このページの要点
「福岡から世界へ」人材育成プロジェクトの倍率は、令和8年度で約8.0倍(603名応募・75名選抜)です。
- 令和8年度に倍率が大きく上がりました。令和5年度は296名応募・55名選抜で約5.4倍でした。JASSOの調査(2025年11月〜2026年1月時点の県の回答)では75名の枠に412名が応募していて約5.5倍です(年度の記載はなく、回答の時期から令和7年度の実績と当サイトが判断)。倍率はいずれも当サイトの計算です。
- 航空運賃・現地での移動費・宿泊費・研修費用・海外旅行傷害保険は主催者(県教育委員会)が負担します。現地での食費(宿泊に含まれるものを除く)、パスポート取得費、県内の移動費などは家庭の負担です。
- 名前の近い「探究型グローバル人材育成事業」は別の制度です。トビタテの地域枠で、自分で作った留学計画に奨学金が出ます。第1期(2026年度)は57名応募・20名採用で約2.9倍でした。
「福岡から世界へ」人材育成プロジェクトは、福岡県教育委員会が県内の高校生を海外の短期研修に派遣する事業です。シリコンバレーコースと、ハワイ・オーストラリア・シンガポールの海外就業体験コースがあり、令和8年度は75名の枠に603名が応募しました。県は「8倍を超える倍率」と発表しています。一方、令和8年度から始まった「探究型グローバル人材育成事業」は、トビタテ!留学JAPANの地域枠です。費用の出方も応募の時期も違い、探究型の派遣が決まると、人材育成プロジェクトには応募できません。この記事は、県の記者発表・募集要項・広報紙とJASSO・トビタテの公表資料をもとに整理したものです。
本記事は、福岡県の記者発表資料、令和6年度・令和8年度「福岡から世界へ」人材育成プロジェクト募集要項(生徒用)、県教育委員会の広報紙「教育福岡」、「福岡から世界へ」探究型グローバル人材育成事業(第1期)の募集要項、JASSOの「自治体による海外留学支援(資金面)の調査」、トビタテ!留学JAPANの公表資料、福岡市教育振興会の案内を、当サイトが2026年10月17日に取得して整理したものです。令和8年度の募集はどちらの制度もすでに締め切られており、令和9年度(2027年度)の募集内容はまだ公表されていません。枠・費用負担・要件・日程は年度ごとに変わります。応募する前に、必ず最新の募集要項をご確認ください。
結論:「福岡から世界へ」人材育成プロジェクトの倍率は約8.0倍(令和8年度)
POINT
令和8年度は603名の応募に対して75名が選ばれ、倍率は約8.0倍でした。県の発表も「8倍を超える倍率」です。コース別の応募者数は公表されていません。
福岡県は、開講式の記者発表で応募者数と選抜者数を公表しています。令和8年9月16日付の資料には、「県内の高校生603名から応募」があり、一次選考(書類審査)と二次選考(オンライン面接)を経て、「8倍を超える倍率から選抜された75名が研修生として参加します」と書かれています。年度ごとの数字を並べると、次のとおりです。倍率は、県などの数字をもとに当サイトが計算しました。
「福岡から世界へ」人材育成プロジェクトの倍率早見表(福岡県の記者発表・広報紙・募集要項、JASSOの調査より作成。倍率は当サイトの計算=応募者数÷選抜者数。令和7年度だけは選抜者数の公表がないため、募集人員で割っている)
| 年度 | 募集の枠 | 応募者数 | 選抜者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | シリコンバレー10名・就業体験各15名(計55名) | 296名 | 55名 | 約5.4倍 |
| 令和6年度 | シリコンバレー10名・就業体験各15名(計55名) | 未確認 | 未確認 | 未確認 |
| 令和7年度(※当サイトの判断) | シリコンバレー15名・就業体験各20名(計75名) | 412名(※) | 75名(募集人員) | 約5.5倍(※) |
| 令和8年度 | シリコンバレー15名・就業体験各20名(計75名) | 603名 | 75名 | 約8.0倍 |
※令和7年度の数字は、JASSO(日本学生支援機構)が2025年11月〜2026年1月に都道府県から集めた回答にある、「募集人員:75 名(実績 412 名応募)」です。資料には年度が書かれていません。回答は2025年11月〜2026年1月時点のもので、令和8年度の募集(2026年6月に学校へ要項)より前です。また令和6年度の枠は55名で、75名の枠になったのは令和7年度からです(探究型の地域協議会(事務局:県教育庁高校教育課)の教職員向け説明資料に「R7年度事績」としてシリコンバレー15名・就業体験各20名と記載)。この回答の時期から、当サイトは令和7年度の実績と判断しました。コース別の人数は令和8年度も同じなので、人数だけでは年度を区別できません。令和6年度の応募者数は、県の公表資料では確認できませんでした。
ここで押さえておきたいのは、約8倍という数字は、校長の推薦を受けて応募した生徒の中での競争だということです。応募には在籍校の校長の推薦が必要で、応募書類は在籍校を通して出します。準備を整えた生徒どうしで、おおむね8人に1人が選ばれる計算です。全国の自治体の制度と比べた位置づけは、自治体の高校生留学支援で整理しています。
倍率の推移:令和5年度の約5.4倍から、令和8年度は約8.0倍へ
POINT
令和5年度(約5.4倍)と、JASSO調査の回答から令和7年度と判断した数字(約5.5倍)はほぼ同じ水準でした。令和8年度は603名が応募して約8.0倍に上がりました。来年度も、8倍前後の競争を前提に準備するのが安全です。
事業は令和5年度に始まりました。県教育委員会の広報紙「教育福岡」には、「令和5年度は、296名の応募者から選抜された55名の高校生がプログラムに参加しました」とあります。令和6年度の募集要項では、枠はシリコンバレーコース10名、海外就業体験コースが各国15名の計45名で、合わせて55名でした。令和7年度からはシリコンバレー15名、各国20名の計75名に広がっています。
枠は令和7年度に55名から75名へ約1.4倍に広がり、応募者もそれに見合って増えたため、倍率はほぼ横ばいでした(令和7年度の412名は当サイトの判断による年度)。そのうえで令和8年度は、枠が75名のまま応募者が603名になり、412名と比べて約1.5倍に増えています。理由は公表されていませんが、県は、参加者による海外体験発表会や、高校生向けの留学説明会を開いていて、事業が知られるにつれて応募が増えていると考えられます。来年度に枠が増えるかどうかは、まだ分かりません。枠が同じなら、令和8年度と同じ程度かそれ以上の倍率になる可能性があります。
コース別の倍率は公表されていない
県が公表しているのは全体の応募者数だけで、シリコンバレーコースと海外就業体験コースの内訳はありません。参考になるのは、令和5年度に生徒が選ばれた私立高校の報告です。2023年9月の記事に、シリコンバレーコースは国公私立の高校生約50人が応募、職業体験コースは約250名が応募した、とあります。当時の枠(10名・45名)で割ると、どちらも5倍前後です。ただしこれは1校の報告にある概数で、県の公表値ではありません。コース別の倍率を断定できる資料はないと考えてください。
確認ポイント:募集人数は、国公立と私立に分けて決められています。令和8年度は、シリコンバレーコースが国公立9名程度・私立6名程度、海外就業体験コースが国公立36名程度・私立24名程度でした。要項には「国公立・私立の募集人数は生徒総数の割合で決定」とあります。国公立と私立で応募者数の比率が違えば、倍率も違ってきますが、その内訳は公表されていません。
名前が似た2つの「福岡から世界へ」:短期研修と探究型の違い
POINT
「福岡から世界へ」には、県が内容を決める短期研修(人材育成プロジェクト)と、自分で作った留学計画に奨学金が出る探究型(トビタテの地域枠)の2つがあります。費用の出方も時期も倍率も違い、探究型で派遣が決まると、人材育成プロジェクトには応募できません。
検索で混ざりやすいのが、令和8年度に始まった「福岡から世界へ」探究型グローバル人材育成事業です。こちらは、文部科学省と日本学生支援機構が運営するトビタテ!留学JAPANの「拠点形成支援事業」(本記事では地域枠と呼びます。全国枠の中で府県ごとに優先採用する「地域応援枠」とは別のものです)に、福岡県の地域協議会(県・大学・経済団体・高校の校長会・私学協会など)が採択されて実施しているものです。県教育庁の案内では、人材育成プロジェクトを「短期留学研修プログラム」、探究型を「探究活動を伴う自由な留学計画」として並べています。
「福岡から世界へ」の2制度の比較(令和8年度=2026年度の各募集要項・県の資料・トビタテの公表資料より作成。倍率は当サイトの計算)
| 項目 | 人材育成プロジェクト(短期研修) | 探究型グローバル人材育成事業(トビタテ地域枠) |
|---|---|---|
| 実施 | 福岡県教育委員会(主催) | 「福岡から世界へ」探究型グローバル人材育成事業地域協議会。トビタテ!留学JAPANの拠点形成支援事業 |
| 行き先と内容 | 県が決める。シリコンバレー(11月29日〜12月8日)、ハワイ・オーストラリア・シンガポール(各7日間) | 自分で計画する。探究活動を含む留学で、留学期間は14日以上31日以内 |
| お金の出方 | 航空運賃・現地での移動費・宿泊費・研修費用・海外旅行傷害保険を主催者が負担 | 奨学金(6万〜16万円)と留学準備金(増額分を含め21万円または35万円)を支給。実費の全額ではない |
| 枠 | 75名(シリコンバレー15名・就業体験60名) | 20人(ふくおか未来探究コース12人・ほか4コース8人) |
| 倍率 | 令和8年度は約8.0倍(603名応募・75名) | 第1期(2026年度)は約2.9倍(57名応募・20名採用) |
| 学校からの応募の締切(2026年) | 7月3日(学校から事務局へ) | 4月20日12時(学校から地域協議会へ) |
| 面接 | オンライン(8月6日・7日) | 対面(5月7日・8日予定。交通費は自己負担) |
| 国籍の要件 | 要項に記載なし | 日本国籍、または応募時までに日本への永住が許可されていること |
| 家計の要件 | 要項に記載なし | 家計基準の判定が必須(基準を超えても応募でき、奨学金の額が変わる) |
探究型の倍率は、トビタテの第11期(2026年度)の公表資料にある福岡県の拠点形成支援事業の数字(応募57人・採用20人)から計算しました。同じ第11期で、福岡県の高校から全国枠(トビタテ本体)に応募した生徒は137名、採用は26名で、約5.3倍です。第11期で拠点形成支援事業を実施していた福岡県などの府県では、全国枠に地域応援枠が設けられていません。トビタテ全体の倍率はトビタテ高校生の倍率で詳しく扱っています。
併願のルール:順番によっては片方に応募できない
2つの制度の間には、併願を制限するルールがあります。人材育成プロジェクトの令和8年度の要項は、応募資格の1つとして「海外滞在経験が 1 年未満であり、令和8年度に他の留学プログラム」に「参加予定のない者」であることを求めています。括弧書きで、県の探究型と、県のプログラム「Stanford e-Fukuoka」を「含む」としているので、この2つは例示です。トビタテ全国枠など、同じ年度に他の留学プログラムへ参加する予定がある場合も、応募資格を満たさないと読めます。学校行事の短期研修や個人での留学がどこまで「他の留学プログラム」に当たるかは要項に書かれていないため、学校を通じて事務局に確認してください。探究型の説明資料にも、「※探究コース派遣決定後に、シリコンバレーコースまたは海外就業体験コースに応募することはできません。」と書かれています。探究型の選考は春(5月に結果)、人材育成プロジェクトは夏(7月に学校から応募)と時期は違いますが、上の規定により同じ年度に両方へ参加することはできません。探究型やトビタテ全国枠で不採用になり、その年度に留学の予定がなくなった場合に、同じ年度の人材育成プロジェクトへ応募することを禁じる文言は、要項には見当たりませんでした。
探究型とトビタテ本体(全国枠)の関係も決まっています。第1期の要項では、トビタテ第11期の【高校生等対象】と同時に応募できますが、両方で採用されることはないとされています。2027年度(第12期)のトビタテの要項も、福岡県の探究型に応募する場合は、併願の可否をそのプログラムの募集要項で確認するよう求めています。
避けたい
「福岡から世界へ」は1つの制度だと思い、春の探究型と夏の短期研修を同じ倍率・同じ費用で比べる
こうすればOK
主催・お金の出方・時期・倍率が別の2制度だと分けて考える。短期研修は航空運賃・現地での移動費・宿泊費・研修費用・保険を主催者が負担し約8倍、探究型は奨学金で一部を支え約2.9倍
避けたい
1月のトビタテ全国枠、4月の探究型、7月の人材育成プロジェクトと、締切の順に全部受けて、採用されたものすべてに参加するつもりでいる
こうすればOK
同じ年度に他の留学プログラムに参加する予定があると、人材育成プロジェクトには応募できない(探究型・トビタテ全国枠どうしも両方での採用はない)。どれを本命にするかを、冬の時点で家庭と学校で決めておく
費用:県が負担するもの、家庭に残るもの
POINT
人材育成プロジェクトでは、航空運賃・現地での移動費・宿泊費・研修費用・海外旅行傷害保険を主催者が負担し、現地での食費(宿泊に含まれるものを除く)、パスポート取得費、県内の移動費などが家庭に残ります。探究型は定額の奨学金と留学準備金で、留学費用との差額は家庭の負担です。
人材育成プロジェクトの令和8年度の要項は、主催者が負担する費用を4つに限っています。①福岡空港から現地空港までの航空運賃(空港税・燃油サーチャージ費等を含む)と研修中の現地での移動費、②ホームステイ・ホテルなどの宿泊費、③大学や企業での研修費用・職業体験費用、④海外旅行傷害保険費です。そのうえで、「(1)~(4)を除く費用(現地での食費(ホテルやホームステイに含まれるものは除く。)、パスポート取得費、県内における移動費等)については、参加者負担とする。」としています。
家庭に残る費用として見込んでおきたいのは、パスポートの取得費用、宿泊先で出ない食事代、お小遣い、そして事前研修・事後研修に通う県内の交通費です。令和8年度の研修は、9月20日の第1回(開講式)、10月17日の第2回(オンライン)、11月14日の第3回、翌年2月20日の事後研修があり、全日程への参加が応募資格になっています。ビザの費用は要項の負担項目に書かれていないため、行き先によって必要になる場合は、学校を通じて事務局に確かめてください。
探究型の支給額:奨学金と留学準備金
探究型グローバル人材育成事業(第1期・2026年度)の支給額(募集要項より作成。留学期間14日以上31日以内の場合)
| 区分 | 家計基準内 | 家計基準外 |
|---|---|---|
| 奨学金:北米・シンガポール・欧州・中近東(地域区分①。一部の国を除く) | 16万円 | 6万円 |
| 奨学金:アジア(シンガポールを除く)・大洋州・中南米・アフリカなど(地域区分②) | 12万円 | 6万円 |
| 留学準備金:アジア地域 | 21万円(15万円+増額6万円) | 21万円(15万円+増額6万円) |
| 留学準備金:その他の地域 | 35万円(25万円+増額10万円) | 35万円(25万円+増額10万円) |
| 事前・事後研修の交通費(東京・大阪会場の場合) | 各2万円 | 各2万円 |
たとえば家計基準内で、英国やフランスなど地域区分①の国に3週間の留学をする場合(欧州でも、ハンガリーやポーランドなど要項が除外国とする国は地域区分②)、奨学金16万円と留学準備金35万円で、合計51万円が目安です(当サイトの計算。研修の交通費補助は別)。ただし要項は、「奨学金は、留学計画の実行にかかる全ての費用(実費)を支援するものではありません。」と明記しています。航空券・滞在費・受入先の費用の合計がこれを上回れば、その差額は家庭の負担です。また、海外旅行保険は各自で加入することになっていて、選考の面接に行く交通費も自己負担です。トビタテと同じ仕組みの立て替えや自己負担の考え方は、トビタテの保護者負担額で詳しく計算しています。
確認ポイント:探究型の要項は、ほかの団体から給付型奨学金を受ける場合、その総額が本事業の奨学金の総額(留学準備金を除く)を超えないことを求め、国費高校生留学促進事業の留学支援金とは併給できないとしています。学校の派遣プログラムで国費の支援(1人6万円)を受ける予定がある場合は、探究型の奨学金等との併給はできません。留学先がどの地域区分に当たるかは、要項の別紙の国・地域コード表で確認してください。
避けたい
「費用は県が負担」と聞いて、人材育成プロジェクトの自己負担はゼロだと考える
こうすればOK
負担されるのは航空運賃・現地での移動費・宿泊費・研修費用・保険の4つ。パスポート、宿泊に含まれない食費、研修に通う県内の交通費などは家庭で用意する
避けたい
探究型の奨学金で、短期留学の費用がすべてまかなえると見込む
こうすればOK
奨学金と準備金は定額で、実費の全額ではない。留学先の見積もりから支給額を引いた差額を、家計で先に確かめておく
応募できる人と選考:在籍校・校長推薦・英語の目安
POINT
どちらの制度も、福岡県内の高校等に在籍していることが条件で、原則として住所ではなく在籍校で決まります(探究型は、福岡県が所轄する広域通信制高校の生徒に限り県内居住が必要)。応募は在籍校を通して行い、人材育成プロジェクトは校長の推薦、探究型は在籍校の確認と家計基準の判定が必要です。
人材育成プロジェクトの対象は、県内の高等学校、中等教育学校(後期課程)、特別支援学校高等部、高等専門学校(1〜3年次)に在籍する生徒です。国公立だけでなく私立も対象で、学年の制限は要項に書かれていません。シリコンバレーコースには英語力の目安があり、CEFR B1レベル(実用英語技能検定2〜準1級相当)と同等以上の英語能力が求められます。海外就業体験コースには英語の基準はなく、協働できるコミュニケーション能力や、授業・部活動・生徒会活動・ボランティア活動などに意欲的に取り組んでいることが求められます。
選考は、応募用紙と応募理由書による書類選考のあと、書類選考の合格者にオンライン面接を行う2段階です。要項は、県費による研修生として明確な目的意識を持ち、研修のあとにより長期の留学や国際社会での活躍を目指す高い志があるかを、応募書類や面接で確認するとしています。短期研修を、その先の長期留学や進路につなげる意欲を言葉にできるかが問われていると考えられます。書き方の考え方は、作文と面接で選ぶトビタテの応募書類の書き方が参考になります。
探究型は、2026年4月時点で高校1〜3年生(高専は3年生まで)になる生徒が対象です。留学計画書は日本語で書き、在籍校の担当者と相談して作ります。審査は「人物」と「計画」の2つの観点で行い、要項は「人物」の観点をより重視するとしています。語学学校だけに通う計画は、要項に「語学学習のみを行う計画は、支援の対象外です。ただし、語学学習が留学全体の準備過程又は補助的位置づけとして計画の一部に含まれている場合は、支援の対象となります。」とあります。
選考日と必須行事から逆算すると
規定上の条件だけでなく、日程も確かめておく必要があります。探究型の留学期間は2026年7月10日から12月31日までで、その前に機構の事前研修(6月・必須)と、6月27日の壮行会・事前オリエンテーション(必須)があります。夏休みの留学でも、6月の研修日を空けておかなければ参加できません。人材育成プロジェクトは、研修そのものが11月29日から12月15日の間にあり、9月から翌年2月までの事前・事後研修すべてに参加できることが応募資格です。面接日(8月6日・7日)も含め、部活動の大会や学校行事と重ならないか、要項が出たらすぐに確かめてください。
確認ポイント:どちらの制度も在籍校が基準です。人材育成プロジェクトの要項には居住の要件がなく、福岡県外に住んで県内の高校に通う場合も対象になります。探究型も同じですが、要項は「福岡県が所轄する広域通信制高等学校については、県内居住者に限る」としていて、この場合だけは県内に住んでいる必要があります。逆に、福岡県に住んでいて県外の高校に通う場合は、どちらも対象外です。また、探究型の第1期の要項は、過去に探究型やトビタテで採用された人を対象外にしていますが、その除外対象に人材育成プロジェクトの参加者は挙げられていません。人材育成プロジェクトの参加者が翌年度に探究型(第2期)へ応募できるかは、第2期の要項で確認してください。
1年の流れ:トビタテ全国枠→探究型→短期研修→福岡市の奨学金
POINT
2026年は、1月にトビタテ全国枠、4月に探究型、7月に人材育成プロジェクトと福岡市の郡教育振興基金の締切がありました。ただし順番に全部受けられるわけではありません。同じ年度に他の留学プログラムに参加する予定があると人材育成プロジェクトには応募できず、探究型とトビタテ全国枠も両方では採用されません。
福岡県の高校生が使える支援は、締切が1年の中で順番に並んでいます。2026年度に向けた実際の日程を並べると、次のとおりです。学校の校内締切は、ここに書いた日付より早く設定されます。この表は「受けられる順番」ではなく「締切の順番」です。併願の制限は、前の章の「併願のルール」を確認してください。
福岡県の高校生向け留学支援の年間の流れ(2026年度の各募集要項・案内より作成。2027年度の日程は、トビタテ第12期以外はまだ公表されていない)
| 時期 | 制度 | 手続き | 家庭で準備すること |
|---|---|---|---|
| 1月22日 | トビタテ!留学JAPAN 全国枠(第11期) | 学校から機構への応募申請期限(第一日程。新高校1年生の第二日程は4月21日) | 第12期(2027年度)は、第一日程の期限が2027年1月21日 |
| 4月1日〜4月20日 | 探究型(第1期) | 学校から地域協議会へ応募。書面結果4月27日予定 | 留学計画書と、生計維持者の課税証明書 |
| 5月7日・8日 | 探究型 面接(対面) | 日時の指定はできない。採否の結果は5月18日予定 | 面接会場までの交通費(自己負担) |
| 6月11日 | 人材育成プロジェクト | 県が学校に募集要項を発出 | コースの希望と応募理由書の準備 |
| 7月3日 | 人材育成プロジェクト | 学校から事務局への提出期限。書類結果7月17日 | 校長推薦の依頼。SVで英語の資格がある人は証明書の写し |
| 7月31日 | 福岡市 郡教育振興基金 | 申請書の提出期限(必着)。2027年1〜12月に始まる留学が対象 | 交換留学プログラムの合格証書または申込書の写し |
| 8月6日・7日 | 人材育成プロジェクト 面接(オンライン) | 最終結果は9月上旬 | — |
| 8月中旬〜下旬 | 郡教育振興基金 面接(日本語・英語) | 結果は10月上旬予定 | — |
| 9月20日〜翌年2月 | 人材育成プロジェクト 研修 | 事前研修3回、11月29日〜12月15日に研修、2月20日に事後研修 | 全日程への参加 |
| 2027年1月23日・3月6日 | 探究型 事後オリエンテーション・報告会 | どちらも参加必須(予定) | 帰国後の日程も空けておく |
この流れから分かるのは、探究型を考えるなら、冬の時点で留学計画づくりを始める必要があるということです。4月20日の応募期限に合わせて、在籍校の担当者と計画書を詰め、受入先の候補を探しておかなければなりません。人材育成プロジェクトは、要項が学校に出てから学校の提出期限まで約3週間しかありません。また、人材育成プロジェクトは海外滞在経験が1年未満であることも応募資格です。春のうちに、どのコースを希望するか、応募理由として何を書くかを考えておくと慌てずに済みます。
確認ポイント:2027年度(令和9年度)の人材育成プロジェクト、探究型(第2期)、郡教育振興基金の日程と枠は、2026年10月17日時点で公表されていません。トビタテ第12期の要項には、2027年度募集の拠点形成支援事業として福岡県の探究型が載っています。日程は年度ごとに変わる可能性があるため、県教育庁高校教育課のポータルサイト「国際交流事業」のページと、在籍校の案内を確認してください。
市の制度・私立高校・国の支援:存在を確認できたもの
POINT
福岡市内で家庭から申し込める制度として確認できたのは、公益財団法人福岡市教育振興会(市そのものではない)の「高校生留学奨励事業」(上限50万円・10名)です。北九州市の高校生向け留学補助と、県の私立高校生向けの留学助成は見つかりませんでした。
福岡市:郡教育振興基金の高校生留学奨励事業
公益財団法人福岡市教育振興会は、寄附をもとにした「郡教育振興基金」で、「高校生留学奨励事業」として高校生の留学に奨学金を出しています。同じ基金の「姉妹校等交流事業」は、福岡市立学校が海外の姉妹校などに児童・生徒を派遣する事業に、旅費のおおむね2分の1を目途に奨励金(1人10万円・1校200万円が上限)を出すもので、学校単位の支援です。令和8年度の案内では、対象は、保護者が福岡市内に引き続き1年以上住んでいて、福岡県内の高校または高専に在学している(翌年度に入学予定の人を含む)生徒です。令和9年1月から12月まで(令和9年4月に高校等へ入学予定の人は4月から12月まで)に留学が始まり、原則として、海外留学協議会の加盟団体や留学支援団体が実施する高校生交換留学プログラムに出願した人が対象です(交換留学プログラム以外の留学や芸術分野の留学は個別相談、外務省の危険情報レベル2以上の地域・都市への留学は対象外)。さらに、「学術、芸術分野において成績が優れ、国際相互理解、異文化体験、国際友好等に興味と意欲がある人。」と、他から奨学金・補助金等を受けていないことも条件です。募集定員は10名で、留学費用の一部として1人50万円を上限に給付します。選考は作文の評価と面接(日本語・英語)で、提出期限は令和8年7月31日でした。
注意したいのは、併用の条件です。案内には、対象者の条件として「他からの奨学金、補助金等を受けていない人。」とあり、「※ 海外留学協議会の加盟団体及び各留学支援団体からの助成については、事前にご相談ください。」と続きます。トビタテなど他の給付型奨学金と組み合わせるつもりなら、申請前に財団へ確認してください。公表されている実績では、奨学生は令和4年度6名、令和5年度5名、令和6年度5名でした(応募者数は公表されていません)。
なお、福岡市の名前で見つかる留学奨学金のうち、福岡よかトピア国際交流財団の日本人向け奨学金は、対象大学に在籍する学部生・修士課程の学生向けで、高校生は対象外です。
北九州市・そのほかの市町村、私立高校、国の支援
北九州市が高校生個人に留学費用を補助する制度は、2026年10月時点で市の公式サイトでは確認できませんでした。ほかの市町村にも、姉妹都市への派遣など独自の事業がある場合があります。探すときは、①お住まいの市町村の国際交流・教育委員会のページ、②市町村の国際交流協会、③在籍校の国際交流担当、の順に確かめるのが近道です。
私立高校の生徒は、人材育成プロジェクトにも探究型にも応募できます。一方で、県が私立高校生だけを対象に留学費用を助成する制度は見つかりませんでした。学校独自の奨学制度や留学プログラムがあるかは、在籍校に確かめてください。また、国の国費高校生留学促進事業(原則10日以上1か月未満の派遣プログラムに1人6万円)は、学校単位の応募が原則で、家庭からは申し込めません。在籍校の派遣プログラムが対象になっているかを、学校に聞いてみる価値があります。民間の奨学金を含めた全体の組み立ては、高校生の留学奨学金ガイドで整理しています。
高校のあとを見据えて:海外大学進学とアンビシャス外国留学奨学金
POINT
福岡県には、高校での留学とは別に、外国の大学で学位を取る若者向けの「アンビシャス外国留学奨学金」があります。短期研修や探究型の経験を、その先の進路につなげる選択肢として知っておく価値があります。
人材育成プロジェクトの要項は、研修のあとにより長期の留学や国際社会での活躍を目指す志を求めています。短期の研修は、その先の進路を考えるきっかけとして設計されているということです。福岡県は、外国の大学に留学(進学)し、学位取得を目指す若者に奨学金を出す「アンビシャス外国留学奨学金」も実施しています。県のふるさと納税の案内によると、1年間の奨学金の額は年間授業料相当額(最大200万円)で、最長4年間交付され、2009年度から38名を支援してきました。2025年度は第17期として2名が選ばれています。
確認ポイント:アンビシャス外国留学奨学金の2026年度以降の募集要項(応募資格・時期)は、2026年10月17日時点で確認できませんでした。担当は県の私学振興・青少年育成局です。海外大学への進学そのものの準備は海外大学進学ガイド、奨学金の比較は海外大学の奨学金で整理しています。
まとめ:約8倍の短期研修と、約2.9倍の探究型を分けて考える
「福岡から世界へ」人材育成プロジェクトの倍率は、令和8年度で約8.0倍(603名応募・75名選抜)でした。令和5年度は約5.4倍で、JASSO調査の回答(時期から令和7年度と当サイトが判断)では約5.5倍だったので、令和8年度に大きく上がったことになります。航空運賃・現地での移動費・宿泊費・研修費用・海外旅行傷害保険は主催者が負担しますが、パスポートや宿泊に含まれない食費、研修に通う県内の交通費などは家庭の負担です。名前の近い探究型グローバル人材育成事業は、トビタテの地域枠で、自分で作った留学計画に奨学金と準備金が出ます。第1期は約2.9倍でした。
準備は、次の順番で進めると漏れがありません。
- 1在籍校が福岡県内かを確かめる(原則として住所ではなく在籍校で決まる。探究型は福岡県所轄の広域通信制高校の場合のみ県内居住が必要)
- 2短期研修(人材育成プロジェクト)と探究型のどちらを本命にするか決める(同じ年度に探究型・トビタテ全国枠などで留学する予定があると、人材育成プロジェクトには応募できない)
- 3締切から逆算する(2026年は探究型が4月20日、人材育成プロジェクトが7月3日。校内締切はさらに早い)
- 4家庭に残る費用を見積もる(短期研修はパスポート・食費・県内の交通費、探究型は支給額との差額)
- 5保護者が福岡市に1年以上住んでいるなら郡教育振興基金も確かめる(原則として交換留学プログラムへの出願者・上限50万円・他の奨学金等を受けていないことが条件)
ほかの自治体の子記事として、横浜市の「はまっこ留学support」の倍率や東京都の高校生留学支援も整理しています。枠・費用負担・要件・日程は年度ごとに変わります。応募の前には、必ず最新の募集要項をご確認ください。
Q.「福岡から世界へ」人材育成プロジェクトの倍率はどのくらいですか?
令和8年度は、県内の高校生603名が応募し、75名が選ばれました。倍率は約8.0倍で、県も「8倍を超える倍率」と発表しています。令和5年度は296名応募・55名選抜で約5.4倍でした。JASSOの調査(2025年11月〜2026年1月時点の県の回答)では75名の枠に412名が応募していて約5.5倍です。この数字には年度の記載がなく、回答の時期から令和7年度の実績と当サイトが判断しました(倍率は当サイトの計算)。コース別の倍率は公表されていません。
Q.人材育成プロジェクトに参加すると、家庭の負担はいくらくらいですか?
金額の目安は公表されていません。主催者が負担するのは、福岡空港から現地空港までの航空運賃(空港税・燃油サーチャージ費等を含む)と現地での移動費、宿泊費、研修費用・職業体験費用、海外旅行傷害保険費の4つです。現地での食費(ホテルやホームステイに含まれるものを除く)、パスポート取得費、県内における移動費などは参加者の負担です。事前・事後研修に通う交通費も見込んでおいてください。
Q.探究型グローバル人材育成事業と人材育成プロジェクトの両方に応募できますか?
同じ年度に両方へ参加することはできません。探究型の説明資料には、探究コースの派遣が決まったあとは、シリコンバレーコースや海外就業体験コースに応募できないと書かれています。人材育成プロジェクトの要項も、海外滞在経験が1年未満で、その年度に他の留学プログラム(探究型やStanford e-Fukuokaを含む)に参加する予定がないことを応募資格にしています。探究型は例示なので、トビタテ全国枠などで同じ年度に留学する予定がある場合も、応募資格を満たさないと読めます(どこまでが「他の留学プログラム」に当たるかは、学校を通じて事務局に確認してください)。探究型やトビタテで不採用になり、その年度に留学の予定がなくなった場合に応募することを禁じる文言は、要項には見当たりませんでした。
Q.私立高校や高専の生徒、県外に住んでいる生徒も応募できますか?
人材育成プロジェクトは、県内の高校・中等教育学校(後期課程)・特別支援学校高等部・高専(1〜3年次)に在籍していれば、国公立・私立を問わず対象です。募集人数は国公立と私立に分けて、生徒総数の割合で決められています。探究型も福岡県の高校等に在籍していることが条件です。どちらも原則として在籍校で決まるので、県外に住んで県内の高校に通う生徒は対象になり、県内に住んで県外の高校に通う生徒は対象外です。ただし探究型は、福岡県が所轄する広域通信制高校の生徒については県内居住者に限っています。
Q.英語力はどのくらい必要ですか?
人材育成プロジェクトのシリコンバレーコースは、CEFR B1レベル(実用英語技能検定2〜準1級相当)と同等以上の英語能力が目安です。資格がある場合は証明書の写しを提出します。海外就業体験コースには英語の基準はなく、協働できるコミュニケーション能力や、学校での活動への意欲が求められます。探究型の要項にも、英語の資格の基準は書かれていません。
Q.福岡市に住んでいます。県の制度以外に使える奨学金はありますか?
福岡市教育振興会の「高校生留学奨励事業」があります。保護者が福岡市内に引き続き1年以上住み、県内の高校・高専に在学している生徒(翌年度に高校等へ入学予定の中学3年生を含む)が対象で、原則として交換留学プログラムに出願した人に、1人50万円を上限に給付します(令和8年度は10名・7月31日締切)。他からの奨学金や補助金を受けていないことが条件なので、併用を考えている場合は事前に財団へ確認してください。
Q.令和9年度(2027年度)の募集はいつですか?
2026年10月17日時点で、人材育成プロジェクトと探究型(第2期)の令和9年度の日程は公表されていません。2026年は、探究型が4月1日〜4月20日(学校から地域協議会へ)、人材育成プロジェクトが6月11日に学校へ要項、7月3日が学校からの提出期限でした。トビタテ第12期の要項には、2027年度募集の拠点形成支援事業として福岡県の探究型が載っています。県教育庁高校教育課のポータルサイトと在籍校の案内を確認してください。









