このページの要点
東京都の公的な留学支援は、在籍校が都立か私立か区市町村立かで、使える制度がほぼ決まります。
- 都立高校生向けには期間の違う3つの事業があります。道場とGlobal Challengeは校長推薦と選考があり、海外派遣研修は学校単位の派遣です。1週間の海外派遣研修、3週間の「Global Challenge」(費用の主要部分を都が負担・各校1名)、約11か月の「次世代リーダー育成道場」(受講料80万円+諸経費70万円程度が自己負担)です。
- 私立高校生の受け皿は東京都私学財団の助成です。都内の私立高校に在籍していれば都外在住でも対象で、概ね3か月以上・学校が責任を持つプログラムが条件、申請は学校がとりまとめます。助成額は財団のページに載っていません。
- 東京グローバル・パスポートは高校生・中学生は使えません。応募時に国内の大学等に在籍していることが要件です。令和8年度の公表倍率は、夏の短期コース1.4倍、中長期コース5.4倍でした。
東京都で「留学の支援」と検索すると、最大315万円の東京グローバル・パスポートが目立ちますが、これは大学生等向けの制度です。東京都(都・私学財団)の制度で高校生が使えるのは、都立高校生向けの都の3つの事業(1週間・3週間・約11か月)と、私立高校生向けに都が補助する東京都私学財団の助成です。中学生は、都立中学校3年生なら次世代リーダー育成道場に応募でき、区立中学校なら区の派遣事業が中心です。都と私学財団の制度は、申請に学校を通すのが基本です。本記事は、都教育委員会・東京都私学財団・東京都が公表する令和8年度の募集案内と要項を2026年10月11日に確認して整理しました。
本記事は、次世代リーダー育成道場 第15期研修生募集案内(令和8年3月)、令和8年度 都立高校生「Global Challenge」募集要項、東京都教育委員会・東京都の報道発表資料、東京都私学財団「私立高等学校海外留学推進助成事業」のページ、東京都生活文化局「東京都の私学行政」、世田谷区・品川区・港区の公表資料を、当サイトが2026年10月11日に取得して整理したものです。令和8年度の募集の多くはすでに締め切られていますが、私学財団の助成の第2回申請期間(学校から財団へ・10月22日まで)は取得日時点で受付中です(学校の校内締切はこれより早い可能性があります)。金額・人数・要件・日程は年度ごとに変わるため、応募を考える際は必ず最新の募集案内・要項と、在籍校の案内をご確認ください。
結論:在籍校の設置者で、使える制度が決まる
POINT
東京都の留学支援は「どこに住んでいるか」より先に「どの学校に通っているか」で振り分けられます。都立なら都教育委員会の事業、私立なら私学財団、区市町村立の中学校なら区市町村の事業が窓口です。
在籍校の設置者×期間で見た、東京都で使える主な公的支援(令和8年度の募集案内・要項から当サイトが整理)
| 在籍校 | 3か月未満 | 3か月以上(〜1年) | その先(海外大学) |
|---|---|---|---|
| 都立高校・都立中等教育学校(後期) | 海外派遣研修(約1週間)/Global Challenge(約3週間・各校1名) | 次世代リーダー育成道場(約11か月・150人以内) | 都立高校等海外大学進学支援制度(10名程度・日本国籍などの要件あり) |
| 都立中学校・都立中等教育学校(前期) | 都の短期事業の対象は確認できず | 道場Bコース(都立中3年・中等教育学校3年が応募可) | — |
| 都内の私立高校 | 私学財団の助成は対象外(3か月未満)。学校の研修が国費6万円の対象かは学校に確認 | 私学財団の私立高等学校海外留学推進助成事業(都外在住でも可) | 都の制度は都立生のみ。民間財団・JASSOなどを検討 |
| 区市町村立の中学校 | 区市町村の海外派遣事業(例:世田谷区の区立中2年派遣) | 都の個人向け制度は確認できず | — |
| 大学生等になってから(高校生・中学生は対象外) | 東京グローバル・パスポート短期コース(28日以上4か月未満。3か月以上4か月未満もこのコース) | 東京グローバル・パスポート中長期コース(4か月以上1年以内) | — |
この表でいちばん大切なのは、同じ東京都に住んでいても、学校が違えば使える制度がまったく変わることです。都教育委員会の3事業はいずれも都立学校の生徒が対象で、私立高校の生徒は応募できません。反対に、私学財団の助成は都内の私立高校に在籍していることが条件で、住所は問いません。神奈川県や埼玉県から都内の私立高校に通っているご家庭も対象になり得る一方、都内に住んでいても他県の私立高校に通っている場合は対象外です。なお、国立高校や区立の中等教育学校(千代田区立九段中等教育学校など)は都立でも私立でもないため、都教育委員会の3事業や私学財団の助成の応募資格には当てはまりません(各要項の応募資格は都立学校・都内の私立高校への在籍)。こうした場合は、国の支援やトビタテ、学校のある県や、お住まいの区市町村の制度を探すことになります(探し方は自治体の高校生留学支援で整理しています)。
もう1つ押さえておきたいのは、道場・Global Challenge・私学財団の助成は、ご家庭が直接申し込む形ではないことです(海外大学進学支援制度は本人が専用フォームで応募し、区市町村の派遣事業にも保護者がフォームから申し込むものがあります)。次世代リーダー育成道場とGlobal Challengeは校長の推薦が要件で、私学財団の助成は学校が申請をとりまとめます。まず在籍校の担当の先生に、たとえば今年度うちの学校で使える留学の支援は何があるか、と聞くのが、いちばん確実で早い入口です。
都立高校生:期間で選ぶ都の3つの事業
POINT
都立高校生向けの事業は、約1週間の海外派遣研修、約3週間のGlobal Challenge、約11か月の次世代リーダー育成道場の3つです。確認できた範囲では、約11か月の道場は約150万円の自己負担があり、3週間のGlobal Challengeは主要な経費を都が負担します。1週間の研修の費用負担は確認できませんでした。
都立高校生向けの都の3事業(令和8年度。各募集案内・要項・都教育委員会の報道発表から当サイトが整理)
| 項目 | 海外派遣研修 | Global Challenge | 次世代リーダー育成道場 |
|---|---|---|---|
| 期間 | 約1週間 | 現地約3週間(令和9年3月6日以降) | 約11か月(Aコース令和9年1月〜/Bコース令和9年8月〜) |
| 人数 | 令和8年度は331名予定(12か国) | 192名(各都立高校・中等教育学校から1名) | 150人以内(A・B各75人以内) |
| 行き先 | 米・英・豪・加・フィンランド・UAEなど | 豪パース・NZオークランド・加バンクーバー(予定) | A:豪州・NZ/B:米国・カナダ |
| 費用 | 要項で確認(本記事では未確認) | 航空券・宿泊・食事・現地交通・海外旅行保険は都が負担 | 受講料80万円+諸経費等70万円程度が自己負担(減免制度あり) |
| 選ばれ方 | 学校単位で派遣(生徒の選び方は学校に確認) | 校内選考で2名まで推薦し、都が各校1名を決定 | 校長推薦のうえ、都の一次(英語4技能・小論文)・二次(面接)選考 |
| 中身 | 現地校交流、大学・大使館・企業訪問 | ホームステイしながら現地の高校に通学 | ホームステイしながら現地の高校で必修・選択科目を履修 |
次世代リーダー育成道場:自己負担は約150万円、留学は保証されない
次世代リーダー育成道場は、国内の事前研修・約11か月の留学・事後研修で構成される東京都教育委員会のプログラムです。事前研修は月2回程度、主に日曜日に行われ、ゼミナール研究、リーダーシップ研修、日本の近現代史、伝統文化体験、TOKYO GLOBAL GATEWAYでの英語研修などがあります。応募資格は学年と生年月日で決まっていて、令和8年度(第15期)はAコースが都立高校1〜3年生など、Bコースが都立高校1〜2年生のほか、都立中学校3年生と都立中等教育学校3〜5年生も対象でした。
費用は、受講料80万円の納付に加えて、パスポート・ビザ・健康診断・予防接種・制服・教材などの諸経費等として70万円程度が自己負担と募集案内に明記されています(事前研修に通う交通費は別)。合計で約150万円です。経済的な理由で納付が難しい場合や多子世帯には受講料の減免制度があります。私費の1年留学(年間200万〜600万円程度。高校留学の費用参照)と比べれば負担は軽い一方、「都の派遣だから無料」ではありません。
保護者として知っておきたいのは、合格がゴールではないことです。募集案内には「次世代リーダー育成道場への入校は、留学を保証するものではない。」とあり、事前研修の欠席が多い場合、課題が未提出の場合、学業成績が不振になった場合などは研修生の資格が取り消され得ます。資格取消しや自己都合で帰国する場合、帰国費用は自己負担で、受講料は返還されません。また在籍校の扱いが「休学」なら帰国後は元の学年に戻り(1年間の原級留置)、「留学」扱いなら現地で修得した単位を在籍校が認定するかを判断します。どちらになるかは在籍校で決まるため、応募前に確かめておきましょう(単位と進級の仕組みは高校留学の単位認定で解説しています)。
Global Challenge:費用の主要部分は都が負担、勝負は校内選考
令和8年度に新しく始まった都立高校生「Global Challenge」は、すべての都立高校と都立中等教育学校から各1名、計192名が約3週間、ホームステイしながら現地の高校に通うプログラムです。航空券、現地の宿泊費・食事代・交通費、海外旅行保険料などは都が負担します。自己負担は、パスポートや渡航認証・ビザの取得費、事前研修や空港までの交通費などです。要項には、国籍によってはビザ取得に10万円程度かかる場合がある、とも書かれています。
選考の仕組みは独特です。要項上は、学校が校内選考で2名まで推薦でき、都が各校1名を参加者として決定します。Q&Aでは、各都立高校には1名の推薦枠があり、「在籍する学校から1名の推薦者として東京都教育委員会に推薦された生徒については、原則的に参加生徒として決定となります。」と説明されています。つまり、学校が1名だけ推薦した場合は原則そのまま参加が決まり(Q3)、2名を推薦した場合は都がそのうち1名を選びます。まず越えるべきは在籍校の校内選考です。語学力で応募できなくなることはありませんが、英検3級相当以上が望ましいとされています。また、都立高校の第3(4)学年と中等教育学校6年生は、帰国後の成果報告会(令和9年5月予定)に参加できる場合のみ応募できます。授業を休む期間は、公欠の扱いになるよう都が各校に依頼する、とされています。
国籍によってはビザの取得に数か月かかることがあり、要項は応募時に確実に取得できるか確認するよう求めています。次世代リーダー育成道場とは同じ年度に併願できますが、両方の参加者にはなれません。応募時にどちらを第一希望にするかを書き、Global Challengeを第一希望にして先に合格すると、道場の選考対象から外れます。また、道場の修了生と現在研修中の研修生、同じ年度に海外派遣研修(都立高校生「Global Visit」)に参加する予定の生徒は応募できません。
海外派遣研修(Global Visit):約1週間、学校単位の派遣
都立高校生等の海外派遣研修は、約1週間で現地の高校との交流、大学や日本大使館、企業の訪問などを行う事業です。令和7年度は299名が派遣され、令和8年度は12か国・331名の派遣が予定されています。令和7年度の資料では、1つの派遣先に6〜12校が割り当てられていました。個人で応募する制度ではなく、学校単位で派遣される形です。生徒の選び方は今回の資料には書かれていません。費用負担の内訳は今回の資料では確認できなかったため、在籍校が派遣校かどうかとあわせて学校に確認してください。
私立高校生:東京都私学財団の助成を学校経由で
POINT
私立高校生向けの公的な支援の中心は、東京都私学財団の「私立高等学校海外留学推進助成事業」です。都外在住でも対象になりますが、概ね3か月以上であること、学校が責任を持つプログラムであることが条件で、申請は学校がとりまとめます。
この事業は、都内の私立高校に在学する生徒が学校の推薦を受け、学校が責任を持つ海外留学プログラムに参加する際に、保護者が学校等に支払う参加費用の一部を助成するものです。対象は留学先での学習期間が概ね1学期(3か月)以上の留学で、期間には3か月・6か月・1年間の区分があります。申請者は保護者ですが、手続きは学校がとりまとめます。令和8年度の学校から財団への申請期間は、第1回が6月1日〜7月9日、第2回が9月14日〜10月22日です。
- 住所は問われない:出発時と留学期間中に都内の私立高校に在籍し、学校の推薦を受けた生徒の保護者が対象です。財団のページには「都内在住でない場合も対象となります」と書かれています。
- 3か月未満の研修は対象外:概ね1学期以上が条件なので、夏休みの2〜3週間の語学研修は対象になりません。
- 学校のプログラムであることが前提:財団は「対象となる留学プログラムの有無等については在学校へご確認いただきますようお願いいたします」としています。ご家庭で個別に手配した留学が対象になるかは、在籍校に確認が必要です。
- 同じ留学で申請できるのは1回:前年度以前に同一の留学でこの助成を申請していないことが要件です。
助成額はいくらか:公表されていない理由と確かめ方
「私立高等学校海外留学推進助成事業 金額」のように金額を知りたい方もいると思いますが、助成額は財団の公開ページに記載がありません。東京都生活文化局の「東京都の私学行政」には、補助の算定方法が「海外留学期間に応じた基準額×参加生徒数」と書かれていますが、基準額そのものは載っていません。学校向けの「事務の手引き」と保護者向けの「申請手続きのご案内」は、学校がログインして使う私学事務支援サイトに掲載されています。
規模の目安としては、同じ資料(令和8年版)で、この助成の都の補助額が令和5年度の実績で約6億2,339万円、令和7年度の予算で約7億3,317万円とされ、令和8年度の予算額は約9億1,308万円(前年度比24.5%増)と示されています。少し古い令和2年版には、平成30年度に154校・701人(3か月以上535人、6か月以上50人、1年間116人)が補助を受けた実績が載っています。補助額には事務費も含まれるため、当サイトでは1人あたりの金額を割り算で推計することはしません。金額は、在籍校の留学担当の先生に、たとえばこの留学で財団の助成がいくら見込めるかを聞くか、財団の担当窓口に問い合わせて確かめてください。
確認ポイント:私学財団の助成は、学校の留学プログラムの費用(学校に支払う参加費)が対象です。プログラム料金の見積もりを受け取ったら、①このプログラムが助成の対象か ②期間区分(3か月・6か月・1年)のどれに当たるか ③申請は第1回・第2回のどちらで出すか、の3点を学校に確認しておくと、家計の見通しが立てやすくなります。
東京グローバル・パスポートは高校生は使えない
POINT
金額が大きく目立つ制度ですが、高校在学中の留学には使えません。大学に入学してから使える制度として、要件と倍率を知っておくのが正しい位置づけです。
東京グローバル・パスポートは、東京都が2025年度に創設した海外留学支援制度で、所得制限がなく、米国留学の場合は短期コースで最大90万円、中長期コースで最大315万円(12か月の場合)が支援されます。金額が大きく報道も多いため、高校生の保護者が最初に目にすることが多い制度です。しかし要件には「応募時及び留学期間中にわたり、国内の大学等に在籍する者」とあり、生計維持者が1年以上都内に住んでいること、応募時と留学期間中に日本国籍を有することも求められます。高校在学中の留学には使えません。
一方で、高校3年生のご家庭にとっては、大学1年生から使える制度として意味があります。東京都は2025年11月の発表で、2026年4月に新大学1年生になる人向けの募集を4月から始める予定と案内していました。2027年4月に入学する人向けの募集については、2026年10月11日時点の都のページで案内を確認できませんでした。倍率も公表されていて、令和8年度の夏の短期コースは応募131人・採用97人で1.4倍、中長期コースは応募532人・採用98人で5.4倍でした。短期は比較的通りやすく、中長期は狭き門という結果です。なお、他の海外留学支援制度との併給はできません。
避けたい
東京都の留学支援は最大315万円と聞いて、高校2年生の1年留学の資金計画に組み込む
こうすればOK
東京グローバル・パスポートは大学生等向けと理解し、高校での留学は都立なら都教育委員会の事業、私立なら私学財団の助成から検討する
避けたい
都内に住んでいるので、どの制度も使えるはずだと考えて、住所の条件から調べる
こうすればOK
まず在籍校の設置者(都立・私立・区市町村立)を確かめ、その学校の生徒が対象になる制度から当たる。私学財団の助成は住所を問わない
避けたい
次世代リーダー育成道場に合格したので、留学と費用はもう確定だと考える
こうすればOK
入校は留学を保証しないと明記されている。事前研修の出席・課題・成績の条件と、受講料80万円+諸経費70万円程度の支払い時期を家族で確認する
名前が似ていて混同されやすいものに、TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)があります。これは都内にある英語の体験型学習施設で、留学の費用を支援する制度ではありません(施設の中身はTOKYO GLOBAL GATEWAYの解説を参照)。道場やGlobal Challengeでは、事前研修の会場の1つとして使われています。
中学生:都立中・区立中・私立中で窓口が分かれる
POINT
「東京都 留学 助成金 中学生」で探しても、中学生個人に都がお金を出す制度はほとんど見つかりません。都立中学校3年生は道場Bコースに応募でき、区立中学校の生徒は区の派遣事業が中心です。私立中学生向けの都の留学助成は確認できませんでした。
中学生の場合も、学校の設置者で考えると整理できます。都立中学校・都立中等教育学校(前期課程)の生徒は、次世代リーダー育成道場のBコースに応募資格があります(令和8年度は都立中学校3年生と都立中等教育学校3年生などで、平成21年4月2日以降に生まれた人)。高校1年生の夏から約11か月の留学になる計算です。Global Challengeの対象は中等教育学校の後期課程までで、前期課程の生徒は対象外です。
区市町村立の中学校の生徒は、区市町村が独自に行う海外派遣事業が中心です。たとえば世田谷区は令和8年度、区立中学校2年生をカナダ・オーストリア・オーストラリア・アメリカに派遣する事業で計68名以内(派遣先別の定員を当サイトが合算)を募集し、236名の応募がありました。自己負担は、オーストリア・オーストラリア・アメリカが個人にかかる経費の1割(目安4〜6万円程度)、カナダは区が全額負担(受け入れ時のホームステイ費用は家庭負担)で、就学援助世帯は区が全額助成します。
品川区は区内在住・在学の中学2年生〜高校3年生12人をフィンランドに派遣する事業(参加費3万円)を行っていて、こちらは住所でも対象になります。港区は区立小中学生の夏休みのオーストラリア(パース)派遣を「小中学生海外派遣」として案内しています(2025年8月5日更新のページ掲載時点・年度の記載なし)。また令和8年度から、留学の常設相談窓口と、高校生を対象とした区独自の体験プログラム(海外学校体験事業)を始めています。
私立中学校の生徒については、東京都私学財団の保護者向けの支援メニューに留学の助成は高校向けしかなく、都の個人向けの留学助成は確認できませんでした。お住まいの区市町村の事業のうち、在住者を対象にしているもの(品川区の例)が選択肢になります。中学生の留学そのもの(出席の扱い、高校受験との関係)は中学生の留学ガイドで整理しています。
- 1在籍校と区市町村の両方を確認する:世田谷区の派遣は、保護者が区の申込フォームから応募する方式でした。学校の案内だけを待たず、区の情報も見ておきます。
- 2区市町村の教育委員会のサイトで「海外派遣」「中学生 派遣」と検索する:世田谷区のように教育委員会の事業として載っています。
- 3区市町村の国際交流のページ・国際交流協会も見る:品川区のフィンランド派遣は、教育委員会ではなく国際交流のページで案内され、寄付による基金で運営されています。
- 4募集時期を前年度の情報で確認する:世田谷区は前年度の12月〜1月、品川区は4月に締め切っていました。年度が替わってから探すと間に合わないことがあります。
国の支援・トビタテとの組み合わせ方
POINT
都の制度だけでなく、国の国費高校生留学促進事業(1人6万円・学校単位)や、トビタテ!留学JAPANも東京都の高校生が使えます。ただし併給できない組み合わせがあるため、どれで出すかを先に決めておきます。
文部科学省の国費高校生留学促進事業は、自治体や学校などが主催する原則10日以上1か月未満の海外派遣に、学校教育活動の一環として参加する中学生・高校生を、都道府県を通じて1人6万円支援するものです(令和8年度予算案)。学校単位での応募が原則なので、私立高校の短期研修がこの支援の対象になっているかどうかは、在籍校に聞くしかありません。トビタテ!留学JAPANの高校生等コースは都立・私立を問わず応募できますが、募集要項で国費高校生留学促進事業の留学支援金とは併給できないとされています。トビタテの制度はトビタテ!留学JAPANの高校生向けガイド、東京都の応募者数と倍率はトビタテ高校生の倍率(都道府県別)にまとめています。
東京都の制度とトビタテを同時に使えるかは、制度ごとの規定次第です。東京グローバル・パスポートは「他の海外留学支援制度との併給不可」と明記していますが、これは大学生になってからの話です。次世代リーダー育成道場やGlobal Challengeについては、今回確認した募集案内・要項に他の奨学金との併給を定めた記載は見当たりませんでした。併用を考える場合は、応募前に在籍校を通じて両方の事務局に確認してください。奨学金全体の組み立て方は高校生の留学奨学金ガイドで解説しています。
海外大学まで見据えるなら:都立生向けの給付型奨学金
POINT
2026年5月、都立高校等の生徒・卒業生を対象に、世界トップレベルの海外大学への進学を支援する給付型奨学金が新設されました。高校での留学とは別の制度ですが、進路の選択肢として知っておく価値があります。
都立高校等海外大学進学支援制度は、THE・QSの世界大学ランキングで総合100位以内などの大学に進学する人を10名程度選び、授業料から国内私立大学の授業料相当額(130万円)を差し引いた残りを、原則4年間支援する制度です。世帯所得の目安が約715万円未満(4人家族・片働きで年収約910万円未満)なら補助率10分の10で上限800万円、約715万〜約2,000万円なら2分の1で上限400万円です。主な要件は、応募時に都立高校等に在籍し令和9年3月末までに卒業見込みの人か、都立高校等を卒業後3年以内の人であること、応募時と留学期間中に日本国籍を有すること、本人と生計維持者が令和6年5月1日から引き続き都内に住んでいること、応募時までに国内外の高等教育機関等に在籍したことがないこと、学校の推薦を得られることなどです。出願前に採択が決まる予約型で、令和8年度の応募は7月1日〜8月19日でした。都は「この募集は、令和9年度予算の成立を前提に行うものです。」としています。
この制度も都立高校等の生徒が対象で、私立高校の生徒は応募できません。私立高校から海外大学を目指す場合は、民間財団やJASSOの給付型奨学金が中心になります。比較は海外大学の奨学金、進学準備の全体像は海外大学進学ガイドで整理しています。
申請の段取り:前年度の日程で1年分の予定を組む
POINT
東京都の制度は、募集案内の公表から締切までが短いものが多く、学校の校内締切はさらに早くなります。前年度の日程を手がかりに、春先から学校の案内に注意しておくのが確実です。
令和8年度の主な日程(各募集案内・要項・財団ページから当サイトが整理。来年度も同じ時期とは限りません)
| 時期 | 制度 | 内容 |
|---|---|---|
| 前年度12月〜1月(世田谷区の例) | 区市町村の中学生派遣 | 区立中1年生のうちに応募 |
| 3月 | 次世代リーダー育成道場 | 募集案内を公表(令和8年3月) |
| 5月15日 | 次世代リーダー育成道場 | 学校からの出願登録期限。一次選考5月31日、二次選考6月13日・14日、二次の結果通知6月24日 |
| 6月1日〜7月9日 | 私学財団の助成 | 学校から財団への申請期間(第1回) |
| 6月30日 | Global Challenge | 都から学校に参加生徒の決定通知(校内選考はそれ以前) |
| 7月1日〜8月19日 | 都立高校等海外大学進学支援制度 | 本人が専用フォームで応募(面接は9月中旬予定) |
| 9月14日〜10月22日 | 私学財団の助成 | 学校から財団への申請期間(第2回) |
どの制度でも、保護者の役割は「代わりに申し込むこと」ではなく、締切と書類の管理です。道場の出願は本人が入校志願書と自己PRカードを作り、校長が推薦書を登録します。Global Challengeでは、パスポートやビザの手続きを保護者が主体的に進められることが応募資格に含まれています。英語の目安(道場は出発時にCEFR B1相当以上の見込み、Global Challengeは英検3級相当以上が望ましい)も、満たすまでに時間がかかります。高校1年生の春のうちに学校の案内を確認し、受けたい制度の要件を家族で共有しておきましょう。
まとめ:まず「学校」、次に「期間」で絞る
東京都の高校生・中学生が使える公的な留学支援は、在籍校の設置者でほぼ決まります。都立高校生には1週間・3週間・約11か月という期間の違う3事業があり(道場とGlobal Challengeは推薦・選考あり、海外派遣研修は学校単位の派遣)、私立高校生なら3か月以上の学校プログラムで私学財団の助成を使います。中学生は、都立中学校3年生なら道場Bコース、区立中学校なら区の派遣事業が中心です。
金額で比べる前に、①学校の設置者 ②行きたい期間 ③学校の推薦が得られるかの順に絞ると、候補はかなり絞り込めます。そのうえで、私学財団の助成額のように公開されていない情報は学校に確認し、道場のように自己負担がある制度は支払い時期まで家族で話し合っておきましょう。東京都以外の自治体の制度や、国・都道府県・市区町村の層の違いは自治体の高校生留学支援で確認できます。
Q.私立高校に通っています。東京都私学財団の助成はいくらもらえますか?
助成額は財団の公開ページに記載がありません。東京都の資料には「海外留学期間に応じた基準額×参加生徒数」で算定すると書かれており、期間は3か月・6か月・1年間の区分です。学校向けの手引きは学校がログインして使うサイトに載っているため、在籍校の留学担当の先生か、財団の海外留学推進助成事業の担当窓口に確認してください。概ね3か月以上の、学校が責任を持つプログラムが対象で、申請は学校がとりまとめます。
Q.東京グローバル・パスポートは高校生でも申し込めますか?
申し込めません。要件は「応募時及び留学期間中にわたり、国内の大学等に在籍する者」で、生計維持者が1年以上都内に住んでいること、応募時と留学期間中に日本国籍を有することも必要です。高校3年生のご家庭は、大学入学後に使える制度として知っておくとよいでしょう。令和8年度の公表倍率は、夏の短期コースが1.4倍(応募131人・採用97人)、中長期コースが5.4倍(応募532人・採用98人)でした。
Q.都外に住んでいて、都内の私立高校に通っています。東京都の支援は使えますか?
私学財団の私立高等学校海外留学推進助成事業は、都内の私立高校に在籍していれば都内在住でなくても対象です。一方、都教育委員会の道場やGlobal Challengeは都立学校の生徒が対象なので使えません。お住まいの県や市区町村にも独自の制度がある場合があるので、あわせて確認してください。逆に、都内に住んでいて他県の私立高校に通っている場合、私学財団の助成は対象外です。
Q.中学生が使える東京都の留学支援はありますか?
都立中学校3年生と都立中等教育学校3年生などは、次世代リーダー育成道場のBコース(約11か月の留学)に応募できます(令和8年度は平成21年4月2日以降に生まれた人)。区立中学校の生徒は、世田谷区の区立中2年生の派遣のような、区市町村の事業が中心です。私立中学生向けの都の留学助成は確認できませんでした。区市町村の事業は前年度のうちに締め切られることがあるので、早めに教育委員会のサイトを確認してください。
Q.次世代リーダー育成道場の倍率はどのくらいですか?
応募者数や合格者数の公表は、公式サイトと募集案内では確認できませんでした。募集案内のQ&Aでは、志願者が定員の150人に満たない場合でも、基準点に達しない志願者は不合格になると説明されています。一次選考は英語4技能試験(CEFR A2以上が通過の条件の1つ)と日本語の小論文、二次選考は日本語の個別面接です。また都の選考の前に、校長の推薦を得るための校内選考があります。
Q.Global Challengeと次世代リーダー育成道場は両方応募できますか?
同じ年度に併願はできますが、両方の参加者にはなれません。応募時にどちらを第一希望にするかを志願書に書き、Global Challengeを第一希望にして先に合格した場合、道場の選考対象から外れます。なお道場の修了生と現在研修中の研修生、同じ年度に海外派遣研修(Global Visit)に参加予定の生徒は、Global Challengeに応募できません。








