AIに任せていいことは?大学生が授業の指示を確かめてから課題を仕分ける手順(2026年11月時点)
最終更新日: 編集:RAXUS Link編集部
この記事で分かること
- 1任せていいのは、授業の担当教員が認める範囲の補助作業まで。書く中身と提出の責任は自分に残る(確認した文科省と3大学の公開文書にもとづく)
- 2手順は「授業の指示を確かめる→貼る情報を外す→作業を仕分ける→提出前に確かめる」の順で、禁止・制限されているなら使わない
- 3「任せる・確かめて使う・自分で考える」の3分類は編集部の整理で、作業ごとに表で引ける
AIに頼む前の順番は「授業の指示→貼る情報→作業の仕分け→提出前の確認」で、書く中身と責任は自分に残る
AIに任せていいこととは、授業の担当教員が認める範囲で、案出しや下調べなどの補助作業をAIに渡し、書く中身と提出の責任は自分に残すことです。
2026年11月2日時点で、この記事が根拠にしたのは次の4つの公開文書だけです。
- 文部科学省の事務連絡(令和5年(2023年)7月13日)の別紙
- 東京科学大学「生成AI利用ガイドライン」(2025年9月5日改定)
- 玉川大学「生成AIの使用について(ガイドライン ver.1.0)」(令和5年(2023年)6月27日)
- 北里大学の学生向けガイドライン(Ver.1.0・2026年4月1日版)
文科省は、大学・高専が指針の見直しを含めて主体的に対応することが重要としています。確認した3大学も、東京科学大学・玉川大学・北里大学のいずれも生成AIを一律には禁止していません。授業でどこまで使えるかは、授業の到達目標や担当教員の指示などに委ねられています。
手順は次の4つです。安全に関わることを先に置いています。
- 授業の指示を確かめる(使える上限が決まります)
- AIに貼る情報から、入れてはいけないものを外す
- 上限の中で、作業を仕分ける
- 提出前に確かめる
3つの分類は次のとおりです。この「任せる」「確かめて使う」「自分で考える」の分け方は編集部の整理で、文科省や大学が定めた分類ではありません。 各行の根拠は、上の公開文書の記述です。
| 分類(編集部の整理) | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 任せる | 授業が認める範囲で、案出しや相談をAIに頼む | テーマ案・論点の洗い出し、学習計画の相談 |
| 確かめて使う | AIに頼んでよいが、出力を自分で裏付けてから使う | 情報集め、要約、校正、翻訳 |
| 自分で考える | AIの出力に頼らず、自分の手で書く | 本文・考察・結論 |
次の3つは、どの判定よりも強く守る点です。
- 担当教員が禁止・制限しているのに使うと、学修上の不正行為と判断されることがあります(北里大学の指針)。
- 生成AIの出力を、そのまま、あるいは少し手を加えただけで、自分の提出物にはできません(玉川大学)。
- 個人情報・未公開のデータ・大学や研究室の内部情報は入力しません(北里大学の指針。文科省と東京科学大学も、個人情報や機密情報を安易に入力しないよう求めています)。
手順1: 授業の指示がAIを使える上限を決める。禁止・制限ならここで使わない
まず見るのは、シラバスや担当教員の指示に何と書いてあるかです。東京科学大学は、生成AIを使える程度(禁止の有無を含む)は、授業の到達目標や内容、授業担当教員の指導方針・成績評価方針などに委ねるとしています。玉川大学も、授業での可否は担当教員等の指示によるとしています。
授業の状態ごとに、次にすることを表にしました。行の分け方は編集部の整理で、根拠は各大学の記述です。
| 授業の状態 | 次にすること | 根拠 |
|---|---|---|
| 禁止・制限されている | 使わない。禁止・制限されているのに使うと、北里大学では学修上の不正行為と判断されることがある | 北里大学・東京科学大学 |
| 使用可で、使い方や範囲が指定されている | 指定の範囲の中だけで使う。北里大学は範囲の例として「構成案のみ可、文章生成不可等」を挙げている | 北里大学・東京科学大学 |
| 使用可と書かれているが、詳細が書かれていない | 担当教員の指示に従う。東京科学大学は、詳細がシラバスに明記されていないことがあるとしている | 東京科学大学・北里大学 |
| 使用可と書かれている | 範囲の指定がないかを担当教員に確かめる。北里大学は、使用が認められている場合でも方法や範囲が指定されることがあるとしている | 北里大学 |
東京科学大学は、授業によってレポート作成やプログラミング時の利用を禁止する場合もあれば、文書校正や参考プログラムの生成などで利用を推奨する場合もあるとしています。同じ大学の中でも、授業ごとに答えが違うということです。
確認の順番と、尋ね方の文例
確認の順番は、次のとおりです(順番は編集部の整理です)。
- 担当教員の指示(授業中の説明、課題の指示文など)
- シラバス
- 大学の方針(上の3大学のように、授業ごとの指示に委ねる大学もあります)
- それでも迷うときは、AIを使う前に担当教員に聞く(使ってしまった場合も、提出前に聞く)
北里大学は、授業・レポート・試験・発表・研究活動などで生成AIを使う場合は、授業科目ごとに担当教員に確認の上、指示に従うことを求めています。
尋ね方の文例です。文例は編集部の案で、大学の定めた文面ではありません。
> 〇〇の授業のレポートで、生成AIを使ってよいか確認させてください。使ってよい場合、テーマ案や校正など、使ってよい範囲を教えてください。使った場合に、その旨を書く必要があるかも教えてください。
担当教員のルールに従わない利用は、評価の対象外や減点の原因になりうると北里大学は書いています。学生間で利用条件が違うと評価の公平性を損なうおそれがあるためです。
手順2: AIに貼る前に、個人情報・未公開データ・大学や研究室の内部情報を外す
授業で使ってよいと分かっても、貼る内容は別に確かめます。文科省の別紙は、機密情報や個人情報などを安易に生成AIに入力することは避ける必要があるとしています。種類によっては、入力内容を学習に使わせない設定(オプトアウト)ができるとも書いています。東京科学大学は、クラウド上の生成AIには、個人情報や機密情報など公開してはいけない情報は入力しないよう求めています。
北里大学は、入力してはいけない情報を挙げています。貼る前に、手元の文章や資料を次の表で照らしてください。
| 手元にある情報 | 判定 |
|---|---|
| 自分や他人の個人情報(氏名・学籍番号・連絡先など) | 外す |
| 未公開の研究データ | 外す |
| 大学や研究室の内部情報・機密情報 | 外す |
| 実習施設などでの患者情報や、施設の内部情報 | 外す |
| 上のどれかに当たるか迷うもの | 授業の担当教員や研究室に確認してから。確認できるまで貼らない(編集部の目安) |
校正や要約を頼むときも、貼る文章に上の情報が入っていないかを先に見ます。
手順3: 上限の中で、作業を「任せる」「確かめて使う」「自分で考える」に仕分ける
手順1で使える上限が決まったら、その中で、課題を作業に分けて仕分けます。
課題を作業に分ける例です。これは編集部の例示で、実在の課題ではありません。 レポート1本を、次のように分けます。
- テーマ案を出す
- 資料・情報を集める
- 難しい文献を読んで要約する
- 構成を考える
- 本文・考察・結論を書く
- 文章を校正する
自分の課題の作業を、次の表で引いてください。判定は、閾値や点数ではなく、公開文書の記述にもとづく編集部の目安です。「授業で確認すること」は、手順1で上限が決まった後も残る点です。
| 作業 | AIにさせること | 判定(編集部の整理) | 根拠 | 授業で確認すること |
|---|---|---|---|---|
| テーマ出し・論点の洗い出し | アイデアや論点の案を出してもらう | 任せる | 文科省は、ブレインストーミングや論点の洗い出しを有効と想定される場面に挙げる。北里大学も、アイデア出し・テーマ設定のヒントを活用が推奨される場面に挙げる | 使用可か、範囲の指定がないか |
| 学習計画・勉強方法の相談 | 計画や進め方の案を出してもらう | 任せる | 北里大学が、学習計画や勉強方法の相談を活用が推奨される場面に挙げる | 使用可か、範囲の指定がないか |
| 資料・情報集め | 情報を集める手がかりを出してもらう | 確かめて使う | 文科省が情報収集を有効と想定される場面に挙げる一方、出力には虚偽やバイアスの可能性があり、確認・裏付けが必要としている | 使用可か、裏付けに使う資料の指定がないか |
| 難しい文献の理解・要約 | 内容の解説や要約をしてもらう | 確かめて使う | 北里大学が、難解な内容の理解向上・解説・要約を活用が推奨される場面に挙げ、要約に使ったときは原文・元データを改めて確認・解読することで理解が深まるとしている | 要約を提出物に使ってよいか |
| 文章校正 | 誤字や言い回しを直す提案をしてもらう | 確かめて使う | 文科省が文章校正を有効と想定される場面に挙げる | 校正も含めて使用可か。貼る文章に手順2の情報がないか |
| 翻訳 | 外国語の文章を訳してもらう | 確かめて使う | 文科省が翻訳を有効と想定される場面に挙げる。出力の確認・裏付けが必要 | 使用可か |
| 構成案 | 構成の案を出してもらう | 確かめて使う(授業の指示が先) | 北里大学が、使用が認められている場合の範囲の例として「構成案のみ可、文章生成不可等」を挙げる | 構成案の利用が許されているか。授業が範囲を指定していないか |
| プログラミングの補助 | 参考コードを出してもらう | 確かめて使う(授業の指示が先) | 文科省がプログラミングの補助を有効と想定される場面に挙げる。東京科学大学は、授業によってプログラミング時の利用を禁止する場合も、参考プログラムの生成で推奨する場合もあるとしている | 禁止か推奨か、範囲の指定 |
| 本文・考察・結論を書く | (AIには書かせない) | 自分で考える | 文科省は、出力をそのまま用いるなど学生自らの手によらずにレポート等の成果物を作成することを「一般に不適切」としている(「一般に」は文科省の原文の語)。玉川大学は、そのまま、あるいは少し手を加えただけで提出物とすることはできないとしている。北里大学は、課題・レポートの最終的な責任は利用者自身にあるとしている | − |
プログラミングそのものを学ぶ必要があるかは、プログラミング 大学生 必要で別に整理しています。この記事は、プログラミングの補助を仕分けの1行として扱うだけです。
「任せる」と判定した作業でも、担当教員が禁止・制限していれば使えません。判定の言葉より、手順1の授業の状態が先です。
手順4: 提出前に、出力の裏付け・剽窃のおそれ・使った旨の明記を確かめる
提出の前に、次の点を見ます。
- AIの出力をそのまま正解や事実として扱っていない(北里大学は、そのまま正解・事実として扱ってはならないとしている)
- 出力の内容を、インターネット検索と同じように、自分で確かめ、裏付けを取った(文科省・玉川大学)
- 要約に使った場合は、原文・元データを改めて確認した(北里大学)
- 出力に著作物の内容がそのまま含まれていないか見た。気付かずに使うと、意図せずとも剽窃に当たる可能性がある(文科省)
- 授業が、使った旨や使った箇所の明記を求めていないか確かめた(下の説明を参照)
- 担当教員のルールに従っている。従わない利用は、評価対象外や減点の原因になりうる(北里大学)
使ったことの明記は、全大学が求めるとは限りません。文科省の別紙は、学生がレポート等に生成AIを使った場合に、使った旨や生成AIの種類・箇所などを明記させることが有効と考えられる、としています。これは大学側の対応の例です。北里大学は、担当教員の指示により、どの部分で生成AIを使って作成したかを明示する必要がある場合があるとしています。明記が必要かは、授業ごとに確かめます。
この手順が当てはまらないのは、授業・大学が別の指示を出しているとき。確認した範囲にも限りがある
この記事の仕分けは、授業や大学の指示より弱いものです。担当教員が別の指示を出していれば、その指示が先です。
確認した範囲も限られます。
- 見たのは、文部科学省(令和5年(2023年)7月13日の事務連絡)、東京科学大学(2025年9月5日改定)、玉川大学(ver.1.0・令和5年(2023年)6月27日)、北里大学(2026年4月1日版)の4つの公開文書だけです。これ以外の大学の方針は確認していないので、自分の大学の方針は自分で確かめてください。
- 文科省の文書は2023年7月のものです。大学・高専向けの改訂版は、2026年11月2日時点で確認できていません。
- 禁止・制限を学修上の不正行為と判断することがあるとしたのは、北里大学の指針です。ほかの大学にも当てはまるとは、この記事では書いていません。
- 使った旨の明記を求めるのは、文科省が有効と考える対応例と、北里大学の例です。全大学が求めるとは書いていません。
専門の勉強とAI活用のどちらを先に伸ばすかは、AI時代 大学生 何を学ぶで扱っています。この記事は、いま手元の課題で、どこまでAIを使うかを確かめるためのものです。AIで仕事がどう変わるかはAI 仕事 変わる 大学生、大学生活で何を選ぶかは大学生のうちにやっておくべきことをご覧ください。
