留学の費用相場を国別・期間別に見る|公的データで言えること・言えないこと
「国×期間」で並んだ留学費用の公的な表はありません。公的に確かめられるのは、期間別の総費用の分布、国別の月額、各国のビザで示す生活費の証明額の3種類で、どれも国と期間を掛け合わせた数字ではありません。
この記事は、その3種類を定義・回答数・限界つきで並べ、「言えること」と「言えないこと」を分けます。目的・期間・国・費用をまとめて考えたい場合は、先に留学を考え始めたら最初に決めたいことの費用の節も確認してください。
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1国×期間の公的な費用表は無く、公的に確かめられるのは期間別の総費用の分布・国別の月額・各国の証明額の3種類
- 2JASSO 2018年度版(n=1,001)の定義・回答数・「わからない」の割合と限界が分かる
- 3ビザの生活費証明額は下限の目安で実費ではない(英国は日本国籍者は原則不要)
国×期間の「公的な費用表」はない|分かること・分からないこと
出回っている国×期間の相場表は、留学会社やメディアが作ったもので、回答数・年度・為替・費目の範囲が分からないものが多くあります。この記事では、そうした表の数字は載せません。
公的に確かめられる数字は次の3つです。
| 数字 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 期間別の総費用の分布(JASSO) | 同じ期間区分の回答者が、どの費用帯に多かったか | 国・留学の種類ごとの違い。「この期間はいくら」という一つの金額 |
| 国別の月額(JASSO) | 米・豪・加・英の住居費・生活費・学費の月額で、回答が多かった帯 | 期間との掛け合わせ。「わからない」が3〜6割ある項目の実際の水準 |
| ビザの生活費証明額(各国政府) | 申請で示す必要がある資金の下限の目安 | 実際にかかる費用。日本国籍者に提出が求められるかどうか(英国は原則不要) |
JASSOの調査は、2018年度版が一覧で確認できる最新で、令和以降の調査は載っていませんでした(2026-10-06確認)。
出典:JASSO「海外留学経験者の追跡調査」(調査一覧ページ・取得日 2026-10-06)
この記事の数字の定義と調査条件
JASSOの数字は、いずれも次の調査にもとづきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査 | JASSO「海外留学経験者の追跡調査」2018年度(平成30年度)版 |
| 回答数 | 有効回収数 1,001 |
| 対象 | 過去15年以内に海外留学を経験している20〜40代の一般の日本人 |
| 方法 | インターネット調査(登録モニターへのスクリーニング) |
| 回答者の偏り | 女性76.2%・男性23.8% |
| 総費用の定義 | 学費・生活費・渡航費・手続き経費その他すべての経費。日本の大学の学費など、新たに支払いが免除された経費は除く。概算で回答 |
| 月額の定義 | 1ヶ月あたりの住居費・生活費・学費を、留学当時の日本円に換算して最も近い帯を1つ選ぶ |
「わからない/覚えていない」も回答の一つとして集計されています。JASSOは回答数が50以下の区分も参考情報として載せていて、この記事は期間区分の4年以上(回答数46)を参考値として扱い、国別は回答数の多い4か国(米・豪・加・英)だけを載せます。
出典:JASSO「海外留学経験者の追跡調査 平成30年度版 概要」「同 結果の詳細 Q62-Q101」(取得日 2026-10-06)
期間別:留学の総費用はどう分布しているか
留学期間の区分ごとに、総費用の回答がどの帯に多かったかを示します。平均や中央値は、帯の値からの推計になり数字から言える以上になるため、算出しません。
| 留学期間 | 回答数 | 最も多い帯(わからない除く) | 次に多い帯 | わからない |
|---|---|---|---|---|
| 全体(期間を問わない) | 1,001 | 50〜100万円未満 25.1% | 50万円未満 19.2% | 17.0% |
| 3ヶ月未満 | 384 | 50万円未満 41.4% | 50〜100万円未満 36.5% | 13.0% |
| 3ヶ月〜6ヶ月未満 | 131 | 50〜100万円未満 32.8% | 100〜150万円未満 16.0% | 14.5% |
| 6ヶ月〜1年未満 | 230 | 100〜150万円未満 19.6% | 50〜100万円未満 17.8% | 20.0% |
| 1年〜2年未満 | 141 | 150〜200万円未満 14.2% | 200〜300万円未満 13.5% | 23.4% |
| 2年〜4年未満 | 69 | 200〜300万円未満 17.4% | 100〜150万円未満 13.0% | 15.9% |
| 4年以上(参考値) | 46 | 500〜750万円未満 17.4% | 100〜150万円未満・300〜400万円未満 各13.0% | 23.9% |
読み取れるのは次の点です。
- 3ヶ月未満は50万円未満、3〜6ヶ月未満は50〜100万円未満が最も多い帯です
- 期間が長くなるほど、最も多い帯が上の費用帯に移り、回答が複数の帯に散らばります
- 6ヶ月以上の区分では「わからない」が15.9〜23.9%あり。6ヶ月〜1年未満(20.0%)、1年〜2年未満(23.4%)、4年以上(23.9%)では、「わからない」が最も多い費用帯の割合を上回っています
ここから「この予算ならこの期間」とは言えません。言えるのは、同じ期間区分の回答者がどの帯に多かったか、までです。区分ごとに回答数が違い、国や留学の種類も混ざっています。
出典:JASSO「海外留学経験者の追跡調査 平成30年度版 結果の詳細 Q62-Q101」p.76(取得日 2026-10-06)
国別:月額の住居費・生活費・学費の最頻帯
JASSOは、国別に1ヶ月あたりの住居費・生活費・学費も集計しています。回答数の多い4か国の、最も多かった帯と「わからない」の割合です。
| 国(回答数) | 住居費(月額) | 生活費(月額) | 学費(月額) |
|---|---|---|---|
| 米国(231) | 5〜10万円未満 25.1%/わからない 35.5% | 3〜5万円未満 20.3%・5〜10万円未満 19.0%/わからない 30.3% | わからない 43.3%・10〜15万円未満 13.9%・5〜10万円未満 12.6% |
| オーストラリア(156) | 5〜10万円未満 25.6%/わからない 39.1% | 5〜10万円未満 19.9%・3〜5万円未満 17.9%/わからない 34.0% | 5〜10万円未満 17.9%/わからない 48.1% |
| カナダ(117) | 5〜10万円未満 19.7%/わからない 47.0% | 3〜5万円未満 17.9%・5〜10万円未満 14.5%/わからない 41.9% | 5〜10万円未満 11.1%/わからない 56.4% |
| 英国(87) | 5〜10万円未満 25.3%/わからない 37.9% | 3〜5万円未満 24.1%・5〜10万円未満 13.8%/わからない 35.6% | 5〜10万円未満 10.3%/わからない 56.3% |
数字は留学当時の日本円への換算で、現在の為替や物価とは一致しません。
出典:JASSO「海外留学経験者の追跡調査 平成30年度版 結果の詳細 Q62-Q101」p.77〜79(取得日 2026-10-06)
各国ビザの生活費証明額は「実費」ではない
学生ビザの申請では、国によって資金の証明を求められます。示す額は下限の目安で、実際の生活費を示す数字ではありません。いずれも円換算はしていません(為替で変わるため)。取得日は2026-10-06で、制度や額は申請時点で変わるので、申請の際は公式ページで確認してください。
| 国・制度 | 生活費の証明額 | 単位 | 別に示す費用 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 英国 Student route | ロンドンの課程 £1,529/月、ロンドン以外 £1,171/月 | 月額・最大9ヶ月分 | 授業料(1学年分) | 資金は28日以上連続で保有。日本国籍者は原則この資金証明は不要(求められた場合のみ提出) |
| カナダ 就学許可 | C$23,448(2026-09-01以降の申請、単身、ケベック州以外) | 年額・初年度分 | 授業料・往復の交通費(この額には含まない) | 2025-01-01〜2026-08-31の申請は C$22,895 |
| 豪州 Student visa(subclass 500) | AUD 29,710(学生本人) | 12ヶ月分 | 授業料12ヶ月分・渡航費 AUD 2,000(目安。豪州国外から、東・南アフリカ、西アフリカ以外の地域として申請する場合。日本はこの区分) | 滞在が12ヶ月未満なら日割り |
| 米国 F-1 | 一律の額は確認できず(今回取得した大学の案内の範囲) | − | − | 学校が出す I-20 に記載の費用は見積り |
英国の9ヶ月分は、月額×9で、ロンドンの課程が £13,761、ロンドン以外が £10,539です(編集部算出。公表値ではありません)。
使える面もあります。カナダの就学許可や豪州の学生ビザを申請する場合は、授業料や渡航費とは別に、少なくともこの生活費を示す必要があります。その国で学生ビザを取る長期留学の、手元資金の下限の目安として使えます。
米国は、学校が出す I-20 の費用が見積りで、金額は学校・学年・課程で変わります。特定の学校の金額は載せていません。
出典:GOV.UK「Student visa: Money you need」/カナダ政府 IRCC「Study permit: Proof of financial support」/豪州内務省「Student visa (subclass 500)」「Financial capacity - Student, Evidence of」/Michigan State University OISS「Financial Documentation Requirements」(いずれも取得日 2026-10-06)
数字を読むときの限界:為替・都市・種類・滞在方法
言えること・言えないことを整理します。
- 言えること:JASSOでは、期間が長い区分ほど総費用の最頻帯が上にずれる/国別の月額で、回答が多かった帯がある/各国の証明額の現行値(取得日時点)
- 言えないこと:国×期間ごとの金額/語学留学・大学など正規留学・ワーキングホリデーといった種類別の金額(この記事で扱ったJASSOの集計(総費用・月額)には、種類別の区分がありません)
- 為替:JASSOは留学当時の円換算で、現在の為替・物価とは一致しません。ビザの証明額は外貨のままで、円換算していません
- 都市:英国の証明額はロンドンとそれ以外で違います。ほかの国でも都市で費用が変わりますが、この記事の公的な数字には都市別の値がありません
- 滞在方法:住居費の最頻帯は5〜10万円未満の国が多い一方、「わからない」も35.5〜47.0%あり、滞在方法ごとの差は読み取れません
- 回答者の偏り:JASSOの回答者は女性が76.2%を占めます
- 国別の対象:JASSOは回答数が少ない区分も参考情報として載せています。この記事は回答数の多い4か国だけを載せました
- 米国:ビザの金額は固定ではなく、学校の I-20 の見積りで決まります
見積りを取る前に、この数字をどう使うか
公的な数字は、見積りの桁と不確かさを確認するために使えます。使い方は3つです。
- 期間区分の分布で、自分の予算がどのあたりかを見る(「この期間ならこの金額」と決めつけない)
- 学生ビザを申請するなら、証明額が手元資金の下限の目安になる(英国は日本国籍者は原則不要)
- 留学会社などの見積りは、費目の範囲(授業料・住居・生活費・渡航費)をそろえて比べる
数字を見たあとに、自分の場合の出発前の必要額や時期を確認したい場合は、タイムラインのツールが使えます。
次にやること
出典
- 日本学生支援機構(JASSO)「海外留学経験者の追跡調査 平成30年度版 結果の詳細 Q62-Q101」
- JASSO「海外留学経験者の追跡調査 平成30年度版 概要」
- JASSO「海外留学経験者の追跡調査」(調査一覧ページ)
- GOV.UK「Student visa: Money you need」
- カナダ政府 IRCC「Study permit: Proof of financial support」
- 豪州内務省「Student visa (subclass 500)」
- 豪州内務省「Financial capacity - Student, Evidence of」
- Michigan State University OISS「Financial Documentation Requirements」(F-1)

