の原則 | 期間の定めのない雇用なら、申入れから2週間 |
| 就業規則の期限 | 退職の申出期限の定め(何か月前までか) |
| 有給の残日数 | 残日数を確かめ、退職日の見込みに入れる |
| 引き継ぎ | 担当業務を引き継ぐのに要る期間 |
有給の残日数は、確認して見込みに入れるところまでが、この記事で言える範囲です。退職前にすべて消化できるかは、前の節の時季変更権との関係もあり、断定できません。
退職日と入社日の間に空白ができるかどうかも、この時点で見ておきます。空白があると、収入と、家族の扶養・社会保険に関わる手続きが動きます。家族への影響は転職は家族の何に影響する?収入・扶養・休暇・子の予定で整理しています。退職の切り出し方の話法は、この記事では扱いません。
それでも現職に知られたくないとき
知られ方は、規則や設備の使い方だけでなく、人との関わりでも起きます。次は編集部の整理で、「必ず知られない」とは言えません。
やること:
- 私用の端末・私用のメールアドレスで活動する
- 応募サイトの設定で、現職の企業を非公開にできる場合は設定する
- 応募先に、現職への連絡の扱いを事前に確認する
やらないこと:
- 勤務中・社用端末・社用メールで活動する
- 同僚に活動のことを話す
現職への照会や在籍確認の扱いは、応募先によって違うため、この記事では詳細を扱いません。応募先に直接確認してください。
在職中のほうが向かない場合もある(条件で変わる)
「在職中が有利」は、収入・貯蓄・現職の拘束・心身の状態で変わります。次の表は編集部の整理です。
| 比べるもの | 在職中に活動 | 退職後に活動 |
|---|---|---|
| 収入 | 続く | 無収入の期間が出る |
| 時間 | 限られる | 確保しやすい |
| 退職日の自由度 | 就業規則・引き継ぎの影響を受ける | 自由に決めやすい |
退職後に活動する場合の無収入の中身は、雇用保険の基本手当の給付制限で変わります。自己都合退職(正当な理由のない退職)の場合、受給資格決定日から7日間の待期の後、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、令和7年3月31日以前なら原則2か月の給付制限があります。退職日から遡って5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合は、3か月になります。
出典: 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html、2026-10-18確認)
給付の額や日数、受給資格は失業給付はいくら・何日もらえるかで、自分の条件で確かめられます。
次に判断すること
次にやること
今日できる最初の一手は、次のどれか1つで十分です。就業規則を読む、有給の残日数を確認する、最短の退職日を表に書いてみる。
- 就業規則の副業・兼業・競業・秘密保持と、退職の申出期限を読んだか
- 有給の残日数を確認し、面接の日程をどう作るか決めたか
- 最短の退職日の見込み(法の原則・就業規則の期限・有給・引き継ぎ)を出したか

