留学の種類と違いを比べる:語学・交換・学位の入学条件と、帰国後に残るもの
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1留学はJASSOの分け方で、語学留学・高等教育機関への留学・高校以下の学校への留学の3つ。この記事は前の2つを、入る前に確かめる条件と帰国後に残るものの表で比べる
- 2大学設置基準では、他の大学で修得した単位を60単位を超えない範囲でみなすことができる(大学の判断)。卒業要件124単位に対する60単位は48.4%(編集部算出・法令上の単位数の比で、実際の認定割合ではない)
- 3カナダの卒業後就労許可(PGWP)は、第二言語としての英語・フランス語を学んだ人が対象外の一覧に載る(2026年6月24日表示)。英国のGraduate visaは学士・大学院などの適格な課程が対象
留学は語学・学位・在籍したまま・学位や単位を目的にしない在籍に分かれ、違いは「入る条件」と「帰国後に残るもの」に出る
この記事は2026年11月2日時点の、公的機関の資料で確認できた範囲の整理です。
JASSO(日本学生支援機構)の海外留学情報サイトは、留学を大きく3つに分けています。語学留学、大学・大学院・専門学校などの高等教育機関への留学、高校以下の学校への留学です。この記事は前の2つを扱い、高校以下の学校への留学は範囲外にします。
型ごとの目的は、JASSO の説明では次のとおりです。
- 語学留学は「語学学習を目的とした留学」です。
- 学位型は、高等教育機関への留学のうち「留学先の学校を卒業して学位や資格を取得することを目的とした留学」です。
- 交換留学・認定留学は、同じく高等教育機関への留学のうち「卒業を目的とせず、日本の学校に在籍したまま比較的短期間留学する」ものです。
- このほか、学位や単位の取得を目的とせず、海外の大学に一定期間在籍して学ぶ方法もあります。
呼び名には注意が要ります。国や地域によって教育制度や言葉の定義が異なるため、JASSO は「名称だけで学校の種類を判断することはできません」としています。また、語学留学だけでは価値が低いのかという問いに対して、JASSO は「『留学の価値』を留学の種類で判断すべきではない」と答えています。種類は優劣ではなく、条件と手元に残るものの違いとして読みます。
ワーキング・ホリデーは、JASSO の説明では1年間(国によっては2年間)の休暇を過ごす活動と、その間の滞在費を補うための就労を、政府間の協定により認める制度です。この記事では留学の種類として扱いません。年齢や期間は留学 期間 どれくらいで整理しています。
自分の立場で表の行を引くと、入る前に見られることと帰国後に残るものが分かる
先に、次の3つのどれに当てはまるかで読む行を決めます。そのうえで、表の「入る前に見られること」と「帰国後に残るもの」を比べてください。
- いま日本の大学・大学院に在籍している「交換留学」「認定留学・休学留学」の行から読む。制度は学校により異なるので、在籍校への事前確認が前提
- 学位(学部・大学院)を取ることが目的「学位(学部)」「学位(大学院)」の行から読む。入る前の前提は国・大学で変わる
- 語学力に不安がある「語学留学」の行と、学位型の行の語学力の欄を見比べる
| 型 | 日本での立場・目的 | 入る前に見られること | 帰国後に残るもの |
|---|---|---|---|
| 語学留学 | 語学学習が目的 | 大学入学準備など特別な目的のコースを除けば、入門者・初級者から受け入れられることが多い。年齢の下限を設けている学校やコースがある。最低限の語学力がないと入国を許可しない国もある | 目的は語学学習。カナダでは卒業後就労許可(PGWP)の対象外の一覧に「第二言語としての英語またはフランス語を学んだ人」が載る(6章) |
| 交換留学 | 日本の大学・大学院に在籍して行く | 在籍校と学生交流協定を結んでいる海外の大学で履修する。学校により制度が異なる | 期間は在籍校の修業年限に算入される。協定の定める範囲内で在籍校の単位として認められる。ダブルディグリーを提供する大学もある |
| 認定留学・休学留学 | 日本の大学に在籍して行く(大学ごとに制度が異なる) | 認定は、一定の条件を満たせば休学扱いにならない場合がある。休学は、留学を休学理由として認めない大学もある | 休学期間は通常、修業年限に算入されない。留学先で取得した単位が認められることもある |
| 学位(学部) | 留学先の学校を卒業して学位や資格を取ることが目的 | 日本の高校卒業後すぐ留学できるかは「できる国とできない国」がある。ほとんどの大学などで日本の学校の成績証明書の提出を求められる。授業についていく語学力が必要 | 学位や資格 |
| 学位(大学院) | 同上 | 授業についていく語学力が必要。英語圏以外の国の大学などでは、修士課程以上で英語で学ぶコースが多い傾向(国・大学・学科で異なる) | 学位や資格 |
| 専門教育(職業教育など) | 高等教育機関への留学のうち、専門学校などを含む | 学校・課程ごとに公式で確認する。豪州の VET は実践的でスキル中心の課程 | 学位や資格。豪州では VET の Diploma・Advanced Diploma が、分野によって高等教育の学位に対する学習単位になる場合がある |
| 学位や単位を目的としない在籍 | 海外の大学に一定期間在籍して学ぶ | 同じレベルの語学力と学力が必要とされる場合が多い(英語圏の大学のコースの場合) | visiting student・non-degree student の名称で、学位課程の授業への参加や単位の取得を認めている大学もある。名称と扱いは大学による |
奨学金の応募資格は、表の「入る前に見られること」とは別のものです。奨学金の資格は5章で分けて書きます。
日本の大学に在籍して行く留学は、交換・認定・休学で修業年限と単位の扱いが違う
JASSO は、日本の大学・大学院に在籍して留学する方法を、交換留学・派遣留学、認定制度などによる留学、休学しての留学に分けています。どれも学校により制度が異なるので、在籍校に事前に確認します。
- 交換留学・派遣留学: 在籍校と学生交流協定を結んでいる海外の大学で履修します。期間は数週間から1学年間です。留学した期間は在籍校の修業年限に算入されます。取得した単位は協定の定める範囲内で在籍校の単位として認められ、必要な単位を満たせば留年せず卒業できます。留学中の学費は、日本の在籍校か留学先校のどちらか一方に支払うのが一般的です。
- 認定留学: 在籍校の制度を使わず自分で留学先を選んで手続きしても、一定の条件を満たせば休学扱いにならない場合があります(大学ごとに制度が異なる)。留学先の学費は、一般的に本人が留学先校へ全額支払います。日本の在籍校への支払いは大学により異なります。
- 休学留学: 休学期間は通常、在籍校の修業年限に算入されません。留学先で取得した単位が認められることもあります。留学を休学理由として認めない大学もあります。
- ダブルディグリー・デュアルディグリー: 在籍校と留学先校の両方の学位を取得できる制度です。提供する大学のみが対象です。
JASSO の協定派遣の奨学金(2026年6月22日更新)には、応募資格の一つに「在籍大学等に戻り学業を継続し、在籍大学等の学位を取得する者又は卒業する者」があります。これは奨学金の資格であり、交換留学そのものの条件ではありません。
交換留学の単位は法令上60単位までみなせるが、実際に認められる数は大学と協定で決まる
大学設置基準(文部省令)には、他の大学で修得した単位の扱いが書かれています。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第28条第1項 | 大学は、教育上有益と認めるときは、学生が他の大学で履修して修得した単位を、60単位を超えない範囲で、その大学での履修により修得したものとみなすことができる |
| 第28条第2項 | 第1項の規定は、学生が外国の大学または外国の短期大学に留学する場合に準用される |
| 第29条第2項 | 第28条で認められる単位は、第29条の大学以外の施設での学修による単位と合わせて60単位を超えない |
| 第32条第1項 | 卒業の要件は、124単位以上を修得することのほか、大学が定める。医学・歯学(188単位)・薬学の臨床系(186単位)・獣医学(182単位)の学科は別の定め |
60単位は法令上の上限で、「みなすことができる」という大学の判断を前提にした規定です。実際に認められる単位数は、大学と協定ごとに決まります。
編集部算出として、60÷124=48.4%です(小数第2位を四捨五入)。60単位は卒業要件124単位の約半分にあたる、という法令上の単位数の比を示す値で、実際に認定される単位の割合ではありません。医学・歯学などの学科にはこの比は当てはまりません。
学位を目指す留学の入る条件は国・大学で変わり、語学力・成績証明・準備コースの有無で分かれる
学位型の入る前の確認は、国ごとに前提が違います。表は政府ページに書かれている前提だけを並べたものです。
| 国・段階 | 政府ページにある前提 |
|---|---|
| 英国(Student visa) | 認可された学生スポンサー(licensed student sponsor)からコースの枠を提示された人が対象(16歳以上)。英語力を証明する場合、学位レベル以上のコースは CEFR B2 相当、学位レベル未満は B1(英語圏の国籍・学位などの例外あり)。高等教育機関(HEP)で学ぶ場合は、HEP が自ら英語力を評価でき、別のテストを求められることもある |
| 豪州・学士 | Year 12 相当、または TAFE/VET の Certificate III・IV |
| 豪州・修士 | 学士、学士(Honours)、または Graduate Diploma。職歴で認められる課程もある |
| 豪州・博士 | 研究要素を含む学士(Honours)、または修士 |
| カナダ(学習許可が必要な場合・2025年5月7日表示) | 入学許可書は指定教育機関(DLI)のものでなければならない |
英国の資格レベルは、イングランド・ウェールズ・北アイルランドの枠組みに限ると、次のように並びます。レベル4に CertHE・HNC、レベル5に DipHE・foundation degree・HND(学位レベルの手前の高等教育の資格)、レベル6に学位(honours あり)、レベル7に修士、レベル8に博士です。
日本の高校を卒業していれば大学入学資格がある場合がある一方、留学先の言語による準備コース(通常1年。「ファウンデーションコース」などと呼ばれる)の修了を求める大学もあります。語学力や高校の成績を証明する書類で十分な能力があると認めれば入学を許可する場合もあります。JASSO の学部学位取得型の奨学金も、大学入学準備コースは「日本の中等教育修了資格が留学先大学の学士課程入学条件を満たさない場合に限り」支援対象としています。豪州では、大学に直接入る要件を満たさないとき、英語コース(ELICOS)・VET・Foundation Studies のパスウェイで入学要件を満たす道があります。
帰国後に手元に残るものは型で違い、語学留学はカナダの就労許可(PGWP)の対象外の一覧に載っている
卒業後の就労許可は、学んだ内容で対象が分かれる国があります。次の表は、英国とカナダの政府ページで確認できた範囲です。
| 学んだもの | 手元に残るもの | 英国 | カナダ(PGWP・2026年6月24日表示) |
|---|---|---|---|
| 語学(英語コース) | 語学学習が目的 | 課程が6か月を超え11か月以内の英語コースは Short-term study visa。Graduate visa の対象かどうかは確認が必要 | 対象外の一覧に「第二言語としての英語またはフランス語を学んだ人」が載る |
| 一般教養・自己啓発の講座 | − | 確認が必要 | 対象外の一覧に載る |
| 学位課程(学士・修士・博士) | 学位 | Graduate visa は、UK の学士・大学院などの適格な課程(eligible course)を Student visa で一定期間学んだ人が対象 | PGWP 対象の DLI で8か月以上の課程(ケベックは900時間)が対象課程。言語要件は英語 CLB 7(4技能すべて)。フランス語は NCLC 7 |
| カレッジ・ポリテクニックなど | − | 学位レベル未満の課程が対象かは確認が必要 | 言語要件は英語 CLB 5 |
カナダの個別の判定は IRCC(カナダ政府)が行うため、この記事は「公式の一覧に載っている」ことまでを書きます。英国の Graduate visa も、申請時の条件は政府ページで確認します。卒業後ビザの期間は、留学先 選び方で扱っています。
型が分かったら、確かめる先は在籍校・留学先の政府・JASSO で、期間と費用は別の記事で見る
型ごとの確かめ先は次のとおりです。
| 確かめたいこと | 確かめる先 |
|---|---|
| 交換・認定・休学の制度、単位の扱い | 在籍校(制度は学校により異なる) |
| 留学先の学校の種類・認定 | 留学先の政府の教育省や認定・登録団体のサイト(JASSO「はじめての留学」の案内) |
| 英国の Student visa | 認可された学生スポンサーからコースの枠を提示されているか(GOV.UK) |
| カナダの学習許可 | 入学許可書が指定教育機関(DLI)のものか(IRCC) |
| 留学全般の条件・奨学金 | JASSO 海外留学情報サイト |
期間と費用は、この記事では扱っていません。次の記事で見ます。
次にやること
Qワーキングホリデーは留学の種類に入りますか?
Q語学力が足りないと大学には入れませんか?
Q日本人の留学者数が91,054人と50,139人の2つ出るのはなぜですか?
出典
- JASSO 海外留学情報サイト「留学準備を始める前に」(よくある質問集)
- JASSO 海外留学情報サイト「留学に必要な条件」(よくある質問集)
- JASSO 海外留学情報サイト「はじめての留学」
- JASSO「海外留学支援制度(協定派遣)」(2026年6月22日更新)
- JASSO 海外留学情報サイト「海外留学支援制度(学部学位取得型)」
- JASSO 海外留学情報サイト「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」
- 文部省令「大学設置基準」(昭和三十一年文部省令第二十八号・e-Gov 法令API。法令検索の画面は https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000080028)
- 文部科学省「日本人学生の海外留学状況」及び「外国人留学生の在籍状況」を公表します(令和8年5月29日)
- GOV.UK「Student visa」
- GOV.UK「Student visa: Knowledge of English」
- GOV.UK「Graduate visa」
- GOV.UK「Short-term study visa」
- GOV.UK「What qualification levels mean: List of qualification levels」
- カナダ政府 IRCC「Study permit: Prepare」(学習許可の準備・入学許可書)
- カナダ政府 IRCC「Post-graduation work permit: Eligibility」(2026-06-24 表示)
- オーストラリア政府 Study Australia「Australia’s education system」
- Study Australia「Vocational Education and Training (VET) and TAFE」
- Study Australia「Undergraduate qualifications」
- Study Australia「Postgraduate qualifications」
- Study Australia「Pathways: ELICOS, VET and Foundation Studies」
