このページの要点
愛知県が高校生個人に配る留学奨学金は確認できず、実体は民間財団と学校経由の派遣です。
- 県内の高校生が個人で応募できる最大の制度は東海東京財団留学奨学金。AFS年間派遣プログラムの採用者が対象で、アジア・中南米110万円/ヨーロッパ(スイスを除く)130万円/カナダ・スイス・ニュージーランド160万円/アメリカ180万円、最大5名
- 同じ財団にもう1本ある。あいちリーディングスクール指定校の在籍者向けの「高校生海外派遣助成」で、留学費用の50%か30万円の低いほう。採択は2025年度9名、2026年度2名と年度で大きく振れる
- 短期の派遣は入口が2種類ある。県や名古屋市のように在籍校(県の指定校・市立高校)が前提のものと、豊田市のようにご家庭が市の担当課へ直接申し込むものがあり、後者は市内在住なら学校の種別を問わない(ただし学校長の推薦書は必要)
愛知県には「県の留学奨学金」に当たる制度が見当たりません。JASSOが47都道府県に実施した調査(回答のあった都道府県のみ掲載)にも愛知県の節はなく、関連団体・市区町村の欄にも愛知・名古屋の記載はありませんでした。県国際交流協会のページも他機関へのリンク集で、独自の高校生向け奨学金はありません。そのかわり愛知には、県内在住または県内の高校等に在学する生徒だけが応募できる民間財団の奨学金が1本あり、金額は全国の地域枠のなかでも上位です。ただし応募先は財団ではなくAFSで、留学プログラムの選考と一体で動きます。短期の派遣は県・市・学校が主体で、在籍校が指定校かどうかで決まるものと、市内在住であれば市へ直接申し込めるものに分かれます。つまり愛知では「制度を探す」より先に「どのルートに乗れる家庭なのか」を判定するのが近道です。
【結論】愛知県の高校生が使える留学支援は3ルート
POINT
「愛知県の留学奨学金」を1つ探すのをやめて、①民間財団の給付型(東海東京財団)②学校・自治体経由の派遣 ③県の貸与型、の3つを別々に当てはめるのが最短です。ご家庭から直接応募できるのは①と、②のうち在住要件で応募できる市の事業(豊田市など)です。
最初に全体像を一枚で見てください。同じ「愛知県の高校生の支援」でも、実施主体・応募の窓口・締切・支援の形がまったく違います。とくに重要なのは応募ルートの列です。①は留学団体(AFS)の選考と一体で、ご家庭から直接応募します。②は2種類に分かれます。県の派遣や名古屋市の市立高校生の派遣は在籍校が前提ですが、豊田市のデトロイト市交換学生派遣事業のように市内在住であれば学校の種別を問わず応募でき、申込先が市の担当課というものもあります。お子さんの在籍校と、お住まいの市の両方で入口が変わります。
愛知県の高校生が使える留学支援の全体像(すべて2026年11月6日に各実施主体の公式ページで確認)
| ルート | 制度名 | 実施主体 | 支援の形 | 規模 | 応募の窓口 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① 民間財団の給付型 | 東海東京財団留学奨学金 | 一般財団法人東海東京財団(運営は公益財団法人AFS日本協会) | 返済不要の給付(プログラム参加費の一部) | アジア・中南米110万円/ヨーロッパ(スイスを除く)130万円/カナダ・スイス・ニュージーランド160万円/アメリカ180万円。最大5名 | AFS日本協会(財団に直接申し込むのではなく、AFS年間派遣プログラムの選考と一体) |
| ① 民間財団の給付型(短期) | 高校生海外派遣助成 | 一般財団法人東海東京財団 | 返済不要の給付(短期の海外派遣プログラム参加費の補助) | 留学費用(対象費用の総額)の50%もしくは30万円のどちらか低い金額。採択は2026年度2名・2025年度9名 | 財団(ただしあいちリーディングスクール指定校の在学生に限る) |
| ② 学校・自治体経由の派遣 | 愛知県高校生交流事業/愛知県高校生訪問団/専門高校生海外インターンシップ など | 愛知県 国際課・県教育委員会 高等学校教育課 | 県が実施する派遣(費用負担の内訳は公表されていない) | 派遣先・人数は年度ごと。2026年3月のケンタッキー州・インディアナ州派遣は高校生5名 | 在籍校(多くが県立の指定校を対象。個人応募の窓口は公表されていない) |
| ② 学校・自治体経由の派遣(市) | 市立高校生の海外派遣(名古屋市)/デトロイト市交換学生派遣事業(豊田市)など | 名古屋市教育委員会・豊田市ほか | 市が実施する派遣(市により参加費の自己負担あり) | 名古屋市はフランス・イタリアへ生徒各20人。豊田市は8人以内・参加費30万円程度 | 在籍校または市の担当課(在住・在学の要件は市ごと) |
| ③ 県の貸与型 | 愛知県高等学校等奨学金 | 愛知県教育委員会 | 貸与(無利息) | 国公立 自宅18,000円・自宅外23,000円/私立 自宅30,000円・自宅外35,000円(いずれも月額。11,000円も選択可) | 県教育委員会 高等学校教育課 奨学グループ(留学に使えるとは書かれていない) |
| (参考)全国の制度 | トビタテ!留学JAPAN 高校生等 ほか | 文部科学省・日本学生支援機構ほか | 月額奨学金+留学準備金など | 全国規模(住所要件なし) | 在籍高校等を通じて(詳細は当サイトのトビタテの解説へ) |
出典:①はAFS日本協会「給付型奨学金一覧」(2027年出発・第74期)と一般財団法人東海東京財団「助成事業」、②は愛知県国際課「愛知県高校生交流事業」・愛知県の報道発表・名古屋市の報道発表・豊田市の募集ページ、③は愛知県「奨学金の概要」。いずれも2026年11月6日に確認。金額・人数・時期は年度ごとに変わります。応募する年度の募集要項を必ずご自身で確認してください。
「愛知県には支援がない」と見えるのはなぜか
POINT
愛知県は、JASSOが47都道府県に行った留学支援の調査に節がありません。関連団体・市区町村の欄にも愛知・名古屋の記載はありません。ただし「掲載がない=制度がない」ではありません。
検索して何も出てこない理由には、ちゃんと構造があります。JASSOの「政府機関・地方自治体による奨学金(留学支援)」は、47都道府県を対象に2025年10月下旬から実施された調査をもとにしたページで、「回答のあった都道府県のみ掲載しています」という但し書きが付いています。2026年11月6日に原典を確認したところ、愛知県の独立した節はありませんでした。市区町村の掲載例として挙がっているのは横浜市・那須塩原市・三条市で、愛知県内の自治体はありません。全国の自治体支援を横断して見る枠組みは自治体の高校生留学支援の探し方にまとめていますが、そこでも愛知は「掲載のない5県」の1つとして名前が出るだけです。
次に、県の関連団体を当たります。埼玉県では国際交流協会が「埼玉発世界行き」という給付型奨学金を持っていて、埼玉県の高校生留学支援はそれが主役でした。ところが愛知県国際交流協会(AIA)の留学関連ページは、日本学生支援機構・全国高校生留学・交流団体連絡協議会・名古屋国際センターなど他機関へのリンク集で、AIA独自の高校生向け留学奨学金の記載はありません。愛知は「県の関連団体が奨学金を持つ型」ではないのです。
確認ポイント:愛知県教育委員会 高等学校教育課の事業内容ページには「あいちグローバル人材育成事業」の一項目として「高校生の留学促進事業:支援人数20名」という記載があります(2025年4月1日更新時点)。ただし補助額・応募要件・締切を示した募集要項のページは、公開されている範囲では見つかりませんでした。事業として存在することは県の資料から確認できますが、ご家庭が応募できる制度なのかどうかは断定できません。在籍校か県教育委員会 高等学校教育課へ直接確認してください。
最後に注意点を1つ。検索上位には、愛知県の制度として「愛知県高等学校海外派遣研修事業」という名称を挙げ、「県内の公立・私立高校に在籍する生徒が対象」「航空券・滞在費などの一部を補助」と説明している記事があります。しかし2026年11月6日時点で、この事業名を掲載した愛知県・愛知県教育委員会の公式ページを見つけることはできませんでした。県教育委員会の事業一覧に並ぶ国際関係の事業は、あいちグローバル人材育成事業(あいちリーディングスクール事業・あいちグローバルツアー事業・高校生の留学促進事業など)や専門高校生海外インターンシッププロジェクトで、この名称はありません。当サイトでは「存在しない」とまでは断定しませんが、この事業名を前提に資金計画を立てるのは避けてください。
避けたい
まとめ記事に載っていた県の事業名を、そのまま学校や県に問い合わせる前提で計画に入れる
こうすればOK
制度名で公式サイト内を検索し、所管課のページに同じ名称があるか確かめる。見つからなければ、名称ではなく「高校生の海外派遣について」と所管課に聞く
避けたい
JASSOの一覧に愛知県がないから、愛知には何もないと判断する
こうすればOK
一覧は回答のあった都道府県のみの掲載。県の関連団体・民間財団・市区町村・在籍校の4か所を当たってから判断する
東海東京財団留学奨学金:県内の高校生だけが狙える110〜180万円
POINT
愛知の高校生が個人で応募できる最大の制度です。金額は留学先で4段階、最大5名。応募先は財団ではなくAFS日本協会で、AFS年間派遣プログラムの選考と一体で動きます。
一般財団法人東海東京財団が、公益財団法人AFS日本協会の運営する「AFS年間派遣プログラム」に採用された愛知県の高校生を対象に出している給付型の奨学金です。AFS日本協会の給付型奨学金一覧(2027年出発・第74期)には、支給内容が逐語で「プログラム参加費の一部 アジア・中南米 110万円、ヨーロッパ(スイスを除く) 130万円、カナダ・スイス・ニュージーランド 160万円、アメリカ 180万円」、人数が「最大5名」と記載されています。対象者は「留学時、愛知県内に在住、又は愛知県内の高等学校・高等専門学校・専修学校高等課程在学者で、経済的必要度の高い者」です。
ここで他県の地域枠と比べてみてください。同じAFSの奨学金一覧に並ぶ地域枠は、北海道60万円・2名、山形50万円・2名、長野100万円・1名、岐阜100万円・5名、新潟市70万円・若干名といった規模です。愛知の110〜180万円・最大5名は、1人あたりの上限額では神奈川(はまぎん財団 Voyage・最大300万円・2名程度)に次ぎ、人数を掛けた規模では地域枠のなかでも厚いほうです。「愛知には何もない」という第一印象とは、実態がかなり違います。
年度別の採用実績が財団サイトに全部出ている
財団の助成事業ページには、各年度の「選考結果のお知らせ」が積み上がっています。そこから採用件数を拾うと、枠がほぼ安定して埋まっていることが分かります。「最大5名」は建前だけの数字ではありません。
東海東京財団留学奨学金の年度別採用件数(東海東京財団の助成事業ページの各年度「選考結果のお知らせ」より。2026年11月6日に確認)
| 年度 | 対象プログラム | 採用件数 | 公表されている対象者の範囲 |
|---|---|---|---|
| 2019年度 | AFS年間派遣プログラム 第67期 | 3件 | 愛知県在住 |
| 2022年度 | 第70期 | 5件 | 愛知県在住 |
| 2023年度 | 第71期 | 4件 | 愛知県在住 |
| 2024年度 | 第72期 | 5件 | 愛知県在住または在学 |
| 2025年度 | 第73期 | 5件 | 愛知県在住または在学 |
| 2026年度 | 第74期(2027年出発) | 5件 | 愛知県在住または在学 |
この表には、競合記事がどこも書いていない変化が1つ写っています。2023年度までの告知は「愛知県在住の高校生」でしたが、2024年度以降は「愛知県在住または在学の高校生」に変わっています。つまり、県外にお住まいでも愛知県内の高校に通っているお子さんは、現在の書きぶりでは対象に入ります。逆に、愛知県内にお住まいで県外の高校に通っている場合も「在住」で読めます。要件が広がったのは最近のことなので、数年前の情報を見て「うちは対象外」と判断しないでください。
注意:検索上位には、この奨学金の給付額を「100万円」と書いている記事があります(公開2024年2月・最終更新2026年9月の記事)。2026年11月6日に確認したAFS日本協会の公式一覧とJASSOの留学奨学金検索は、いずれも110万〜180万円の4段階で一致しています。100万円は現行の金額ではありません。なお採用人数は財団側の実績であり、応募者数は公表されていないため倍率は計算できません。
応募は財団ではなくAFSへ。締切は前年の春
応募ルートを間違えると1年待つことになります。財団のページには逐語で「詳しくは公益財団法人AFS日本協会にお問合せください。」とあり、財団に直接申し込む窓口はありません。JASSOの留学奨学金検索に掲載されている2026年の募集日程は、A日程が2026年4月6日〜5月26日正午、B日程が2026年6月18日〜7月14日正午(募集継続国のみ)で、対象は2027年1〜5月出発(冬組)または2027年7〜10月出発(夏組)の派遣です。出発のおよそ1年前に締切が来ます。AFS年間派遣プログラムそのものの選考に通ることが前提なので、応募準備はAFS交換留学の評判や交換留学の費用もあわせて確認してから始めてください。
奨学金が当たっても残る金額を先に出しておく
POINT
支給内容は逐語で「プログラム参加費の一部」です。参加費から奨学金を引いた差額は、留学先によっておおむね35万〜70万円。そのうえに医療保険・予防接種・ビザ関連費用とお小遣いが乗ります。
ここが、愛知を扱った記事にも全国の奨学金記事にも載っていない計算です。奨学金の金額だけを見ると「180万円も出るなら行ける」と感じますが、AFSの参加費は留学先ごとに決まっていて、奨学金はその一部を埋めるものです。第74期(2027年出発)の参加費を各国のプログラムページで確認し、奨学金の区分と突き合わせると、残る金額が見えてきます。
東海東京財団留学奨学金に採用された場合に残る参加費の差額(AFS日本協会の各国プログラムページの第74期・2027年出発の参加費と、同協会の奨学金一覧の支給額から当サイトが算出。2026年11月6日に確認)
| 留学先の例 | AFSの参加費 | 奨学金の区分と金額 | 差し引き後に残る参加費 |
|---|---|---|---|
| タイ(夏出発・2027年7月〜2028年5月) | 145万円 | アジア・中南米 110万円 | 約35万円 |
| ドイツ(夏出発・2027年9月〜2028年7月) | 185万円 | ヨーロッパ(スイスを除く) 130万円 | 約55万円 |
| ニュージーランド(2027年1月〜12月) | 230万円 | カナダ・スイス・ニュージーランド 160万円 | 約70万円 |
| アメリカ(2027年8月〜2028年6月) | 250万円 | アメリカ 180万円 | 約70万円 |
さらに、この差額だけでは終わりません。AFSのプログラムページは、参加費に含まれるものとして国際航空運賃・ホストファミリー・日常の食事・ホストスクール・医療保険・緊急時24時間サポートなどを挙げる一方、自己負担が必要なものとして「医療保険、予防接種、ビザ関連費用」を明記しています。現地での日常のお小遣いもここには含まれません。つまりアメリカなら、180万円の奨学金に採用されてもなお70万円前後の参加費残額に加えて諸費用が乗るという見積もりになります。交換留学の総額の考え方は交換留学の費用に、不足分の埋め方は高校生の留学奨学金ガイドにまとめています。
確認ポイント:参加費は国ごとに設定されているため、同じ奨学金区分でも国が違えば差額は変わります。この表は4か国の実額を当てはめた例であり、すべての国に当てはまる金額ではありません。中南米・カナダ・スイスの参加費は今回確認していません。また、AFSには参加費全額を支給する全国枠(三菱商事高校生海外留学奨学金・50名)など別の奨学金もあり、併願の可否と組み合わせは応募年の案内で確認してください。全国枠を含む民間奨学金の横断比較は民間の留学奨学金の探し方にあります。
もう1本ある:指定校の在籍者向け「高校生海外派遣助成」
POINT
同じ東海東京財団が、あいちリーディングスクール指定校の在学生向けに短期派遣の助成を出しています。金額は留学費用の50%か30万円の低いほう。応募は5〜6月で、採択数は年度で大きく振れます。
長期留学ではなく、学校の短期プログラムに参加するご家庭にはこちらが効きます。財団の公募要項の記載は逐語で「留学費用(対象費用の総額)一人あたり50% もしくは 30万円のどちらか低い金額」。対象は「『あいちリーディングスクール』(2025年度、2026年度)指定の高等学校の在学生」です。在籍校が指定校でなければ応募できません。年間の流れは、5月に公募が始まり6月に締切、7月上旬に書面で結果が通知される形です。支給の時期は年度で設計が変わっているので注意してください。2026年度の公募要項は「発表:2026年 7月上旬頃(書面にて通知)/支給:2026年 7月末日(予定)」で、決定の直後に支払われます。一方、2024年度と2025年度は「内定者の帰国後、所定の手続きにより提出された書類を審査のうえ支給」で、いったん全額を立て替える形でした。どちらの年度の方式かで、ご家庭の資金繰りが変わります。
高校生海外派遣助成の年度別の対象校数・応募期間・採択数(東海東京財団の助成事業ページの各年度の公募案内と選考結果より。2026年11月6日に確認)
| 年度 | 対象(財団の記載) | 応募期間 | 採択数 |
|---|---|---|---|
| 2019年度 | あいちスーパーイングリッシュハブスクール(13校) | 2019年4月15日〜5月24日 | 25名が応募し14名が内定 |
| 2024年度 | 「あいちリーディングスクール」指定の20高等学校の在学生 | 2024年5月7日〜6月14日 | 3件 |
| 2025年度 | 「あいちリーディングスクール事業」指定(2024年度、2025年度)の26高等学校の在学生 | 2025年5月19日〜6月25日(延長あり) | 9名 |
| 2026年度 | 「あいちリーディングスクール事業」(2025年度、2026年度)の26校の在学生 | 2026年5月11日〜6月19日 | 2名 |
この表の読み方には注意が必要です。採択数が14名→3件→9名→2名と年度で大きく動いています。募集人員があらかじめ決まっている制度ではないため、「去年9名だったから今年も9名」とは読めません。応募者の数とプログラムの内容によって結果が変わると考えてください。一方で、2名しか採択されなかった年があるということは、応募すれば必ず通るものでもないということでもあります。助成を当て込んで参加を決めるのではなく、助成がなくても出せる額のプログラムを選び、通ったら負担が半分になる、という順番で考えるのが安全です。
お子さんの学校が「指定校」かどうかで入口が変わる
POINT
県の派遣も財団の短期助成も、あいちリーディングスクールの指定が前提になっています。ところが公開されている指定校リストは、出どころによって食い違います。校名リストを信じ切らず、在籍校に直接確認してください。
愛知県教育委員会の「あいちグローバル人材育成事業」のページには、あいちリーディングスクールの指定校が県立高等学校20校として挙がっています。研究推進校4校(旭丘・千種・刈谷北・時習館)、研修推進校4校(中村・尾北・安城東・豊橋東)、連携推進校12校(瀬戸西・瀬戸北総合・一宮西・一宮商業・半田・常滑・豊田北・豊田工科・西尾・知立・御津あおば・蒲郡)です。ただし、このページの更新日は2024年6月7日でした。
ここで食い違いが出ます。東海東京財団は2025年度の公募で対象を「26高等学校の在学生」、2026年度の選考結果でも「(2025年度、2026年度)26校」と書いており、20校ではありません。さらに、愛知県が2026年2月26日に更新した高校生訪問団(ケンタッキー州・インディアナ州派遣)の報道発表は、注記で「県立高等学校20校」と書きながら、派遣された5名のなかに、上の20校リストにない岩倉総合高等学校の生徒が含まれていました。公式同士がそろっていないということは、指定校は年度ごとに入れ替わり、公開ページの更新が追いついていないと読むのが自然です。
そこで、確かめる順番を決めておきます。上から順に当たれば、ご家庭が乗れるルートが1回の確認作業で出そろいます。
- 1在籍校に「本校はあいちリーディングスクールの指定校ですか」と聞く:指定校であれば、県の派遣と東海東京財団の短期助成の両方が視野に入ります。公開リストは更新が遅れるため、学校に聞くのがいちばん確実です
- 2同じ場面で「今年、本校が案内している海外派遣や留学の支援を全部教えてください」と聞く:指定校向けの派遣も市の事業も学校を通じて周知されることが多く、校内締切が別に設定されている場合があります
- 3お住まいの市の国際交流担当課・国際交流協会のページで、高校生向けの派遣事業があるかを確認する:名古屋市・豊田市のように市独自の派遣を持つ市があります。在住要件・定員・参加費は市ごとに違います
- 4長期留学を考えているなら、AFS日本協会の年間派遣プログラムの募集日程と選考要件を見る:東海東京財団留学奨学金はここに乗らないと応募できません。指定校かどうかは関係なく、在住または在学で判定されます
- 5それでも足りない分を、全国制度と貸与で埋める:トビタテ!留学JAPANなどの全国制度は住所要件がありません。借入は最後に検討します
避けたい
ネット上の20校リストに自分の学校がないから、うちは対象外だと諦める
こうすればOK
在籍校の先生に「本校はあいちリーディングスクールの指定校ですか」と直接聞く。指定は年度で変わり、公開リストは古いことがある
避けたい
指定校だと分かったので、財団や県のサイトで募集開始を待つ
こうすればOK
指定校向けの派遣・助成は学校を通じて周知され、校内締切が別に設定されることがある。学校の国際交流担当に「校内の締切はいつか」を先に聞く
避けたい
私立高校なので県の制度は全部関係ないと考える
こうすればOK
県の指定校事業は県立が中心だが、東海東京財団留学奨学金は在住・在学で判定され学校の設置者を問わない。ルートごとに要件が違う
県と市の派遣事業:行き先も実施年度も固定ではない
POINT
県の高校生交流事業は毎年どこかへ派遣があるわけではありません。市の事業は参加費の自己負担が公表されているものもあり、豊田市は30万円程度です。
愛知県国際課の「愛知県高校生交流事業」は、友好提携先である中国・広東省、覚書を結ぶタイ・バンコク都、韓国・京畿道との交流事業です。2026年10月7日更新のページに載っている派遣の実施年度を数えると、広東省は2017年度と2023年度、バンコク都は2015〜2018年度・2022年度・2024年度、京畿道は2018年度と2025年度でした。つまり毎年すべての行き先に派遣があるわけではなく、年度によって行き先が変わり、派遣のない年もあります。来年度の行き先を前提に計画を立てることはできません。
県にはこのほか、友好交流の覚書に基づく高校生訪問団の派遣があります。2026年2月26日の報道発表では、ケンタッキー州・インディアナ州へ2026年3月22日から28日までの6日間、あいちリーディングスクールに在籍する高校生5名と引率者2名(国際課職員1名・高等学校教員1名)が派遣されました。人数は5名です。参加者の費用負担については、この報道発表に記載がありませんでした。
市の制度は、お住まいの市によって有無も金額も変わります。公式ページで確認できた2つを挙げます。名古屋市は市立高校生の海外派遣としてフランス(ランス市)とイタリア(トリノ市)へ生徒各20人・引率教員各2人を令和8年(2026年)3月20日から29日まで派遣すると発表しています(2025年12月1日発表。費用負担の記載なし)。豊田市のデトロイト市交換学生派遣事業は、市内在住で高校か高専3年生以下に在学する生徒が対象で、定員8人以内・参加費30万円程度、学校長推薦書と保護者承諾書が必要でした(第27回・令和7年度=2025年度の募集。応募締切は2025年5月2日で、申込先は市役所の担当課です)。
確認ポイント:市の派遣は、名古屋市・豊田市のほかにも県内の市や国際交流協会が実施している場合があります。金額・定員・締切は市ごとに異なり、年度で変わります。お住まいの市の国際交流担当課か国際交流協会のページで、その年度の募集要項を確認してください。なお本記事では、公式ページで金額を確認できなかった市の参加費は記載していません。また、名古屋市の派遣の生徒負担額は市の公式ページでは確認できませんでした。
県の貸与型は「留学に使える」と書かれていない
POINT
愛知県高等学校等奨学金は無利息の貸与型ですが、公式ページに書かれているのは国内の修学が困難な世帯への貸与で、留学中の取り扱いの記載はありません。
給付型が取れなかった場合に検討することになるのが貸与です。愛知県の「奨学金の概要」によると、貸与月額は国公立が自宅通学18,000円・自宅外通学23,000円、私立が自宅通学30,000円・自宅外通学35,000円(いずれも11,000円も選択できます)で、逐語「無利息です。」と明記されています。要件は親権者が愛知県内在住で、高等学校等に在学し、経済的支援を必要とする世帯に属することです。所得基準は230万円、返還は卒業後6か月経過後から始まり、貸与額により6年〜12年とされています。
ただし、このページには海外留学や海外の学校に在籍する場合の取り扱いについての記載がありません。制度の目的として書かれているのは、経済的理由で高校等での修学が困難な世帯への貸与です。留学期間中に貸与が継続されるのか、留学費用に充ててよいのかは、公式ページからは判断できません。なお確認時点で、このページの掲載日は2020年3月31日でした。留学との関係は、在籍校の事務室か県教育委員会 高等学校教育課 奨学グループに直接確認してください。留学費用の不足分を借りる手段としては、国の教育ローン(3か月以上の留学で450万円以内)のほうが条件が明示されています。詳しくは高校留学で教育ローンは使えるかをご覧ください。
いつ動くか:愛知の高校生の逆算カレンダー
POINT
長期も短期も、締切は春に集中します。高2の夏に調べ始めると、長期留学の奨学金には間に合いません。動き出すのは高1の秋からです。
愛知の制度は、どれも「募集を見つけてから準備する」では遅い設計になっています。長期の東海東京財団留学奨学金はAFSの選考と一体で、2027年出発分の締切はA日程が2026年5月26日正午でした。出発の約1年前です。短期の高校生海外派遣助成は5月公募・6月締切、豊田市のデトロイト派遣は5月上旬締切でした。秋のうちに学校と話をしておかないと、春に要項が出たときに書類が揃いません。
愛知県の高校生の留学支援・年間の動き方(2026年度の実績をもとに整理。年度ごとに変わります)
| 時期 | 長期留学を狙う家庭 | 短期・学校経由を狙う家庭 |
|---|---|---|
| 秋〜冬(高1〜高2) | AFS年間派遣プログラムの説明会・選考要件(英語力・成績)を確認する。在籍校に留学の可否と単位・進級の扱いを相談する | 在籍校があいちリーディングスクール指定校かを先生に確認する。学校の短期プログラムの予定を聞く |
| 3〜4月 | AFSの募集開始。A日程の応募準備(2026年はA日程が4月6日受付開始) | 市の派遣事業の募集が出始める(豊田市は令和7年度で5月2日締切)。学校長推薦書の依頼は早めに |
| 5〜6月 | A日程の締切(2026年は5月26日正午)。間に合わなければB日程(2026年は7月14日正午・募集継続国のみ) | 東海東京財団の高校生海外派遣助成の公募(2026年は5月11日〜6月19日) |
| 7月 | 採用の連絡。翌年の出発に向けた手続きへ | 助成の結果が書面で通知される(7月上旬頃)。2026年度は7月末日に支給(予定)。夏の派遣が始まる |
| 翌年 | 出発(冬組は1〜5月、夏組は7〜10月) | (2024・2025年度の方式なら、帰国後に書類を出してから支給。年度により異なる) |
高校留学を「進路のゴール」ではなく選択肢の1つとして見ると、動く時期の判断も変わります。帰国後の進学先に海外大学も含めて考えるご家庭は、高1のうちから準備の全体像を見ておくと無理がありません。海外大学進学ガイドもあわせてご覧ください。
応募の前に確認すること
愛知県の制度は「どのルートに乗れるか」で入口が変わります。先に次の7つを確かめてください。
チェックはこの画面の中だけの表示で、保存も送信もされません。
まとめ:ご家庭が最初にやること
愛知県の高校生の留学支援は、「県に申し込む留学奨学金」という形では確認できません。実体は、①県内在住または県内の高校等に在学する生徒が個人で応募できる東海東京財団留学奨学金(AFS経由・110〜180万円・最大5名)②あいちリーディングスクール指定校の在学生向けの高校生海外派遣助成(費用の50%か30万円の低いほう)③県・市・学校が主体の派遣事業、の3ルートです。県の貸与型奨学金は留学に使えると書かれていません。検索上位の記事が愛知について薄いのは、県の公式サイトに「個人向けの留学奨学金」のページが存在しないためで、制度がないのではなく、置かれている場所が違うだけでした。
この秋にやることは3つです。①在籍校に、あいちリーディングスクールの指定校かどうかと、留学の許可・単位認定・進級の扱いを聞く。②お住まいの市の国際交流担当課のページで、高校生向けの派遣事業があるかを確認する。③長期留学を考えているなら、AFSの募集日程(春)に間に合うよう、英語力と成績の要件を今から逆算する。制度の有無を調べる時間より、学校と話を通す時間のほうが長くかかります。そこから始めてください。
Q.愛知県に住んでいれば、県から留学の奨学金がもらえますか?
県が高校生個人に配る留学奨学金は確認できませんでした。JASSOが47都道府県に行った調査(回答のあった都道府県のみ掲載)に愛知県の節はなく、関連団体・市区町村の欄にも愛知・名古屋の記載はありません。愛知県国際交流協会の留学関連ページも他機関へのリンク集で、独自の高校生向け奨学金の記載はありませんでした。県教育委員会の事業一覧には「高校生の留学促進事業:支援人数20名」という記載がありますが、補助額や応募要件を示した募集要項のページは見つかりませんでした。実際に県内の高校生が個人で応募できる最大の制度は、民間の東海東京財団留学奨学金です。
Q.東海東京財団留学奨学金はいくらもらえて、何人が採用されますか?
AFS日本協会の給付型奨学金一覧(2027年出発・第74期)では、プログラム参加費の一部として、アジア・中南米110万円、ヨーロッパ(スイスを除く)130万円、カナダ・スイス・ニュージーランド160万円、アメリカ180万円、人数は最大5名と記載されています。財団の選考結果によると、実際の採用件数は2022年度5件、2023年度4件、2024年度5件、2025年度5件、2026年度5件でした。応募者数は公表されていないため倍率は計算できません。なお、検索結果には給付額を100万円と書いた記事もありますが、公式の現行金額とは一致しません。
Q.県外に住んでいますが、愛知県内の高校に通っています。応募できますか?
現在の公表されている要件では対象に入ります。AFS日本協会の記載は「留学時、愛知県内に在住、又は愛知県内の高等学校・高等専門学校・専修学校高等課程在学者で、経済的必要度の高い者」で、在住と在学のどちらかを満たせばよい形です。財団の告知も2023年度までは「愛知県在住の高校生」でしたが、2024年度以降は「愛知県在住または在学の高校生」に変わっています。数年前の情報では対象外と読めてしまうので、応募する年度の要件を必ず確認してください。
Q.180万円の奨学金に採用されたら、自己負担はいくら残りますか?
アメリカの場合、第74期(2027年8月〜2028年6月)のAFS参加費が250万円なので、180万円を引いた差額は約70万円です。さらにAFSのページは参加費に含まれないものとして「医療保険、予防接種、ビザ関連費用」を挙げており、現地でのお小遣いも別途必要です。ほかの国では、タイ(参加費145万円・奨学金110万円)で約35万円、ドイツ(185万円・130万円)で約55万円、ニュージーランド(230万円・160万円)で約70万円が残る計算になります。参加費は国ごとに違うため、志望先の参加費で計算し直してください。
Q.うちの高校があいちリーディングスクールの指定校かどうかは、どこで分かりますか?
在籍校の先生に直接聞くのが確実です。愛知県教育委員会のページには県立高校20校(旭丘・千種・刈谷北・時習館・中村・尾北・安城東・豊橋東・瀬戸西・瀬戸北総合・一宮西・一宮商業・半田・常滑・豊田北・豊田工科・西尾・知立・御津あおば・蒲郡)が挙がっていますが、このページの更新日は2024年6月7日です。一方、東海東京財団は2025年度の公募で対象を26校と書いており、県が2026年2月に出した派遣の報道発表には、この20校リストにない岩倉総合高等学校の生徒が含まれていました。指定は年度で入れ替わるため、公開リストだけで判断しないでください。
Q.短期の留学でも使える愛知の制度はありますか?
あります。東海東京財団の「高校生海外派遣助成」は短期の海外派遣プログラムが対象で、留学費用の50%か30万円のどちらか低い金額が支給されます。ただし応募できるのはあいちリーディングスクール指定校の在学生に限られます。応募期間は2026年度で5月11日〜6月19日でした。採択数は2024年度3件、2025年度9名、2026年度2名と年度で大きく振れるので、助成を前提に参加を決めるのは避けてください。このほか、名古屋市の市立高校生の海外派遣や、豊田市のデトロイト市交換学生派遣事業(定員8人以内・参加費30万円程度)など、市の派遣事業も短期です。
Q.県の高校生交流事業は、毎年募集があるのですか?
毎年すべての行き先に派遣があるわけではありません。愛知県国際課のページ(2026年10月7日更新)に載っている派遣の実施年度は、中国・広東省が2017年度と2023年度、タイ・バンコク都が2015〜2018年度・2022年度・2024年度、韓国・京畿道が2018年度と2025年度です。年度によって行き先が変わり、派遣のない年もあります。また、この事業や県の高校生訪問団は在籍校を通じた仕組みで、個人で直接応募する窓口は公表されていません。あいちリーディングスクールに在籍する生徒が対象になっている例もあるため、まず在籍校に確認してください。
Q.愛知県高等学校等奨学金を留学費用に使えますか?
公式ページには留学に関する記載がありません。制度として書かれているのは、親権者が愛知県内に居住し、経済的支援を必要とする世帯への無利息の貸与(国公立 自宅18,000円・自宅外23,000円、私立 自宅30,000円・自宅外35,000円の月額)です。留学期間中に貸与が続くのか、留学費用に充ててよいのかは公式ページからは判断できないため、在籍校の事務室か県教育委員会 高等学校教育課 奨学グループに確認してください。留学費用の借入としては、3か月以上の留学で450万円以内まで借りられる国の教育ローンのほうが条件が明示されています。









